新約、とある提督の幻想殺し(本編完結)   作:榛猫(筆休め中)

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睦月です!

前回は大阪鎮守府の吉野中将が行方不明の提督の手掛かりを掴むために江ノ島鎮守府に来たにゃしぃ♪

赤城秘書艦から提督の過去を聞いていたようだけど何か分かったのかな?


悪ノリ医学者と小さな三十路

side陸奥

 

提督が行方不明になってから半年以上が経った…。

 

今尚提督の行方は掴めないまま…

 

私を除く他の艦娘達は提督がいないことでかなり不安定になりつつある…。

 

現秘書艦である加賀も気丈にしてはいるが、相当無理をしているのが見てとれる…。

 

無理もないだろう、毎日の提督の仕事をこなしつつ、合間合間に寝る間も惜しんで提督の行方を探しているのだから…。

 

あれではいつ倒れてもおかしくない。

 

そんなある日のこと、遂に恐れていたことが起きてしまった…。

 

 

 

 

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いつもの如く、私達(・・)は提督を探すために海に出ていた…。

 

私の他に加賀秘書艦、利根、筑摩、多摩、弥生の五隻が随伴している。

 

加賀秘書艦がいつも通り、提督の執務を終えた後に提督捜索のために出撃した。

 

だが、出撃して少し経った頃、異変が起こった、前を行く加賀秘書艦がフラフラとし始めてしまったの…。

 

 

「大丈夫?加賀秘書艦」

 

 

「このくらい鎧袖一触よ…心配ないわ…。」

 

そう言いながらもなんとか立て直していた加賀秘書艦だったけれど、次第にその振らつきは大きくなって、やがて前のめりに倒れてしまった…。

 

 

「加賀秘書艦!?」

 

 

「大丈夫か?しっかりするのじゃ!」

 

利根と筑摩が直ぐ様駆け寄り倒れる加賀秘書艦を支える。

 

支えられた加賀秘書艦は辛そうに顔をしかめて気を失っていたわ…。

 

 

「酷い熱…。早く帰って休ませないと…!」

 

筑摩が加賀秘書艦の額に触れてからそう私に伝えてくる。

 

 

「これ以上の捜索は危険ね、仕方ないわ、全艦反転!鎮守府に急ぐわよ、利根と筑摩は加賀秘書艦の曳航をお願い」

 

 

『了解!(じゃ)』

 

こうして私達は呉鎮守府へと戻っていったの…。

 

 

 

 

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加賀秘書艦が倒れてから数日…。

 

 

その日を境に他の艦娘達も次々に倒れていった。

 

このままだと鎮守府全体が機能停止に陥ってしまう…。

 

そう感じ取った私は藁をもつかむ思いで大阪鎮守府の艦娘お助け課へと応援を依頼した。

 

応援を依頼すると、応対した艦娘である足柄は快く引き受けてくれたわ…。

 

簡単に現状を説明すると捜索は大阪鎮守府が引き継いで行ってくれることと、倒れた艦娘を診るために専門の方を派遣してくれることとなった…。

 

それを聞いて私は連絡を終えた後に気が緩んでしまった為か私の意識は深い闇の中へと落ちていくのだった…。

 

 

sideout

 

 

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side弥生

 

 

陸奥さんが倒れてしまってから二日後…。

 

大阪鎮守府から天草早苗という女の人と大阪鎮守府の電だと思われる少女がやって来たの……。

 

元気…というより動けるのは私達みたいな駆逐艦しか居なかったから私が応対した…。

 

 

「えっと…いらっしゃい…です…大阪鎮守府の方…ですか?」

 

話すのはあまり得意じゃないから如月姉さんにお願いしたかったんだけど、姉さんは他のことで手一杯だし卯月や他の妹達はあまり応対が上手じゃないから仕方ない…

 

 

「あぁ、そうだよ。アンタが依頼をしてきた子かい?」

 

私はその言葉に首を振る…。

 

 

「違い…ます…。私じゃなくて陸奥さんが依頼をした…んですけど…その後に陸奥さんも倒れて…しまって…」

 

それを聞いた少女は天草さんの顔を見て言ったの…。

 

 

「ハカセ、事態は結構深刻みたいなのです…。早く倒れた方達を診た方がいいと思うのです…。」

 

 

「あぁ、どうやらそのようだね…ったく、こんな小さな子供に応対させるかねぇ…普通…」

 

それは出来れは他の艦種の人にやってもらいたかったけど、空母や戦艦、重巡、重巡、軽種の先輩や、潜水艦に一部の駆逐艦の子達は倒れてしまっているのだから仕方がない…。

 

 

「どれ、じゃあ早速患者の容態でも見せてもらおうかね…」

 

 

「はい…こっちです…。」

 

私は二人を案内するため、工廠へと向かったの…。

 

 

 

 

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工廠に二人を連れていくと、二人は一人一人診回って後に言った…。

 

 

「ふぅん…診たところ過労が原因の子が大半だね」

 

 

「そうみたいなのです…。でも、一部の風邪ようなの症状が出ている子もいたのです」

 

過労に風邪ような…?じゃあ夏風邪かな?

 

 

「とりあえずしばらく入渠ドックにでも放り込んどきな。あぁ、風邪モドキの子達を優先的にね、そうすりゃ治るハズさ…」

 

 

「ッ!はい…!分かり…ました…!」

 

天草さんに言われた私は他の動ける妹達や他の駆逐艦の子達にもお願いして次々と放り込んでいくのだった…。

 

 

 

 

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翌日、ある程度まで回復した先輩達の姿を見てから二人は大阪鎮守府へと帰って行くのでした…。

 

 

ありがとうござい…ます…天草ハカセに電さん…。

 

私は二人の名を深く胸に刻み付けるのでした…。

 

 

 

 

 

         ―――(完)―――




どうにかこうにか深海の姉さん達から解放され、一年ぶりに呉鎮守府に帰ってきた(わたくし)こと上条当麻…。

しかし俺を待っていたのは物凄い歓迎?の嵐で…


次回、新訳、とある提督の幻想殺し

幻想殺しの帰還

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる…。

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