神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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今回のテーマは『飯テロとおねショタ』です。

では、どうぞ。


第4話 剣を宿す少年

 誰しも一度は、衝動に駆られる事がある筈だ。

衝動買い、衝動的に誰かを殴る、衝動的に体を動かす、そして…衝動的に何かを食べる。

今の私がまさにそれだった。

 

外でのランニングを終えた私は、急にラーメンが食べたくなり、近くにあった中華料理店に足を運んだ。

 

商店街の端の方にあり、店の佇まいはなんともシックな感じ。

昭和臭漂う店内だったが、こんな店こそが意外な穴場だったりするのだ。

 

中に入った私は、空いていたカウンター席に座る。

ドライグには、何か言いたいことがあれば念話的なもので頭に直接言うように言っている為、こんな場所でも遠慮無くドライグとは会話が出来る。

 

壁に掛けられているメニューを見て、まずは妥当な線で行くことにした。

 

「ラーメン。麺は…バリ堅で…」

「へい。ラーメン一丁」

 

ラーメンが来る前に、まずは近くにあったコップにお冷を入れる。

 

午後三時に迫った店内には、ポツリポツリとしか客がいない。

もう少し早ければランチに間に合ったかもしれないが、この時間にはこの時間なりの良い所もある。

 

「ラーメン、お待たせしました」

 

オッ、やっぱり早い。

 

出来立てのラーメンが私の前に置かれる。

半熟卵に海苔、キクラゲ、チャーシュー2枚と具が充実している。

転生してからこっち、アラガミとの戦闘やトレーニング、勉強などであまり外食などする暇が無かったが、世界が変わってもラーメンだけは変わらないなぁ…。

 

ここの店は薬味が揃っているのがまたいい。

カラシ高菜に紅ショウガ、そしてスリゴマ。

 

まずはスリゴマで頂こう。

私はスリゴマが入った容器を手に取り、ラーメンに振りかける。

 

紅ショウガは欠かせないけど、味が変わる位入れるのは戴けない。

 

カラシ高菜はひとまず置いといて、取り敢えず……

 

「いただきます」

 

割りばしを口で割って、まずは一口。

 

うん、実に美味。

 

この麺の歯ごたえに豚骨なのに全然しつこくない独特のスープ。

だが、ここは麺食に専念しよう。

 

(あ…相棒…)

(何?)

(今、俺の中で相棒のイメージが凄まじいスピードで変化しているぞ…)

(そう?)

(まさか、相棒が食レポの真似事をするとは思わなかった…)

(別に真似しているつもりは無いけど)

 

美味しいものを美味しいと言って何が悪い?

 

しかし…食う程に葱の香りと紅ショウガのアクセント、キクラゲの食感のお陰で全く飽きが来ない。

 

独特と言えば、このチャーシューもそうだ。

 

既存の店での歯ごたえを期待していると、いい意味で裏切られる。

 

ああ…

 

「蕩ける…」

(心の底から幸せそうだな…相棒)

 

いかなる技術か、口の中に入れた瞬間に淡雪のように消えていくチャーシュー。

舌に残るのは肉の旨味のみ。

 

こうして、あらかた麺を片付けたならば、すかさず…

 

「替え玉」

「替え玉一丁ォ」

 

替え玉とは、博多ラーメンによくある麺のみのおかわりシステム。

新鮮な気分で大盛り感覚が楽しめる。

 

ココでカラシ高菜を投入。

味が更に引き締まる。

 

麺とスープの絶妙なハーモニーを再び堪能し、私の空腹は完全に満たされた。

 

「お勘定」

「550円です」

 

むぅ…安いな。

 

店を出て、体を伸ばしてから空を見上げる。

 

「トンコツ…かぁ…」

 

ふと、新しいドリンクのフレーバーを思いついた、そんな一日だった。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 とある国のとある雪山。

明らかに薄着の、疲労困憊と言った感じの少年が必死に雪道を走っていた。

 

少年は、つい先程までとある違法研究所にいた。

彼とその仲間達は、とある実験のモルモットとして研究所にいたのだが、研究が行き詰ったが故に彼等は毒ガスにて殺処分されそうになった。

 

