新約、とある提督の幻想殺し(本編完結)   作:榛猫(筆休め中)

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睦月です!

前回のあらすじは鹿島さんとクリスマスデートをした提督

その後、長門さん達にボコボコにされていたにゃしい♪



昇格の提督と異動の鎮守府

side上条

 

おっす、上条さんだ!

 

今は入渠ドックで傷の修復中だ。

 

 

「痛っつぅ…。ったく…あちこち痛め付けやがって…激怒した時の神裂かよ、あいつら……」

 

あの時も結構死にかけたもんな…。いや、アックアの時の方が酷かったか?

 

 

「…そんなことより、まだこんなにかかんのかよ……」

 

後ろのパネルにはまだ…。

 

 

 

 

 

 

【修復完了時間:2:30:00】

 

 

 

 

「あー…駄目だ、起きてられそうにね…ぇ…。」

 

俺はその言葉を最後に眠りに落ちていった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ピピーッ!!ピピーッ!!

 

何やら喧しい音がする…?

 

 

「……んぁ?なんだってんだ?」

 

音のする方を見るとパネルが鳴っていた。

 

よく見ると時間はゼロになっている。

 

 

「…修復が終わったのか…。くぁ~っ…!よく寝た…。」

 

俺は湯船から上がり服を着替える。

 

 

「あー…やっぱ右手はそのまんまか」

 

外に出したまんまだったもんな…。

 

でも、右手を中に入れてると効果が消えちまうもんな…。

 

 

「仕方ねえ、医務室寄って行くかな?」

 

服に着替えた俺はそのまま医務室へと向かったのだった。

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

「まったく、君はいつも怪我をしてるね…。」

 

そう話すのは学園都市でもよくお世話になっていたカエル顔の医師。別名、冥土帰し(ヘブン・キャンセラー)という凄腕の医者だ。よくこの鎮守府に出張でやって来てくれるいい人でもある。

 

 

「ははは、面倒をお掛けします…。」

 

 

「……ほら、腕の処置は終わったよ。今度は気を付けるんだね」

 

右手の治療が終わり包帯でぐるぐる巻きにされた右手はミイラと化していた…。

 

この見た目だけはどうにかしてほしいよなぁ…。

 

だが前にお願いしてみた時…。

 

 

『そんな事すれば君の診察料がバカにならなくなるよ?』

 

と言われて諦めたんだったっけ…。

 

 

「すいません、ありがとうございます。」

 

 

「あまり僕を頼りにしないようにしてほしいね…。」

 

 

「はい…精進します…。」

 

そう言うと俺は医務室を出た。

 

向かう先は司令室…。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…。そう言えば元帥から渡された封筒。まだ中身確認してなかったな」

 

俺は机の引き出しから一通の封筒を取りだすと、器用に左手で封を解いていった。

 

 

「さて、中身は…。ん?なんだこれ?」

 

入っていたのは一枚の紙…。

 

内容を読んでみてもチンプンカンプンだった。

 

 

「ん~…どういうことなんだ?これ」

 

俺が一人頭を悩ませていると声が聞こえてくる。

 

 

「あらぁ~どうしたの?難しい顔して」

 

その声に反応して前を見ると何時の間に来たのか、龍田が入ってきていた。

 

 

「おぉ、龍田。丁度良かった。これ、どういう意味か分かるか?」

 

俺は紙を龍田に渡す。

 

 

「何かしら~?あら?これって…。」

 

少し目を見開くと嬉しそうにニコニコしだす龍田。

 

ちょっと怖いんですが…。

 

 

「何か分かるか?」

 

 

「うふふ、提督良かったですね~大手柄じゃないですかぁ~」

 

なんだ?大手柄?なんの事だ?

 

 

「どういうことだよ?良いことなのか?」

 

 

「えぇ、とっても良いことよぉ~それじゃあ私はこれで失礼するわねぇ~」

 

 

「あ、あぁ…。」

 

そう言って司令室を後にする龍田。

 

 

「なんだったんだ?いったい…ん?」

 

ふと窓を見ると入り口のところに郵便局員の姿が見えた。

 

 

「手紙か?」

 

俺は立ち上がると手紙を受けとるため、司令室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「速達でーす!」

 

 

「あぁ、ご苦労様…。」

 

手紙を受けとると配達員はすぐさま帰っていった。

 

 

「さて、送り先は…。ん?大本営から?」

 

内容を確認するため俺は封を解き、中身を取り出すのだった。

 

 

 

sideout

 

 

 

 

side加賀

 

 

