神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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もうすぐ年末ですね…。

今年も長いような短かったような、そんな一年でした。







第74話 貴族の食事

 玄関ホールにてリアスのお母さんとまさかの出会いをした私達は、グレイフィアさんを初めとしたグレモリー家のメイドさん達に案内されて、それぞれに用意された部屋へと案内された。

 

「マユ様のお部屋はこちらになります」

「ありがとうございます、グレイフィアさん」

 

グレイフィアさんが部屋のドアを開くと、そこにはとてつもなく豪華な部屋が広がっていた。

なんつーか……キラキラとしたエフェクトが見えそうなレベルの高級さだ。

 

「おぉ~……」

「この部屋にある物はお好きにお使いいただいて構いませんので」

「わ…分かりました……」

 

そ…そう言われてもな……ここまで全てが高級だと、触れる事すら躊躇われる。

 

「お食事の時間になりましたらお呼びに伺いますので」

「は…はい」

「それでは、ごゆっくりお寛ぎ下さい」

 

綺麗なお辞儀と共にグレイフィアさんは去っていった。

 

「…………」

 

改めて部屋を見渡すと、既に私が持って来た荷物が置いてあった。

 

「お早い仕事だこと」

 

取り敢えず、ベットまで行ってゴロンと寝転んだ。

わぉ……凄いスプリング。

 

『ふむ……中々にいい部屋を宛がわれたな、雑種』

「これで『中々』なの…?」

 

やっぱ、生前に王様だった人は我々庶民とは金銭感覚が違いますな~。

 

『だが!我の住んでいた宮殿の方がこの数百倍も豪華だったがな!はっはっはっ!』

「ソーデスカー」

 

これの数百倍って…想像も出来んわ。

 

天井もすっごく綺麗だ。

よく見たら、この部屋にも小さなシャンデリアが設置してあるし。

もしかして、他の部屋もこんな感じなのか?

 

「そういや、オーフィス達は三人で一部屋だって言ってたな」

『そ…それは大丈夫なのか?』

「いたずらとかはしない子達だから大丈夫だと思うけど」

『そうかもしれんが……妙に心配だ……』

『変な所で心配性だね~…ドライグは』

『よりにもよってドレイクに言われるとは……』

 

無駄に過保護になりつつあるよね、最近のドライグって。

 

ベットから起きて少しだけ部屋の中を探検してみようか。

 

『確かに金ぴかの言う通り、中々の部屋ではあるな。しかぁ~し!余の設計した部屋の方がもっと豪華絢爛で美しい事は確実だな!』

「ネロまで言うか……」

『そうね。私のお城程ではないけど、いいんじゃない?』

「エリザまで……」

 

このブルジョア王族&お貴族様トリオは……。

 

「このテレビ……最新式か?」

 

これって最近のコマーシャルに出てきている某有名なメーカーの最新機種の筈。

詳しい事は知らないけど、画素数が凄かったような気が…。

 

「こっちの扉は……」

 

金色のドアノブが設置してある扉を開くと、そこには真鍮製の便器があるトイレが。

 

『ご…ご主人様。この便器……パイプ等の部分が全てプラチナで出来てますよ~…。ブルジョアもここまで行くと、嫌味を通り過ぎて清々しさすら感じますねぇ~』

「プ…プラチナ……」

 

私の人生には無縁の単語と思っている物が目の前にあるのか…。

しかもトイレに。

 

「このトイレットペーパーも肌触りがいい…」

『1ロールで幾らするんでしょうか…?』

「下手に考えない方がいいぞ、玉藻。もしも知ってしまったら、なんか後悔しそうな気がする…」

『それには激しく同感です…ご主人様』

 

もう出よう…。

 

トイレを出て次はどこを見ようか考えていると、急にエミヤが叫びだした。

 

『マ…マスター!今度はあそこにあるシステムキッチンを見よう!!』

「う…うん…?」

 

