新約、とある提督の幻想殺し(本編完結)   作:榛猫(筆休め中)

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鹿島です。前回のあらすじをお話ししますね?

前回、大本営で補給艦の二隻を建造した上条提督。
江ノ島鎮守府に帰投すると補給艦の実力を図るためテストをします。
そして上条提督の予想をあっさりと上回った二人は空母勢との対決(食事時間)に挑むのでした。


聖夜の夜の幻想殺しと練習巡洋艦

side上条

 

 

「当麻さん、これはどうですか?」

 

 

「ん、あぁ、いいんじゃねえか?」

 

おっす、上条さんだ!

 

今俺は鹿島とショッピングモールに来ている。

 

どうしてそうなったかと言うとそれは一週間前まで時は遡る…。

 

 

 

ーーーーーーーー回想ーーーーーーーーー

 

 

「疲れた…。」

 

貯まった書類やらドックの掃除やらを終えた俺は食堂で伸びていた。

 

疲れた体には甘いものが良いと聞いたので間宮の特盛あんみつを食べようと食堂で注文したはいいがそこで力尽きてしまったのだ…。

 

 

「う、動けねぇ…不幸だ……。」

 

すると、そこに覗きこんでくる顔があった。鹿島だ。

 

 

「お疲れ様です。提督さん、何が不幸なんですか?」

 

見ればわかりそうな気もするけどな…何しろ状態である…。

 

 

「体が重くてもう動けないんだよ…だから不幸だ…。」

 

 

「あらあら、それは大変。しっかり身体を休めてくださいね?それはそれとして提督さん、以前のお話覚えてらっしゃいますか?」

 

なんだ?藪から棒に…。

 

 

「話?何かあったか?」

 

 

「ほら、以前言ってくれた約束のことですよ『一つだけ私のお願いをなんでも聞いてくれるって』」

 

最後の方だけ耳打ちでそう伝えてくる鹿島。

 

あぁー…たしかそんなことを言ったような…。

 

 

「話は分かった…。けどそれで俺に何をしてほしいんだ?俺にだって出来ることと出来ないことがあるぞ?」

 

そう言うと鹿島はにっこりと微笑みながら話す。

 

 

「大丈夫ですよ、提督さんにも出来ることですから♪」

 

『その内容はですね?』と鹿島は続ける。

 

 

「今度、一日限定で私の彼氏になってください♪」

 

ん?か・れ・し…?

 

あまりの事に思考が追い付かない…。

 

そんな時俺より、一早く反応したのは食堂に来ていた鹿島以外の艦娘達だった。

 

皆、信じられないと言った表情で立ち上がり俺達を見ている。

 

最近着任したばかりの間宮と伊良湖でさえ驚きの表情を浮かべている始末…。

 

 

「ど、どうしてそれをお願いするのか聞いてもいいでせうか…?」

 

 

「う~ん…そうですね、私がそうしてみたいから…じゃあダメですか?」

 

ぐぐっ…!上目遣いでそれは反則だろ…!

 

 

「い、いや駄目じゃないからそんな顔するなって…。」

 

すると途端に顔を明るくする鹿島。

 

 

「ほんとですか!やったぁ!ありがとうございます!提督さん」

 

 

「お、おう…。」

 

嬉しそうに抱きついてくる鹿島を横目に。

 

俺は他の艦娘達からの無言の圧力に必死で耐えるのだった…。

 

そして時は最初まで戻る…。

 

 

ーーーーーーーー回想終了ーーーーーーーー

 

 

ってな訳で今に至るって感じだ…。

 

鹿島に名前呼びされてるのは本人曰く…。

 

 

『彼女なら名前で呼んでも問題ないはずです♪』

 

とのことだった。

 

 

「当麻さん、これなんかどうですか?」

 

 

「ん?おぉ、良い感じなんじゃねえの?」

 

 

「ふふっそうですか?それじゃあこれ、買ってきますね?」

 

そう言うと鹿島は数着の服を手にレジへと向かって行った。

 

 

 

 

にしても…どうしてこうなった…。

 

その理由は簡単だ…。俺と鹿島のデート(と言う名の拷問)を尾行してきている者達がいるのだ。

 

誰かって?…………ご明察。そう、家の戦艦勢と空母勢(姉ちゃん達)が変装して着いてきてるのさ…。

 

皆ばっちり変装してるが、中でも加賀姉の変装が板に填まりすぎて見落としかけそうになった…。

 

というか、赤城姉…。アンタのその格好流石に怪しい人にしか見えないんだが…。

 

その後、色々な場所を回った後、俺達は広場へと来ていた。

 

 

「わぁ~…!綺麗…。」

 

鹿島の視線の先には豪華に着飾ったイルミネーションの道…。

 

 

「流石クリスマスだな、結構綺麗じゃん」

 

 

「当麻さん。私、今日ここに来られて本当に幸せです…。

本当にありがとうございます…。」

 

 

「いいって、お前が喜んでくれたならそれでさ」

 

 

「はい!これはそのお礼です。受け取ってください」

 

そう言うと鹿島は俺の頬にキスをした…。

 

 

「ちょっ!?なっ!へ…?」

 

 

「ふふっ♪それじゃあ帰りましょうか当麻さん♪」

 

そう言って更に腕を組んでくる鹿島…。

 

これは俺、後で殺されるかもなぁ…。

 

 

「ま、そうなったらその時だな」

 

こうして俺達は江ノ島鎮守府へと帰っていくのだった。

 

 

 

この世界の全ての艦娘、人間達に…。

 

メリークリスマス




鎮守府で俺を待っていたのは般若の形相をした鹿島を除く艦娘達の姿だった。

俺は縛りあげられ正座させられている…。

その中で長門般若が口を開く…。


「覚悟はよろしいですか?提督」


「いや、長門さん達?落ち着いて私の話を…」


『問答無用!!』


「んぎゃーーっ!!やっぱり不幸だーーーっ!!」


「あらあら…提督さんも大変ですね」

その日、江ノ島鎮守府に断末魔にも似た絶叫が響き渡るのであった…。

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