【完結】テニスこそはセクニス以上のコミュニケーションだ(魔法先生ネギま×テニスの王子様) 作:アニッキーブラッザー
一応最終話『テニスというコミュニケーション』
アフターマッチファンクション。
それは、主にラグビー等で行われる恒例行事。
試合終了後に、両チーム選手や顧問などの関係者が一同に集い、軽食や飲み物を摂りながら交流を深めるイベント。
戦いは終わり、既に敵も味方もなく称え合うスポーツマンたちの表情は実に爽やかであった。
「さあさあ、今日は無礼講ネ! この超包子のオーナーである私が全部オゴリヨ!」
学園名物屋台の超包子。オーナーである超鈴音の権限により、すべての飲み食いは無料ということもあり、腹をすかせたものたちが料理にがっついていた。
「すげー! 五月さんでしたっけ? この料理メッチャウメーっすよ! この小籠包から出る肉汁がたまんねーっ!」
「馬鹿、桃! 肉汁の話は……」
「肉汁だとオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「ぎゃあああ、大石~、ダメだよん、今日は女の子たちも居るんだから!」
そしてそこに居るのは、立海と麻帆良生徒たちのみではない。
青春学園も……
「なんや、大石のやつ。あいつは肉になるとほんまに性格変わるやっちゃな」
「うおおおお、でも、おいC-ッ!」
「ほう。俺様の舌を唸らせるとは、なかなかの料理人だぜ」
氷帝学園もそう。何だかその場の流れというかノリで、ちゃっかりと親睦会に参加していたのだった。
そして立海の面々はというと……
「でさ、ゲンイチロー。今度の日曜日だけどさ、テニスする前にラケットも自分用で欲しいからさ、買い物にも付き合ってよ」
「ほう、いい心がけだ。マイラケットは、生死をかけた戦いを共に過ごす、いわば自身の分身でもあり相棒だ。選ぶことに妥協は許されん。お前に合った、たまらんラケットを俺が選んでやろう」
もうすっかり仲良くなった、アスナと真田。
「ぶんたくーん! デザートにケーキ作ってよー!」
「僕達に作れーっ!」
「おいおい、わがまま言いすぎだろい、チミっ子。まあ、材料があるなら……」
クラスを代表する最強ロリ姉妹にまとわり疲れている、丸井。
「ほう、ジャッカルはブラジル人のハーフアルか。体力が日本人離れしていたのはそのためアルか」
「ああ。しかし、この学園は外国人留学生が多いみてーだな。そういうのに力入れてんのか?」
体力馬鹿で外国の血を引く者同士で、意外性ある二人組みで会話している、クーフェとジャッカル。
「仁王さん…………では、このセリフを……御願いしますッ!」
「ぷりっ♪ ……せっちゃん……一緒にオランダいこか? オランダなら、ウチらは合法や。もしくは、東南アジアでせっちゃん改造手術せん? うち、せっちゃんの子供欲しいわ~」
「うわっきゃーーーーーっ!」
仁王の木乃香イリュージョンにすっかりハマって正気を失った刹那。
「ほな、赤也はん。この大会にウチとのミックスダブルスを……」
「だーめ、赤也くんは私と組むのよね~?」
「それなら、まずは練習をしましょう! そしてテニスの素晴らしさをもっと普及しましょう!」
一人の男を取り合う月詠と千鶴。そして人格が変わってしまった赤也。
「早乙女ハルナさん。今日はありがとうございました。とても素晴らしい経験をさせてもらいました」
「あ、どもっす、柳生くん」
「お飲み物はどうされます? 私が取ってきますが」
「きゃおおおおうっ! イケメン紳士! ねえねえ、柳生くんさ~、ちょっと黒執事のカッコしてくんない?」
紳士柳生とワルノリ代表パル。
「この中からカップルが生まれる確率は……」
「柳さん、恋愛は確率では測りきれません。流石のあなたにも、この分野は読みきれないでしょう」
