比企谷八幡は自転車に乗る   作:あるみかん

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・いつの間にか通算UAが30000、お気に入りが400超えてました。ありがたやありがたや。

・俺ガイルヒロインデザインのサイクルジャージやホイールステッカー売ってるんですね……知らなかった。


雪ノ下雪乃は晴れでも車で登下校する

~(今更ながら)人物紹介~

 

 

・比企谷八幡

身長175センチ、体重不明(細身)。脚質:スピードマン(ルーラー)回転型。

平地★★★★☆

登坂★★★☆☆

持久★★★★☆

瞬発★★★☆☆

特技……観察と策略、平地における長距離高速巡航

 

絶対的な武器は無いもののぼっち由来の観察力をフルに活用し、奇襲や策略によりレースを優位に進める自転車部部長。

アドバンテージを常に握り相手に不利な2択を強いる等、トップクラスの選手に比べて一段劣る肉体的実力を観察眼と戦略で埋める。

彼女なし。

 

 

 

・篠崎ミコト

身長160センチ、体重50キロ。脚質:スプリンタートルク型。

平地★★★★☆

登坂★★☆☆☆

持久★★★☆☆

瞬発★★★★★

特技……スプリンターヒル

 

原作:オーバードライブより。

小さな身体に長い手足、柔軟で大きな筋肉とまさに自転車に乗るために産まれてきたような身体を持つ。

トルク型とは、重いギアを強く踏みこみ推進力を得るタイプ。

特技のスプリンターヒルは短く急な登坂をシフトアップしながら力づくで登りきる。平地のような爆発的な加速を登坂で行うため恩恵は大きいが、筋力で走るため肉体的なリスクやダメージも大きい。

なお、彼がいた桜ヶ丘高校自転車部は部長→アメリカ、副部長→沖縄、同級生→フランスと皆いなくなったため廃部。

今作では彼は深澤ゆき(原作登場人物)と付き合っている。

 

 

 

・材木座義輝

身長不明(デカイ)体重不明(重い)。脚質:―――

平地★☆☆☆☆

登坂★☆☆☆☆

持久★☆☆☆☆

瞬発★☆☆☆☆

特技……なし

 

指ぬきグローブが誰よりも似合う男、ご存知中二。八幡が困っているのを見て力になるべく入部した。いいやつ。

篠崎が自転車を持ってきてから彼のレーサーとしての第一歩は始まる。(=自転車がないのでいまだに乗ってない)なのでパラメータは現状こんなもん。彼がどんな風に成長していくかは誰も知らない。作者も知らない。

彼女なし。

 

 

 

・雪ノ下雪乃

身長普通、体重軽い。

奉仕部部長兼で自転車部マネージャー。部で一番自転車の操縦技術は高いと思われる。

しかし、あまりの体力のなさからその技術は発揮されることはない。

ちなみに誕生日が篠崎の彼女である深澤ゆきと同じ。

 

 

 

 

 

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「あー、気を取り直して次の題目。材木座についてだ」

 

篠崎の彼女持ちという事実が発覚。大声をあげた俺と材木座だけでなく雪ノ下すらも目を見開いていた。動揺は隠せないが、なんとか取り繕ってミーティングに戻る。

 

「月曜には篠崎が自転車を持ってきてくれるから材木座も乗ることになる。しばらくは俺か松任谷先生について練習して貰う。ここまではいいか?」

 

承知した、との声を聞き更に進める。

 

「公道を走ることになるからミーティングの最後に篠崎が言ってた交通ルールやマナーについて皆で話そうと思う。これについては全員真剣に考えてほしい」

 

篠崎と雪ノ下の、さも当然というような顔。そして真顔の材木座。重要性が伝わっているようで少し安心する。

 

「で、だ。練習についてだ。とりあえず材木座よ」

 

 

 

「とにかく痩せろ」

 

 

 

 

自転車と言うものは人間が動力であり、重りである。

自転車競技というのは、つまるところ人を自転車でゴール地点いかに速くに運ぶかが目的である。

自転車を速く進めるための方法は2つ。動力を上げるか、重りを軽くするかである。

例えばクライマー。たったひとつの山で決定的な差をつけて勝負を決めてしまう。坂を速く上るためだけに全てをかける。そのために自転車や身体を限界まで軽くする。その軽い身体は登りでは非常に大きな恩恵をもたらす。しかし軽く、非力なその身体は平地のスプリント勝負では無力である。

例えばスプリンター。最高時速が3桁に迫ろうかというスピードでゴールを奪う。そのために筋肉(特に速筋)を鍛える。その為出力は上がるが重くなる。圧倒的なスピードを誇る反面、登坂ではその重い身体がハンデとなる。

例えばオールラウンダー。平地も速く山も苦にしない。しかし、山ではクライマーに、平地ではスプリンターには敵わない。たとえ総合優勝は取れてもスプリント賞や山岳賞は取れないかもしれない。

 

なにかを手に入れるためになにかを手放す。自分を出せる場所で勝負をする。

 

 

だから自転車は面白い。

 

 

 

 

 

 

はふん、という材木座の鳴き声(?)を聞き流し続ける。

 

「とにかく、ハードな練習メニューだと9000キロカロリー以上消費することもある。筋肉をつける前に脂肪を燃やさねーと話にならん。どんなタイプのレーサーになるかはそれからな」

 

練習中は常に長袖長ズボン。油ものは極力避ける。ランニング、ウォーキングは厳禁。以上が材木座に課せられたものだ。

 

「痩せる為なら走ったりした方がいいのではないかしら」

 

疑問に思ったらしい雪ノ下からの質問に篠崎が答える。

 