しかし、仲間達の必死の助けによって、なんとか彼だけが逃げ出すことに成功したのだ。

 

怒りと憎しみ、悲しみと罪悪感が入り混じりながらも、少年は仲間達の想いを無駄にしない為に必死に駆ける。

 

だが、碌な防寒着も着ないで雪山を走ったりしたら、必然的に体力を大きく消耗する。

 

結果として、彼は途中で力尽き、雪に埋もれながら倒れてしまう。

 

そして、そんな彼に近づく一つの影。

 

例の如くアラガミだが、少しだけ見た目が違った。

 

やって来たのはオウガテイル。

だが、その体色は青く変色しており、まるで雪山に適応しているかのようだった。

それもその筈。

これは堕天したオウガテイルで、雪山のような寒冷地に適応した種なのだ。

氷属性の攻撃を得意とし、通常のオウガテイルよりは能力も少しだけ強化されている。

 

オウガテイル堕天が少年を見つけ、その口を大きく開けた…その時だった。

 

「死ね」

 

深紅に染まった三又の槍がオウガテイルを貫いた。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 あ…危なかった…。

ギリギリのところで駆けつけることが出来た。

あと少し遅かったら、この男の子はオウガテイルに丸飲みにされていたよ。

 

今回の服装はF防寒(ネイビー)の上下セット。

足長おじさんが急に防寒着を着ろと言って来たので、急いでこれに着替えた。

変だなぁ…と思っていたが、こういう事だったのか。

だったら先に言ってくれればいいのに。

 

神機はなんとなくチャージスピアのプリンケプス。

理由は使ってみたかったから。

 

「ドライグ」

『この子供ならまだ生きている。だが、生命力が急激に低下していっている。このままでは時間の問題だろう』

「そう」

 

こんな雪山でこんな薄着でいたら、そりゃ当然だな。

けど、なんでこんな場所でこんな格好を?

絶対に事情があるんだろうけど、まずはこの子を助けないと。

 

私はゆっくりと子供の身体を抱えて、その場からゆっくりと移動をする。

神機は赤龍帝の籠手の中に収納した。

 

「どこか…横穴があれば…」

 

まずは暖を取らないと。

このままじゃこの子が凍死してしまう。

 

『相棒…その子供を助ける気か?』

「そうだが?」

『何故助ける?お前にそんな義理は無い筈だ』

 

何故助ける…か。

そんなの、理由は一つでしょ。

 

「目の前で消えようとしている命を見捨てる事なんて出来ない」

 

これは人道的な問題だ。

効率とか、義理とか関係無い。

 

『そうか…』

 

ドライグ?

どうしたんだ?

 

『…ここから5メートル程行った先に丁度いい大きさの横穴がある』

「え?」

『急げ。時間が無いぞ』

「…わかった。…ありがとう」

『礼などいらん。いいから急げ』

「ああ…」

 

なんか…ドライグがデレた?

 

「しかし…どうやって分かった?」

『龍とは森羅万象の頂点に君臨する生物だぞ?これぐらいは造作もない』

「流石はドライグ」

 

古来より、龍とは神と同一概念とされてきた。

しかも、高位なる龍は強大な魔力を宿すと言われている。

まさに高位なる龍であるドライグには、これぐらいは朝飯前なんだろう。

 

『…見えたぞ』

「あそこか…」

 

ちょっと雪で見えにくくなってるけど、確かに横穴がある。

大きさも悪くないし、これならなんとかなりそうだ。

 

私は急いで雪を掻き分けて、穴に入る。

 

奥行きはそこそこ。

広さもいい感じ。

私は男の子をゆっくりと地面に寝かせた。

 

「ドライグ。火の玉的なものは作れる?」

『可能だ』

「じゃ、お願い」

『分かった』

 

赤龍帝の籠手を穴の中央付近に掲げる。

すると、籠手の宝玉から火の玉が出現し、宙に浮いた状態でその場に留まる。

 

「この火の玉に結界は張れる?」

『当然だ』

 