私達は今、食堂で祝いの席の準備をしています。提督はいません…。

 

どうしてそんなことをしているのか、それは龍田さんが鎮守府の皆さんに声をかけて食堂に集めたのがきっかけでした。

 

龍田さんの話では提督は以前の海戦の時の褒美として大将の地位を元帥から譲り受けていたのだそう…。

 

それをついさっき知った龍田さんが鎮守府にいる艦娘全員に声をかけて昇格祝いを開こうと言う話になったのです。

 

 

「これでいいかしら?龍田さん」

 

 

「えぇ、ありがとう加賀さん」

 

なんとか部屋の準備は整いましたね…。

 

 

「料理の方もいつでも行けますよ~!」

 

 

「うん、上々ね♪」

 

料理の方も仕上がったようですね。これで提督を祝う席は整いました。

 

 

「それじゃあ私は司令官さんを呼んでくるのです!」

 

 

「あ、ズルい!私もいくにゃしい!」

 

 

「私も行きます~!」

 

電さん、睦月さん、綾波さんが提督を呼ぶために出ていってしまいました。

 

 

「それじゃあ私達は提督をお祝いする準備をしておきましょう~皆さん、位置に着いてくださいね~」

 

龍田さんの言葉に全員が配置された位置に着きます。

 

 

 

【トントントンッ…】

 

次第に聞こえてくる四人の足音…。

 

そして扉の前で止む足音。私達は構えます。

 

 

【ガチャッ!ギィィィィ…】

 

扉が開き入ってきた提督に私達は一斉に声をかけます。

 

 

『提督!大将昇格おめでとうございます!』

 

驚きに顔を染めている提督。けどその表情はどこか暗い…。

 

 

「お、おぉ、ありがとな!でも、どういうことなんだ?」

 

 

「見ての通りよぉ~提督は海軍でも二番目に偉い地位を手にいれたのよ~」

 

龍田さんの言葉に驚愕を顔に出す提督。

 

 

「お、俺が海軍の二番手!?」

 

 

「私達も鼻が高いです…。これからも私を導いてくださいませ…。」

 

赤城さんの言葉に提督は顔を暗くする…。どうしたのかしら?

 

暗い表情のまま提督はそっと口を開きました…。

 

 

「……悪い、赤城姉、俺、もうお前達の司令官じゃないんだ」

 

その言葉にその場にいた全員が言葉を失います…。

 

 

「提督、それはいったいどういうことなのかしら?説明してもらえる?」

 

私はなんとか口を開き提督に問いかけます。

 

 

「あぁ、実は先程大本営から通達が来てな。俺、呉鎮守府に異動することになっちまったんだ…。」

 

 

「そんな…。」

 

なんてこと…。提督が居なくなってしまったら私達は…。

 

だけど!と、提督は続ける。

 

 

「異動するにあたって一隻だけなら前鎮守府の艦娘を連れていって良いとのことだったんだ」

 

 

『ッッ!?』

 

その言葉に私達は息を呑みます…。

 

 

「それで考えたんだが、その一隻は加賀姉、お前にしようと思うんだけど…いいか?」

 

皆さんが一斉に私の方を見る。

 

 

「……どうして私なのか聞いてもいいかしら?」

 

そう言うと提督は少し考えてから答えました。

 

 

「なんつーか、加賀姉といると落ち着くから…。それじゃ駄目か?」

 

 

「ッ!!いいわ、提督がそう言うのなら着いていってあげるわ…。」

 

 

「ありがとな、それと悪いなおまえら…。こんな不甲斐ない提督でさ」

 

提督のその言葉に赤城さんが答えます。

 

 

「いいえ、提督。貴方は私達には過ぎた御人です…。どうかそちらでもお元気で…。御武運を…。」

 

そして赤城さんは私の方を見て言います。

 

 

「加賀さん。提督のこと、よろしくお願いしますね…。」

 

 

「えぇ、赤城さん、任せてください。提督は私が必ず守るわ…。」

 

私の答えに赤城さんは満足そうに頷くと皆さんに声をかけます。

 

 

「さあ、提督と加賀さんの門出を祝うために盛大に盛り上げましょう!皆さん」

 

 

『はい!』

 

その日、私達は騒ぎ倒し、翌日の朝江ノ島鎮守府を後にするのでした。

 

 

 

さようなら、赤城さん、皆さん…。




榛名です!

提督達が異動した先は呉鎮守府…。

しかしそこはとんでもない所でした!

あぁ、提督と加賀さんはどうなってしまうの?

次回、新約 とある提督の幻想殺し…。

異動先は…。

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる!

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