新約、とある提督の幻想殺し(本編完結)   作:榛猫(筆休め中)

8 / 54
前回までのあらすじなのです!

2ヶ月分の貯まりに貯まった書類を片付けながら食事の用意をする上条…。

ようやく処理し終えたかと思いきや今度は金剛が問題を起こしたのでした…。


大本営と補給艦!

side上条

 

 

朝の一件から数時間…。

 

俺は鎮守府内を歩いていた。

 

あの後、何故か金剛がヒートアップし始めたのでなんとか宥めその場から逃げてきた…。

 

 

「それにしても…。」

 

辺りを見回しながら一人呟く…。

 

 

「変わってねえな、ここ」

 

まあ、3ヶ月じゃそんな変わりはしないか…。

 

と、考えていると…。

 

 

「あれ?提督さん、珍しいですねこんなところで会うなんて…。ふふっ」

 

不意に声をかけられ振り向くと…。

 

そこには鹿島がニコニコしながら立っていた。

 

 

「おぉ、鹿島、いや、俺がいない間に何処か変わった所はないかなって思って見てまわってたんだ」

 

その言葉に鹿島はなるほど~と納得の表情。

 

 

「でも、なにも変わってないですよ?私含めて皆さんそれどころじゃありませんでしたから…。」

 

誰かさんのおかげで…。と、続けられる…。

 

 

「はは…。面目ない…。」

 

俺は苦笑しながら謝る…。

 

 

「本当ですよ…。もう、しっかりしてくださいね?」

 

 

「精進します…。」

 

俺の言葉に『よろしい…』と、頷く鹿島…。

 

ふと、思い出したように口を開いた

 

 

「そういえば提督さん、補給艦って知ってます?」

 

補給艦?なんだそりゃ?

 

俺は聞き覚えのない単語に首をかしげる。

 

 

「いや、聞いたことないな」

 

 

「なんでも補給専門の艦娘さんらしいんですけど、とっても料理が上手なんだとか…。」

 

料理上手か、まあそんな艦娘も居てもおかしくはないよな…。

 

 

「で、結局、鹿島は何を言いたいんだ?」

 

そう言うと鹿島はニッコリと微笑みながら言う。

 

 

「いえ、もしその艦娘さんがいたら提督さんの負担も軽くなるのになって思って」

 

それを聞いた瞬間、俺は雷に打たれたかのような衝撃が走った…。

 

そうか!なぜそれを考え付かなかったんだ!

 

補給専門ということは俺達、素人より数倍も腕がいいってことじゃないか!

 

たしかに鹿島の言う通り、そうすれば俺の苦労は大分軽くなる…。

 

 

「鹿島、お前天才だな…。」

 

 

「え?どうしたんですか?急に…」

 

 

「こうしちゃいられねえ!そうと決まれば早速取り掛かるしかねえ!」

 

 

「え?え?」

 

俺の変化に戸惑いを隠せないらしい鹿島…。

 

 

「あぁっと、そうだった、サンキュな鹿島、お礼に今度1つだけお前の言うこときいてやるよ!じゃ!」

 

それだけ伝えると俺は一目散に司令室へと駆け出した。

 

鹿島は未だにキョトンとしていたと言う…。

 

 

sideout

 

 

 

 

side金剛

 

 

「む~…。テイトクゥどこ行ったんデース?」

 

一人、紅茶を飲みながら呟く…。

 

すると、いきなり勢いよくドアが開かれテイトクが入ってきたデス。

 

テイトクは帰ってくるなり出掛ける準備を始めマシタ。

 

 

「テイトクゥ?何処か行くデスか?」

 

私が声をかけるとテイトクはこちらを見て

 

 

「ああ、ちょっと大本営に行ってくる」

 

大本営?未だ急デスネ、呼び出しでもありましたか?

 

 

「それなら私も行くネ!」

 

 

「いや、金剛はここで留守番を頼む、俺がいない間しっかりと鎮守府を守ってくれよ?」

 

むぅ…。そこまで言われたらやるしかないデスネ!

 

 

「分かりマシタ!私に任せてヨ!」

 

私の返事を聞くとテイトクはすぐさま出ていってしまいマシタ…。

 

じゃあ、私もお仕事頑張るネ!

 

 

sideout

 

 

 

side上条

 

 

電車に揺られること2時間…。

 

ようやく大本営に到着した。

 

俺は中に足を踏み入れる…。

 

すると、受付の方だろう人が声をかけてきた。

 

 

「こんにちは、本日はどのようなご用件ですか?」

 

 

「あ、えっと、建造の関係で来たんですけど…。」

 

 

「建造ですね?では、証明書か何かお持ちですか?」

 

証明書って多分これの事だよな?