火の玉が赤く薄い球状の結界に包まれる。

 

『これで、風や外気で火が消えることななくなった』

「ありがとう」

 

取り敢えずの暖は確保した。

次に私は自分の防寒着を脱いで、男の子に掛けた。

因みに、防寒着の下にはF制式制服(グリーン)だ。

 

さて、後は周囲の安全の確保だけだな。

 

『相棒?どこに行くつもりだ?』

「周囲の安全を確保する。まだアラガミがいるかもしれない」

 

少し心配だが、アラガミを排除しないと本当に安全とは言えない。

 

私は周囲を探索するために、一旦穴から出ることにした。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 僅かな寒さと、暖かい光に照らされて、僕は目を覚ました。

 

「ここは…?」

 

確か僕は、あそこから命からがら逃げ伸びて…そして…

 

「…うまく思い出せない…」

 

もしかして、あの後に気絶でもしてしまったのだろうか?

それなら…ここは一体…?

 

今僕がいるのは、少し小さめの洞窟のような場所。

大人が2~3人ようやく入れるぐらいの大きさだ。

 

そして、洞窟の中央には赤く丸いものに覆われた火の玉が浮いていた。

 

「これは…魔法?」

 

ふと触ろうとしたが、火傷するかもしれないと思い、やめることにした。

 

その時、自分の身体を包んでいる物に気が付いた。

僕の身体は、厚手の防寒着のような物に包まれていた。

これと、この火の玉のお陰で、僕は凍死せずに済んだのか…。

 

「でも…一体誰がこんな事を…」

 

誰かは知らないが、ちゃんとお礼を言わないと。

 

そう思っていると、洞窟の入り口に誰かがやって来た。

 

「…起きた?」

 

それは、黒い髪と赤い腕輪、深紅の籠手が特徴的な絶世の美女だった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 結局、オウガテイル堕天は周囲に3体程徘徊していた。

勿論、そいつらは根こそぎ狩りつくしたが。

 

その後も周囲を見回った結果、もう大丈夫とドライグと判断し、私はあの穴に戻ることにした。

 

穴に戻ると、既に男の子が起きていた。

ブロンドの髪が眩しい美少年で、将来は女泣かせになるであろう事は容易に想像が出来た。

 

「あ…貴女は…」

「私は…」

 

慎重に事情を説明しようとすると、ドライグが割り込んできた。

 

『感謝しろよ小僧。今代の赤龍帝が直々に貴様を救出したのだからな』

「ド…ドライグ…」

 

ほらぁ~。

いきなり話すから、あの子ってば驚いちゃってるじゃん~。

 

「あ…貴女が噂に聞く、伝説の二天龍の一角を宿すと言う人間…」

『ほう?知っているか』

 

あ…あれ?

何で知ってるの?

 

「まさか…こんなに綺麗な人だったなんて…」

「……っ!?」

 

き…綺麗って…。

なんか恥ずかしいな…。

 

顔を赤くしながら、私は穴の中に入る。

 

「大丈夫?怪我は無い?」

「は…はい。大丈夫です…」

 

穴の中はお世辞にも広いとは言えない為、必然的に私達は引っ付く形になる。

気のせいか、男の子の顔が赤い。

 

「あの…ありがとうございます。僕を助けてくれて…」

「困っている人を助けるのは当然の事」

「優しいんですね…」

 

なんだろう…男の子が震えてる?

もしかして、寒いのかな?

一応、雪で入り口は防いできたし、火の玉もあるから大丈夫だと思ったけど、もしかしたら低体温症になっているのかもしれない。

 

このままではいけないと判断した私は、男の子を優しく抱きしめた。

 

「え…ええっ!?」

「体が冷えている時は、人肌で温めた方が効率がいい」

「は…はいぃ…」

 

やっぱり冷えてる。

もう暫くはこのままでいよう。

 

その後、私は男の子から色んな話を聞いた。

彼はとある研究所にいたらしく、そこで色んな実験の被験体になっていたらしい。

それだけで内心、怒りでおかしくなりそうだったのに、更に研究者達は更なる仕打ちを彼等にしたらしい。

研究が行き詰まり、彼等全員を殺そうとしたとの事。

 

「許せない…!」

 

人の命をなんだと思ってるんだ…!

