神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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今回はモロに説明回。

しかも、私の独自解釈ばっかりで、なんじゃこりゃ状態です。

賛否両論あるとは思いますが、アホアホな私の頭に免じてご容赦を。











第70話 世界の仕組み

 三大勢力会談改め、四大勢力会談は色々な予想外のトラブルがありはしたものの、なんとか人的被害を出さずに終える事が出来た。

校舎はとんでもないことになったけど。

あれに関してはサーゼクスさんが何とかするって言っていたな。

どうする気だろうか?

ま、今考えてもしょうがないか。

 

私達は新たな同居人であるガブリエルさんを伴って帰宅。

皆はかなり草臥れたようで、帰ると同時に軽くシャワーを浴びて、即座に自室にて睡眠。

ガブリエルさんは幼女龍三人組をレイナーレと一緒にベットまで運んだ後、空いている部屋に部屋に案内した。

今度の休みの日にでも家具をまた買わないとな。

幸いな事に金銭面に関しては問題が無いのがよかった。

 

皆が寝静まった後、私はヤハウェとルシファーさんを自分の部屋に招いて、会談中に二人が言った『私を転生させた理由』を聞くことにした。

 

「今でいいのか?お前が一番疲れただろうに」

「私なら大丈夫です。確かに疲れたけど、この程度でバテるような軟な鍛え方はしてませんから」

「僕の知らないところでマユちゃんが別の意味で逞しくなっていく…」

 

なんで嘆くんだ?逞しくなるのはいいことだろう?

 

「けど、俺達の都合でお前の睡眠時間が減るのは、仮にも親を名乗る者として看過は出来ないな」

 

ルシファーさんが指を鳴らす。

すると、部屋全体が会談時の校舎のような結界に包まれた。

 

「これは時間を流れを遅くする結界だ。この中でいくら過ごしても、外での時間の経過は一分にも満たない」

「これなら、どれだけ話しても大丈夫だね」

 

……本当にチートだな。

 

「さて、どこから話そうか?」

「最初からです」

「最初……か」

 

ルシファーさんが少しだけ虚空に目線を上げた後、こっちを向いてゆっくりと語りだした。

 

「お前を態々俺達の力で転生させた理由……それはな、アラガミをなんとかしてほしいと考えたからなんだ」

「やっぱり、そうですか……」

 

なんとなく予想はしていた。

そうでもなければ、私の事を神機使いとして転生させたりはしないだろう。

 

「アラガミはいつ頃この世界に出現したんですか?少なくとも、あの大きな戦争の時にはいたように思えますけど……」

 

だって、あの三大勢力戦争の時が私の初陣だったからね。

 

「あの頃…と言うよりは、マユちゃんが初めて闘ったあの時にアラガミが初めて世に現れたんだよ」

「あの時に?」

 

あれがアラガミとの初めての邂逅だったのか?

 

「もしも、あの時にマユちゃんがいなかったら、確実にサーゼクス君達は殺されていたと思う」

「そうなれば、間違いなくこの世界も『あっち』みたいになる」

 

アラガミがいた世界の事か……。

 

「で…でも、どうして私なんですか?神機使いを求めるならば、あの世界から実力のある神機使いをこちらに召喚すればいい話じゃ……」

 

リンドウさんやソーマ、アリサとかがいい例だ。

他にも色々と思いつくけど、取り敢えずはこの三人。

 

「普通はそう思うわな。その質問は想定内だ」

「これには凄く大事な理由があるんだよ」

「大事な理由?」

 

ルシファーさんはともかく、ヤハウェが真剣な顔や口調になるのは珍しい。

それだけ重要だってことか。

 

「まずはこいつを見てくれ」

 

ルシファーさんが部屋にあるテーブルに小さな魔方陣を出現させて、そこから学校の教材として使われるタイプの天秤が出現した。

天秤の皿には小さな重しがそれぞれに10個ずつ乗っている。

 

「これは簡易的に世界の事を表している」

「これが?」

 

どゆこと?

