アイシールド21 強くてニューゲーム   作:ちあっさ

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この世界に小学生のアメフトは存在しない。
タッチフットはあるが、セナはその存在を知らなかった。

ヒル魔さん達は2つ年上じゃなくて1つ年上でした。
指摘してくださった方がいたので若干修正。

ヒル魔達は最後の大会=ならば三年生という勘違いですた。
泥門は2年で終わりなんでしたっけね。


2nd down 中学生時代

中学生になり、僕は予定通りアメフトをはじめた。

 

進学した公立の中学校にアメフト部はなかったので、少し離れた町のクラブチームに入った。

中学のアメフト選手権はオープン参加なので学校でなくても出られる。

 

ずっとトレーニングばかりだったので、アメフトをプレイするのは楽しかった。

まだ40ヤード走4秒2は出せないし、最終奥義のフォースディメンションも筋力不足で無理。

でも楽しかった。

夢中でただひたすら走った。

 

 

 

……2年後、小早川セナの所属するチームは東西大会で優勝し、日本一になっていた。

 

一年生の時は関東中学アメリカンフットボール選手権の決勝まで進出した。

 

中学アメフトのチーム数は高校より遥かに少なかったとはいえ、

勝ち抜けたのはセナの力が大きかった。

 

ほとんどワンマンチームといってもよかった。

 

しかし、流石に優勝はできなかった。

相手チームはセナに徹底した大人数のマークをつけ、あっさりと敗退した。

 

いくらセナがケタ外れに能力の高い選手であっても、

アメリカンフットボールは一人では勝てないスポーツだった。

 

しかし、無駄ではなかった。

この敗退で奮起したのはセナのチームメイト達だった。

敗北に下を向かず、上を向いたのだった。

 

セナがいれば勝てる。と明確な指針が出来たのが大きかったのか、

敗退した次の日から猛練習を開始した。

 

セナを中心とした、彼を活かすフォーメーションを考え、ひたすら練習した。

セナもそれに答えて懸命に練習し、そして。

 

中学二年時の大会で見事優勝したのだった。

 

小早川セナはランニングバックが樹立可能な記録、

ゲインヤード数、タッチダウン数、リターンタッチダウン数等の色々な記録、

一試合における記録も一大会における記録も全て大幅に更新していた。

 

結局、1対1で止められたことが一度もなかった。

小学生の頃から明確な目的を持ってトレーニングを続けてきたセナは、

そのスピードだけでなく、判断力も覚悟も同年代のそれを大きく上回っており、

最早中学生では彼を止めることは不可能と言ってよかった。

 

スピードは中学どころか高校、大学でもトップクラス。

スタミナもあり、オフェンスだけなら一試合十分持つほどある。

手の使い方も上手く、相手選手を近寄らせない技術も持っている。

ディフェンスがリードブロックをしても、

それを瞬時に察知してかわす瞬間的な判断力も持っている。

運よくブロックが成功しても、彼に触れた瞬間スピンしてブロックを弾き飛ばしてしまう。

結論として、小早川セナを止める方法は、大人数で隙間なくラインを作り、

サイドラインに押し出してしまうしかなかった。

 

当然、世間は彼に注目した。

高校、大学、社会人の一流選手や監督の目からみても、

中学生の彼が日本屈指のランニングバックだった。

 

このまま成長すれば高校入学時にはどれだけの選手になっていることかと日本中が期待していた。

マスコミもセナを頻繁に取り上げるようになり、雑誌にもよく載るようになった。

当然、アメフト部のある高校からは、特待生としての入学の誘いが沢山きた。

 

 

そして中学三年の春。

 

あっちこっちの高校から誘いが来たけど、僕はどこの高校へ行こうか悩んでいた。

知っている高校からはほとんど誘いが来ていた。

あの帝黒や神龍寺からもきていた。

 

どこへ行ったっていい。

原作なんて関係ない、そんなものは僕が小学生の時に崩壊している。

でも、ここへきて、泥門へ行ってかつての仲間達ともう一度一緒にアメフトがしたいという、

なんていうか「誘惑」に駆られるようになってしまった。

 

今の中学のアメフト仲間達との練習と試合で培った想いがそう考えさせたのかもしれない。

過去を、というかこの場合は前世かもしれないけど、を懐かしがっているだけかもしれない。

それでも、一度そう思ってしまったらなかなか頭から離れなくなってしまった。

 

「・・・・とりあえず、僕はまだ3年になったばかりなんだし、もうちょっと考えて答えは先延ばしに・・・っと」

考えた所で、僕はあることを思い出した。

 

「僕が中学3年ってことは、ヒル魔さんは今高校一年、今年泥門に入って栗田さんや、武蔵さんと

アメフト部を創設してる頃じゃないかな?」

 

ヒル魔さん達は僕より1つ年上なんだから当然だ。

 

そう気づくと、僕は居ても立ってもいられなくなり、

 

「そうだ、泥門高校まで見に行ってみよう」

と思いつき、行ってみることにした。

通い慣れた?高校だし、電車でそんなに遠くないので今から行ってみることにした。

 

 

泥門高校の校門前まで来ていた。

何年ぶりだろう?