「ほう、言うではないか。この柳蓮二がラブコメディに疎いと思っているのか?」
「おもしろいです。では、誰と誰が結ばれるかお互いの予想を言い合いますか? ラブコメディには無限の可能性があります」
よく分からん第二ラウンドが始まった柳と茶々丸。
「ところで幸村。貴様、味覚も奪えるのか? 例えば、この激辛マーボーの辛さを感じさせなく出来るか?」
「お望みなら、奪おうか?」
「……いや……やっぱいい。奪えたら、それはそれで恐い……」
後は、エヴァと幸村など。
立海と一部の女子たちは何気ない普通の会話をしてたり、ちゃっかりラブコメってたり、盛り上がっていたりと、それぞれの空気が出来上がっていたのだった。
しかし、この状況を不服としている者たちもいた。
「って、試合した人たちばかり仲良くなっててずるーい! 私らにもラブコメさせろーっ!」
不満を漏らしたのは、クラス唯一の彼氏もちという噂の猥談番町の柿崎美砂だった。
「美砂、急にどうしたの?」
「どうしたもこうしたもあるかー! せっかく同世代の超イケメン軍団がいるってーのに、私らだけ身内で話しててどーすんの! 普段はネギ君しか男の子が居ない私たちの前に、あんなイケメンたちが居るんだよ?」
そう、立海は別として、青学、氷帝、そして試合をしていない大半の生徒たちは、それぞれの身内で飯をつついて談笑していたのだ。
その光景は、合コンというよりは、小学校の給食のようなもの。
思春期真っ只中の女子校の生徒たちがこの機会を逃してどうするのかと、美砂は叫んだ。
「で、でもさ~」
「う、うん。私ら、同世代の男子とか、久しぶりだし……」
「だよね。改まってとなると……」
すると、美砂の言葉に、恥ずかしそうにモジモジして動こうとしない生徒たち。
そう、当初は、「イケメンキター」と騒いでいたものの、改まって話しかけるとかそういうことになると、どうしても照れが生じてしまうのだ。
試合に出ていなくとも、身も心も幼稚園児のような鳴滝姉妹や、母性の塊の千鶴は別として、何のきっかけもなしに同世代の男子に逆ナンに近い形で話しかけるなど、彼女たちには難しかったのである。
すると、そんな時であった。
「いいねー、いいねー、だったら協力するよ~、皆さん!」
それは、クラス内のイベント企画隊長でもある、パパラッチ朝倉からの提案だった。
「朝倉……どういう……」
「な~に、ようするに、話しかけたいけど話しかけられない。そういうの意識しちゃうから余計に話しかけられないんだよん。だからもう、そういうのは、ゲームみたいな感覚で盛り上げちゃえばいいんだよ」
朝倉の提案。それは、協力と言いながらも、どこか下衆な笑みを浮かべているのが分かる。
すると……
「おおーい、テニス部員のみなさーん! いつまでも身内同士で話し合ってないで、私らともお話しよーよ!」
一緒に話をしよう。その声に、テニス部員たちは食べていた箸の手を止めて一斉に振り返る。
「うん、いいんじゃないかな」
「ああ、そうだな! これじゃあ、いつものメンツだしな!」
「話しましょう話しましょう!」
その提案に快く承諾する男たち。すると朝倉は……
「よっしゃー、それじゃあ始めちゃうよーん! 第一回のペアリング・プリンセス&プリンスコンテスト、略してペアプリコンテストーッ! ぱふぱふぱふーっ!」
「「「「「……………?」」」」」
「ルールは簡単です。男女二つに分かれて互いに向かい合うように並び、男性陣が一人一人前へ出て、話をしたい女の子たちの前に立って声をかけてくださーいッ!」
「「「「「……………は、はい?」」」」」
「既に女子と会話を楽しんでる立海勢も、視野を広げるという意味で一回リセットして一緒に参加してくださーい!」
それは、男たちにとってはあまりにも都合の悪すぎる話であった。