彼がこんなにもテンション上げてるなんて……珍しい。

 

エミヤのリクエストに応えて、部屋に設置せてある煌びやかなシステムキッチンに向かった。

 

『こ…これは!なんて素晴らしいキッチンなんだ!くぅ~…俺に肉体があれば今すぐにでも料理を振舞うものを…!』

 

そ…そこまで悔しそうにするか…。

 

『キッチンの横にある、この冷蔵庫もいい!これだけの大きさならかなりの数を入れられる!』

「開けてみるか…?」

『勿論だ!』

 

何にも入ってないと思うけど、そこまで言うなら開けますか。

 

『なんと!奥行きがあるだけでなく、食材の種類ごとに入れられる場所があるのか!』

 

まるで新しい玩具を見つけた子供みたいに燥いでるな…。

 

『シロウの主夫スイッチが入ってしまいましたか…』

「主夫スイッチって……」

 

アルトリアの口からそんな言葉が出るとは思わなかった。

 

『それに、この部屋も素晴らしい!!』

『なんだ?よもやフェイカー、人並みに高級な部屋に憧れでも抱いていたのか?』

『そうではない!分からんか!?これだけ広い屋敷だと言うのに、隅々まで手入れが行き渡っている!!今我々がいる部屋とて、普段からあまり使用する機会は無いであろうに、埃一つとして落ちていない!これが本職のメイドの仕事と言うヤツか…!まだまだ俺も精進が足りんな…!しかし!この程度で落ち込んではいられん!』

『……貴様はそう言う男だったな…』

『流石の儂も、これは少し引くぞ……』

『…………………』

『普段から無口で意思表示しようとしない呂布さんすらもドン引きしてますよ…』

 

籠手の中は賑やかだな!おい!

 

今まで喋れなかった分、はっちゃけてるのか?

 

こうして、グレイフィアさんが呼びに来るまでずっと英霊の皆の会話を楽しんでいた。

予想外の暇潰しが出来て楽しくはあったけど。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 夕食の時間になり、私達は揃って屋敷内にあるダイニングルームに集まった。

 

非常に大きな高級感溢れるテーブルにリアスを初めとしたグレモリー眷属と客人として来ている私達、そしてリアスのご両親が席についている。

テーブルの上には至る所に高価な食器の上に豪華な食事が盛られており、どれも見た事ない料理ばかりだ。

 

(この各席に並べられたフォークとナイフは……)

 

これって確か、ちゃんとしたマナーがあった筈だよな…?

でも……さっぱり分からなにゃい…(泣)

 

(はぁ……仕方あるまい。雑種、ここは我の指示に従え)

(ギ…ギル?)

(貴様は我がマスターと認めた女だ。食事の席での無様な真似は許さん)

 

ほ…褒められた……のか?

取り敢えず助かった……。

 

ふと目を逸らして窓の外を見ると、紫色の空が暗く陰っていた。

どうやら、冥界にも昼夜の概念は存在しているようだ。

 

「リアスの眷属の諸君。そして、闇里家の方々…今日はよく来てくれた。遠慮無く楽しんでくれたまえ」

 

グレモリー卿のその一言を合図にして、食事が始まった。

 

(まずは外側のフォークとナイフを使え)

(わ…分かった)

 

外側から……ね。よし……!

 

少しだけ皆を見ると、リアスは勿論の事、朱乃と裕斗も丁寧にフォークとナイフを使って食事をしている。

きっと、リアスの眷属になるにあたって、こういった事も勉強したんだろう。

 

一方、アーシアやゼノヴィアは悪戦苦闘しながらなんとか食べていて、白音は黒歌に教わりながら食べ続けている。

ガブリエルさんとレイナーレは慣れた様子で食べている。

その動作はとても自然で、思わず心から感心してしまう程だった。

ギャスパー君はこのような場にまだ慣れないのか、涙目になりながら体を小さくしながら食べている。けど、ちゃんとマナーは守ってるんだよな…。

アザゼルさんに習っているのか、ヴァーリも慣れた様子で食事をしている。

なんか…こうして見ていると深窓のお嬢様に見える。

で、一番心配なオーフィスちゃん達はと言うと……

 

