漸くマユの全てが明らかに?
その際に、今回限定でゴッドイーター側のキャラも出そうと思ってます。
まだ、予定の段階ですけど。
第53話 戻ってきた日常
ゼノヴィアが家の一員になってから暫くが経った。
彼女は無事に駒王学園に編入して、アーシアと裕斗と一緒のクラスになったそうだ。
ゼノヴィアとしても、顔見知りがいる方がクラスに馴染みやすいだろうしな。
多分、この配置はヤハウェがしたものだろうな。
ああ、ゼノヴィアにはちゃんと私の事は話してある。
左腕の事も含めてね。
流石に驚かれたが、はぐれ悪魔退治をしていたせいか、すぐに受け入れてくれた。
意外と順応力が高い事に驚いたな。
まだ、ヤハウェとルシファーさんを『母さん』『父さん』と呼ぶには抵抗がある。
今迄お世話になりまくっている以上、少しでも早く呼べるようにはなりたいけど。
幼女組はすっかりゼノヴィアや義理の両親組に懐いていて、時折、一緒に遊ぶと言う微笑ましい光景を見かけることがある。
そう言った場面を見かけると、不思議と笑顔になってしまう。
それはきっと、私の記憶が完全に『闇里マユ』になりつつあり、その記憶の中では家族が幸せそうにしている光景を余り見かけたことが無いからだろう。
もう前世での記憶は殆ど無くて、その代わりに『闇里マユ』としての記憶が脳内に描かれている。
それはきっと、私と言う存在が完全に『闇里マユ』になりつつある証拠なんだろう。
けど、その事に関しては後悔の念などは全くない。
私は死んで、生まれ変わった身。
昔の事ならいざ知らず、前世の事に思いを馳せるなんてことはナンセンスだろう。
私を態々、転生させてくれたヤハウェやルシファーさんにも失礼だしね。
そして、今日も私は自分の日常を過ごしていく。
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……てなわけで、今日も今日とてアラガミ退治~♪
私は今回、どこかの海岸に来ていた。
見た感じは日本の海に面した県の何処かだろう。
風景だけじゃ場所の特定は出来ないけど。
時間帯はいつものように夜。
こういうところだけは有難い。
昼間に出現したら絶対に大変な事になるからな。
キチンと結界は張ってあり、いつでも戦闘出来るようにしている。
久々の野良アラガミ(?)退治なので、ちょっと気合いが入っている。
なんせ、前回のボルグは成り行きとは言えエクスカリバーで瞬殺してしまったし。
今回の格好は少し露出度が高い『アルーアホルター』とジーパンに似た『コーラルスラックス』だ。
やっぱりズボンの方が落ち着くな~。
いつものように赤龍帝の籠手を出して、そこから神機を取り出して装備し、アラガミが来るまで待機をしている。
組み合わせは『
無属性の組み合わせで、どんな敵にも対応出来るようにした。
ただ、今日はちょっといつもとは違っていて……
「あれがマユ殿が言っていた生体武器『神機』か……」
実は、ゼノヴィアが一緒に来ているのだ。
出撃する直前、彼女がいきなり私が神機を使ってアラガミと戦っている姿を見てみたいと言い出したのだ。
本音を言えば反対なのだが、下手に口論などになっても嫌だから、離れた場所で見学するという条件を出して、限定的に許可した。
「大丈夫かな…?」
『あれだけ離れていれば問題無いだろう』
『そう言う事だ。今はアラガミの事に集中せよ、雑種』
「うん……」
心配しても始まらないか。
私は海の方に目を向けて、潮風を感じた。
「夜の海と言うのも、なんだか不気味だな……」
こういう場所って、よく二時間ドラマとかでクライマックスなどで使用される場所だよね。
そう言う先入観があるせいか、あまりいいイメージはない。
『む…?来たようだぞ』
ドライグが反応する。
それに合わせて、私は少し海から離れて神機を構えた。
暗い海面から、ゆっくりと複数の大きな影が現れる。
「あ…あれは……!」
夜の海から出てきたのは、完全に予想外のアラガミだった。
「黄金のグボロ・グボロ…!」
それは、数あるアラガミの中でも最弱と呼ばれる個体、黄金に輝くグボロ・グボロだった。
数は6体。
『ほぅ…?アラガミにもあのような連中がいるのだな。悪くない』
「それって、黄金だから?」
『当然だ。黄金はいい……』
黄金ならなんでもいいんかい!