「ちょ、待ってくださいっすよー! 何でそんな公開告白みたいなのしなきゃなんないんすか! しかも、俺たちの方から!」
「そこは勘弁してくださいよ、お兄さん方! 普段は女子校ゆえに同世代の男子と話をしない私らにとっては、自分から話すのなんて難しいんすよ! だからこそ、ここは男の人たちから強引にバシっと御願いしますよ!」
そう、朝倉の提案はようするに麻帆良生徒たちは男子と話をしたいが恥ずかしくてできないので、ナンパしてくれというあまりにも都合の良い身勝手なものであった。
流石にそんな無理やりな提案にはテニス部員たちは不満の顔を浮かべる。
だが……
「アーン、別に構わねーじゃねえか。自信がねーやつは大人しくしてればいいじゃねえか」
なんと、キング跡部が「問題ない」と声を上げたのだった。
「そうだろ、手塚? 真田。テニスコートでは勇猛でも女相手にはチキンになる愚民共は参加しなきゃいいさ」
跡部がワルノリに便乗したのだった。
そして、自分のライバルに向けて明らかなる挑発の言葉。
その言葉を受けては……
「跡部、どうやらお前は分かっていないようだな」
「ふん、構わん。俺だって、ナンパぐらいできる」
なんと、手塚と真田までその挑発に乗った。
「ちょ、ほんまかいな、跡部」
「手塚部長ッ!」
「おいおい、マジかよ、真田」
中学テニス界の重鎮たちが参加を表明。彼らが参加をするのであれば、参加しないわけにもいかない。
「ふっ、だが、ナンパに成功するのは俺たち氷帝だ」
「いや、青学が全国大会に続き、二冠を取るだろう」
「面白い、その真っ向勝負を受けて立とう」
「「「「「いやいやいや、三人とも何を勝手に!」」」」」
しかも、何故か三校が張り合うかのように火花を散らすのであった。
「ちょ、え、ウソでしょ? 朝倉、何考えてんのよ!」
「うそ、あのイケメンたちがナンパしてくれんの?」
「やっば、メイクが!」
「う~ん、私はネギ君が好きだしな~……」
「なによ、まき絵。あんた、ナンパされると思ってるんだ? ひゅー、自信満々♪」
「ふええええん、ど、どうしよ、ユエ~、なんか恐いことに~」
「まったく、壮絶なるアホらしい計画なのです。安心してください、のどか。あなたにはネギ先生がいるですから、毅然とした態度で」
「うひょー、ノーマルカップリングきましたかーっ!」
「…………ケッ……」
「千雨ちゃん、どうしたん? なんかもうずっと静かやん」
「はははは、ソッとしておきましょう、お嬢様。千雨さん、幸村さんに裏切られたのが相当ショックだったのでしょう」
「ウム、そうでござろうな。なにやら、てんぶほーりんがどうとか、ほうおーげんまけんがどうとかブツブツずっと言っていたでござるからな」
突如計画が決定したナンパ大戦。女子たちもキャーキャーと興奮で色めき立つ。
「うわ~、なんかいきなり面白いことが始まりましたね!」
「やれやれ……さっきまで、あのエヴァの五感を奪ったりしていたプレーヤーたちが……今では普通の中学生みたいですね」
「そうじゃのう……まったく、一体テニスとはなんなんじゃろうな」
そんな状況で、教職員の席で微笑ましそうにしているネギ。
同席に居る学園長やタカミチも呆れていた。
「ちなみに」
その時、朝倉が司会を務めるその背後で、ユラリと現れた影。
それは……
「ちなみに、怯えてナンパをできなかった者や、失敗したものは罰ゲームだ。女子にも拒否権は与えねばならないからな」
「この柳蓮二と貞治……」
「そして、この私、超鈴音と」
「ハカセことこの私、葉加瀬のドリームカルテットで作り上げた究極のスープ!」
乾、柳、超、葉加瀬の四人の夢のコラボ。
彼ら四人が手を組んで出されたのは、器に入ったいっぱいのスープ。
