少しは執筆活動にも集中できるかな…?
ルシファーさんの驚愕の提案によって、サーゼクスさん達が私の家に泊まる事になった。
二人を連れて帰宅した時、黒歌とレイナーレが滅茶苦茶驚いていた。
肝心の二人は普通にしていたけど。
ちゃんとルシファーさんも一緒に帰宅した。
ルシファーさんの提案だと言ったら、二人揃って目を丸くしていた。
因みに、幼女ドラゴン達は何にも気にせずに魔王夫婦と仲良くしていたけど。
一緒に夕食を食べて、夕飯の出来にグレイフィアさんは黒歌とレイナーレの事を褒めていた。
多分、メイドとして同じ女として色々と思うことがあったんだろう。
サーゼクスさん夫婦には空いた部屋を提供しようとしたのだが、ルシファーさんの提案によって、彼とサーゼクスさんが一緒の部屋になって、グレイフィアさんはなんでか私の部屋に泊まる事になった。
別に私としては構いはしない。
決して狭い部屋じゃないし、同性だから気にすることはないし。
我が家の女性陣は凄い顔をしていたけど。
特にリアスと黒歌は。
で、そのまま夜になった。
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闇里家の一部屋。
月明かりだけが照らすその部屋に、サーゼクスとルシファーはいた。
二人は丸いテーブルを挟んで座っていて、彼等の前には一杯のブランデーがあった。
「こうしてお前と酒を飲むなんて、マジで久し振りだな」
「そうですね…。もう何百年もこうして貴方とは会っていない……」
いつもは現魔王として威厳に溢れているサーゼクスも、初代魔王であるルシファーの前では単なる青年になっていた。
「んじゃ、乾杯でもすっか」
「なんにですか?」
「そりゃ勿論、俺の美人の妻と可愛い娘達にだよ」
「あはは…。貴方らしいですね」
グラスを持つと、徐にそれをコツンと響かせた。
そして、グイッと飲む。
「ふぅ……。焼酎も悪くは無いが、ブランデーもいいな…」
「そんなにもお酒を飲んでいるんですか?」
「まぁな」
ニヤリと笑ってからもう一口。
「……一つ…お聞きしてもよろしいですか?」
「なんだ?」
「何故あなた達は彼女の…マユ君の両親になったんですか?」
「あぁ……それか」
ルシファーは空に浮かぶ月を見た。
「アラガミを倒すためとはいえ、俺達はあの子を仲間達の元から離してしまった。これを『仕方ない』の一言で片づけるつもりはなかった。だから、せめて俺達はあの子の為にどんな事でもしてやろうと思った……そんだけさ」
「ルシファー様……」
遠い目をして話すその姿は、嘗て悪魔達の頂点に君臨した魔王ではなく、娘の事を想うただ一人の父親だった。
サーゼクスも結婚して子供を持つ身。
それ故に、彼の気持ちは痛いほど分かった。
「あと、こんな事も考えてないか?『なんで自分達の前から姿を消したのか?』って…」
「……貴方には本当に敵いませんね…」
「当たり前だ。舐めんじゃねぇぞ」
カラン…とグラスの中の氷が音を立てる。
「そこら辺に関しては会談で話してやる」
「え?お二人も会談に出席なさるんですか?」
「おいおい……娘達が出るってのに、親である俺等が出ない理由は無いだろう」
「そう…ですね…」
思わぬゲストの存在に、会談が想像以上に波乱に満ちそうだと思ったサーゼクスだった。
「それとな、これだけは言っとくぞ」
「な…なんですか?」
ズイっと前に乗り出してきたルシファーに、思わず仰け反るサーゼクス。
「マユの事を眷属にしようなんて考えんなよ?もししたら、その時は…」
「そ…それはもう、とっくの前に諦めましたよ。彼女達……無限の龍神や赤龍真帝が『妹』になった時点で…」
「しかも、あのティアマットを使い魔にしちまったしな」
「はい。…彼女は一体どこまで強くなるんでしょうね…」
「どこまでも…だろうよ。なんたって、アイツが戦っているのはアラガミだが、今はそれ以外にも敵は多い。文字通り、無限に強くなっていくんじゃねぇか?」
「冗談には聞こえませんね…」
「冗談じゃねぇしな」
それからも、二人は色んな事を話した。
この時だけは、魔王と言うしがらみから解放された様な気がしたサーゼクスだった。
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どうも、こんばんは。毎度お馴染み闇里マユです。
突然ですが、いきなり大ピンチです。
「いいから、早く見せてください」
「い…いや…その……」
なんか知んないけど、私の部屋に招いたグレイフィアさんに言い寄られています。
どうしてこうなった?