どんなに小さな命でも、無駄に死んでいい命は無いんだぞ!

 

無意識のうちに拳を握り締めていて、掌から血が流れていた。

出来れば実験の内容を聞きたかったが、この雰囲気でそれを聞くほど、私は腐れ外道じゃない。

 

その後、彼は仲間達によって命懸けで助けられたが、その途中で力尽き、今に至るらしい。

 

話しながら、彼はずっと泣いていた。

そんな彼を、私は抱きしめ続けた。

こんな行為でも、少しでも彼の悲しみを癒せるならと思って。

 

気が付いた時には、彼は泣き疲れて眠ってしまっていた。

私はそんな彼を抱きしめたまま、ポケットの中から縮小式の寝袋を出して、彼と一緒に入った。

その際、彼の服を脱がし、同時に自分の服も脱いだ。

左腕の手袋は外さなかったけど。

 

『お…おい?なんで服を脱ぐ?』

「こうした方が彼をより温められる」

『いや…それは解る!解るが……』

「なに?」

『お前に羞恥心は無いのか!?少しは恥ずかしそうにしろ!!』

「状況を考えて」

 

人の命が掛かってるんだよ?

贅沢は言ってられないでしょ。

 

彼を胸に抱きしめながら、私も静かに眠りについた。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 翌朝、互いに裸になっていたので、起きた瞬間に彼の顔が瞬間沸騰したが、なんだかそれすらも可愛く見えてしまった。

う~ん…本格的に精神が女寄りになってきているのか?

別に気にしないけど。

 

雪はまだあるが外は快晴で、今のうちにこの山を下りることにした。

彼に防寒着を着せたまま移動し、私の事を逆に心配されてしまった。

けど、神機使いは基本的にオラクル細胞で周囲の環境に適応出来てしまう為、ぶっちゃけ平気だったりするのだ。

 

途中で空腹になってしまい、二人で非常食(レーション)を食べた。

思ったよりも好評で、美味しそうに食べてくれた。

 

途中ではアラガミは一切現れず、安全に下山出来た。

道すがら、彼と色んな話をした。

私の好きなモノや、普段は何をしているのかとか。

話に夢中になって、私の名前を聞こうとはしなかったが、ある意味諦めた。

 

そして、山を無事に降りた私達の前に、中規模ぐらいの町が現れた。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「着いた…」

「奇跡みたいだ…」

 

ようやくちゃんとした場所に辿り着いた。

けど、重要なのはここからだ。

まずはこの子を預かってくれる人、もしくは施設を探さないと。

 

そう思って、私は周囲を見てみる。

すると、なんか見た事のあるような人がいた。

しかも、向こうもこっちに気が付いて、なんか慌てるように走って来た。

 

「き…君がどうしてここに!?」

「それはこっちのセリフ」

 

出会ったのは、いつぞやの赤い髪のイケメンのお兄さんだった。

確か…名前は……

 

「サーゼクス…だったか」

「僕の名前を憶えてくれていたのかい!?嬉しいなぁ…」

 

なんか子供のようにはしゃぐお兄さん…サーゼクスさん。

高級そうな赤い防寒着を着て、その額には僅かにだが汗が見えた。

 

「もう~!急に走らないでよ!お兄様!」

 

後ろから走ってきたのは、前に助けた赤い髪の女の子。

サーゼクスさんと同じように赤いジャンバーを着て、赤い耳当てを付けていた。

 

「あっ!あの時のお姉ちゃん!」

 

私に気が付いた女の子は、嬉しそうに近づいてきた。

 

「どうしてここに?」

「僕は仕事だよ」

『仕事だと?どうして貴様のような立場の者が出張のようなことをしている?』

「単純に人材不足なだけだよ。先の大戦で多くの人材が失われた。だから、僕が他の仕事を兼任しなくてはいけないんだよ」

「そうか…」

 