「「「「チキンな臆病者たちに捧げる……ペナルティキンスープ!」」」」
「「「「「なんかきたああああああああああ!?」」」」」
そう、それは中学テニス界で名物となっている罰ゲーム。そして今回は麻帆良の力まで加わった。
「なにあれ、チキンスープ?」
「普通においしそうじゃん。アレが罰ゲームなの?」
ペナルティを知らない麻帆良生徒たちからは能天気な声が響くが、テニス部員たちは別。
「ち、チキンスープか……見た目はそれほどでもねーが……味は……試しにちょみっと」
「ッ! 待て、向日!」
恐る恐る指先をスープにつけて、ペロリと舐める氷帝学園の向日岳人。
跡部が慌てて止めるも、スープを口にした瞬間、向日は……
「コケええエエエコッコーーーーッ!?」
普段のムーサルとよりも遥か高く、絶叫しながら鳥のように空へと舞ったのだった。
「「「「ど、どういう原理でそうなってんのーッ!」」」」」
男たちは心に誓った。
絶対にナンパを成功させなければ、と。
「くだらん、そんな罰ゲームなどに恐れるものか。全員たるんどる!」
その時、顔を青ざめさせるテニス部員たちの中から真田が前へ出た。
「おおお、一番手は真田さんか!」
「いや、せやけど、真田はもう、カップル成立しとるやん」
一番手を買って出たのであろう真田に歓声が上がる。
しかし、同時に誰もが思った。
「ね~、真田君はさ~、もう」
「うん、アスナとさ~」
「ちょ、ちょー! な、なによ、みんなしてそんなニヤニヤした顔して!」
そう、真田はもう既にアスナと仲良くなっているのである。
それは、麻帆良もテニス界も既に公認済み。
「ほう、あの彼がアスナくんと?」
「そうだよ、タカミチ。真田弦一郎さん。とても厳格でマジメで、すごくテニスも強いんだよ? 雷みたいな打球でラケットに穴を開けたり、気を凝縮した力を放出して相手をふっとばしたりできるんだよ? なんだかんだで、アスナさんともお似合いなんだよ!」
「……ねえ、ネギ君……それって、テニスの話なんだよね?」
タカミチが真田に興味を持つも、ネギの説明で顔を青ざめさせる。
しかし、魔法使いとしてネギのパートナーでもあるアスナの相手が真田であることはネギも公認というのであれば、それはもう戦わずして……
「おっとー、ここで特別ルールを発動しちゃうよん!」
しかし、真田が前へ出ようとした瞬間、朝倉が待ったをかけた。
「ん? どういうことだ?」
「へへ~ん。お兄さんたち、これも勝負として張り合うわけでしょー? なら、既にテニスで親睦深めている立海が明らかに優位で不公平じゃん」
「む……確かに……」
そう、不公平なのである。既に団体戦で戦った立海はテニスを通じて対戦相手の女の子と親睦を深めているゆえに、青学と氷帝に対しては圧倒的有利。
しかし、それではつまらんと思った朝倉は……
「よって! 立海の人たちは、今日テニスで対戦した女の子以外に話しかけてくださいッ!」
「なにっ!」
という特別ルールを設けたのだった。
「ほう、なるほどな」
「確かにそれで公平か……」
その特別ルールに納得する跡部と手塚。
だが同時に……
「ちょ、朝倉、何言ってんのよーっ! 何であんたが仕切ってんのよー!」
「ほんまやえ! それじゃあ、赤也はんがウチに声をかけられんやろ!」
文句を言うものも居たのだった。約二名……
「おんや~? なになに~、アスナも文句あるの~?」
「んな! べ、べ、別に私はそんなこと……で、でも、そんなの……」
「にししししし~、じゃあこうしましょう! 自分の意中の男性が他の女の子をナンパしようとしたら、『ちょっと待ったー』と乱入できることを、女子側だけに許可しましょう!」
「ひぐっ!」
朝倉の提案するイジワルなルール。つまり、意中の男が他の女と仲良くなろうとするのなら、女子は勇気を出して動けというのである。