「リアスから既に聞いているんです。だから、早く見せてください」
「あの……何を…ですか?」
「貴女の…左腕です」
「あ……」
そう言う事ね…。
「でも…いいんですか?お世辞にも見ていて気持ちのいい物じゃ…」
「別に構いません。私が見たいと思ったんですから」
「はぁ……」
多分、このまま問答を繰り返していても意味無いだろうし…。
「分かりました…」
どうせ、例の会談で見せる羽目にはなりそうなんだし、それが多少前後するだけだ。
私は普段から左腕に着けっぱなしにしている腕袋を外して、アラガミに浸食された腕を見せた。
「こ…これは……」
だから言ったのに……。
普通に考えても、初見でこれを見るのはかなりきつい筈だ。
「触ってみても…?」
「どうぞ」
「では……」
恐る恐ると言った感じでグレイフィアさんが私の左腕を触る。
なんか…くすぐったい。
「固いんですね」
「まぁ…それなりに」
「それに…ゴツゴツしてます」
うぅ……筋肉質って言われてる気がする…。
「こうなったのは、貴女が仲間を助けようとした結果だと聞いていますが……」
「はい。その通りです」
「後悔は……しなかったのですか?」
「全く。後悔する理由がありません」
だって、リンドウさんを助ける為だったし。
「しかし…同じ女性として、このような姿を見るのは非常に辛いものがあります…」
「戻しましょうか?」
「い…いえ。そんな意味で言ったのでは……」
気を使わせてしまったかな…。
「はぁ……リアスや黒歌さんからある程度の話は聞いていましたが、まさかここまでとは…」
「はい?」
何がですか?
「貴女は…御自分の事を無下にしすぎです。どうしてそこまで無茶が出来るんですか?」
「それは……」
自分がそんな人間だから…としか言えないんだよなぁ…。
「この左腕だけじゃない…」
左腕から手を放した後、今度は右手を手に取った。
「一見して綺麗に見える、この右腕も…よく見れば細かい傷が沢山あります。ここだけじゃない。貴女の体全体にそんな傷が無数に存在する…」
まぁ…完全に治癒するわけじゃないしね…。
アーシアに頼めばいいんだろうけど、彼女にばかり頼るわけにはいかないし…。
「そんな貴女を見ていると…こちらも痛々しい気持ちになります…」
「グレイフィアさん……」
これが人妻の包容力ってヤツか……。
不思議と甘えたくなってしまうな…。
実際にはしないけど。
(こ…これは…!この状況でとんでもない強敵出現ですか!?現役の人妻とか、それなんてエロゲーですか!?)
(ぐぬぬ…!余は…余は諦めんぞ~!)
(こ…子リスが…私の子リスが……)
(マ…マスター…。いや、私にはシロウが……)
うん。色々と五月蠅いですから。
聞こえないようにしてるつもりだろうけど、私には丸聞こえだからね?
「貴女が傷つけば、リアスが…黒歌さんが…皆が悲しみます。お願いですから、これからはもう少し、自分の事を大事にしてください」
「そう…ですね。分かりました。私としても、皆の悲しむ顔は見たくない」
「是非ともそうしてください。………私も、そうして欲しいですから…」
ん?最後の方…なんて言った?
「マユさん。少し…我儘を言ってもよろしいでしょうか?」
「なんですか?私に出来る事ならなんでも」
「……一緒に寝てもよろしいですか?」
「………え?」
一緒に……寝る?
「駄目…ですか?」
「い…いやいやいや!貴女は人妻でしょう!?」
「同性だからセーフでは?」
「そう言う問題ですか!?」
悪魔の女性には恥じらいが無いのか!?
いくら同性でも、こんな美人と一緒にベットに入るとか、こっちの方が緊張するわ!
……な~んて訴えは全く通じず、結局はグレイフィアさんと一緒に寝る事になった。
最初は案の定、緊張しまくりだったが、最終的にはちゃんと寝れた。
やっぱり人間たるもの、三大欲求には抗えないのだろうか?
起床した時、グレイフィアさんが私に抱き着いていたのには本気で驚いたけど。
…もしも、この光景を黒歌や白音、リアスとかに見られたりしたら……。
考えたくもないな…。
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次の日にはサーゼクスさん達は家を出てホテルに向かった。
なんでも、数日間もこの家の世話にはなれないらしい。
でも、どこかテンションが上がっているように見えた。
昨日の夜、ルシファーさんと何を話したのかな?
今日は丁度土曜日。
週休二日制により、今日は学園は休み。
今、私達は……
「滑らないように気を付けるのよ~」
「了解だ」
絶賛、プール掃除に勤しんでます。
実はこれ、生徒会からの依頼だったりする。
どうやら、前に『なんでもする』と言ったのを覚えていたようだ。
でも、その代わりに掃除が終わり次第、一番最初にプールに入っていい事になっている。
モップ片手にゴシゴシしてます。
思ったよりもヌルヌルとしてますなぁ~。
「あの…先輩……」
「なんだ?祐斗」
「その……非常に姿が見づらいです……」
え?なんで?