「えっとですね……まずは……」

「ん。分かった」

「なるほどな~」

「勉強になるな。ありがとう、ミリキャス」

「い…いえ……」

 

ミリキャス君に教わりながら、少しずつ食べ進めていた。

 

因みに、この場にはアザゼルさんとルシファーさん、ヤハウェはいない。

まだサーゼクスさん達との会談が終わっていないんだろう。

 

「リアスの眷属諸君に闇里家の方々。何か必要な物があったりした時は遠慮無くメイドに申し付けてくれ。すぐにでも用意させよう」

「そ…そんな…申し訳ないです」

「気にしないでくれたまえ。特に君は三大勢力共通の大英雄であり、私の大事な息子と娘の命を救って貰った恩義もある。寧ろ、この程度では少々申し訳ないとすら思っているほどだ」

 

大英雄って……そんな大袈裟な。

私は私のやるべき事をしただけなのに…。

 

「ところで……」

「はい?」

「妙にミリキャスとマユ君の妹君達が仲がいいようだが、これは……」

「あ~……」

 

なんて説明したらいいのかな…?

 

「簡単に言うと、その子達が将来のサーゼクスとグレイフィアの義娘候補よ♡」

「なんと……もうミリキャスも色恋を覚える年頃か……」

「また言ってるのね……お母様…」

 

リアス、呆れてやるなって。気持ちは痛い程分かるけど。

 

「ミリキャス」

「は…はい!お爺様!」

「お前もグレモリー家の男子ならば、傍にいる女の子を守れるぐらいにならなくてはいけないぞ?」

「わ…分かりました!」

 

こう言ってはなんだけど……オーフィスちゃん達の方がめっちゃ強いです。

完全に見た目も中身も幼女になってるから分かりずらいけど、本当は三人とも世界に名だたる龍だからね?

その気になれば一騎当千とか余裕でこなせるレベルに強いからね?でも……

 

(誰かを守りたいって思いはヒトを何よりも強くする。もしかしたら、ミリキャス君は将来的に大化けするかもしれないな)

 

こんな事を考えるようになるなんて……私も老けたかな?

 

「初曾孫はいつになるか楽しみだな」

「お父様までそれを言うのね…」

 

似た者同士の夫婦ですね。

 

「しかし……そうなればグレモリー家と闇里家は親戚同士になるのか……」

「いやいやいや!もうそこまで考えてるの!?」

 

今日はリアスがツッコむな。実家だからか?

 

「マユ君。もしもよかったら『おじいさん』と呼んで貰っても…」

「お父様。さっきからミリキャスが顔を真っ赤にして俯いてますけど?」

「おっと。流石に急ぎ過ぎたかな?」

「あら、こういった事は早いうちから考えた方が、いざという時に慌てなくて済みますわよ?」

「それも一理あるな」

「一理も二理も無いわよ……」

 

リ…リアスがツッコみ負けた…!

珍しい光景だけど面白~い。

 

「ミリキャス、大丈夫?」

「だ…だだだだだダイジョブでしゅ!」

 

あ~あ~……分かりやすくパニくって。

なんだか哀れに感じてきた…。

 

「そう言えばマユちゃん。とても丁寧に食事をしているけど、どこかで礼儀作法の類を習ったりしたのかしら?」

「これは……」

「多分、歴代の方々に習ったんだと思います」

「あら?そうなの?」

 

なんて言おうか迷っていたら、まさかの白音からの援護。

 

「はい。歴代の人達には王族や貴族の方もいましたし、習うのは容易だと思います」

「確かに、ギルガメッシュやネロ、エリザベートは間違いなく知ってると思うにゃ」

「偉大な先人のお蔭…と言う訳ね。納得だわ」

 

まぁ……正確に癖はあるけど、偉大である事は否定しないな。

 

(ククク……この女も言うではないか!歴代の中でもっとも偉大な赤龍帝であり英雄王でもあるこの我がいてよかったな!雑種よ!)