「あ…あれがアラガミ…!」
「ゼノヴィア!絶対に近づくなよ!」
「承知しました!」
いくら弱くてもアラガミ。
危険な事には違いない。
コイツは非常に脆くて、逆に結合崩壊させるのに神経を使う。
でも、その代わりにこいつからは希少な素材が沢山ゲットできる。
中には金銀の類もあるので、もしも手に入ったら換金してもいいかもしれない。
(そうだ……)
いい機会だから、少し試してみたいことがある。
神機の近接武器を素早く換装して、全ての武器を使ってみよう。
「今回は皆のサポートは要らないかもしれない」
『分かりました。貴女の戦いを見させて貰います、マスター』
「うん」
かのアーサー王にそこまで言われたら、頑張らないわけにはいかないな。
「ならば……行くぞ!」
神機をしっかりと握りしめて、私は眼前にまで迫った金ぴかグボロに向かって斬りかかった!
「まずは!」
素早く目の前にまで迫り3回攻撃して、まずは砲身を破壊。
案の定、グボロは怒りで活性化するが、その隙に背後に回り尾びれを破壊。
グボロはこっちを振り向いて突撃してくるが、それを難無く回避。
同時に神機を銃形態に変形させて背びれを撃つ。
結果、断末魔を上げて金のグボロはあっけなく倒れた。
「一体撃破」
クイック捕食で素早く素材をゲットして、次に向かう。
「次は…」
近接武器を
そのままの勢いで斬りまくって秒殺。
「今度は」
ショートの次は
大振りに刃を振って、止めにチャージクラッシュ。
あっという間に金グボロは沈黙した。
「じゃあ…」
お次は
圧倒的なまでの質量兵器で、文字通り叩き潰す。
おまけにブーストラッシュをかました。
「そして…」
5番目は
素早い動きで死角に回り続け、ピンポイントで弱点を突く。
止めはジャンプからの急降下攻撃。
最後は
常に絶妙な距離を保ちつつ、隙あらば斬りまくった。
咬刃を展開させて、一気に息の根を止めた。
結果、6体合わせて10分も掛からなかった。
ま、こいつらが相手ならこんなものか。
「他には?」
『大丈夫だ。もうオラクルは感じない』
「了解」
ドライグが結界を解除する。
未だに残っている金ぴかグボロ達の死骸を捕食して、素材を回収する。
「うん。レアものだな」
想定以上にいい素材が手に入った。
捕食が完了すると、全てのグボロは霧散していった。
「マユ殿!」
戦闘が終わったと見て、ゼノヴィアが興奮した様子で走ってきた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「お…落ち着いて」
「はい…!」
全速力で走ってこなくてもいいのに…。
「す…凄かったです!小剣に大剣、槍に鉄槌、大鎌をあそこまで自在に操れるなんて!流石は伝説の赤龍女帝!貴女の噂は本当だったのですね!」
「う…噂?」
変な噂じゃないだろうな…?
「はい。無数の武具を己の手足のように駆使して、様々な敵を打倒してきたと」
半分正解で半分ハズレだよ~!
確かに色んな武器は使うけど、それは基本的にアラガミ相手だけだし…。
「あ、そうだ!これをどうぞ!」
「ん?」
おや、タオルにスポーツドリンク?
「いつの間に…?」
「密かに黒歌が持たせてくれたのです!」
「黒歌が…」
実に有り難い。
雑魚とは言え、疲れる事には違いないし。
タオルとスポドリを受け取って、遠慮なく使う。
「ありがとう。助かったよ」
「礼ならば私ではなく黒歌に。彼女が提案してくれましたから」
「勿論、黒歌にも言うよ。でも、持ってきてくれたのはゼノヴィアだ。だから、私は君にも礼を言いたいんだ」
「マユ殿……貴女と言う人は……」
ん?どうしてそこで顔が赤くなる?
心なしか目がウルウルしてるように見えるし。
『ククク……。またフラグを建てたな。お前といると本当に暇が無くていい』
『お前は……』
フラグ?なにそれ?