今の僕で言えば生まれて初めて来る場所なんだけど、

前世っぽい知識を含めて言えば・・・・・

大学4年間、そのあとアメリカに渡って1年くらい、

今の自分になって、小学生で2年間、中学生で約2年だから、9年ぶりくらいかな?

 

懐かしさに浸りつつ中に入る。

セキュリティ? 何それ? みたいな学校なのは知っているので入るのに躊躇はない。

 

まっすぐアメフトの部室に行く。

 

「今日は練習しているかな?今は部室にいるかな?」

 

いや、ヒル魔さんはアメフトだけは誠実な人だから、練習はしているだろう。

もしいたらどうしよう、あ、何を言えばいいのか全く考えていなかった。

なんて考えながら、部室の前まで来る。

 

 

「あれ?」

 

しかし、

 

そこにアメフト部の部室はなかった。

 

代わりに……

 

 

 

「な……なんだよ、ラクロス部って!!!」

 

よく知らないスポーツの部室になっていた。

 

「ど、どういうことだろう?場所はここで間違いない、間違えるわけがない、

ずっとここに通って練習していたんだ、でも・・・どうして?」

 

アメフト部があることは疑っていなかったので予想外の事態に戸惑う。

 

「ヒル魔さんがアメフト部を立ち上げたのはもう少し後だっけ?

 ………………忘れた」

もしくはそもそもそんな時期なんか知らない。

 

「いや、ヒル魔さんが入学してすぐ動かないわけがない」

部員を集めるには入学直後が一番勧誘しやすい、そんな時期を逃すわけがない。

ヒル魔さんなら入学前から動いていたっておかしくはない。

 

もう高校生になってずいぶん経つのに何もしていないはずはない。

 

何かおかしい。

 

「………………あっ!」

一つ思いついた。

 

「今は武蔵さんが辞めちゃった直後なんじゃ?」

 

確か武蔵さんの父親が怪我をして仕事を継ぐためにアメフト部を辞めたはずだ。

戻ってくるまでかなり時間が掛かってたけど・・・今はその時期なのかな?

 

「それなら今日いないのは納得できるけど……って部室がない説明がつかないじゃないか」

 

やっぱり今の僕は少々パニクっているな。

 

「しょうがない、こうなれば最終手段だ」

 

僕は職員室へ走っていった。

 

最終手段とは、単純に学校の先生に尋ねることだった。

 

確か、ヒル魔さんは入学直後に校長を脅したりしてたはずなので、

知らない先生はいないだろう。

 

個人情報?何それ?みたいな学校なので教えてくれるだろう。

 

 

で、職員室で聞いてみると、驚くべき答えが返ってきた。

 

 

 

 

 

蛭魔妖一

栗田良寛

武蔵厳

 

『本年度の生徒にそんな名前の生徒はいない』

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

え? いない?

今年の入学生どころか、在校生にもいなかった。

 

 

いないの?ヒル魔さん達・・・・・どうして?

 

当然、泥門にアメフト部は存在していない。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

もう、何が何やらわからなかった。

 

 

呆然とした僕は、家まで歩いて帰ってきていた。

途中何キロかの道のりを歩いたはずだが、覚えていない。

家に着いた頃にはすっかり夜になっていた。

 

そして、ようやくにして僕は、一つの仮説を思いついた。

 

「僕という人間、以前と違う小早川セナがいる以上、この世界は単純に過去に戻った世界ではなく、

僕という存在がいた場合の別の可能性の世界なのだろう、

そして……どうやらこの世界は…………

ヒル魔さん達がいないパラレルなワールドなのか……」

 

僕はショックで熱を出して寝込んでしまった。

 

そして、その仮説が間違っていたと知るのはもっと先のことだった。




中学生時代は細かく書いてもオリジナルにしかならないので短く。
中学からアメフトをやっててそうな他の主要登場選手は中学時代はどうしていたのかは、
原作にないので偶々会わなかったことで。
中学時代のメンバーは書くとオリジナルキャラになっちゃうので描かない。

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