確か、この人は魔王だってドライグが言ってたな。

今時の魔王は外交官のようなこともしなくてはいけないのか。

なんか、世知辛いな。

 

「そのついでに、リアスに外の世界を見せようと思ってね。こうして連れてきたんだ」

「そうなの!」

 

妹さんの見聞を広ませようと考えるなんて、いい兄をしてるなぁ…。

そっか…この子の名前はリアスって言うのか…。

覚えておこう。

 

「それで、君の方はどうしてこんな場所に?」

「私は…」

 

私は、今までの出来事を出来るだけ事細かく話した。

ついでに、私の手を握っている彼の事も。

 

「そうか…そんな事が…」

 

サーゼクスさんは、まるで自分の事のように悲しそうな顔をした。

 

「にしても、君は本当に色んな場所に現れて、色んな者を助けるんだね。最初は僕達を、次はリアスを、そして今はその男の子を」

「困っている者を助けるのは当然の事」

「そうか……君はそう言う人だったね…」

 

ん?次はなんか嬉しそうだぞ?

喜怒哀楽が激しい人だな。

あ、魔王か。

 

「そうだ。丁度いい」

「ん?どうしたんだい?」

「貴方に…頼みたいことがある。この状況では、多分貴方にしか頼めない事だ」

「君の頼みとあらば、なんだって聞くよ!」

 

うん…分かったから、顔を近づけないで。

なんか、気恥ずかしいから。

それに、男の子が凄い形相でこっちを見てるから!

 

「この子を…預かってほしい」

「えっ!?」

 

ま、当然の反応だよな。

うん、わかってた。

 

「この子に…人並みの生活をさせてあげて欲しい」

 

彼は今まで充分なほどに頑張った。

だから、そろそろ幸せになってもいい筈だ。

 

「君と言う人は…本当に…」

 

ちょっと…なに嬉しそうにしてるのさ?

私ってそんな反応されるような事を言った?

 

「わかったよ。彼の事は、グレモリー家で預かろう」

「お願い」

 

私は彼の手を離して、サーゼクスさんの所に移動させる。

 

「お…お姉さん!僕は…」

「君の気持ちは解る」

 

サーゼクスさんが男の子の頭に手を添えて、諭すように話す。

 

「彼女には大事な使命がある。それを僕達の我儘で邪魔してはいけない」

「うぅ…僕は……」

 

あ…泣き出してしまった。

 

「君も男の子なら…分かるね?」

「は…い……」

 

泣きながらも、服の裾を握りながら必死に耐えている。

男の意地ってヤツかな?

 

「お姉さん!」

「は…はい?」

「僕…強くなります!強くなって、いつの日か必ずお姉さんに会いに行きます!!」

「…分かった。待ってる」

 

ふふ…なんか、彼の将来が楽しみだ。

そんな事を考えていると、毎度のように足元に魔法陣が出現する。

 

「ふむ…時間のようだね」

「ああ」

「これは…?」

「この魔法陣は、彼女が戻る際に現れるものだ。それが出現したという事は…」

「お別れ…なんですね?」

「ああ…」

 

なんか、今回に限り空気を読んだって感じ?

いつもこんな感じだったらいいのに。

 

「また会える日を楽しみにしているよ」

「こちらもだ」

「お姉ちゃん!また会おうね!」

「うん。リアスも元気で」

 

男の子が、名残惜しそうにこちらを見つめる。

その目には、涙が浮かんでいる。

 

「君が望めば、きっとまた会える」

「はい……」

 

またこれを言っちゃったよ…。

なんの根拠も無いのに。

 

「また…いつの日か」

「はい…。必ず…」

 

その言葉を最後に、私の身体はその場から消えた。

 

今思えば、今回って今までで一番長くいたんじゃ?

今後もこんな事があるんだろうか?

だとしたら、ちゃんと準備はしておかなくちゃな。

 

さて…次はどんな出会いがあるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか、7000字オーバーしちゃいましたね。

もうちょっと短めに抑えるつもりでしたが、理想と現実は違いますね。

さてはて、次にオリ主と出会う原作キャラは誰でしょうか?

では、次回。

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