 

「この世には無限にも等しい数の平行世界が存在する」

「パラレルワールド理論ですね」

「流石に知ってたか」

「比較的、有名ですから」

 

オタクの間では特に…ね。

 

「全ての平行世界は、この天秤のようにそれぞれを支えあって、バランスを取り合いながら保っている。けど、もしもここで他の世界から別の世界に『何か』を移動させたりしたら……」

 

ヤハウェがピンセットで片方に乗っている重しをもう片方に移動させた。

すると、当然のように天秤はバランスを崩して傾く。

 

「このように、世界間のバランスが保てなくなっちまう。唯でさえ世界と世界は奇跡的なバランスでなんとか均衡を保っているのに、それを意図的に壊すような事は出来ねぇよ」

 

世界同士の均衡…か。

 

「人間を一人二人移動させるぐらいで…って思ったかもしれないが、それが一番ヤバい」

「え?」

「自ら意思を持つ知的生命体が一体でも他の世界に移動すれば、その時点で何らかの影響を世界に与えてしまう。それはいい事もあるかもしれないけど、それは極めて稀な例だ。殆どの場合は悪影響しか与えない」

 

自分で考えて行動するから、その世界の理に反目することも可能って事か。

二次小説とかによく出てくる踏み台転生者がいい例か。

冷静に考えてみれば、『あの世界』の重要人物であるリンドウさん達がいきなり消えたりしたら大問題だ。

確かに、お互いにいいことは無いな。

 

「それなら、私の事を転生させて、この世界によこすこともヤバいんじゃ…」

「それが、そうでもないんだわ」

「はい?」

 

なんとかついて行ってるけど、段々と頭が混乱してきた。

 

「非常に極稀な事なんだが、デフォルトの状態で『何か』が欠けている状態の世界が存在したりする。本来、その世界にとって『主軸』となる存在が最初からいなかったりする世界がな」

 

主軸…?

それに、欠けている世界って…それは……。

 

「もう分かったと思うけど、今君がいるこの世界こそが、その『欠けている世界』なんだ」

「だからこそ、お前さんを遠慮無く転生させることが出来たって訳だ」

「因みに、本来の赤龍帝はお前とは似ても似つかない程の馬鹿だぜ?」

「なんせ、女の子の胸の事しか考えないエロ野郎だしね」

「あのドライグが泣き喚き、マユとは逆に歴代最弱と言われていたしな」

「れ…歴代最弱?」

 

どんな奴なんだ…。

少なくとも、女の敵であることは分かる気がする。

 

「ドライグも、お前のような美人で強い奴が赤龍帝になって、凄く嬉しいと思うぜ?」

「そ…そうですかね…」

 

ちょっと照れるな…。

 

あれ?そう言えばさっきからドライグ達が静かだけど、もしかして休んでいるのかな?

なんでも、私が寝ている時は籠手に宿っているドライグ達も一時的に休眠状態になって休んでいるらしいし。

 

「でも、この世界が幾ら『欠けている世界』だったとしても、転生者を送ることはいいんですか?私がいた世界の均衡が保てなくなるんじゃ……」

「それも大丈夫だ。死んだ人間ってのはな、謂わば『世界から弾き出された存在』なんだ。命を失って魂の状態になった時点で、世界への干渉は出来なくなる」

「よく幽霊が出てきて『うらめしや~』ってしてるけど、あれはフィクションだから。幾ら力が強くても、『世界』が存在を許さないから、最終的には消滅してサヨウナラ…だよ」

「それが俗に言う『成仏』だ。そいつはもう『世界の一員』じゃないんだからな。死者には死者に相応しい場所がある」

「冥界とかですか?」

「なんでそこで『天国』って出ないんだ?」

「いや…なんとなく」

 

周囲に悪魔が多いせいかな?

真っ先に冥界って言葉が出てしまった。

 

「僕達にもよく分からないんだけど、そこはよく『円環の理』って呼ばれてる」

「えんかん……?」

 

よくわからん。

なんとも中二臭溢れる言葉だこと。

 

「転生者ってのは、その円環の理に魂が行く前に呼び寄せて、新たな肉体を与えられた奴の事を言うんだ」

「じゃあ、私も?」

「そう。僕が君の魂を呼び寄せて、今の肉体を与えたんだ。エッヘン!」

 

感謝はするけど、どうしてそこで胸を張るの?

