新約、とある提督の幻想殺し(本編完結)   作:榛猫(筆休め中)

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電です...。

前回は司令官さんが姫級の方々とお会いして姿を消した話だったのです。

今回は消えてしまった司令官さんのその後の話なのです!


海の底での鬼姫修行

side上条

 

 

「相変わらず薄暗いよな、ここ...」

 

 

「深海にアルノダカラ当然デショウ?コレデモマダ明ルイ方ナンデスヨ?」

 

それはそうなんだが...人間である俺からするとこの暗さは心許なく感じるんだよな...。

 

俺は前に一度来たことで慣れてるからいいけど、並の人間が来たら恐怖でおかしくなっても不思議じゃない...そう断言できる程にこの街の雰囲気は暗い

 

それが深海棲艦の住む街だ。

 

 

「早ク行コ!トウマ兄!」

 

 

「お、おぉ...そうだな、行くか」

 

そうだった、中枢さん達が待ってるんだったら早く行かねえと...。

 

あの人怒らせると怖えんだよなぁ...

 

俺はそんなことを考えながらホッポに引っ張られながらもついていくのだった。

 

 

 

 

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「中枢サマ幻想殺シヲオ連レシマシタ...。」

 

 

「ホッポガ呼ンダラキテクレタノ!」

 

 

「コラ!ホッポ騒ガナイノ!」

 

 

「フフッ大丈夫デスヨ港湾、飛行...。ソレト良クヤッテクレマシタネ北方棲姫」

 

飛行場姫さん達がホッポ(北方棲姫)の態度に慌てるもそれをにこやかに笑って母親のように褒めるその深海棲艦の姫級...。

 

ソイツこそが中枢棲姫、深海棲艦達を束ねるボスだ。

 

以前、俺を助けてくれた恩人でもある...。

 

 

「ソシテ、再度良ク来テクレマシタネ、幻想殺シ...オ待チシテイマシタ」

 

 

「お久しぶりです中枢さん、貴女が俺を呼ぶなんて珍しいですね」

 

 

「フフッ少々アナタノ顔ガ見タクナッタノデスヨ...。ソレニ他ノ方達モ会イタガッテイマシタカラ...」

 

他の方?それってまさか...

 

思考しかけたところで嫌な予感がして俺はその場で身を捻って移動する。

 

その刹那、一瞬前まで俺の立っていた所に黒く太い腕が突き刺さっていた。

 

 

「ホウ...アレヲ躱スカ、多少衰エテハイルガソレナリニハマダ動ケルヨウダナ」

 

その声に振り向くとそこには青白い肌に長い白髪、フリフリのブラウスを着た、ゴシックテイストな格好をした姫、リコリス棲姫が笑みを浮かべて立っていた。

 

 

「やっぱりあんたかよ...リコリス師匠」

 

リコリス棲姫、俺にあらゆる艦種に対する対艦格闘を教えてくれた師匠だ。

 

この人?人って括りでいいのか?

 

このヒト隙あらば俺に攻撃しかけてくるから油断できないんだよな...。

 

 

「イタラ悪イノカ?馬鹿弟子」

 

 

「うるせえ!こちとらアンタに何度も殺されかけてんだぞ!うんざりしたくもなるわ!」

 

 

「フンッソウ言ウコトハ私を一度デモ倒シテカラ言ウコトダ」

 

ピキッ...

 

 

「上等だコラ、今日という今日はぶちのめしてやる...!」

 

 

「フンッヤレルモノナラヤッテミロ、返リ討チニシテヤル」

 

俺達は師弟対決にケリをつけるため、中枢さん達の下から離れるのだった。

 

 

 

 

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「不幸だ...」

 

 

「フッ...貴様ノ衰エタ拳デコノ私ガ倒セルワケガナイダロウ馬鹿メ...」

 

現在俺はリコリス師匠の下敷きにされている。

 

結果はどうだったんだって?惨敗でしたよちくせう!

 

深海棲艦相手に俺は右手を使えない、だから左手だけで戦って(やって)たんだけど、戦いから離れすぎたせいで腕が鈍っちまってた...。

 

前なら小破、良くて中波までは行けたのに手も足も出なかったよ...

 

 

「折角ダ、馬鹿弟子ニ新シイ戦イ方ヲ教エテヤロウ」

 

 

「新しい戦い方?どんなのだ?」

 

 

「ソレハナ...『多対一』ツマリ一騎当ノ戦法ダ」

 

一騎当千ってよくゲームなんかにある無双系のあれか?あんなのリアルに出来るのか?

 

 

「へぇ...。」

 

 

「ナンダ、信ジテナサソウナ顔ダナ」

 

 

「そりゃ急に一騎当千なんて言われてもな...」

 

アックアとか神裂みたいな聖人じゃあるまいし......

 

 

「ソコマデ言ウノナラ手本ヲ見セヤル...少シ待ッテイロ」

 

そう言うとリコリス師匠はどこかに行ってしまうのだった。

 

 

 

 

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「待タセタナ...」

 

そう言って戻ってきたリコリス師匠は何故かイ、ロ、ハ、チ、ル、ヲ、タ級の軍団と他に鬼級の戦艦水鬼を連れてきていた。

 

 

「えっと...リコリスさん?その後ろの奴らは...?」

 

 

「ナニ、私達ノ命令ヲ聞カズ艦娘達ヲ襲イニ行コウトシタ所ヲ捕ラエラレタ、オ前達ノトコロデ言エバ犯罪者達ダ、今カラコイツラヲ使ッテ多対一(・・・)ノ戦イ方トイウモノヲ見セテヤル」

 

おいおいおい...まさかここで始める気じゃあ......

 

 

「サア、来ルガイイ!」

 

 

「ちょっ!こんなとこで始めんじゃねえぇぇぇぇ!!」

 

俺の絶叫なぞ露知らずリコリス師匠は大群の中に突っ込んでいく。

 

千切っては投げ千切っては投げを繰り返している。

 

その戦いぶりはまさしく一騎当千...。

 

 

「リコリスに戦イ方ノ説明ヲシロト言ワレタノデ簡単ニ説明スル」

 

いつの間にか近くに来ていた戦艦水鬼がそう話しかけてくる。

 

因みにこのヒトも俺の師匠だ。主に対人の戦い方を教えてくれた師匠だ。

 

 

「多対一での基本はいかに素早く相手を仕留め、且つ的確に一撃一撃を叩き込んでいくことにある」

 

そう言われて俺はリコリス師匠の戦い方に注目する。

 

すると確かに、師匠は一体一体をさほど時間をかけずに仕留めている。

 

......まあ、その後ろのは死屍累々の地獄絵図が展開されているんだが...。

 

 

「あれを俺にやれってのか?無理だろ...」

 

 

「リコリスヲ中破ニマデシタオ前ナラ出来ルト思ウガナ...」

 

嘘だろ?あれはもう人外の動きじゃねえかよ...。

 

俺はいったいどうなってしまうんだろうか...

 

 

「すまん加賀姉...俺、死ぬかも...不幸だ...」

 

俺はこれからやらされるだろうことを想像して盛大にため息を吐くしかないのであった...。




なんとかリコリス師匠の課題をクリアした俺...。

だが今度は戦鬼師匠の特訓に付き合わされることになってしまう...。


次回、新約、とある提督の幻想殺し

海の底での鬼姫修行(続)

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。

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