アスナは顔を真っ赤にして言葉につまり、月詠はニヤリと笑みを浮かべる。
「ではではー、そういうわけでペアプリスタートです! 先鋒は立海の副部長、真田君ッ! 恋の風林火山が炸裂するか?」
そんなあらゆる想いが交錯する中で、男たちのナンパがスタートした。
「いっけー、真田副部長! 見事、女の子ゲットしてくださいっすー!」
赤也が冷やかすような声援を送りながら、真田が前へ出る。
真田弦一郎のナンパには、青学も氷帝も未だかつて考えたこともない事態なだけに緊張が走る。
「しかし、このナンパは弦一郎が不利だ」
「えっ、どういうことっすか、柳さん?」
「弦一郎は既に神楽坂アスナと仲が良い。ゆえに、他の女をナンパしても、ナンパされた女は遠慮してしまう可能性が高い」
「あ~それもそうっすね」
「つまり、勝負の鍵は、神楽坂アスナが『ちょっと待った』と言えるかどうかだ」
初めからいきなりクライマックスのように、皆が真田とアスナを交互に見る。
アスナは「う~」と唸りながら真田を睨んでいる。
しかし、真田は……
「ふん、くだらん」
威風堂々とした佇まいで不敵な笑みを浮かべた。
「俺はあらゆる恋愛の修羅場を乗り越えてきた。女たちは全て俺の前に平伏してきた」
意味不明なことを語り出した真田。
そして、次の瞬間、真田が動いた。
「疾きこと風のごとし!」
向かい合う女子の列。その列に並ぶ一人の女目掛けて、真田が走った。
そこには……
「へっ……あたし?」
あまりにも意外だったのか、まったく予期していなかったその少女はビクッと体を震えさせた。
そこに立っていたのは、ショートカットのシスター服を着た生徒。
「「「「「み、美空ちゃんがキターーーーーーーーーーーーーッ!」」」」」
真田が選んだアスナ以外の女。それは、このクラスの中では比較的影が薄いほうな、学園のシスター兼・陸上部の春日美空であった。
そんな誰もが驚く中で真田は……
「侵略すること火のごとし!」
「は、へ? チョええええええええええええええええ!」
「「「「「ほげええええええええええええええええええええええッ!」」」」」
なんと、真田は向かい合う美空の両肩をいきなり掴み、更にはそのままキスをしようとしたのだった。
あまりにも間をすっ飛ばした真田の風林火山に場に衝撃が走る。
だが、その時、
「こ、こえーーーーっ! ちょ、マジ勘弁っす! アデアット! さいならーっ!」
「ぬっ!」
美空が反応。生物としての防衛本能ゆえに寸前で、アーティファクトを発動。
春日美空のアーティファクトは、「かそくそーち」と呼ばれる、とにかく速く走れる靴。
真田の拘束から強引に抜け出して逃げる美空。
その後ろ姿に真田は……
「待たんかーっ! キエエエエエエエエエッ!」
真田は、更に乱心したのだった。
「動くこと雷霆のごとし!」
「ぎゃあああああああああああああ、お、追いつかれたああああ!」
逃がさない。真田がナンパの究極奥義、風林火陰山雷を発動。
なんと、加速する美空に瞬間移動で追いついた。
「すごい! さすが真田さん! って、そうじゃなくて! 女の子にいきなりキスするなんていけないと…………とりあえず待ってください、真田さん!」
「ちょ、あ、アーティファクトの美空くんに、お、追いついた! ……で、ネギくん、どうして君は急に顔を逸らしているんだい?」
「なんなのじゃ、あの青年は! つか、凄いけどアレでは変態じゃ!」
色々な意味で驚きを隠せない魔法先生たちは、ビックリして美空を助けに動けない。
そして、真田に追いつかれた美空は……
「そこのたまらん足の女ァ、待たんかーッ!」
「ひ、ひいいいいッ!」
「大人しくナンパされんかーっ!」
恐怖に染まった美空が今、真田の手に落ちようとした、その時だった!
