新約、とある提督の幻想殺し(本編完結)   作:榛猫(筆休め中)

21 / 54
龍田だよ~

前回は初代の黒提督(クズヤロウ)によって捕まっていた子たちを助け出したのよね~

今回のお話はそれから時間が飛んで数か月後のお話よ~

それじゃあ提督の活躍...楽しんでいってね~♪


新たな船出

side上条

 

人質たちを助けてから数カ月が過ぎた...。

 

あれ以来、俺をあれだけ憎み、恐れていた艦娘達とも少しづつ和解していくことが出来た。

 

初代から数えて溜まりに溜まった書類の山ももうじきに終わらせられそうだ...。

 

そんな風に相変わらずの右手の不幸にめげずに生きていた、ある日の事だった...。

 

いつもの如く、種類の山をげんなりしながら捌いていると、不意に勢いよく執務室の扉が開け放たれ何者かが侵入してきた。

 

 

「司令官...!大変...」

 

突如入ってきた侵入者の名は弥生、呉鎮守府に所属する駆逐艦娘である。

 

数カ月前まで囚われていた艦娘の一人だ。

 

いつも無表情で無感情なだけに正直付き合いづらい相手である...。

 

 

「ん?どうした?弥生」

 

 

「いいから...早く...」

 

袖をぐいぐい引っ張る弥生に仕方なく立ち上がる。

 

 

「分かった分かったから引っ張んなって、伸びるだろうが!って、うおっ!?」

 

見た目からは信じられない力で引っ張られるため、仕方なくされるがままに着いていくことにする...。

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

「......ここ...です」

 

 

「ここって、食堂...だよな?」

 

連れてこられたのは食堂であった。

 

 

「中で比叡さんが...料理を作ろうとしてるの...」

 

 

「なんでそれを早く言わねえ!急ぐぞ!」

 

何事かと思ったら緊急事態じゃねえか!?比叡なんかに料理を作らせたらとんでもないもんが出来ちまう!

 

俺は打って変わったようにすぐさま食堂の中へと突入した。

 

 

「比叡!何してんだ!」

 

 

「ん?あぁ!提督!今お昼ご飯作ってるんですよ!」

 

厨房から俺を見つけ元気良く手を振ってくる比叡。

 

 

「おまえ...厨房は間宮のテリトリーだと何度言えば...いや、それより何を作ってんだ?」

 

鍋でグツグツ言っている物を見て俺は問う。

 

おいおいおい...なんか紫色に変色した何かがグツグツ言ってんじゃねーか!

 

見るからに食べてはいけないオーラを放っているそのブツに俺は眉をしかめる。

 

 

「なにって、どこからどう見てもカレーじゃないですか!」

 

 

「いやそんな毒々しい色のカレーがあってたまるか!」

 

堂々とカレーと言い切った比叡に思わずツッコミを入れてしまう...。

 

いったいなにを入れたらそんな色に出来るんだよ......

 

 

「聞くのが怖いが...それ、何入れた?」

 

 

「え?えっと、ジャガイモに人参...」

 

ここまでは普通だな...。

 

 

「それとカレールウにサルミアッキ、豆板醤に...」

 

 

「待て待てまてぇ!!今なんて言った!?」

 

今明らかにカレーに投入してはならないものが入ってたぞ!?なんて物入れてんだ!コイツは!

 

 

「え?だって隠し味入れた方が美味しくなりますし...」

 

 

「それは隠し味とは言わねえよ!!」

 

 

「まあまあ、見た目はともかく味は大丈夫ですよ!はい!」

 

そう言って俺に一掬い小皿に持った毒々しいナニカを笑顔で差し出してくる比叡...。

 

 

「おい、まさかこれを俺に味見しろと?」

 

 

「はい!味は大丈夫だと提督に知ってもらわないといけませんから!」

 

 

「いやお前がk.「ごちゃごちゃ言わずにさっさと食べる!」ムグッ!?」

 

反論しようとした途端に口にナニカを押し込まれた(ムリヤリ)...。

 

瞬時に広がるなんとも名状しがたい風味が身体を襲った...。

 

豆板醤の辛さにカレールウの辛味と共に強烈なアンモニア臭...。

 

そして極めつけにカレーのはずがゴムの味がするという強烈すぎるハーモニ―を醸し出していた。

 

なんてもの食べさせてやがんだ!このポンコツ戦艦!...あ、ダメだ...意識が遠のいてく...。

 

そこであまりの強烈さに俺の意識はそこで途切れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅん......?」

 

目が覚めると俺は自分が寝かされていたことに気が付いた。

 

俺、何してたんだっけ…?

 

中々回らない頭で先程までの事を思い出そうと頭を回しながら起き上がる。

 

 

「あ、起きたみたいだね、おはよう司令官」

 

不意に声をかけられ振り返ると駆逐艦の響がいた。

 

 

「響?ここは...?」

 

 

「食堂だよ、司令官が比叡さんのカレーを食べて倒れちゃったから運んでおいたんだ」

 

カレー...?ッ!そうだ、俺は比叡のあの名状しがたいカレーのような物(カレーモドキ)を食べて......

 

 

「そう言えば比叡はどうしたんだ?」

 

 

「比叡ならそっちで寝てるよ...」

 

そう言って響が向井の椅子を指す。

 

その指されている方へと視線を向けると...。

 

 

 

「・・・・・・」

 

俺と同じように椅子に寝かされ胸の上で手を組んでいる眠っている比叡の姿があった。

 

顔に白い布を掛けられておりまるで死人のように安置されている。

 

遣った犯人であろう響を見ると、ペロッと舌を出しながら

 

 

「司令官をこんな風にしたんだしこの位はいいかなって...」

 

響はあまり怒らせないようにしよう...。

 

俺は心の中でそう固く誓うのであった......

 

 

因みにあのカレーモドキは処分しておいた...。勿体ないっちゃ勿体ないけど...あれじゃ再利用なんかとてもじゃないができそうになかったからな......




俺の何気ない呟きで突如決まってしまった俺の過去再現大会...。

どうやら原作の話ではく『たん』が付く方の再現をやるつもりらしい...

おいおい...あっちってかなりおかしな方向に走って行ってる奴じゃなかったか!?

次回、新約、とある提督の幻想殺し

とある鎮守府の再現大会

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。