『実に見事でした!マスター!私の見込みは間違いではなかった!』
「褒め過ぎだ。流石に照れる」
『それ程までに凄かったという事です!貴女は自分を誇るべきだ!』
「そう言われてもな……」
自分を誇りに思った事なんて一度も無い。
この力も戦闘技術も、全てはサカキ博士やリンドウさんがいてくれたから身に着いたんだ。
彼等の事を誇りに思う事はあれ、それを自分に当てはめる事は一度も無い。
「と…とにかく、少し休んでから帰るとしよう」
「そうですね」
私達は少し海から吹く風を味わってから、家に帰った。
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次の日の放課後。
私は昨日の残った疲れを癒す為に、柔らかいソファーに身を預けながら、朱乃が淹れてくれた紅茶に舌鼓をうっていた。
「どうですか?」
「うん。今日も朱乃の紅茶は美味しいな」
「ふふ……お褒めに預かり光栄ですわ」
紅茶だけじゃない。
こうした日常が私の心を癒してくれる。
恥かしい言葉かもしれないが、皆の笑顔が私に活力をくれる。
「昨日は本当にお疲れ様。お姉ちゃんが手に入れた貴金属はグレモリー家独自のルートで換金しておいたわ」
「感謝する」
レアものが多かったからな。
きっと、かなりの額になったに違いない。
「で、貴女も今日からこのオカルト研究部に所属して貰うわよ?ゼノヴィアさん?」
「勿論だ。私は神ヤハウェから彼女を支えるように命じられたのだからな」
「あら?それだけが理由かしら?」
「ど…どう言う意味だ?」
「それは、貴女自身が一番分かっているんじゃないの?」
「うぐ……!」
え?な…なに?
「またマユさんの固有スキルが発動したんですね」
『一級フラグ建築士【EX】だな』
サラッと意味不明な事を言いましたよ、この愉悦コンビが。
「はわわ……またマユさんが……」
「アーシアまで?」
マジでなんなのよ?
部室の雰囲気が明るくなってきたとき、突如として床に描かれた魔法陣が発動。
そこから懐かしい人影が現れた。
「ふふ……。相変わらず、君は頑張っているようだね。マユ君」
この声は……!
リアスと朱乃、裕斗がすぐさま跪いた。
ゼノヴィアは頭に?マークを浮かべていて、私と白音、アーシアはその声の主がすぐに分かった。
だって、過去に一度会ってるし。
「お…お兄様……」
「お久し振りです。サーゼクスさん」
深紅の髪を靡かせた好青年、現魔王のサーゼクス・ルシファーさん。
その後ろには妻でありメイドでもあるグレイフィアさんが控えている。
「こちらこそ。リアスが世話になっているようだね」
「いえ。寧ろ世話になっているのはこちらですよ」
主に生活面でね。
「ああ……君達も普段通りに寛いでくれ。今日はプライベートで来ているからね」
「は…はい」
それを聞いて、3人はソファーに座り直した。
「と…ところで今日はどうしてここに…?」
「もうすぐ授業参観があるんだろう?僕としても是非とも妹が勉強に励んでいる姿が見てみたいからね。急遽、休暇を入れて来させて貰ったよ。勿論、当日は父上も来られる予定だ」
「お父様まで…?」
おや、今度はリアスのお父さんも来るんだ。
どんな人…じゃなくて、悪魔なんだろう?
