新約、とある提督の幻想殺し(本編完結) 作:榛猫(筆休め中)
前回は提督が新しく来た子達の演習という名の修行の方法を聞いたり、自分がやらされた修行方法を明かして香取さんにOHANASHIさせられていた話でしたわ~
今回はその提督のお友達が出てくるお話になりますよ~
side上条
「ちょ、ちょっと!雷進みすぎよ!アイテムが取れない...あっ!泡になっちゃった...」
「暁が遅いから私が先に進もうとしてるんじゃない!時間が迫ってるのよ!」
「・・・・・・(ヤレヤレ)」
書類仕事の合間の休憩で少し談話室に顔を出した俺が見たのはそんな風にあるゲームをしながら口喧嘩している暁と雷とそれを我関せずといった面持ちでゲームをしている響だった。
最近、ここ呉鎮守府ではこういう光景がよく見られる。
これを説明するには時間が数日前まで遡る...。
__________回想__________
「あー...終わんねえ...不幸だ...」
最早日課となった書類整理に追われつつ俺はその言葉と共に大きくため息を吐く。
「...勝手に姿を消した当麻の自業自得よ、私達も手伝ってるのだから頑張りなさい」
「そうなんだけどよ...不幸だー...」
最早嘆かずにはいられない...。
『提督、今、少しよろしいですか?』
ノックと共にそんな声が聞こえてくる。
「ん?あぁ、良いぞ、入って来てくれ」
「失礼します。あの、提督のお知り合いという方がお見えなのですが...」
入ってきたのは睦月型十番艦の三日月だった。
「俺の知り合い?今来てるのか?」
「はい、一応、応接室にお通ししているのですが...どうなさいますか?」
知り合いってのが誰か気になるしな...。
「行ってみるよ、サンキュな、三日月」
「い、いえ!それじゃあ私はこれで...」
そう言って三日月は一礼すると執務室を後にしていった。
それを見送り、俺は加賀姉に声をかける。
「なんか来てるらしいし、ちょっと行ってくる。すぐ戻ってくるからさ」
「...分かったわ、なるべく急いでね」
「分かってるって」
加賀姉の要望に応えるべく、俺は執務室を後にした。
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応接室に着くと、そこで待っていたのは土御門だった。
「よぉ、カミやん待ってたぜい!」
「知り合いってのはお前のことだったのか、土御門...。今日はどうしたんだ?」
コイツが来る時って大体何かの面倒事が起きた時なんだよなぁ...
「今日はあれを持ってきたんだにゃー」
そう言って指すのはデカい段ボール。
「......なんだあれ?」
あれなんとなく嫌な予感が済んだけど...
「まあまあ中を開けてみるぜよ」
土御門に言われるがまま箱の封を解き蓋を開ける。
そこに入っていたのは...!
「......これって、ゲーム機か?」
「そうだぜい、しかもコレは学園都市で最近発売されたばかりの任〇堂の最新ハード!任〇堂Dreamだにゃー」
そう叫ぶ土御門を尻目に俺は中身を覗き込んでいた。
中には見知っている物から知らない物まで複数入っていた。
「おーいカミやん、聞いてんのか?」
「ん?あぁ、悪い、なんだって?」
「聞いてなかったのかよ!だからこれは任〇堂の最新作の任〇堂dreamだって言ってんだよ!」
「ドリーム?なんだそりゃ?」
「こいつの凄さを知らないからそんなことが言えるんだぜい、コイツの凄さを知ったらそんなこと言えなくなるぜよ」
「へぇ」
自身満々に話す土御門を見て半信半疑の俺...。
そんなことは関係ないとばかりに土御門は話し始めた。
「この任〇堂Dreamはなんと!今までの任〇堂ハードのほぼ全てのソフトがこれ一台で遊べるんだにゃー、これは同じく発売したS〇NYから発売したPLAYSTATION10、通称PS10に対抗してのことみたいぜよ」
「へぇ、そっちはどんな機能があるんだ?」
「PS10は歴代ハード全てが遊べるって言う機能があったにゃー、けど、残念ながらここには入ってないぜい」
「ないのか?なんでだよ?」
それならそっちも持って来てくれりゃいいのによ...。
「あっちは人気が高すぎて一つしか確保できなかったんだにゃー...。
なんだ、そういうことだったのか...。
「なんか悪いな...わざわざ買ってきてもらっちまって...けどよ、土御門」
「ん?なんだぜい?」
「ゲーム機だけあっても、ソフトがないと意味がないんだけど...」
見たところそれらしいものは入っていない。折角本体があってもソフトがなければそれはただのガラクタと化してまう...。
「それについては心配いらないぜい!ここにあるのにゃー」
そう言って土御門が取り出したのは複数のゲームソフトだった。
「お!どれどれ...おい、土御門...」
「今度はなんぜよ?カミやん」
「これ、随分前のソフトばっかりじゃねえか!新しいのは!?」
そう、差し出されたソフトの種類は正確には二本だった......