「裕斗ってば…お姉ちゃんに欲情でもしてるの?」
「えっ!?いや…その……」
「服の下から透けている水着と言うのは、それはまた独特の色気がありますものねぇ~」
「裕斗先輩がむっつりスケベだったとは……幻滅です」
「白音ちゃん!?」
そう、私達は今、体操服の下に水着を着ると言う格好でいる。
これはリアスの提案で、掃除の後にプールに入れるのならば、下に水着を予め着ておけば着替える手間が省けると言うのだ。
それに従うような形で、私達は水着を着た後に、その上から体操服(上のみ)を着た。
でも、プール掃除なんてしていたら、嫌でも水には濡れる。
だから、必然的に体操服の下に着ている水着が透けてしまうのだ。
え?私がどんな水着を着ているのかだって?
それはまだ秘密だ。
けど、一つだけ言っておくなら、白音とアーシアは学園指定のスク水だ。
なんでも、白音は水着にそもそも興味が無かったらしく、アーシアはこっちに来てから水着を買いに行ったことが無いらしい。
う~む…ちゃんと水着も買ってあげるべきだったかな…?
「はははははははは!なんだか、思ったよりも楽しいな!」
「ゼノヴィア……楽しそうだな…」
「元から体を動かすのが好きなんじゃないでしょうか?マユさんと一緒のトレーニングも楽しそうにしてますし」
「かもしれないな……」
アラガミの討伐に連れて行ってから、ゼノヴィアは積極的に私の日頃から行うトレーニングに付き合うようになっていった。
最初は簡単にばてていたが、最近はなんとかついてこれるぐらいにはなっている。
やっぱり、教会で聖剣使いなんてことをやっていたら、かなり体力はつくのだろうか?
さっきからずっと、テンションMAXの状態で端から端まで全力疾走でモップ掛けをしている。
あんなにもスピードを出して、よく滑らないな。
ちゃんと重心を真ん中にしているのかな?
(くそ…!先輩の水着姿は見たい!けど、ここでもしもそんな事を言ったら、確実に変態扱いされてしまう…!)
裕斗はさっきから何か悩んでいるし。
皆、余裕があるせいかはっちゃけてるなぁ~。
出来れば黒歌達も連れて来たかったけど、休みの日とは言え学園に部外者は入れられないだろうし…。
「けど、ソーナも粋な事をしてくれるわね」
「ええ。お姉ちゃんの水着姿をいち早く拝めるなんて、本当に嬉しいですわ」
私の水着姿なんて見て、何が楽しいんだ?
全体的に筋肉質だし、お腹とか腹筋割れてるんだぞ?
今時いるか?腹筋が割れた女子高生って…。
「そう言えば、お兄様がお姉ちゃんの水着姿の写真が欲しいとかって言ってたわ」
「あらあら。仮にも既婚者でしょうに」
「グレイフィアが知ったら、雷が落ちるだけじゃ済まないでしょうね…」
…マジ切れしたグレイフィアさんってどんだけ怖いんだよ…。
「アーシア。疲れてないか?」
「はい。これぐらいなら大丈夫です」
「そうか。でも、疲れたら遠慮せずに休んでいいからな?」
「分かりました。……やっぱり、マユさんは優しいです…♡」
あれ?なんで少し気遣っただけで嬉しそうなの?
「そう言うお姉ちゃんも、疲れたら遠慮なく言ってね?」
「分かった」
ま、プール掃除ぐらいでは疲れたりはしないだろうけど。
だって、鍛えてますから。
(これは立派な事なんだが…なんだが……なんとも言えない感じだ…)
ドライグってば、まだ私の女らしさに拘ってるのか?
もういい加減に諦めたら?
(いいや!俺は決して諦めんぞ!こうして、相棒と運命を共にすると決めた以上、少しでも相棒には女性らしさを身に付けてもらわなければ!)
今更言われてもねぇ~。
そんな感じで掃除は順調に進んでいき、そして遂に……
「終わったわ~!」
「かなりピカピカになりましたわね」
「最初とは見違えました」
「「つ…疲れた……」」
体力全振りしていたゼノヴィアはともかく、なんで裕斗も疲れてるの?
「さぁ!今からは待望のプールタイムよ!しっかり楽しみましょう!」
濡れた体操服を脱いで、近くのフェンスに干しておく。
今日は凄く天気がいいから、暫くしたらすっかり乾くだろう。
さて、今日ばかりはお言葉に甘えて、プールを楽しもうかな?
グダグダとやっていたら、いつの間にかこんな時間に…。
今日、初めてフレームアームズ・ガールの轟雷を買ってテンションが上がっていたのがいけないのでしょうか?
今度はとうとう水着回!
マユはどんな水着を着ているのでしょうか?
では、次回。