 

よっぽど嬉しかったんだな…。

いつも以上にテンションが高いし…。

 

「暫くはこっちに滞在する予定なのでしょう?」

「そのつもりです」

「今回、お姉ちゃんには普段の疲れを癒すために療養して貰おうと思っているです」

「そうか。ならばゆっくりとしていくといい。必要ならばグレモリー家が贔屓にしているエステティシャンを紹介しても……」

「だ…大丈夫です!アザゼルさんからはトレーニング禁止とだけ言われてるだけですから…。そこまでして頂くわけには……」

「先程も言ったが、遠慮しなくてもいい。ここにいる間はこの屋敷を自分の家のように思ってくれて構わない」

 

それは流石に無理がある!

 

「折角なら、私が食事の他にも淑女としての色々なマナーを教えて差し上げましょうか?」

「え?ヴェネラナさんが…ですか?」

「ええ。もしかしたら貴女もこちらに滞在している間に何らかのパーティーに参加するかもしれませんから」

「パ…パーティー?」

 

な…なんで私が?

 

「今や冥界中の有名人である赤龍女帝なら報道関係各社は勿論、他にも色んな所からお呼ばれされる事もあるかもしれないし」

「そ…そうなんですか……」

 

私の名前はどこまで広まっているんだろうか…。

知りたいと思う反面、知ったら終わりと思っている自分もいる…。

 

「療養がてら、少し勉強してもいいんじゃないかしら?決して無駄にはならないと思うわよ?」

「そう…ですね。悪くないかも……」

 

トレーニングが禁止だからと言って何もしないのは私的に嫌だし、偶には普段から縁のない事を勉強するのも悪くないかも。

ヴェネラナさんの言う通り、どこかで役に立つこともあるかもしれない。

 

「あまりやりすぎないでくださいね、お母様。療養の意味が無くなってしまうから」

「その辺りはちゃんとするから心配無用よ」

「その言葉を素直に信用で来たらどれだけいいか……」

 

完全に両親に振り回されてるな……。

その気持ち……本当によく分かるぞ!リアス!!

 

「そうだ。マユ君はフェニックス家とも交友関係があるのかな?」

「フェニックス家……ですか?」

「あぁ。かの家のライザー君がマユ君の事ばかり話していると聞いたものでね」

「あの一件以降、すっかりライザーはお姉ちゃんの虜ですものね…」

 

虜になられる方の身にもなってほしい…。

普段はあまり話に出さないけど、結構な頻度で私に電話してくるんだよ、アイツ。

 

「あのヒトはマユさんのストーカーですよ。個人的に交友があるのは妹のレイヴェルさんだけです」

「そうだったのか……」

 

レイヴェルちゃんとは確かに仲がいいよね。

そういや、いつか家に来てほしいって言っていたっけ。

こうして冥界に来ているなら、機会があれば行ってもいいかも。

 

「レーティングゲームの時に家に来てほしいって誘われてましたね」

「それはいい。向こうも既に君が冥界に来ている事は知っている筈だ。行ってみたらどうかね?その気があるなら、こちらから移動手段は提供しよう」

「その時は是非ともお願いします」

 

実に有難い申し出だ。

誘われてはいるものの、家の場所は全く知らされてないし。

 

話をしながらもちゃんと食事を続けていた私達は、その後も話しながら思ったよりも和やかな夕食を楽しめた。

気が付けば緊張も無くなっていて、リラックスして美味しく料理を食べられたよ。

 

 

 

 

 

 

 

 




原作よりは和やかな夕食になった模様。

次はどうなるかな?

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