「父上もマユ君に会いたがっていたよ。一度会ってお礼が言いたいとね」
「私に……?」
「ああ。君には僕もリアスも沢山、助けられているからね」
態々こっちに来てまでお礼を言わなくてもいいのに…。
段々と事態が大きくなっていくことに困惑していると、また覚えのある気配が現れた。
「本当にそれだけかよ?」
「あ……」
「あ…貴方様は……!」
「そ…そんな事が…!」
サーゼクスさんもグレイフィアさんも滅茶苦茶驚いてる。
他の面々も凄く驚きまくっている。
それもそうだ。何故なら……
「よう。こうして会うのは何百年振り…いや、何千年振りか?」
「ルシファー様……!」
私の後ろにいきなり、ルシファーさんが立っていたのだから。
「な…なんでここに?いや、それよりも…さっきのはどう言う意味…」
「そのまんまの意味だよ」
って、何気に私の頭を撫でないでください。
「現魔王のお前が妹の授業参観程度で地上に来る筈が無い。他に理由があると思うのが普通だ」
「…………」
図星なのか、サーゼクスさんは黙ってしまった。
「大方、この学園で三大勢力の会談を開くつもりで、今回はその下見ってところじゃねぇか?」
「お……仰る通りです……」
おお!あたった!って……
「この学園で会談を開くんですか?」
「ある意味、ここ以上に相応しい場所なんてないだろう」
「ど…どう言う意味ですか?」
白音が徐に質問した。
その額には冷や汗が流れていた。
「この学園には魔王の妹が二人にその眷属。猫又にデュランダルが使える聖剣使い。極めつけはお前だ」
「私?」
「今や、伝説の存在となった赤龍女帝。その本人がこの学園に通っているんだ。しかも、ここにはコカビエルに白龍皇が襲来した。この駒王町を中心に、様々な勢力が入り混じり、渦を巻いている。そんで、その渦の中心にいるのが……お前だよ。マユ」
言われてみれば確かにそうかもしれない。
これまでの出来事は全て、私が中心になって起きているような気がする。
これも『龍のオーラ』とやらが影響しているんだろうか?
「どうなんだ?サーゼクス?」
「はい…。全てその通りです…」
うわぁ……完全に委縮してる…。
「お前、こいつとその家族を会談に出席させる気なんだろう?」
「は…はい。彼女は今回の当事者ですから…」
「別に俺としては、こいつとその家族が会談に出席する事に異論はない。けどな、これだけは言っとくぞ」
「な…なんでしょうか……」
ルシファーさんの目が鋭くなって、サーゼクスさんを射抜く。
「血が繋がってはいないとは言え、こいつは俺の大事な娘だ。もしも何かしてみろ……。その時は、俺とヤハウェの全身全霊を持って三大勢力を滅ぼしてやる…!」
殺気は出していない。
もしも本気の殺気なんか出したら、ここにいる全員が気絶してしまうから、それを考慮して我慢してるんだろう。
「わ…分かっております…。私も…命の恩人に手荒な真似はしたくはありません…」
「ならいいけどよ」
ルシファーさんの目が元に戻った。
「しかし…本当だったのですね…」
「何がだ?」
「貴方様と聖書の神が御存命で、彼女の両親となったと……」
「まぁな。俺としてもこの子には人並みの幸せってヤツを掴んでほしいしな」
ルシファーさん……。
貴方は、とことんまで私の父親になろうとしているんですね…。
「…ありがとうございます」
「親父として当然だよ」
うぅ……なんだか照れる…。
「ところでお前等、今日は何処に泊まるつもりだ?」
「何処か適当にホテルにでも宿泊しようかと……」
「魔王ともあろう者が、ホテルに宿泊って……」
盛大な溜息を吐きましたな。
なんか頭も抱えてるし。
「んな場所に泊まるぐらいなら、マユの家に泊まっていけ」
「えっ!?よ…よろしいのですか!?」
「しかし、彼女の家には女性ばかりで……」
「それなら気にすんな。今日は俺も泊っていくつもりだしな」
「「「「「「「「「えぇっ!?」」」」」」」」」
まさかの宿泊宣言!?
「幾ら既婚者とは言え、大事な娘達を男と一つ屋根の下で泊まるのを無条件に許可出来るほど、俺はアホじゃねぇよ」
「ご…ごもっともです……」
実に正論。
なんか、凄い父親らしい発言が聞けた気がする…。
「それに、久方振りにお前ともゆっくりと酒でも飲みながら話したいと思っていたしな。サーゼクス坊や?」
「それは言わないでください…」
…どうやら、サーゼクスさんはルシファーさんに色々と弱みを握られてるっぽいな。
この3人が泊まる……か。
どんな化学反応が起こるか、全然予想が出来ないな。
黒歌辺りは喜ぶかもな。
グレイフィアさんの事を尊敬してるっぽいし。
ま、部屋は沢山あるから、その心配は無用だけどさ。
それに、偶にはリアスも兄妹水入らずで話したいこともあるだろうし。
今夜は、色々と賑やかになりそうだな。
ちょっと楽しみかも。
ルシファーパパ、父親をするの巻。
もう暫く、会談まではほのぼの空気でいくかも。
では、次回。