ナーサリー・ライム 童話の休む場所   作:らむだぜろ

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エピローグ 果たされた約束、と思っていたらやっぱり最後まで魔女だった

 すっかり季節は春になった。

 あの日から、サナトリウムは生まれ変わった。

 腐敗した上層部は軒並み一掃されて、現在の運営体制になっている。

 サナトリウムに続く道には沢山の桜が植えられて、今では春になると桜並木が出来上がる。

 もう、数年か。あっという間に気が付いたら、過ぎていた。

(……みんな元気に、してるかな……?)

 風に乗って、ピンク色が舞い踊る春の一日。

 それを、正面玄関で荷物を運ぶとき、手を止めて眺めていた。

 春になるたび、思い出す。この場所から居なくなってしまった綺麗な蒼の色。

 家族たちがサナトリウムから去っていく背中を見送った夜から、三年が経過していた。

 今頃、あの人たちはどこで何をしているんだろうか。音信不通状態がずっと続いているけれど。

 さて、と気を取り直す。ぼーっとしている場合ではない。

 今日も元気に働こう。それが、あの人の後を継いだ自分の役目だと思うから。

「マーチさーん! ジャックが豆の木から降りられないって泣いてますー!」

 遠くで自分を必要としてくれる子供達が、困ったように女性を呼ぶ。

「はーい! すぐに行きますー!」

 名前を呼ばれた彼女は……桜を見ながら仕事へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三年前まで、この場所には魔女が住んでいたという。

 蒼い翼を持つ魔女で、魔女でありながら魔法と呪いを使い、幸運を呼び込び、子供達を大切にしていた。

 彼女は、とても家族思いで自分の世話をしていた女の子たちを幸せにするために頑張り続けた。

 何度も何度も、危ない目にあいながらも、彼女は見事みんな幸せにすることができた。

 だけど、その力に目を付けた悪い人たちによって、サナトリウムにいることができなくなり、旅に出た。

 四人いたうちの二人は魔女の旅についていき、残りの二人はサナトリウムで今も生活している。

 ……という御伽噺がこのサナトリウムには伝わっている。子供達に優しい魔女のお話。

 かなり脚色しているし、余計な部分は全部カットして都合の良いところだけ抽出して語っている。

 これを聞いた小さな子供達には好評で、その魔女にあってみたいと皆が言う。

 魔女にひどい目に合わされながら、逢いたいと思う理由。

 彼女のことを語る女性職員の顔は、何時も嬉しそうで、誇らしそうに見えるから。

 語り手の名前は、マーチ。そのお話の中の魔女に幸福にしてもらった一人。

 今ではすっかり、サナトリウムにも馴染んで、日々忙しく働いている。

 その表情は笑顔に満ちており、如何に充実している毎日を送っているかよくわかる。

 あの時、働いてた魔女を見ていたマーチは……そのまま、サナトリウムに就職した。

 理由はシンプルで彼女のような仕事をしたいと、つなぎで働いていると次第に思うようになったからだった。

 誰かのために頑張ることは、自分に合っている。救われたからこそ、今度は手助けする方になりたい。

 自分の夢とも言えるものを、この三年でしっかり見出していた。

 ライムの勧めもあって、今ではサナトリウムの顔とも言える程、若いながら立派に育っている。

 外見も、恩人であり家族である姉を少しでも近づこうと、外見は魔女によく似ている。

 美しい街娘に成長した彼女は、髪型も嘗ての姉と同じくセミロングにまで伸ばしていた。

 彼女の中で、姉は理想の職員だった。子供たちへ常に目線を向けて、第一にみんなのことを考える。

 時として反逆してでも、子供達の為になるなら働く。

 本当は、あの人の中にいたのが自分たち家族だけだとしても。

 確かにあの人はついでだろうが子供たちのことを見ていた。そして好かれていた。

 今のマーチは目立つ美しさはないけれど、歳相応の成長した美貌というものも発露していた。

 時々、街に出るとナンパされる。でも、その尽くをマーチは丁重にお断りしていた。

 今は……恋とか、恋愛とかそういうのに興味はない。

 それに、愛する人ならカテゴリーは違うけど、もういる。

 毎日毎日、大変なことばかりが起こる。ちょっとした騒ぎなら日常茶飯事。

 でも以前と違い、サナトリウムから家に戻れる子供達も圧倒的に増えた。

 それは、この場所が明るい雰囲気になり、皆が協力して幸福を齎すことが出来ている証拠。

 蒼い翼の魔女の存在は、サナトリウムそのものに幸福を呼び寄せていたのだ。

「マーチさん、忙殺されてるようですけど大丈夫ですか?」

 まだ、職員を統括している仕事をしているライムに聞かれてマーチは頷く。

 姉のようには、やはり上手くはいかないけれど、苦しくはない。楽しんでやっている。

 あのときから引き続いて異世界のものを呼び込み、働いてもらっているのでライムもずっとここにいる。

 この人は外見が変わらないなぁ……と思いながら、詰め所で休憩しているマーチは見上げる。

 いつも着ている作業服を、豆の木から墜落して泥だらけになり、今は上下ジャージ姿だった。

 壁際の椅子に座って寄りかかり、コーヒーを飲んでいる。これも、姉の真似だった。

 姉はコーヒーが好きだったようだし、自分もあの人のようになりたいがためにマーチは意識している以上に、姉の模倣をよくしていている。

 自分が就職したこの場所は、天職だと思う。これ以上、自分にあっている職業はないと思っている。

 だからこそ、多少の無理は押してでも働きたい。子供たちが待っているのだ。

「……大丈夫です。まだ、出来ますから」

 話し方まで魔女と同じとなり、誰相手でも丁寧に話すマーチにライムは苦笑していた。

「勤務態度まで、亜夜さんを真似なくていいんですよ。あの人は、ずっと働きすぎでしたからね」

 過剰にあらゆるものを背負わされて、それに潰されそうになりながら足掻いていた。

 亜夜の仕事とは、増えていく負債を只管に片付けていく苦行だっただろうと、乗せていた方のライムは後悔している。

 最初は四人だけだったのに、何時の間にか魔女として利用され続けた彼女の内心は想像するまでもなかった。

「マーチさんも、働きすぎです。人気者はつらいでしょうけど。ペースも考えて休んでくださいね」

 子供達に異様に好かれているマーチはそこらじゅうに引っ張りだこで、余計な仕事まで行なっている節がある。

 それはあの頃の亜夜と同じで、そのうち倒れてしまう。それは防ぎたいので、新しく異界から呼び出した新人を配置して、分担させている。

 マーチにも専属で一人、世話をしているのだが既にその子は世話を必要としていない。

 むしろ、率先してマーチを手伝っていた。同じ立場の子供なのだが。

「失礼します。マーチ、いますか?」

 ノックしてから入ってきた少女が、少々疲れ気味のマーチを発見して、呆れたように言った。

「いたいた……って。マーチ、また顔色悪いぞ。もしかして、無理してるの? 僕がなんとかするから、少し休んだほうがいいと思うな」

 金髪のロングヘアをみつあみにして垂らし、休んでいるマーチを見ている年頃の少女。

 学校の運動服に似た服装で、黒いシンプルなデザインの眼鏡をして、首元にはお守りらしきものを下げたネックレス。

 体付きも、正直成長したマーチよりもメリハリがある。要するに、プロポーションは抜群だ。

 時々、マーチは彼女を見ていて何が違ったのか知りたいと思う。経過した時間は同じはずなのに……。

 眼鏡の位置を直しながら少女は、持ってきた書類をライムに渡す。

「今月の器物破損を纏めた一覧です。ジャックが最近、雪達磨に変身する魔法を使っているらしくて、みんなから苦情きてますよ。どうしますか?」

「あの子は……。何を使って変身しているんですか?」

 ライムが軽い頭痛を覚えつつ、現在のサナトリウム一のいたずら小僧の対処に手を焼いている。

 得体の知れない豆の木を裏手のゴミ捨て場に勝手に植える、雪達磨に変身する魔法の道具を拾ってくるなどやりたい放題。

 然し悪意もないので、叱りにくい。悪いことをしている自覚がないし、被害も基本的に地味。

 モノが濡れただの、凍りついただの、変な豆のスープを作って食し、自分でお腹を壊すなどなど。

「ええと、ここの資料によると……革製の、ベルトらしいです」

「ベルトって……」

 本人はテレビで放送しているヒーローのマネをしているらしい。

 その副産物で、春だというのに周囲が雪まみれになって、裏手はかまくらが出来ているのである。

 雪の好きな子供たちが擁護しているので、へたに出られない。

「弱りましたね。僕が言っても、多分喧嘩になるだけなんでしょうけど……」

 そう言って、書類に目を落とす女の子。彼女の名前を、マーチが呼ぶ。

「ラプンツェル、大丈夫ですよ。わたしが、何とかしますから」

「スタミナ切れのマーチは休んでろ。いいから」

 横目でマーチを逆に諌めるのは、魔女の帰りを約束されている、ラプンツェルだった。

 たった三年で、周囲の反応を水が砂を吸収するような速度で吸い込んで急成長。

 アレだけアンバランスだった精神は既に、同年代よりも寧ろ年上にすら見えるほどになっていた。

 見違える成長っぷりは背伸びしているわけではなく、自分の意思で一歩ずつ進んでいった地道な結果。

 甘えん坊から、ぶっきらぼうな男口調になったのもそのあらわれかもしれないとマーチは感じている。

「ラプンツェル、報告ありがとう。ほかの子達の様子はどうですか?」

 ライムが、対処の方法を相談しておくとして、この意見はオッケー。

「悪くないですかね。みんな、喧嘩しないで仲良くやってます。あ、そうだ。シャルさんがまた、猪差し入れで届けてくれましたよ。裏口に一緒に今も転がってます。腐る前に、猪鍋でも作りますか? なんなら、僕捌きますけど」

 サラっと恐ろしいことを言いながら、ラプンツェルは現像した写真を見せる。

 そこには、バカデカい猪が全身に包丁が突き刺さった状態で、転がっているスプラッタ写真。

 滅多差しにされて血の池に沈むそれだけ見ると、何かの事件のようだ。

「あの巨大猪はシャルさんでしたか……」

 ライムの頭痛が増えた。

 時々、裏手に何事かのように動物が殺されて放置されていることが今でも続いている。

 これの原因は、三年前に独り立ちしたシャルという女の子が、生業にしている猟師の仕事で仕留めた獲物をずっと恩返しとして、サナトリウムに長いこと届けてくれている。

 お断りしても、どうやら彼女は譲れないので、なし崩し的にサナトリウムも受け入れている。

 因みに届けに来ている時のシャルはとても怖いらしく、入所している子供達は怪物か何かかと思っているようだった。

 それを避けるため、夜中に勝手に獲物を放置して、置き手紙だけして立ち去るシャルに合わせてラプンツェルが、あれこれ始末をしているのだ。

 その過程で、ラプンツェルは魚から鳥獣まで捌ける腕前の獲得しており、早くも苦労人としてスキルが発芽している。

「わ、わたしは流石に……」

「マーチはグロいの、ダメだからな。僕に任せておけ。あんなもの、一時間もあれば捌ける。後片付けもしておくけど、他の子を近づけないでよ。また人殺しとか言われたら、たまんないよ」

 マーチはグロいのダメなので、ジビエ料理も獲得しつつあるラプンツェルに任せてたほうがいいだろう。

 前回はうっかり一人が目撃して人殺し扱いされてしまった。夕飯に出た肉料理の為にやっていただけなのに。

 書類を机に置いて、眼鏡の位置を直したラプンツェルにライムは言った。

「そうですか。じゃあ、またお願いしてもいいですか?」

「はい。僕がやっときますから。ライムさんは、他の職員にマーチの分を分担させてあげてください」

 自分から率先して雑用をこなすラプンツェルが今のマーチが専属で世話をしている子供だ。

 だが、あの頃と同じように職員と子供の立場が逆転していた。

 年齢も同じぐらいになったラプンツェルの性格はどこか亜夜に似て、冷静沈着になりつつあった。

「僕は僕で、やることやっとく。倒れる前に休んでおいてよマーチ。姉さまみたいになられたら、僕が困るんだ」

 亜夜の事を今でも待っているラプンツェル。何時の間にか、『姉さま』と呼ぶようになっていた。

 自分が大人だとはまだ思えないが、あの約束とこの託されたお守りがある。

 二人とも、今でもお守りを大切にしている。亜夜の羽根が仕舞われたそれを、ラプンツェルは肌身離さず着用し、マーチは自室に下げてある。

 何か、辛いことがあるとマーチはお守りを抱き締める。

 お守りに触れると亜夜が抱きしめてくれるように、心が落ち着いていく。

 大丈夫、マーチはしっかりやっていると褒めてくれる気がした。

「……はい。分かりました」

 マーチは、ある程度早めに仕事を切り上げて、自室で休むことにした。

 本当に、立派になったラプンツェル。あの子はもう大人だと思う。もしかしたら、自分以上に。

 世話をする子供に、心配させては意味がない。

 ライムもこちらで雑務を引き受けると言ってくれたので、ご好意に甘えることにする。

「じゃあ、失礼しました。マーチ、早めにな」

 みつあみを揺らして、そう残した彼女は部屋を出ていった。

 マーチも休憩を終えて、手早く準備して、次の作業へと向かう。

 忙しくなっている毎日をすごしながら、マーチは幸せな日々を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 何だか、外が騒がしい。何事だろうか。

 ラプンツェルは、詰め所を出て訝しげにその方向を見る。

 見れば、正面玄関の方で誰かが怒鳴っている。

(何だ……?)

 取り敢えず、様子を見に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 正面玄関で、柄の悪いスーツ姿の連中が何やら困惑する職員相手に喚いている。

 何事か彼女が野次馬に聞くと買い物にいっていた職員が街で連中に因縁を付けられて、無視してきたら、ここまで付いてきてしまったという。

 責任者を出せとか訳の分からないことを言いながら、胸ぐらを掴んで揺さぶっている。

 品のよい連中とは言えないし、どう見てもこれは言いがかりだ。

「……やれやれ」

 ラプンツェルは仕方なく、頭をかきながらでしゃばることにした。

 姉なら間違いなく相手を攻撃してでも止めようとするし、見て見ぬふりをするなんてこともしない。

 あの人は、誰が相手だろうと常に堂々として、幼かったラプンツェルを護ってくれた。

 今度は、自分が誰かを護りたいと背中を見てきたラプンツェルは思う。

 他の職員は久々の荒事になりそうな予感に、戸惑っているだけだ。

 三年前じゃ、馬鹿騒ぎなんて珍しいことじゃない。寧ろ、ここ三年で治安は良くなった。

 然し、どんな時代にもあの手のチンピラはいるのだと、亜夜より教えられている。

 そういう類には、言うだけ無駄だということを嫌というほど知っている。

 ライムに知らせに行く子供たちがいる中、ラプンツェルは前に出る。

 職員を助けるのも、まあ一種の仕事みたいなものだ。割り切ることにする。

「おい、いい加減にしてくれないか。なんなんだ、お前ら。突然病院に押しかけてきて」

 声をかけながら、近づいていく。

 振り回される女性職員は危ないから下がっていろという。

 連中は歩み寄るラプンツェルを見て、怒鳴る。その程度で怯む訳がない。

 もう、自分は護られるだけの三年前じゃない。今は、誰かの助けになれる。

「ここは病院だ。騒ぐなら他所でやってくれ。はっきり言うと迷惑だ。これ以上騒ぐと、通報するぞ」

 一通り、考えられる範囲の警告はしたが、まあ案の定聞いていない。

 逆ギレされて、罵りながら殴りかかってくる。そんなことだろうとは思っていた。

 予想範囲内ではある。桜舞い散る道で、何が良くて大の大人相手に喧嘩なんてしなきゃいけない。

 こういう事もあろうかと、自衛の手段も学んでいる。

「……痛い目を見るのは自分のせいだからな」

 自衛の為だ。仕方なく、殴りかかってくる男の拳を身を翻して難なく回避。

 無防備な背中を、掌で軽く押した。途端、バチッ! と静電気の爆ぜる音。

「あぎゃっ!?」

 男が絶叫して、バッタリと倒れて痙攣する。

 何事かと驚く男たちに、腕を組んでぶっきらぼうにラプンツェルは言う。

「ちょっとした魔法だ。ビリっと痺れているだけだから、死んではいない」

 掌を押し付けて、零距離で魔法の電撃を浴びせた。

 ラプンツェルは姉を目標にして魔法を学んでいる。

 姉と共に旅立った二人のように見えない剣を振り回したり、独学で炎の魔法を習得できるほどの器用さはない。

 まだ不器用でうまくでないが、電撃魔法を習得しつつある。

 今はこれで精一杯。掌で触れた物体に流すことしかできない。

 時間稼ぎできればそれでいい。今頃、誰かが通報しているだろうし、連中をここに止めていく。

 求められたのはそれだけなのだが……。

「……おいおい。女一人に男が、しかも集団でそんなものまで使うか……?」

 予想外の出来事。ラプンツェルの行動に激昂した連中は、懐からナイフを取り出してこちらに向ける。

 冷や汗が出てきた。精々、一人やられたら頭を冷やして大人しくなるかと思ったのだが。

 ラプンツェルはまだまだ、思慮が浅いと痛感する。相手は卑怯なことをする。

 集団で、ラプンツェル一人に刃物を持ち出して殺そうとしてきている。

 完全に頭に血が上っている。これでは不味い。

 逃げるにも周りには展開に逃げ惑う野次馬がいる。

 職員が暴漢相手するための配備されたさすまたを持ち出してきたが持ってる本人は逃げ腰だ。

(しくったか……。僕じゃ姉さまのようには、上手くいかないか……)

 迂闊な行動を後悔した。やはり、中途半端な気持ちで前に出る時点で、まだ自分は子供だった。

 こういう展開を予見できていれば、対処はできたんだろうが。

 冷静な頭は詰んだから速く逃げようという結論に至った。

 姉のように、魔女だったら……圧倒することなど造作もないことなのに。

 弱い自分では、これでは足を引っ張るだけ。三年前と何も変わらない。

 じりじりと後退し、狙われているラプンツェルは建物の中には逃げ込めない。

 ならば、相手を戦うしかない。だが、手段はない。魔法もほかもラプンツェルは半端だ。

 マーチは荒事には向いていない。彼女はあくまで、普通の職員だ。

 どうするか、考えている中に果敢に男の職員たちがさすまたを持って、男たちに突撃。

 乱戦が始まった。刃物を振り回している黒スーツたちと、職員の久々の大事に発展する。

 火付け役になってしまった自覚があるラプンツェル。舌打ちして己の浅はかさを悔いても遅い。

 彼女も狙われている。防戦しながら、逃げ回る。

 大人相手に喧嘩できるほどラプンツェルは慣れていない。

 野次馬は避難完了しており、それは一安心だったが、それが油断を生む。

「わっ!?」

 ギリギリの距離を屈んで避ける。長めの髪の毛の先を切り払われた。

 然し、避けたはいいがそこで、長いみつあみを乱暴に掴まれてしまった。

「痛ッ!?」

 嘗ては呪いによって際限なく伸びていた金髪は、今では常人と変わらない。

 ただ、長い髪の毛は姉が手櫛で梳いてくれる。その感触が好きで、伸ばしていたのだが。

 それがアダとなって、引っ張られて捕まり、喉元にナイフを突きつけられた。

 ラプンツェルは、いつかのように囚われの身になってしまった。

 大声で人質をとったと脅し上げる男たち。職員たちが、しまったとこちらを見る。

「くっ……」

 ……まただ。また、ラプンツェルは足を引っ張る。誰かの足手纏いになる。

 あの時も、思い返せば姉に迷惑ばかりをかけていた自分が、こうして繰り返し迷惑をかける。

 やるせなさを感じて、抵抗はしなかった。俯いて、沈黙。

(馬鹿か僕は……。これじゃあ、何時まで経っても姉さまは迎えにきてくれない……)

 今でも待っている姉の帰還。でも、それに相応しいかと言われたら疑問符を残す。

 ナイフの切っ先が喉の薄皮一枚を突き刺し鮮血がひとしずく、流れる。

 抵抗をしても、無駄だと分かりきった。

 嫌な部分だけ大人になって、肝心な部分は相変わらずで、死にたくなる。

 何でこう、自分はいつまでも誰かの世話ばかりされるんだろうか。

(姉さまなら……。亜夜姉さまはきっと、うまくやったんだろうな……)

 そう考える間にライムと男たちの間に、交渉が始まる。

 どうやら男達は、因縁をつけて金を搾取するための相手を探していたようだった。

 ライムはラプンツェル解放と引き換えに、金を用意してきた。手際の良さは、流石というところ。

 それはいいとして。ラプンツェルは、まだ誰かに迷惑をかけている。その現実が、彼女の胸に突き刺さる。

(僕は……。ラプンツェルは、成長してないのかなぁ……?)

 ふと、三年前の口調が戻りそうになる。ごくたまに、今でもその一人称を使いそうになる。

 それは、彼女にとっては認めたくないコトだった。だって、自分で子供のままだと態度で示している。

 それでは、何時までも連れていってもらえない。大人になる。条件を出したのは三年前の自分だ。

 自分の言った言葉を反故にするのはそれこそ子供。絶対にしたくなかった。

「……」

 グッタリしているラプンツェル。やっぱり、自分はまだ子供なのだと痛感する。

 速く姉に逢いたいのに、現実ができないと言っている。悲しかった。

(亜夜……あやぁ。逢いたいよぉ……)

 情けなさと、切なさと、寂しさと、悲しさからだろうか。

 あの頃に、気持ちが戻ったような気がする。

 自然と涙が溢れてきた。視界が潤んでいく。

 俯いた顔から、キラキラした雫が何粒も溢れる。

 溢れる涙は止められない。

 

 例えば誰かが、彼女の涙を拭うとするなら。

 それは、世界でたった一人しか存在しない。

 

 ひらひらと舞い散る、桜の花びら。

 薄紅色が、男達とライムの間を抜けていく。

「……?」

 最初に違和感に気がついたのは、大慌てで駆け付けたマーチだった。

 緊迫する現場。息も絶え絶えで、何とか顔を上げる。

 誰も、交渉の現場に人々に集中していて、背景として目に映る花びらになど目もくれていないのだろう。

 薄紅色の花びらのなかに……一枚、二枚。

 少しずつ……違う色が混ざり始める。

 それは大きな海のような、澄み切った空のような色で。

 薄紅に、徐々に蒼が混じり合う。花びらのように舞い散るそれは……薄い羽根達。

(…………え?)

 部屋に戻っていたマーチは、咄嗟にお守りをギュッと握っていた。

 どうか、誰も傷つきませんように。どうか、誰も苦しみませんように。

 そう願いながら、手の中にあるお守りが……今、とても暖かく感じる。

 春の陽気じゃない。これは、羽根の中から発せられている暖かさ。

 姉は言っていた。この羽根は、呪われている。持ち主に幸運を呼ぶ。

(……?)

 首元で、ラプンツェルも暖かさを感じた。仄かに感じる、この感覚は。

 知っている。三年前、散々堪能したこの熱を、ラプンツェルは覚えている。

 顎を、目線を、少しだけ上げる。

 目の前には春を知らせる桜の花弁と。

 そして、彼女を知らせる蒼い羽根が舞っていた。

 

 

 

 

 

『――遅くなりましたね。約束通り、お迎えにきましたよ――』

 

 

 

 

 

 風に乗って、遠くからそんな声が聞こえてきた。

 三年ぶりに聞いた優しい声は、記憶の中の声と全く同じで。

「えっ……?」

「!!」

 マーチは呆然と、ラプンツェルはしっかりと顔を上げる。

 その反応に、彼女を捕まえていた男は、ラプンツェルが暴れ出したと思ったのだろう。

 反射的に、押さえつけるマネをした。それが、地雷となった。

 

 ――サナトリウムの正門から、雷鳴が響いた。

 

 耳を劈く音量で、桜の花びらを避けるように通る。

 ラプンツェルを捕まえていた男に雷撃は直撃し、器用に男だけを焼いて、焦がした。

「がぁ……!?」

 力なく、断末魔を残して男は崩れる。身体から焦げるような白煙を上げていた。

 呆然とする男達と、今頃蒼い羽根に気が付いたライム。

 白々しい静寂を破り、足音が近づいてくる。同時に、何かが羽ばたく音も。

 その姿を、潤んだ視界の中でも……ラプンツェルは、しっかりと見えていた。

 一人は、太腿あたりまで伸びた金髪の美女で、豪勢な装飾の蒼いドレスを着ていた。

 眉を釣り上げて、碧眼は不機嫌そうにこちらを見つめて、大きなガラスの剣を持っている。

 一人は癖っ毛で茶髪の、内巻きのボブカットのをしている、黒いローブを着ている女の人。

 同じく顔は不機嫌そうで、先端に宝石の入った大きな杖を掲げている。

 そして、その二人の間に挟まれている小柄な少女。

 大きな蒼い翼を羽ばたかせて、羽を撒き散らし、血を彷彿とさせる紅い瞳。

 薄紫の吐息を吐き出して、帯電させた腕を下げていた。

 セーラー服のようなものを着ている茶髪のロングヘアの女の子。

 ハッキリと、遠目でも分かる。皆、その姿を見た瞬間、悪寒が背筋を走る。

 寒くない春のはずが、真冬に逆戻りしたような錯覚。二人には、懐かしい感覚。

「久々に帰ってきてみれば何なのよ、この体たらく。平和になったんじゃなったの?」

「今回は運が悪いだけじゃないかな。少なくても、前に比べたら格段に平和だと思うよ」

 まるで、この場所を知っているように、二人の女性は我が物顔でこちらに向かってくる。

 そして、そんな二人を愛おしそうに見上げる真ん中の女の子。

『まぁまぁ、久しぶりに戻ってきたんです。少し、無粋な連中を懲らしめて速く挨拶しに行きましょう』

 三年前とまるで変わらないで、記憶の中の彼女のそのままの姿でここにいた。

 驚いて、目を見開くラプンツェル。二人の女性は、気さくに笑顔になって手を振ってくる。

 涙を袖で拭い、何事かと目を疑った。だが、何度確認しても、本当に彼女はここにいる。

 マーチも、まさかの展開に絶句する。あの人が……帰ってきた。帰ってきてくれた。

『アリス、グレーテル。子供達の手前、派手なことはせずに蹴散らして追い払いなさいッ!!』

 指をさして、傍らの二人に命令する。

「オッケー!! あたしの実力、久々に見ててね、亜夜!」

「分かった。じゃあ、軽く捻って放り出すとするね、姉さん」

 二人は動いた。駆け出して、一人が突っ込んでくる。もう一人は杖を構えて目を閉じる。

 ドレスの女性は持っていたガラスの剣で我に帰り応戦する男たちを紙くずのように吹き飛ばす。

 掃き掃除でもしているかのように、ポンポン成人の男が宙を舞う。

 後方の女性は雷撃、風刃、火炎、氷柱、地鳴りといくつもの魔法を使って支援する。

 その一つ一つが、普通の魔法使いとは桁が違う規模で、よくあれだけの火力で殺さないでいられると逆に感心するほどの腕前だった。

 呆然とするラプンツェルとマーチ含めた野次馬。何が起きているんだこれは。

 女性二人によって、呆気なく黒スーツたちは打ち倒されて、地面に転がった。

「殺さないだけ、有難く思ってよね」

「無様だね。早く消えてくれない?」

 剣を鞘に仕舞い込む剣士の女性に、宝石を布で拭き取る魔法使いの女性。

『はいはい、馬鹿はとっとと帰ってくださいね。自分のいる場所に』

 トドメに、ゆっくりと翔いて近づいてきていた彼女が指を一度鳴らす。

 すると、突然ボロボロの男たちは立ち上がり、ロボットのような動きで回れ右。

 正門から隊列を組んで、歩いていく。

 ぎゃあぎゃあ何か言っているが、身体が言うことを聞いていないと見える。

「呪い……?」

 誰かがそれを呟いたとたん、野次馬たちは大体正体を見抜いた。

 蒼い翼を持つ、ここにはいない女の子。紅い瞳を持って、腐敗の吐息をするという。

「……ね、姉さま……?」

 震える声で、その人をよ呼ぶ。

 ラプンツェルの窮地を察したかのように現れて、助け出した魔女が目の前にいる。

 これは夢でもなければ、幻想でもない。紛れもない、現実だった。

 紅い瞳は茶色に戻り、蒼い翼で翔いて浮いている女の子が嬉しそうに言った。

「……お久しぶりですね、ラプンツェル。暫く見ない間に可愛くなりましたね。約束を果たそうと思って、立ち寄りました」

 優しく微笑み、自分よりも大きくなった少女の頭を手を伸ばして愛おしそうに撫でる。

 三年前の夜別れたはずの姉。帰ってきた、サナトリウムの魔女だった。

「あ、亜夜さん!?」

 人ごみをかき分けて、マーチが駆け出してきた。

 突然、何の連絡も無く三年ぶりに姉が戻ってきたのだ。驚きもするだろう。

「お久しぶりですねマーチ。聞きましたよ、サナトリウムに就職したんですって? おめでとうございます」

 朗らかに笑って、彼女――一ノ瀬亜夜は、変わらず姿のままで呆然とするマーチを抱きしめた。

 姉についていった美女二人は……まさかと思って、もう一度よく見る。

「マーチ、あんた三年で人の顔忘れたの?」

 偉そうにしているのは変わらず、目に止まる美しさを手に入れているこの人は、アリス。

「久しぶり。詳しいことは、聞いているからだいじょぶだよ」

 随分と丸くなったような態度で、まだアリスに比べたら面影のあるこの人は、グレーテル。

 あの時の二人だった。では今、こそばゆく抱きしめているこの人は本物の姉……亜夜だ。

「おひさ……ってあんたラプンツェルよね? ちょっと見たい間に随分と大きくなったわね」

「突然帰ってきたアリスに言われたくないけどな。お陰様で、見た目だけは成長したよ」

「……誰に似たのよあんた、その口調?」

 久々の邂逅で、アリスに言われるラプンツェル。

 確かに三年前とは別人になっているが、思っても言わないだろうに。

「アリス、うっさい。ちょっと静かにしてよ」

「グレーテルも、久しぶり。元気そうでなによりだ」

「お久しぶり。姉さんが寂しがっていたよ、逢いたいって」

 グレーテルが嗜めながらラプンツェルと握手をしていた。

 亜夜はというと、バサバサ羽根を撒き散らして一帯を蒼く染めながらマーチを抱きしめていた。

「ホント逢いたかったですよー! 何度帰ろうかと迷ったことか!」

「あ……あははは……」

 この人は相変わらずだった。マーチが苦笑いで圧倒されているのを初めて見る今のサナトリウムの子供達。

 アレが、いつもマーチが御伽噺で語っている蒼い翼の魔女。……思ったよりも子供だった。

 でも、優しそうに見えるのは見て納得する。

「亜夜さん、お久しぶりです。……また、突然帰ってきましたね」

 ライムまで似たような顔で、集まっている四人の輪に入る。

「あ、どうもライムさん。その節はありがとうございました」

「いえいえ」

 ライムとも一度再会の握手をして、ライムはついて行った二人にも挨拶する。

 二人は会釈して、ラプンツェルとの話に戻る。

 久しぶりにこっちに戻ってきたので顔を出しに来たらなんかいたので追い払ったとのこと。

 マイペースに、亜夜は説明して再会を堪能する。

 見てる子供たちのことなど気にせずに、目をハートマークにしてラプンツェルにも抱きついて羽根を撒き散らす。困惑するラプンツェルは受け止めて、問うた。

「姉さま、いきなり戻ってきて、どうしたの? さっき、約束を守るって聞こえて」

「あ、ラプンツェル引き取りに来ました。この子持って帰りますので、回収していいですか?」

「……」

 あれ。この人、話聞いていない。しかも連れていくとか言ってる。

 アリス達が溜息をついて二人にあれこれ説明する。

 亜夜はあれから、旅にでて世界中を旅行気分で見て回っていたのだそうだ。

 その過程で、サナトリウムを出て一人でやっているタリーアやシャルとも再び出逢い、サナトリウムの話を聞いていたらしい。特にシャルは今、活動拠点にしてる近くで漁師をしているので、よく顔を合わせるのだとか。

 三年も旅していると、戦場やら揉め事やらによく巻き込まれて、気が付いたら魔女というよりは翼の傭兵扱いされて、三人は今ではそっち系の生計を立てられる次元に行っちゃったのだとか……。

 魔女としてひっそりと生きるはずが傭兵にクラスチェンジ。今ではある種伝説になってる。

 シャルは因みに今日ここに来ることを知っていて祝杯用に猪を提供しているのだ。黙っていたが。

「え? 僕、ついていっていいの?」

 約束では大人になったら迎えに来ると言っていた。

 あの体たらくで、大人とは言い難いと反論する前に。

「ごめんラプンツェル。いいから兎に角一緒に来て。そろそろ亜夜が我慢の限界来て、発狂するわ」

「これ以上お預けすると、姉さんキレて、マジモノの魔女になってサナトリウムを襲撃しだすよ?」

 ああ、この変態姉は既に自分が我慢できないから連れていきたいらしい。

 成長してないどころか、離れたことにより姉の方が全力で完全に悪化していた。

 何年経っても、この人のシスコンっぷりは改善されていなかった。呆れるラプンツェル。

 思い出せばこの人、愛が変態の次元に言っているような気がしていたけど、これは危ない。

 ライムが渋っている。ラプンツェルが抜けるとマーチの仕事がやばくなる。

 だからってマーチまで誘拐されると、仕事が追いつかなくなりサナトリウム危機が再び。

 誘拐、誘拐と何度も繰り返す亜夜。目が死んでいる。

「わたし、亜夜さんに誘拐されるんですかね……?」

 ボソッと小声で言うと、三人は見ればわかると顎で亜夜を示す。

「マーチを、マーチを私に返してください……。ライムさん……お願いですから……」

「あの、亜夜さん!? 目が、目が死んでるんですけど!? ここで魔女にならないでくださいね!?」

 薬の禁断症状よろしく、目がイっている。

 顔を合わせたことで、我慢のメーターが振り切れて邪魔をすると呪いをしてきそうな雰囲気だった。

「……ええと、なら……復職しますか?」

 埒があかないと見たライムが、逆の発想でこっちに誘ってみることにした。

 アリス達はそれでもいいので、姉に判断を任せると。

「しますっ!! させてくださいお願いしますッ!!」

 二つ返事で了承した。凄い食いつきっぷりだった。

 迷いとか自制心があったら、ここにはいない。

「姉さま……」

 ラプンツェルは心底呆れた。馬鹿だこの人、速く医者に見せないと。それで治るんだろうか……?

 心の何処かでわかっちゃいたけど、家族のことになると本当にダメなことばかりする。

「亜夜さん……」

 マーチももう何も言わないことにする。戻ってきたことは純粋に嬉しいので。

 綾は年単位のお預けが余程精神にキていたので我慢できない。

 もう旅せずにサナトリウムに復職するということで急遽決定。

 アリスたちも異論はない。

「っていうか、今まで行き当たりばったりが大半だし。いい加減なれてるわよ。家族何年やってると思ってんの?」

「そうそう。姉さんは無鉄砲で無計画だから、私たちが支えてあげないとすぐに自滅しちゃよ」

 妹二人にそう言われている、マーチとラプンツェルにフガフガと、ニオイを堪能するアホな魔女がいる。

 見ていた子供たちも、口を半開きで目を点にする。

 イメージ崩壊。優しくて頼れる魔女ではないらしい。

 子供達にも、あの魔女の本質ははただの変態だとよくわかった。

 変態という言い方がぴったりの全力でダメな魔女だった。

「じゃあ手続きしますから……思い出話も混じえて、どうぞ」

 ライムの呆れた顔をされて手引きされて、三人はサナトリウムの職員として、この場所に帰ってきた。

 既に亜夜の居場所としてここは問題なく機能する。

 ラプンツェルとしては、連れて行かれる約束がすり替わって戻ってくるという顛末に、ツッコミを入れたかった。

 マーチとしては、魔女として生きていた姉でも、根っこは姉なのでやっぱりこうなるのかと納得していた。

 ラプンツェルは改めて思う。受け入れるマーチもマーチで、姉の暴走を止めて欲しいのに。

 アリス? グレーテル? 言うまでもなく変態の妹だ。

 この二人も、ほら見ろ。亜夜を甘やかして、ダメな人にしてるじゃないか。

 ラプンツェルは、和気藹々と戻っていく皆を見て、声を大にしてこう言いたい。

 

 

 

 

(うちの家族は、変態しかいないのか!)

 

 

 

 

 と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナーサリー・ライム 童話の休む場所 おしまい。


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