ひとつは数年前に任〇堂から発売された某キノコの国の配管工が兄弟や仲間達と共に、果物姫を助けに行く例のアレだったり...。
もう一つはモンスターで溢れ返る広大なエリアを武器とアイテムを駆使して挑むアレだったりしたのだ...。
「さっき言ったろ?この二つはその機能からやたら人気が高くて、本体を買うだけでも相当苦労するんだ。それもソフトとなれば更に入手難度は跳ね上がる...
実際、現在の学園都市ではDreamや10のソフトのみならず、任〇堂、S〇NYの歴代のソフトが品薄、または売り切れになっている...。これらもその中でなんとか入手できた唯一の物だ」
いつになく真面目に話す土御門を見て、俺もそれは本当なのだろうと思わざるを得なかった...。
「あの...」
と、ここで別の声が聞こえ、そちらを見るとそこには睦月型の艦娘達が立っていた。
「これ、やってみても...良いですか?」
__________回想終了_________
と、いう事があり今に至る...。
「もう頭に来たんだから!今日という今日は許さないんだから!」
「それはこっちの台詞よ!この際だからどっちが強いかはっきりさせようじゃない!」
んん?なんだか物騒なことになってきていないか?
何を隠そう、ここ呉鎮守府に所属する艦娘達はどこぞのZ戦士よろしく超武闘派なのだ...。
砲撃雷撃するくらいなら、一気に距離を詰めて重い一撃を叩き込め!というのが基本方針なのである...。
これは後から聞いた話なのだが、それを施していった張本人はあの人修羅こと、大阪鎮守府に所属する長門だと言う...。
人の知らないところで何を教えてるんだと言わざるを得ないが、今はそれどころじゃない...。
今にもぶつかり合いそうな二人を止めるのが先決だ。
「ったく、仕方ねえな...」
そう呟いてから超スピードで二人の間に割り込むとその突き出された拳を両手で受け取める。
「えっ!?司令官!?」
「なっ!?」
突然の俺の乱入に驚きの声を上げる二人...。
「ったく、たかがゲームで喧嘩すんなっての、ゲームは楽しくやってこそだろ?こんなことで喧嘩するくらいならゲームで決着付けろよな」
『......』
ん?何も反応ねえんだけど...
ふと、二人の様子を見てみると、、二人は顔を真っ赤にして俯いていた。
なんだ?どうしたんだ?
「司令官、良いこと言っているところ悪いけど、今の司令官にその説得力は皆無だよ」
と、ここで今まで静観してきた響が口を開いた。
「ん?どういうことだ?」
そう言うと響は少し驚いたような呆れた表情をして言った。
「気づいてないのかい?それじゃあ今キミがその手に触れているモノを握ってごらんよ」
手に触れているモノ?二人の拳だろ?
響に言われた通りに両手を握ってみる。
【フニフニッ】
「ちょっ響今そんなことさせたら...ひゃうんっ!」
「司令官ちょっとまって!今は...きゃうんっ!」
......あれ?今の感触と声って...まさか...
恐る恐る見てみると、俺が今まで拳だと思って掴んでいたものは...二人の胸部装甲であった...。
「うおっ!?悪い二人とも!」
慌ててその手を離す...。
『......///』
いまだに真っ赤になって俯いている二人...。
「気が付いたかい?僕の姉妹に手を出したんだ、司令官、覚悟は出来てるかな?」
満面の笑みでゆっくりと近づいてくる響...。
「い、いやー響さん?これは不可抗力でして...」
「司令官、遺言はそれだけかな?」
そうして俺は響に引きづられてどこかの部屋へと連れて行かれるのだった...。
「んぎゃああぁぁぁぁぁぁっ不幸だぁぁぁぁぁッッ!」
その日、呉鎮守府近隣にある絶叫が響き渡ったという...。
sideout
side???
一切の抵抗も許すことなく連れて行かれる上条を見て胸部装甲を触られた二人は後にこう語ったという...。
『あの時の響の背後には阿修羅が見えるようであった』と......
響のお仕置きから数日、相変わらず書類に追われる俺にある知らせが届く。
それは艦娘達にとても関係あるもので......
次回、新約、とある提督の幻想殺し
改二改装
幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。