「うん、ただ単に痩せる為なら走ったり水泳とかのがいいんだけど。自転車で必要な筋肉、アウターマッスルとインナーマッスルは自転車でしか鍛えられないんだ。材木座君が速く走りたいならやっぱり自転車に乗りながらがいいと思うよ」

 

成る程、と納得した雪ノ下。いくら学年主席といえども何でもは知らない。知ってることだけである。材木座に向き直る。そして告げる

 

「今のウチは篠崎と俺は個人なら多分国内レースでもそこそこ戦えると思う。ただ、インターハイとかのチームロードじゃあ絶対に勝てない。チームロードってのは2人で勝てるほど甘くないんだ。だからお前の力が絶対に必要になる。頼むぜ」

 

 

 

 

 

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さて、次の題目に移ろう。今年の目標と練習内容、マネージャーの仕事内容だが……。

 

「今年の目標だが、昨年篠崎が参加した選抜を狙いたい。参加できれば確実にレベルアップできるからな。」

 

こくこくと首肯く篠崎。それくらい当然というような表情の雪ノ下。不安気な材木座。

 

「だが、今年できたばっかりのウチじゃ知名度が無さすぎる。そこで篠崎には個人で出来るだけレースに出てほしい。で、できるだけ勝ってこい。雪ノ下は篠崎のサポートを中心に頼みたい」

 

2人の顔が真剣なものに変わる。

 

「篠崎が言うには去年桜ヶ丘高校がたった四人の部員で選抜に選ばれたのは日本トップのレーサーに土をつけて優勝したことが評価されてだ。桜ヶ丘高校の自転車部員が篠崎しかいない今、去年の篠崎の実績からウチが選ばれる可能性はあるが、それを確実にしたい。

俺は材木座の練習を優先するが、調整して何回かは出るつもりだ」

 

「わかった。近場のレースは出れるだけ出るよ。雪ノ下さん、調べるの手伝ってもらえますか?」

 

「ええ、わかったわ。ミーティングが終わり次第取りかかりましょう」

 

「材木座もいいな?夏前には一通り走れるようになってもらう」

 

「委細承知した!我の真の実力を見せつけてやろうぞ!」

 

……ホントに頼むぞ、おい。

 

 

「基本的には部活時間の前半は部室で奉仕部として活動する。依頼がない日は自由で良かったのよな?雪ノ下」

 

「ええ、私は大体本を読んでるわね」

 

「依頼がある日は依頼を優先、それ以外はローラー練習や自転車の整備なんかをしようと思う。後半は晴れてれば極力外に出たい。メニューはさっき言ったことが中心、俺は松任谷先生が来る日は篠崎とレース形式、来ない日は材木座の練習。雪ノ下はドリンクの補給なんかを頼みたい」

 

部費が潤沢なら練習中に軽く食べるものを買ったりもできるだろうが、新創設の部活だ。奉仕部と自転車部の2つを合わせてもたかが知れている。部費の為にも早い段階で実績を残しておきたいのが本音だ。

 

全員の了解を確認し、議題を終える。

 

 

 

 

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「さて、最後に外を走るにあたってだ。篠崎は自転車側の、雪ノ下は車側のそれぞれ危険を感じることを挙げてほしい」

 

「じゃあ自転車側から。まず必ず守らないといけないのは基本的な交通ルール。これを守らないと部活出来なくなるどころか最悪死ぬからね。

たとえば信号。赤は止まる黄色も止まる、青は進んでも良いだからね。進めじゃないんだ。あとは自転車は車道の一番左端、他にもいろいろあるから各自で確認してほしいな。自分の安全を護るためにも」

 

まったくだ。蒸し返す訳ではないが事故は被害者だけでなく加害者にも傷を負わせる。誰にもいいことなどないのだ。市街地では安全第一が鉄則である。

 

「次に、自転車の注意。夜も走るならライトと反射板は必須。特に人間の目は動くものを追う習性があるから必ず暗くなったら点灯すること。反射板も車のライトに正面から当たるように付けないと意味がないからね。できればジャージやヘルメットにも反射材がついてるといいと思う」

 

ちなみに、ライトは約10メートル前を照らすのが正しいとされる。

 

「角から飛び出さない、信号を必ず守る。基本的なルールを守れば大丈夫だと思うよ。あ、あと、歩道は走っちゃダメだからね。万が一歩行者に当たったら人身事故だから」

 

「自動車側からもいいかしら。車道を2列になって走ったり、信号を無理やり渡ろうとする自転車は少なからずいるわ。やはりすごく危険だし、見ていて気持ちのいいものではないわね。それに自転車は軽車両であるけれども交通弱者でもあるのだから、そこは自覚して誰に見られてもはずかしくない運転をしてほしいと思います」

 

と、雪ノ下が締める。

他にも雨の日の側溝の蓋は滑るとか冬の朝晩の白線上は凍ってるとかだんだん自転車あるあるになってきたところで今日はお開き。各々やるべきことをやりに部屋を出る

 

その後松任谷先生に相談し、材木座の練習メニューの作成。やはり先ずは学校の周りを軽く走らせてみるらしい。また、予備として松任谷先生の使っていないロードバイクを貸して貰えることになった。松任谷先生いい人過ぎるだろ……。

また、パソコンは自分のものを持ってきてよい、とのことだ。雪ノ下か材木座に聞いてみようか。

 

 

 

自分と篠崎がチームを引っ張り材木座が続く。さしあたり材木座のレベルアップは急務だが、去年までの独りで明確な目標もなく走るだけということはもうない。

 

 

夏に向けての自転車部の戦いはこれからだ!

 

 

 

 

 

 




最終回じゃないぞよ
もうちっとだけ続くんじゃ

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