「あんたが、ちょっと待たんかーーーーーーッ!」
「へぐわっ!」
神楽坂アスナのとび蹴りで、真田はふっとばされたのだった。
「なにやってんのよー、ゲンイチロー! それ、もうナンパじゃないでしょうがーッ!」
クラスメートの窮地を救ったアスナ。怒りを込めた蹴りを真田はモロにくらい、気を失っているかもしれない。
しかし、そんな鼻息荒くして乱入したアスナに……
「えっと……え~、アスナの『ちょっと待ったー』発動により、今ここにペアプリ成立としまーす!」
「……へっ?」
アスナにカップル成立の宣言がされたのであった。
「ちょ、ち、ちが、私はそういう意味で乱入したんじゃなくって!」
「ヒューヒュー、アスナ~、まさかいきなり権限使うなんてラブラブじゃーん!」
「美空ちゃんをダシに使ってうまいぐあいにやったじゃん、アスナ」
「おめでとな、アスナ♪」
「さすが真田副部長! 命がけのナンパ、見せてもらったっす!」
「やるじゃねーの、真田。ア~ン?」
「真田、一番手とはいえ……口説きが悪すぎるよ」
「厳しいな、幸村。まあ、とりあえずあの女のファイトを褒めてやろうぜ」
こうして、親睦会は男女和気藹々と大盛り上がりになるのだった。
「やれやれ。こうしていると、やはりただの中学生だな、こいつらは」
そんな平和な光景を眺めながら、エヴァも機嫌良さそうに笑いながら、杏仁豆腐を食べていた。
「しかし……それでも、こいつらならひょっとして……テニスを通じて、世界すらも変えられるかもしれんな」
一時は命の奪い合いに近いほどの死闘を繰り広げていたものの、戦いが終わればそこに敵も味方も関係ない。
魔法という世界のみでは決して出会うことのなかったものたちと、テニスを通じて広がり繋がった。
決して交じり合うことが無かった者たちともこうして繋がることができる。
それがテニスという、一つのコミュニケーションの力なのであった。
まだ見ぬ未来とテニスに秘められた無限の可能性に期待を抱きながら、エヴァンジェリンは彼らを温かい眼差しで見守っていた。
皆様
お世話になります。
アニッキーブラッザーです。最後までこのアホみたいな物語にお付き合い戴きありがとうございました。
何年か前に始めて、削除して、再開して、でもエタッて、そんな繰り返しをしていたこの作品もようやく一段落つけてまとめることができました。
本当は、亜久津とか木手とか不二とか、もうちょい試合を書きたかった奴らも居ましたが、心がそこまでは持ちませんでした。何よりも、手塚、跡部、幸村の三人でかなり限界のテニスをしましたので、正直今の私のレベルではこれ以上は書けませんでした。
当初この小説は、メインで書いていたほかの小説の合間の息抜きとして始めたもので、本来であればアスナVS真田で終わらせる、チラシの裏のSSでした。当方がメインで書いている「魔法はお前の魂だ(ネギま×グレンラガン)」「異世界転生-君との再会まで長いこと長いこと(オリジナル)」も読んでいただいている方々は、私がこの小説を書いていると思わずに驚かれて「あんたなにやっとんねん!」的なコメントを戴いたりしておりました。しかし、なんやかんやで長編になってしまいましたが、自分なりには満足して書けたかなと思っております。まさか、スポ根ものとファンタジーバトル漫画をクロスさせてここまで続くとは思いませんでした。改めて、テニプリメンバーの凄まじさを思い知りました。
とりあえず立海VS麻帆良的なストーリーとしてはこれで終わりますが、「アフター」的なものは書きます。テニプリで女子とのカップリングは非難轟々だと思いますので、そこは様子見ですが……、まあ、興味がありましたらまたたまに覗いてみてください。
ちなみに、最後のナンパで一番人気の高かった女の子は、今回試合もしていないのに一番大活躍した苦労人のあの子だったり・・・・・・
今後も二次創作及びオリジナルで活動は続けていきますので、これを機に、他の当方の作品をチラ見していただけましたら幸甚にございます。
最後になりますが、短い間でしたがお世話になりました。
また何かの作品でお会いできたらと思います。
もしくは、『新・テニスこそはセクニス以上のコミュニケーションだ(嘘)」でお会いしましょう。
アニッキーブラッザー