 

俺は着任時に渡された一枚のカードを渡す。

 

 

「これでいいですか?」

 

受付の人はニッコリ笑ってそれを受け取った。

 

 

「はい、ありがとうございます。ご確認が取れましたので工厰の方へどうぞ…。」

 

俺は言われるがままに工厰へと足を向けた。

 

中に入ると自身の鎮守府でもお世話になっている明石かいた。

 

 

「いらっしゃいませ!本日はどのようなご用件ですか?」

 

 

「えっと、補給艦の建造がしたくて」

 

 

「補給艦ですね?間宮さんと伊良湖さんどちらの建造にいたしましょう?」

 

間宮と伊良湖?二人も補給艦がいるのか…。

 

でも、正直人手が足りないし両方お願いするか。

 

 

「両方共お願いします」

 

 

「分かりました!じゃあ建造が完了するまで三十分ほどお待ちくださいね…。さあみんな!やるよ!」

 

 

『オォーー!!』

 

ワラワラと現れる妖精さんたちと共に大本営明石は奥に消えていった。

 

残された俺は暇でしかない…。

 

 

「にしても、三十分か…。偉く早いけど補給艦って通常の建造とは違うのか?」

 

バーナー使うんだったら何人でも大体十分前後だった筈だしな…。

 

と、考えていると、不意に声がかけられた。

 

 

「失礼、君が上条当麻くんかな?」

 

声のした方を振り返ると、初老の男性が此方に来ていた。

 

 

「はい、上条当麻は俺ですけどなにか用ですか?」

 

すると、男性はニッコリ微笑んで答えた。

 

 

「いや、顔を見ておきたくてね…。深海棲艦を素手で倒したという少年提督の顔を」

 

その言葉に俺は警戒する。

 

なんで、この人はそんなことを知ってるんだ?

 

 

「一応聞きますけど、貴方は?」

 

すると、男性は『そういえばそうだったね…。』と口を開く

 

 

「自己紹介が遅れたね、私はここの元帥をやっている者だよ…。簡単に言えば海軍のトップだ」

 

その言葉に俺は謝る…。

 

 

「すいません!元帥とはしらなくて…。」

 

 

「構わないよ、つい最近まで唯の学生だったんだ、知らなくても不思議じゃない」

 

それよりも…。と元帥は続ける。

 

 

「君は先の作戦で自身の艦隊を助けるために単身乗り込んで敵艦隊を壊滅させたそうじゃないか…。しかも素手で…。」

 

 

「はは…。まあ、確かに素手なんですけどそれができたのはこの右手のお陰です。」

 

そう言って俺は左手で右手を叩く。

 

 

「そうか…。では、もう一つ…。君はその時に敵機の爆撃で死んだという報告があったのだがどうやって生き延びたんだ?」

 

 

「あー…。それはですね」

 

俺は訳を話した…。

 

 

「なるほど、にわかには信じられない話だが君がそういうのなら本当なのだろう…。」

 

俺はその言葉に内心ホッとする…。

 

だが、しかし…。と元帥は続ける。

 

 

「この事はあまり口外しない方がいい、私や君の艦隊の子達はいいが、深海棲艦をよく思わない輩の方がここ、いや、この世界は殆どだ…。下手に話してその者達(深海棲艦の残党)を刺激してしまえば今度こそ何が起こるか分からない…。」

 

俺はその言葉に慎重に頷く。

 

 

「分かりました、この事は話さないようしておきます」

 

 

「うむ…。私もこれは胸のうちに閉まっておく…。君も気を付けておくんだよ」

 

そう言って歩き出す元帥…。

 

俺はそれを見送った。

 

しかし、少しすると元帥が戻ってきた。

 

俺はどうしたのかと思っていると…。

 

 

「忘れるところだった、これを君に渡そうと思っていたんだ…。受け取ってくれ」

 

そう言って差し出されたのは一枚の封筒だった。

 

俺は封筒を受け取り聞いてみる。

 

 

「あの、これは?」

 

 

「それは私からの餞別だ、先の作戦のMVPは君なのだから…。帰ってから見るといい、なにか分からなければ君の艦隊の子達にでも聞けば分かるだろう」

 

 

「はぁ…。」

 

それだけ言うと今度こそ元帥は歩き去ってしまった。

 

 

「なんだったんだ?いったい…。」

 

俺が封筒を眺めていると奥の戸が開かれ大本営明石が出てきた。

 

 

「お待たせしました!間宮さんと伊良湖さんの建造が完了しましたよ!中へどうぞ」

 

 

「あぁ、ありがとう」

 

言われるがままに中に入る…。

 

中で待っていたのは…。

 

 

「初めまして、給糧艦間宮ですわ。よろしくお願い致します」

 

 

「同じく伊良湖です…。よろしくお願いします。」

 

割烹着に赤いリボンのヘアピンを着けた女性と、同じく割烹着で黒い髪をリボンで結んだポニーテールの女性だった。

 

 

「俺は上条当麻、よろしくな!間宮さんに伊良湖さん」

 

こうして、俺達の鎮守府に新たに補給艦が二隻配備されたのだった。

 

 




おっす!上条さんだ!

着任した補給艦二人の腕を見るため上条は食堂に二人を呼び出す。

しかし、二人の腕は上条の予想を凌駕しており…。

次回、新約、とある提督の幻想殺し…。

補給艦vs空母勢

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。