新約、とある提督の幻想殺し(本編完結)   作:榛猫(筆休め中)

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鹿島です...。

前回は大阪の加賀さんが提督に降臨(着任)したお話しでした。

今回は呉の加賀さんが大阪に着任するお話になりますよ、ふふっ



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事情により加筆修正致しました。


とある正規空母の災難...。

side加賀

 

「航空母艦、加賀です。貴方が私の提督なのね?短い間だけどそれなりに期待はしているわ...」

 

呉を出えて数時間。なんとか大阪鎮守府に辿り着いた私は先日会った吉野さんに挨拶をするために執務室に顔を出していた。

 

 

「あぁはい、ここまでの道中ご苦労様でした。改めまして、自分がここの司令長官をしている吉野三郎です。一カ月の間、よろしくお願いしますね」

 

そう言ってにこやかに出迎えてくれたのは戦国武将風の眼帯を左目に着け、髭をこれでもかと生やすというとても奇抜な格好の男、吉野三郎司令である。

 

傍には以前にも会ったことのある駆逐艦娘の時雨と響が座って何かを飲んでいる。

 

 

「えぇ、存じています。こちらこそよろしくお願いするわ...。」

 

 

 

「まだこっちに来たばかりで何処もバタバタしていますが、まあ好きなようになさってくれて構いませんので」

 

 

「了解しました...。」

 

そんな風に着任の挨拶を終えた私は鎮守府内を散策していた。

 

吉野司令から案内の話があったのだが、それは遠慮して一人で散策することにしたのだ。

 

 

「それにしても、広いのね、ここは...。」

 

呉も中々広かったけれど、ここはそれ以上だ...。

 

なんとなしに歩いていると見覚えのある建物が見えてきた、工廠だ...。

 

近づいてみるとそこには『夕張重工』大きく書かれていた。

 

 

「夕張重工?工廠ではないのかしら...」

 

気になるので中に入ってみると。

 

中は呉や江ノ島にある工廠とさして変わりない造りだった。

 

 

「やっぱり普通の工廠よね」

 

尚も歩き続けていると奥の方で何やら作業をしている人影が見えた。

 

この工廠の関係者かしら...。

 

そう思い近寄ってみる。

 

 

「ウフフ...フフフフ...ここをこうして...」

 

 

「......何をしているの?あなた...」

 

私は呆れつつもツナギの女性に声をかける。

 

 

「え?誰です!?って加賀さんかぁ、どうしたんです?工廠に来るなんて珍しいですね」

 

ツナギの女性は慌てて振り向くとそう話しかけてきた。

 

どうやらここの加賀(大阪の加賀)と勘違いをしているらしい...。

 

 

「誰と勘違いしているのか分からないけれど、私はここに来るのもあなたと会うのも初めてよ...。」

 

 

「へ...?あ!もしかして!今噂になってる呉から来た艦娘の方ですか?」

 

一瞬ポカンと間抜け面をした後、思い出したように話すツナギの女性。

 

 

「噂については知らないけれど...そうね、呉から来たというのは本当よ」

 

 

「あれですよね!呉の提督ってあの『学園都市』から来たんですよね?」

 

何故かキラキラエフェクトが見えるほど顔を輝かせて聞いてくるツナギの女性。

 

 

「そうね、提督はそんなことを言っていたのは聞いたことがあるわ」

 

 

「おぉ!『学園都市』って物凄く化学が発展してるんですよね?どんな感じなんですか?」

 

 

「私もよくは知らないわ、私自身『学園都市』にいたわけではないから、そんなに聞きたいなら提督にでも聞いてみたらどう?」

 

 

「あー...。確かにそうですね、聞くなら本場にいた本人に聞くのが一番ですし!

そうと決まれば行動開始よ!」

 

そう言うと声高らかにツナギの女性はどこかへと歩き去ってしまった...。

 

 

「なんだったの?あの人は...」

 

 

「あはは、夕張さんはあの手の事になると融通が利かなくなりますからね~」

 

呆れて見送っていたところに不意に別の声が聞こえてくる。

 

 

「あなたは?」

 

そう問いかけるが、私はこの娘にすごく見覚えがあった。

 

 

「あぁ、申し遅れました。私、明石酒保の総責任者をしています。明石です。どうぞ、よろしくお願いいたします」

 

唐突に現れ総責任者だと言う明石という艦娘...。

 

そう、その艦娘は以前工廠で死にかけていた明石と同種の艦であった...。

 

 

「え、えぇ、ここの明石さんという事は理解したわ、その明石さんが私に何の用なの?」

 

 

「いえ、折角大阪まで来ていただきましたし、歓迎の意味合いを兼ねてプレゼントをと思いまして!」

 

 

「...?プレゼント?」

 

 

「はい!私からのお近づきのしるしです。どうぞ」

 

そう言って袋に入った何かを差し出してくる明石さん。

 

 

「ありがとう...これは?」

 

 

「それは明石酒保特製大精霊チラメイド服です!」

 

気のせいかしら?今とんでもない言葉が聞こえた気がするのだけど...。

 

 

「......なんて?」

 

 

「だから!明石酒保特製大精霊チラメイド服です!」

 

初対面の相手にそんなものを渡すのはどうかと思うのだけれど......

 

 

「......そう、一つ言ってもいい?」

 

 

「はい、なんでしょう?」

 

 

「歓迎してくれるのは凄く嬉しいの、嬉しいのだけれどね?初対面の相手にいきなりこんなものを渡すのはさすがにどうかしてるんじゃないかしら?」

 

そう言うと明石さんはやれやれというように首を横に振った。

 

 

「そんな訳ないじゃないですか、最近はこういったタイプの服が流行なんですよ?艦娘の間でもそれに合わせた戦闘服も作られるくらいなんですから」

 

 

「...そうなの?」

 

そんな話聞いたことないのだけれど...。

 

 

「そうですよ!他の鎮守府にもリサーチ済みですので間違いありません」

 

まさかそんなことがあるなんて...。

 

 

『それに、きっとそれを着てくれたらあの提督さんも喜んでくれるかもしれませんよ?』

 

ボソッと耳元でそんなことを言ってくる明石さん。

 

 

「そ、そうかしら...。」

 

 

「はい!これを着て喜ばない人はいませんよ!」

 

提督が喜んでくれるのであれば......

 

これを着てみるのも悪くないかもしれない...。

 

 

「着初めは中々慣れないと思いますからここにいる間に慣れておくといいかもですよ?」

 

 

「そ、そうね...」

 

私はそのまま明石さんにされるがまま着替えさせられてしまうのであった...。

 

 

 

 

尚、一ヶ月後、その姿をみた呉の不幸少年は悲しみのあまり大阪不信に陥りかけたというのはまた別のお話




とんでもない事態が呉鎮守府で起きようとしている...。

あのポンコツ戦艦と毒食悪ノリ空母がついに手を結んでしまった。

俺達は二人の野望を阻止すべく鎮守府内を奔走する。

次回、新約、とある提督の幻想殺し

比叡と加賀

ポンコツ戦艦と悪ノリ空母が出会うとき、崩壊は始まる...。

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