そこそこ大きい胸が強調されて、白音が見たら怒りそうだ。

 

「まぁ、その為に僕達も色々とやっちゃったけど、それに関しては後悔は無いよ」

「いずれツケを払う事にはなるだろうが、それは俺らが責任を取ればいいだけの話だ」

「…………」

 

責任…か。

 

やっちゃったって、多分…歴代の赤龍帝の事を言ってるんだろうな。

ギルやネロ達もそんな事を言っていたし。

 

あの時は皆はヤハウェを怪しいと言っていたけど、今はそう思わない。

だって、この二人から悪意なんて微塵も感じないから。

 

「お前には本当に様々な物を背負わせちまった。お前の親を名乗っておきながら、なんとも情けない限りだ」

「全くだね……。僕達は聖書の神と原初の魔王。本来なら僕等がしなくちゃいけない事を君に押し付けた。本当にゴメン…」

 

…そんな顔をしないでくれよ…。

そんな風な悲しそうな顔をされたら…私は……。

 

「大丈夫だ」

「「え?」」

「私をこうして転生させたのは、そうする絶対的な理由があったから。少なくとも、道楽で転生させたんじゃないって分かっただけでも嬉しいよ」

「マユちゃん……」

「それに、この世界にアラガミがいる以上、否が応でも神機使いの力が必須となる。他の世界から神機使いを連れてこられないから、私のような『転生者の神機使い』が」

 

多分、これは二人にとっても苦肉の策だったんだと思う。

そうでなければ、あんな顔は出来ない。

 

「だから…気にしてない。私が二人の立場でも同じ事をしたよ」

「はぁ……ったく……」

 

あ、ルシファーさんに頭を撫でられた。

 

「俺等には勿体無い程に出来た娘だよ、お前は」

「僕の目は節穴じゃなかったってことだね~。僕ってエラい!」

「自分で言ってたら世話ないぞ、ヤハウェ」

「マユちゃん、ひど~い!」

「「あははははは……」」

 

久し振りに心から笑った気がするな…。

 

「こっちの勝手でクレイドルなんて組織を作って、お前をトップにしちまったけど、組織の運営は俺等に任せろ」

「君だって、今更後方に下がって指揮官職に就くなんて嫌でしょう?」

「まぁ……」

 

寧ろ、私には向かないでしょう。

人にはそれぞれに『適性』がある。

物語上は『闇里マユ』は将来的にクレイドルをソーマやアリサと一緒に設立したかもしれない。

けど、そんな彼女もずっと後方で指揮をしていたわけじゃない。

すぐに彼女は世界に旅立って、様々な物を発見して人類に貢献した。

ならば、己が作り上げた『闇里マユ』に成った私にも同じ事が出来る筈だ。

 

私に出来るのはいつでも『剣』を握って戦うだけ。

それしか出来ない…不器用な女。

 

「私はこれからも戦い続ける。大切な人達と、この世界を護る為に。私がこの世界で出会った……皆と一緒に」

 

それこそがきっと、私に課せられた本当の使命。

この世に『運命』と言うものがあるのだとしたら、私が前世で死んで転生する事すらも最初から『予定調和』だったんだろう。

これが私と言う『魂』が存在する意味。

私はこの為に誕生した。

今ならば、そう確信できる。

 

「だから…その……これからもよろしく頼むよ……お父さん…お母さん…」

「「……!?」」

 

やっぱり恥ずかしいな……。

初めてこの二人の事を名前以外で呼んだけど、めっちゃ顔が熱い…。

 

「おう!」

「当然!」

 

この日、私達は本当の意味で『家族』になれたような気がした。

 

私の『物語』は、まだ続いていく。

 

 

 

 

 




「そう言えば、私以外にも転生者っているんですか?」
「いや…俺は知らないな。ヤーちゃんは?」
「僕も知らな~い。でも、僕等が知らないってだけで、決していないとは言えないね」
「だな。俺達が知らない所に『欠如』があって、そこに『誰か』がいても不思議じゃない」
「あくまで『可能性』の話だから、軽く流してくれていいよ」
「分かったよ。(なんか…今この瞬間にフラグが立ったような気がするのは私の気のせいかな…?)」

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