新約、とある提督の幻想殺し(本編完結) 作:榛猫(筆休め中)
前回、陸奥さんと利根さんの襲撃を受けた提督と加賀さん。
しかし、提督の能力で二人の攻撃は失敗し、提督は二人の元に向かう。
そこでとんでもない行動に出るのだが加賀さんの登場によりなんとか事なきを得るのでした。
side上条
おっす、上条さんだ。
今俺達は陸奥さんと利根さんの案内で呉鎮守府のある一室にいるんだけど......。
「あの...陸奥さん?」
「なに?」
「この扉はいったいなんなのでせうか?」
そう、今俺と加賀姉の前にはいつもの木製の扉ではなく、
細かい刺繡や装飾がこれでもかというほど施されたどこの王族だとツッコミを入れたくなるような豪華な【完全に場違い】な扉があるのだ。
「なにって、司令室の扉よ?」
どうやら問題はこんな所から始まっているらしい......。
「はぁ、不幸だ......」
口癖のように嘆きの言葉をつぶやくと今度は利根さんが口を開く。
「嘆いているところ悪いのじゃが、中はもっとえげつないことになっておるんじゃぞ?」
「・・・え?」
中はここよりも酷い...だと!?なんてとこに飛ばしてくれてんだよ元帥......。
しかし、ここで嘆いていても仕方がない。
「ええい、ままよ!男!上条当麻!逝くぞ!」
「使う言葉を間違えてるんじゃないかしら」
いいや、加賀姉間違えてなんかねえよ。
俺は意を決してその扉を開け中に入っていった。
「うわぁ......」
部屋に入って出た第一声はその一言だった。
それはそうだろう、部屋に入った瞬間目に入る巨大な点がい付きのベットに妙にピンクがかった壁紙。
そして申し訳程度に置いてある提督机......。
どこからどう見てもラ○ホじゃねえか!
前任の提督はアホなのか!?なんで仕事するところにこんなものおいてんだよ!
壁紙も色合いが変過ぎて落ち着かねえし、何よりなんだよあの申し訳程度に置かれた机は!
「ね?酷いものでしょ?」
陸奥さんも嫌そうな顔をしてそう話す。後から入ってきた利根さんも同じような顔をしている。
どうやら二人ともこの部屋にいい思い出はないらしい......。
「あぁ、これは改装が必要みてえだ」
仕方ない、ちょっと工廠にいって妖精さん達に部屋の改装を頼もう。
あ、その前に何かお菓子でも買って行くか、あいつら甘いもの好きだったはずだし。
ついでにここの艦娘たちの様子と食堂の調査だな。
俺はそう考えて司令室を後にするのだった。
sideout
side川内
今日はなんだか朝から少し騒がしい......。
何かあったんだろうか。
「川内……」
入ってきたのは同部屋の天龍だった。
「どうかした?天龍」
この直後、私は予想もしていなかった言葉を聞くことになる。
「さっき、筑摩から聞いたんだけどよ...今日、新しい提督が着任した来たらしいぜ?」
「・・・・そっか」
それを聞いた私はトラウマがフラッシュバックしかけてしまった......。
なんとか出した声は掠れ、体の震えが止まらなくなる......。
「川内...大丈夫だ...もう、お前をあんな目に遭わせたりしなねえ。那珂の為にも、絶対にな」
そう話す天龍は私を抱きしめながら強い覚悟をした瞳をしていた。
そう、この部屋には妹、那珂の姿はない......。
もう会えない存在になってしまったから......。
私は天龍に抱きしめられながら落ち着くのを静かに待つのだった。
工廠に着いた俺達を待っていたのはボロボロでフラフラの明石だった。
明石のあまりの容体に俺達はすぐさま入渠ドックへと駆け込むがそこにあったのは......。
次回、新約、とある提督の幻想殺し
呉鎮守府の現状......
幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる。