ナーサリー・ライム 童話の休む場所   作:らむだぜろ

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奪われる幸せ 後編

 

 

 

 夜明けの時刻。

 徐々に明るくなる空に、蒼の翼は力強く翔いている。

 猛禽類の如き逞しい大翼。

 それを持つのは猛禽ではなく、人間。

 眼下に広がる己の標を追いかけて、彼女はただ突き進む。

 情報では、北方の森に向かって怪しい集団が移動していたという情報を得ていた。

 丁度北方には魔女の住む森があると聞いたことがある。

 あとは盗賊の根城もあるとか。

 多分、そこにみんなはいる。

 そこに誘拐されたんだ。

 目撃者の証言では、エプロンドレスを着た女の子と金色毛玉、あとは寒そうにしている女の子と手を引かれている女の子と謎の男と女? がいたと。

 早い段階で、彼女は見つけていた。

 己の分身、蒼の羽根。

 それが点々と、標識や街道のあちこちに突き刺さっていた。

 きっと、あの子だ。あの子が、助けに来てくれると信じて残していったのだ。

 グレーテルが恐らくは誰かの手元にあった羽根を隠しながら落として手掛かりを。

(必ず、助けます)

 足が動かないからなんだ。

 彼女――亜夜には翼がある。

 呪いを掌握し、自由自在に操る術をもうもっている。

 彼女達はきっと希望を見出していた、亜夜に。

 冷静に考えれば、追いかけてきたとしても戦う方法がない。

 共倒れの可能性の方が高いと。それでも、信じてくれたのだ。

 予感はしている。今回で、自分が悪しき魔女であることがきっとバレる。

 ……だからなんだというのだろう。それであの子達が護れるならそれでいい。

 自分が魔女でも、いや魔女に堕ちてでも護りたいと思ったのは誰だ。

(私のことをどう思ってもいい。護らせてください。笑顔にさせてください)

 自分がいながら、誘拐されてしまった不甲斐なさ。

 自分が意気込んでおきながらのうのうとさせてしまった絶望感。

 だが、まだ間に合う。自分の手で取り返せる。

(魔道に墜ちてもいい。嫌われたって、避けられたっていい。私は、皆の為だけに幸せを……)

 彼女はどう扱われても、ただ真摯に皆のことだけを考えていた。

 亜夜は気付けなかった。それが兄、ヘンゼルと変わらない自己犠牲であると。

 他者の為に破滅を覚悟してしまう危うさを。

 

 

 

 

 

 ――そんなもの、誰も望んでいないことも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 みんなは、待っている。

 亜夜が助けに来てくれると、信じている。

 この瞬間に殺されてしまうかもしれない。

 この瞬間に食べられてしまうかもしれない。

 怖くない訳がない。恐ろしくない訳がない。

 そのせいで呪いが加速して、それぞれに酷いダメージを与えているとしても。

 希望があるから、まだ生きていられた。

 反抗できていた。諦めないでいられた。

「何時までこいつらを連れて行くんだい? いい加減、殺してしまってもいいだろう?」

 ここは魔女の住む隠れ家。

 深い深い雪に包まれた森の中にある、小さな家の中。

 周りから見えないようにカモフラージュされていて、普通の人なら気付けない。

 家の隅っこで皆で固まって小さくなっているのを眺めた笛吹きが吐き捨てるように言う。

「魔女ってのは子供を殺して食うんだろう?」

「馬鹿いってんじゃないよ笛吹き。お前は知らないだろうけどね、子供ってのは食う以外にも使い道はあるんだよ。取り分け、この子供らは特別だ。中々面白いからね。とっ捕まえておくには丁度いいのさ。色々なことに使えそうだ」

 奥から出てきた、魔女というには不自然に若い女が出てくる。

 紫のロングヘアに、まだ20代でも通じそうな美貌。

 全身真っ黒の服装は下はロングスカート、上は長袖というよくいる格好だ。

 口にレトロな煙管を銜えながら、煙を吐き出して子供たちを見る。

「とくのそこの寒そうな奴がもってたマッチは最高だ。名品をひと箱丸々持っていたよ。それに免じてまだお前ら、生かしておいてやる」

 どうやらマーチが反射的に持ってきてたお守り代わりのマッチを奪って、悦に浸っているよう。

 満足そうに煙管を堪能している。

 気紛れで生かされてると知ると、怖さが一段階上がる。

 これが、魔女。想像とは違う若々しく、腕っ節も強そうな女。

 グレーテルもアリスも、これには太刀打ちする勇気すらわかない。

 グレーテルは前回は兄が言い出して、手伝うカタチでかまどに放り込んだ。

 それでも死なないで、兄を巻き込んでそこから先は知らない。でも、きっと……。

 だがそれは相手が老婆であったからの話。

 完全に成熟している大人相手に、呪われた彼女達が勝てる確率はかなり低い。

「理解できないね……。まあいいさ。で、報酬は?」

「ほれ、これでも持ってきな。人間の方がワシには理解できんよ」

 笛吹きに無造作に投げられた革袋。そこには大量の金貨が入っている。

 中身を確認して満足そうに北叟笑む。

「毎度あり。契約は完了だ」

「ったく、そんなモンの何がいいのかねえ」

「金が全てさ、人の世界はね。それじゃあ、また何かあったら頼むよ」

 ハーメルンはそのまま、軽く手を振って去っていった。

 この魔女がサナトリウムを襲った理由は身勝手なもの。

 若返りの秘薬を作るために、大量の子供の血液が必要だったのだ。

 しかもただの子供ではなく、適正のある子供の血が。

 ハーメルンの操る笛の音には特別な力があり、聴覚から入り脳に作用する。

 そうして人を操れる秘術なのだそうで。魔女とも、魔法使いとも別系譜の。

 今回は傭兵稼業をしているハーメルンに金を払ってやらせた。

 そこで適正を絞り込んで、フラフラ付いてきたあの子供たちから血を必要なだけ抜き取りあとは放置。死のうが生きようが知ったことじゃない。

 そしてこの四人は、適性こそあるようだったが全く笛の秘術が効いていない。

 特異体質とも思ったが、ただ魔女の呪いを受けているだけの人間だった。

 ならなぜ、適正のもつのに秘術が効かないのか。

 それに興味をもった魔女は、これから解剖をして研究しようと思っている。

 最期は結局、皆も死んでしまう。魔女の好奇心の犠牲になる。

(亜夜、さん……わたし、信じてます……)

(あやぁ……助けて……)

(亜夜さんなら、きっと来てくれる……)

(早く来なさいよね、待ってるんだから……)

 マーチも、ラプンツェルも、グレーテルも、アリスも只管希望を信じている。

 目をギュッと閉じて、みんなで集まって職員のことだけを一途に。

「……」

 魔女はそれが酷く気に入らない。

 普通なら魔女と聞くだけで逃げるか、襲ってくるかの二択。

 だがあの子供達は堪えている。恐怖に堪えながら、何かを祈っている。

 まるで神様にでも祈っているようで、酷く苛立つ。

 煙管を吸い終わると、気分が変わった。

 目障りなので、すぐに終わらせよう。

「悪いが、さっき言ったことは撤回するよ。今すぐ、お前らを殺してやる」

 それを聞くと、目を開いて驚く少女たち。

 魔女はそちらに向き直る。

 絶望が浮かぶが、それでもすぐに違う何かが顔を出す。

 苛立つ魔女。一体、この子供は何を信じているのか。

 絶望せず、希望を捨てずに何を待っているのか。

 よくわからないが、殺してしまえば同じこと。

「先ずはお前だよ、生意気な小娘」

 そう言って、近くにあった包丁を手にするや、アリスに近づいた。

 アリスも応戦しようとするが魔女に睨まれて硬直する。

 庇おうとするマーチやラプンツェルを無視して、目の前で刺し殺そうと思う。

 そうすれば少しは満足のいく顔をするだろう。

「あたしは……負けないわよ……。魔女なんかに……負けない……!」

 睨み返して、啖呵を切るアリス。

「ふんっ。口だけは達者だね。だがお前に何ができるってんだい? 何もできずにビビっているだけのお前が、何を?」

 嘲笑う魔女に、真っ向からアリスは言い返した。

「祈ることもできるし、信じることだって出来るわ。あんたには理解できないでしょうけど、あたし達人間はそうやって繋がってる! 奪うだけのあんた達には何も分からない繋がりがあるんだから!」

 堂々と反論し、皆が頷いて睨み返す。

「ほざくじゃないか、小娘が。まずそう言う前に、少しは抗ってみたらどうだい? 口だけの子供は癇癪と同じだよ」

 包丁を進める手を止めて嗤う魔女。

 壁際に追い詰められている彼女達。

 そこに対峙する魔女には、見えなかった。

 

 

 

 

 ――今まさに、彼女達が信じる希望が。

 一緒にいたいと願える幸福な相手が。

 差し込んだ朝日とともに窓の外に見えた気がした。

 

 

 

 

「本当にそう思うのなら、所詮魔女は魔女でしかないってことだよ」

 グレーテルがまっ先にそれを発見した。皮肉げに笑い返し、挑発する。

「……なに?」

 魔女はぎろりとグレーテルに矛先を変えた。

 全身の産毛が総立ちした。それでも、口だけは、心だけは負けない。

「あの時の私はお兄ちゃんに言われるがまま、逃げるしか出来なかった。今だって、信じることしか出来なかった。でも、無力な私でも道標を残すことぐらいはできたよ」

「何を言ってるんだお前は……?」

 過去がデジャヴする。兄は魔女と共に死んでしまったんだろう。

 二度と会うことはできなかった。

 死に際に与えられた呪いが、グレーテルを蝕んで。

 何度も嘆いて、恨んで、悲しんで。

 全部諦めた色褪せる世界で出会った、一人の女の子。

 彼女が新しい色を与えてくれた。諦めないという光を見せてくれた。

 幸福を司る蒼を持ってきてくれた。

 だからグレーテルは今、信じることができた。

「一つ教えてあげるわ、魔女。あんたが思っている以上にね、あたし達は諦めが悪いの。一度信じると決めたら、死ぬ前まで信じ続ける。あんたにはバカみたいに見えても、あたし達はそれでいいの。それがあたし達の望みなのよ。そして、あたし達が信じているあいつは……どんなことをしてでも、必ずここに来る。あたし達を助けに来てくれるッ!!」

 アリスが叫ぶ。魔女の背後にある窓。

 そこには、朝の日差しを遮るほどの大量の蒼い羽毛が舞い上がっていた。

「な、なんな……!?」

 魔女が今頃気付いて振り返り。

 

 

 

 

 

 突然入口が轟音と共に爆ぜ、吹き飛んできた扉に激突して、視界から消えた。

 みんなは明るい表情になった。

 扉からも差し込む光。

 それは彼女達に希望が、願いが叶った事を教える優しい日差し。

 

 

 

 

 

「――青天の霹靂、ってご存知ですか、クソ女」

 

 

 

 

 口汚く罵りながら、敵意丸出しでフラフラと立ち上がっている女の子。

 動かない足のかわりに、大きな宝石の入った杖をついてバランスをとっている。

 とても頼りない姿をしている、けれども誰よりも望んでいた彼女達のたった一人の最後の希望。

 

 

 

「遅くなってしまって、ごめんなさい。お待たせしました、お迎えにきましたよ」

 

 

 

 遠くまで彼女たちだけの為に単身で助けに来てくれた女の子。

 優しい笑顔で、みんなを安心させてくれる絶対の味方。

 

 

 

 

 ――彼女達の希望、亜夜の到着だった。

 

 

 

 

「亜夜、さん……っ!」

「あやーーーーー!!」

「亜夜さんっ!!」

「遅いわよ、バカ!」

 皆は立ち上がり、彼女に駆け寄った。

 泣きそうな顔をしていた。いや、もう泣いていた。

 ふらついているのを支える。

 酷く消耗しているようで、そこら中薄汚れていた。

 呼吸は荒く、目の焦点が定まっていない。

 それでも、彼女はここまで来てくれた。

 それが、どれ程嬉しいことか。みんな泣きながら亜夜に飛びついた。

「……亜夜、あんたボロボロじゃない!? どうしたの!?」

「すみませんでした、アリス。変態とちょっと小競り合いしてきまして。結構やられましたが、なんとかします」

 亜夜は既にボロボロだった。

 顔に細かい傷も出来ている。

 それでも戦意は失っていない。

「亜夜さん、無理をしないで……。これ以上魔法を使ったら、死んでしまう」

「まだ、平気ですグレーテル。それよりも、羽根の手掛かりをありがとうございました。おかげで見つけることができましたよ」

「……ううん、いいの。助けに来てくれただけで……」

 グレーテルの心配されながら、亜夜は礼を言う。

「あや……こわかったよぉ……」

「いいんですよ、ラプンツェル。私が何があっても必ず護りますから」

 泣きじゃくるラプンツェルを抱きしめて、優しく髪の毛を撫でる。

「あ、ぁゃさ……」

「マーチ、後は任せてください」

 背後に隠れるマーチに首だけ振り返り、そう言う。

 限界は近いだろうに、それでも気丈に振舞う亜夜。

 吹っ飛んだ魔女は、ゆっくりと起き上がって乱入者を見た。

「いきなり、人様の家をぶっ壊して入ってくるとは、いい度胸してるね……」

「いきなり、人様の聖域を土足で踏み荒らしていくとは、いい度胸してますね」

 言い返す亜夜を見て、魔女は目を丸くした。

 そして怪訝そうに、目を細める。

 見たことのない異物を見るかのように。

「……お前、何なんだ?」

 敢えて問う。どんな古い文献にも載っていない珍妙な生き物がいる。

 明らかに混ざってはいけない、混ざって存在するはずのないそれが目の前に。

「馬鹿らしい。同類ですよ、見ればわかるでしょう」

 亜夜はそれを肯定する。

 アリスとマーチが驚いて見て、ラプンツェルとグレーテルは予感していたので納得していた。

 憎いと思っていた魔女に、亜夜はなっていた。

 ……複雑な気分ではある。でも、亜夜は決して敵じゃない。

 酷いことはしないし、呪ったりもしない。

 亜夜は、魔女以前に亜夜でしかない。

 お人好しで、ダダ甘で、自己犠牲の激しい優しすぎる亜夜でしかない。

 だから、もういい。魔女は嫌い。憎い。でも、亜夜はいい。

 身に染みて、知っているから。この人の優しさを。

 グレーテルはそう割り切る。亜夜は亜夜。それだけの話だと。

 ラプンツェルも似たようなものだ。

 亜夜には変わらないから、区別なんてどうでもいいと受け入れた。

 魔女は自分で結論を出して、渋い顔をした。

 他の魔女の持ち物だったらしい、あの子供達は。

 通りで絶望しないわけだ。

 何故なら自分たちには、主がいるから。

 必ず来ると信じているの意味はこれだったのだ。

 同時に、魔女同士の諍いほど互いに面倒くさいことはない。

 基本的に損しかない争いになるのは目に見えている。

 しかもあれは世にも珍しい混ざりものの魔女と見た。

 随分と奇天烈というか不気味は姿をしているものだ。

 先程のは魔女では扱えない魔法。恐らくは雷。

 他にも厄介な能力を持っていると見ていいだろう。 

「私の大切な子達を何にしようとしていたかは知りません。ですが、許すつもりなどありませんから。お前も、外のアイツと同じようになってもらいます」

「外……?」

「ハーメルン、とか言いましたかあの笛吹き。残念ですけど、二度と笛は吹けません。そういう体にしてやりました」

 ……あの男、どうやら魔女の邪魔をしたようである。命知らずな男だ。

 呪いよりも手っ取り早い方法があるから、この魔女は殺しに行った、ということか。

「……気持ち悪い奴だね。おぞましい……」

「黙りなさい。家畜のクソにも勝らない分際で」

 互いに互いを吐き捨てる。

 気に入らない者同士、眼光を交える。

「亜夜……。あんた……」

「詳しいことは後で。今は、殺すか逃げるかしましょう」

「……アリス、今は問いただしてる場合じゃないよ」

 アリスが何か言いたそうだったが、小声でそう耳打ちされて渋々今は黙る。

 グレーテルも、ラプンツェルも大して驚いていないようだった。

 マーチは魔女だったことのショックよりも、助けに来てくれた嬉しさの方がまさり、魔女だからどうしたと言わんばかりに亜夜に抱きつく。

「……あぁ、もう! あたしがおかしいみたいになってるじゃない。いいわよ、亜夜。あんたが魔女でもなんでも。どうせ、言動は変わらないんでしょ?」

「アリスが望みを叶えるまでは私は死ねません」

「案の定じゃない……」

 ああ、変わってない。亜夜は亜夜のまま。

 皆のためだけに、が基本スタンス。

 魔女は半分いちゃついているようにしか見えない彼女たちを見て言った。

「…………はぁ。気持ち悪いからとっとと出てってくれないかい。ここはワシの家だ。お前さんみたいな混ざりものがいられると気分が悪いよ」

 嫌気がするように言った。

 あちらにはこれ以上かかわり合いにはなりたくないという空気が出ている。

 亜夜の気が収まっていないようだが、無駄な争い事をするのも避けたい。

「あたし早く帰りたいんだけど」

「亜夜、さん……。戻りましょう?」

「もうはやく帰ろうよ……」

「亜夜さん、無駄なことはしないで」

 言われてしまい、亜夜も仕方なく、鉾を引っ込める。

 出ていくとき、振り返ってドスの効いた声で言った。

「今回は、この子達の言い分を聞いて大人しくしましょう。ですが、次同じことをしたら……殺しますよ?」

「はいはい、二度としないよお前さんみたいなのと関わるのなんて。縁起でもない。穢れが移るよ」

 警告するも追い払うように出口を促される。

 というか、本当にこれで終わりのようだ。

 汚物を見る目で亜夜が見られているのをアリスは見た。

 そうして感じる。亜夜は魔女側(むこう)からも嫌われている。

 つまり、生粋の魔女じゃない。魔女のようなにかであって異なるもの。

 強いて言うなら亜夜という個体。それが結論。

 なら、忌避することはないし、亜夜ならば何でもいい。

 どうせ根っこは大きさ差はないようだし。

 家を出て、支えながら皆で雪の中を歩いていく。

 周囲は蒼い羽根だらけで、如何に彼女が急いできたが分かった。

 途中、雪の大地に大の字で倒れている変態笛吹き(ハーメルン)がいた。

 痙攣しているから、生きてはいる。亜夜がやったらしい。

 自慢の笛はへし折られて墓標のように雪に突き刺さっていた。

「さっきはああ言いましたが、ちょっとビリっとやっただけです。痺れているだけですからご安心を」

 ぶくぶく白目で泡を吹いているハーメルンには似合いの結末だった。

 森の中を歩きながら、亜夜は窶れた笑顔で、皆にこういった。

「さて。じゃあ、みんなで帰りましょうか。私たちの家(サナトリウム)に」

 傷つきながらも助けに来た彼女を支えながら、連れ去られたお姫様たちは、頷いて帰っていった……。


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