新約、とある提督の幻想殺し(本編完結) 作:榛猫(筆休め中)
無事に帰ったことを伝える為、一人一人に顔を出して回る上条。
しかし酔っぱらった勢いで駆逐艦たちの衣服を消し飛ばしてしまい、
倍返しを喰らってしまうのだった...。
side上条
「痛ぅ...はぁ、不幸だ...。」
おっす、上条さんだ。
どうして開口一番こんなことを言っているのかは訳がある。
理由は単純、二日酔いだ。
昨日、勢いでウイスキーを一気飲みしてしまったものだから頭が痛くてしょうがない...。
「うぅぅ...それにしても...」
俺は目の前の光景にため息を吐く。
「ずいぶんと貯め込んじまったよなぁ...」
そう、今俺の目の前には山のような書類がたまっている。
その数、二か月分...。
今、秘書にしている金剛の話では...。
『赤城も合間を見てはやっていたみたいデスけど処理しきれなかったみたいネ』
とのことだった...。
その話を本人に聞くために空母寮に行ってみたところ...。
最初は三か月分あったそうだ。
それを合間合間に処理していったが終わらせられたのは一カ月分が限界だったらしい。
「まあ、一か月分終わらせてくれたことに感謝しなきゃな...。
はぁ...空はこんなに青いのに...。お先は真っ暗だ」
鬱になりそうな言葉を言いつつ取り掛かる。
しかし、俺の仕事はこれだけではない。
「昼食時間までに料理作っとかないとな...。」
そう、食堂の厨房仕事もあるのだ。
以前もかなり地獄だったのだが、
今じゃその難易度は地獄から煉獄へとグレードアップを果たしている。
その原因は主に姉ちゃん達(他の空母達にそう呼んでくれとせがまれた)である...。
空母は消費する資材量が多く、いったいどんな胃袋をしてるんだと言えるほど食べるのだ。
そして、そんな空母が三隻+αが居ればそれは自然と難易度が跳ね上がるのである。
おまけに長門や、金剛などの戦艦勢も何かとよく食べるので、まったく手が足りていないといった状況に陥っている。
「...学園都市にいたころじゃ考えられなかったもんな...。」
以前住んでいた町に思いを馳せる。
「っと、今はそんなことしてる場合じゃねえんだった!」
俺がたまっている資料に取り掛かり始めると勢いよくドアが開かれた。
「Hey!テートクゥ!!今戻ったネ!」
入ってきたのは現在秘書にしている金剛だった。
「おぉ、金剛!いいタイミングじゃん。これ処理するの手伝ってくれ」
俺は山のようにたまっている書類を指さす。
「Oh!これはまたVery Earnデスネ!分かりマシタ!お手伝いシマース!」
「よし!チャッチャと終わらすぞ!」
こうして二人して作業に取り掛かったのだが、食事時間の準備もあり、書類が纏め終るころには真夜中になってしまっていた。
「あ゛ー...終わったぁ...」
時間にしてマルサンマルマル...。
俺は椅子に背を預け、グデ~!とへたり込む。
金剛の奴は途中から俺の布団に入って...。
「テイトクもこっち来るネ...スヤスヤ...ン~?テイトク~…ZZZ」
と、図々しく眠っている。
ったく…。俺の気も知らずに気持ちよさげに寝息たてやがって...。
俺は金剛の寝顔を見てため息を一つ吐くと予備の布団を出すと廊下に出た。
流石に同じ部屋で寝るのは不味いもんな。何かあってからじゃ遅いし...。
俺は廊下の端の方に布団を敷くと眠りにつくのだった。
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翌朝...。
ジリリリリリリリリリリリッ!
携帯のアラームが鳴り響いた。
俺はアラ-ムを止めようと手を伸ばす、すると...。
モニュッ...
何か柔らかいものに触れた。
しかし、寝惚けた頭は正常に働いておらず、さっきから鳴り続けているアラームを止めようと俺は何度もその柔らかい物を押した。
しばらくそんなことを繰り返しているとおかしな声が耳に入る。
「...んっ...て、テイトクゥ...。触ってもいいけどさ、時間と場所を弁えなヨ」
その言葉で俺の脳は一瞬で目覚めた。
瞬間的に飛び起き、布団から出る。
「な、ななな!?なんでお前が俺の布団にいるんだよ!?」
チラリと辺りを見回すと、そこは司令室の中のようだった。
「なんでってテイトクが廊下で寒そうに寝ていたから温めてあげようとしたからデース!」
「余計なことするなぁぁぁぁ!!!」
その日、江ノ島鎮守府に俺の絶叫が響き渡るのだった。
おっす!上条さんだ!
朝の一件から半日、上条は鎮守府内を見て回っていた。
その時にある艦娘から重大な情報を聞き...。
次回、新約、とある提督の幻想殺し...。
大本営と補給艦!
幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる!