神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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前回、思った以上に沢山の感想を戴いて、自分でもびっくりです。

しかも、その中には原作崩壊を推進するようなお言葉まで。

めっちゃ励まされました。

つーわけで……これからもガンガン崩壊させていくつもりですので、どうぞよろしく!


第47話 遭遇、そして接敵

 教会から来た二人組…ゼノヴィアとイリナと再会して数日後。

私達は放課後を利用してコカビエル一味を見つけるために探索をしている。

 

今回の事はちゃんとリアスにも教えてある。

下手に隠すしても意味が無いと判断したからだ。

 

話した時、盛大な溜息と共に呆れられてしまった。

私なりの考えを一生懸命話したら、こちらの判断に一任すると言ってくれた。

そう言って貰えると、柄にもなく嬉しくなってしまう。

 

捜索メンバーは、私に白音、裕斗とゼノヴィアとイリナの教会コンビ。

そして、なんでか匙君も一緒に手伝ってくれた。

 

どうして手伝ってくれるのか聞いたら、『ここまで来たら一蓮托生だし、放っても置けない』らしい。

彼の優しさに、私は心の中で感動で泣きまくった。

 

けど、ちゃんとソーナに許可は貰っているのかなぁ…?

 

ま、几帳面な彼の事だ。

きっと取っているに違いない。

 

で、今日も今日とて私達は街に繰り出す。

 

匙君の提案で、神父、もしくはシスターのコスプレをして。

 

私のシスター姿を見て匙君と裕斗が顔を真っ赤にしていたが…そんなに似合わなかったかな?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「見当たらないな…」

「ですね…」

 

あれだけ目立ちまくる格好と性格をしてるくせに、見つからない時はとことん見つからない。

 

なんだか、RPGにてレアアイテムを探してフィールドを歩き回り、とことんまでエンカウントしまくっている気分だ。

 

「もう夕方です」

「今日はここら辺で解散しようか」

「夜中に動き回るのは危険ですからね」

 

満場一致で解散する事になった……その瞬間だった。

 

頭上から禍々しい殺気が湧き出てきた。

この殺気は覚えがある。

 

「やめようとした瞬間に当たりを引くとはな…これもある種のあるあるネタ…か」

「ロープレあるあるですね」

「俺も覚えあるけど…現実には起こって欲しくなかったぜ…」

 

急いで服を脱いで制服姿になって、全員が警戒して構えると、それはやって来た。

 

「神父・シスター御一行様方にご加護あれってな!!」

 

上から例の男…フリード・セルゼンが見た事の無い長剣を構えて振ってきた。

その剣はそのまま私に向かって振り下ろされてきたが……

 

「ほい」

 

この程度ならば、神器や英霊の力を使うまでも無い。

私は『左腕』で防いだ。

 

「ちょっ…!冗談だろ!?聖剣すらも素手で防いじまうのかよ!?」

 

…その剣の正体を知っている身としては、なんとも哀れと言うか、滑稽と言うか…。

 

フリードは地面に降り立ち、こっちに向けて剣を構える。

 

「ちっ…!伝説の赤龍女帝様には、聖剣すらも子供の玩具に過ぎねぇのかよ…」

 

なんかブツブツと言ってますよ~。

っていうか、何処で知ったんだ?私の異名(笑)の事を。

 

「「「「「「……………」」」」」」

「ん?いきなりどうしたんですかぁ~?俺様の聖剣に恐れをなしてビビっちまったかぁ~?」

「いや…その……」

「言っておくが、その聖剣は…『やめておけ、木場とやら』…え?」

 

毎度のように、いきなり籠手が出現して、ギルの声が響く。

 

『世の中には、知らない方が幸せな事もある。ここでこ奴に赤っ恥を掻かせることもあるまい……ぷっ…ククク……』

 

真面目な事を言ってるけど、笑い声が漏れてるからね。

 

「そうですね…」

「哀れな……」

「きっといつかいい事があるわよ」

「めげちゃ駄目だぜ」

「自分が急に情けなくなってきたよ…」

 

全員がフリードに向かって同情の視線を向ける。

 

「お…おい!なんで揃いも揃って道端に捨てられた子犬を見るような目で俺を見るんだよ!?」

「さぁな」

 

いずれ分かる事とはいえ、今は言わない方がいいだろう。

その方が後々、面白そうな事になりそうだし。

 

「ば…バカにしやがってぇぇぇぇぇぇェェェ!!!」

 

激昂したフリードは、今度は裕斗に向かって斬りかかった。

だが、すぐさま裕斗は神器を発動させて『風刃剣』で応戦した。

 

「この前とは違う剣……テメェ、魔剣創造(ソード・バース)の使い手だな!?」

「ご名答さ!」

「だがな!俺様が持っているのは天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)だ!そんなナマクラじゃ勝てっこねぇんだよ!」

「本当にナマクラなのはどっちかな!?」

 

裕斗とフリードは消えては出現しを繰り返しながら、剣戟を交えていく。

 

「凄いです…」

「これが彼の実力か…!」

「うわ……めっちゃ強いじゃん…」

「木場って強かったんだな…」

 

もしかして、皆には二人が瞬間移動でもしているように見えているのか?

でも、私にはしっかりと二人の動きが見えている。

 

「じょ…冗談だろ!?なんで俺様のスピードに追従出来んだよっ!?」

「それがこの『風刃剣』の能力だからさ!」

「ふざけやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

御自慢の聖剣が追い詰められるとは想像もしてなかったのか、明らかに焦燥していくフリード。

拮抗した実力同士の戦いでは、当人たちの精神が勝敗を分ける。

 

自分の本当の仇を知って殺る気満々な裕斗と違って、自分の聖剣に絶対の自信を持っていたにも拘らず追い詰められているフリード。

どっちが勝ち、そして負けるのかは明白だった。

 

「なんで…なんで砕けねぇんだよぉぉぉぉ!!聖剣に斬れない物は無い筈だろがよ!!」

「僕の剣は基本骨子から創造しているから、そんな簡単には砕けないよ!特に、そんな偽物の聖剣なんかにはね!」

「はぁっ!?」

 

あ、言っちゃった。

 

「冷静に考えれば分かる事さ!伝説の聖剣がそんな簡単に砕ける訳が無いだろう!」

「ぐっ…!なら…これはなんなんだよぉぉぉぉぉ!?」

「僕に聞かれてもね!でも、これだけは分かる!その剣は偽物にすら至っていない贋作以下の剣だってね!」

「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

激しい金属音が乱舞するなか、遂に裕斗の渾身の一撃が炸裂し、フリードは吹き飛ばされた。

 

「ぐあぁっ!?」

 

地面に叩きつけられて血反吐を吐くフリード。

フラフラしながら起き上がり、袖で口元を拭いている。

 

「くそ…!ここは一旦撤退して……」

「させるかよ!」

 

逃げようとしたフリードの腕を、黒くて細い触手のようなものが伸びてきて動きを封じた。

 

「な…なんじゃこりゃぁぁぁっ!?」

黒い龍脈(アプソーブション・ライン)。この俺の神器だ!」

 

触手が伸びている元を見てみると、匙君の腕に蜥蜴の頭のような物が装着されていて、その口の部分から触手が伸びている。

 

「悪いが、お前には捕虜になってもらう。色々と聞きたいことがあるからな」

「はっ!俺様がそう簡単に口を吐くとでも思ってるのかよ!?」

「思ってないさ。だから、こっちもそれなりの対応をしようと思っている」

「ふぃっ!?」

 

私の殺気に当てられたのか、変な声を上げたフリード。

うん、脅えてくれるのは好都合だけど、実は何にも考えてないんだよね。

咄嗟にブラフを吐いてみたが、意外と上手くいくもんだ。

 

「全く…一体何をやっている。せっかくの聖剣が泣いているぞ」

 

いきなり声が聞こえてきたので、そっちの方を向くと、そこには見慣れた神父服を着た初老の男が立っていた。

 

いつの間に来たんだろうか…。

見た感じは非戦闘員と言った感じ。

多分、それ故に気が付きにくかったのかもしれない。

 

「バルパーの爺さんか…」

 

……!あいつが……例のバルパー・ガリレイか!

 

「貴様が……!」

 

裕斗から一気に殺気が噴出する。

それを見て、ゼノヴィアとイリナが目を見開いた。

 

「ほぅ…?それが魔剣創造か。見た感じではかなりの使い手のようだな。いいデータが取れそうだ」

 

こいつのこの顔……嫌な奴を思い出す…!

 

「で?その無様ななりはどうした?」

「あの剣士君が思った以上にやりやがる上に、この触手が邪魔で動けねぇんだよ!」

「ならば、貴様に付与した『因子』の力を使えばよかろう。その身に流れる因子の力を刀身に集中させろ。そうすれば切れ味が増す筈だ」

「ふ~ん…了解」

 

フリードの剣が少しだけ青く光る。

そして、その剣で自分の動きを束縛している触手を切り裂いた。

 

「お、本当だ」

「では、とっとと退却するぞ」

 

二人が踵を返そうとすると、そこに二つの影が割り込む。

 

「逃がすと思ったか!」

 

それは、剣を構えたゼノヴィアとイリナだった。

ゼノヴィアの剣がフリードの剣と鍔ぜりあう。

 

「大人しくお縄を頂戴しなさい!」

 

随分と古風だな…。

 

「フリード・セルゼンにバルパー・ガリレイ!神の名の元に貴様等を断罪する!」

「ちっ…!この教会の犬どもが…!爺さん!手荒くいくぜ!ちっとばっかし目を瞑ってくれ!」

 

フリードは懐から手榴弾の様な物を取り出して、ピンを抜いた後に地面に叩きつけた。

 

「あれは…!皆!目を瞑れ!!」

 

私の言葉が届いたのか、全員が咄嗟に目を護った。

 

その瞬間、凄まじいまでの閃光がこの場を覆いつくした。

 

「スタングレネード…!」

 

私達ゴッドイーター御用達。

毎回のように使用するから、その発動タイミングは体が覚えている。

流石に使われたことは無かったけど。

 

閃光が消えると、そこには二人の姿は無かった。

 

「逃げた…か」

「くそ!逃がしてたまるか!追うぞ!」

「当然!」

「僕も行こう!」

 

ちょ…!冗談だろ!?

 

「ま…待て!深追いは禁物だ!」

 

って…行ってしまったし…。

 

もうあんなに遠くに…。

 

『ヤバいぞ相棒…。あのフリードとか言う男はなんとかなるかもしれんが、奴らの背後にはコカビエルがいる。このままでは…』

「わかっている…!」

 

私も三人を追うか?

いや、しかし……

 

「あの…マユさん…」

「ん?」

 

私がこれからどうしようか考えていると、白音が私の服を引っ張った。

何かと思って後ろを向くと、そこには……

 

「げっ!?」

「「あ」」

 

頭を抱えているリアスと、眉間に青筋を立てているソーナが立っていた。

 

「最近になって生徒会室に顔を見せなくなったと思ったら…!マユさんと一緒に何をしてるんですか…?」

「いや…これは…その…ですね…?」

 

うわぁ……滅茶苦茶キレていらっしゃる…。

 

「リアス…これは?」

「どうやら彼、ソーナに何にも言ってなかったみたいなの」

 

なんと…!

無断で来ていたのか!?

 

「分かっていますね…?匙…?」

「ひ…ひぃぃぃぃっ!?」

 

あ…哀れな…。

 

取り敢えずは私達で彼の弁護をするべきか…?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 匙君は取り敢えず置いておいて、私達はリアスに状況報告をすることにした。

 

「で?首尾はどうだったの?」

「先程、フリードとバルパーを発見、交戦した」

「戦い自体は裕斗先輩が終始優勢でしたが、途中からバルパーがやって来たんです」

「連中はスタングレネードを使って逃亡。私は止めたのだが、ゼノヴィアとイリナ、裕斗が追って行ってしまった」

「そう……」

 

それだけしか言わなかったが、少々落胆しているように見えた。

 

「あの子は……心配を掛けて…」

「済まない……私が付いていながら…」

「お姉ちゃんは何も悪くは無いわ。今回は冷静さを欠いた裕斗に非があるもの」

「リアス…」

 

そう言ってくれると気が楽になるが、それで気にせずにはいられない。

 

ちょこっと横目で隣を見てみると……

 

「匙……貴方には少々『反省』が必要なようですね?」

「ち…違うんです!これには山よりも高く、海よりも深い訳があってですね…」

 

あ、こっち見た。

 

「いや…私はてっきりソーナにちゃんと言ってから同行しているとばかり……」

「匙!!!」

「す…すんませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

言うが早いが、ソーナは匙君を組み伏せて、彼に『お尻ぺんぺん』をし始めた。

よく見ると、彼女の手は僅かに光っていて、魔力が込められているのが分かる。

 

「よりにもよって!マユさんにも!秘密にするなんて!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?会長ぅぅぅぅぅぅぅ!!!お慈悲をぉぉぉぉぉぉ!!!」

「駄目です!他の事ならいざ知らず、マユさんに隠し事をするなんて許せません!!」

 

え?怒るポイントってそこ?

 

「裕斗にもちゃんとお仕置きをしないとね……ふふふ……」

 

裕斗ォ~!逃げろぉ~!!

別の意味で大ピンチだぁ~!!

 

「二人は置いといて、私達は帰りましょうか?」

「「は…はい」」

 

今日ばかりはリアスに逆らえないような気がしたので、私達は大人しく帰る事にした。

 

匙君……今度、君にはドーナッツ型のクッションをプレゼントしよう…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 家に帰ると、今にも泣きそうな顔でアーシアが出迎えてくれた。

どうやら、想像以上に彼女の事を心配させてしまったようだ。

 

慰めるように頭を撫でると、なんとか落ち着いてくれた。

リアスと白音が凄い形相で睨んでいたけど。

 

そして、夕食時に黒歌達にも報告した。

 

「……と言う訳だ」

「あのバカ…まだ生きてたのね…。とっくにどこかでのたれ死んだかと思ったわ」

 

い…言うなぁ…レイナーレ…。

 

「でも、コカビエルの気配無かった」

「うむ。この距離ならば我等でも感じられる筈。それを感じないのは…」

「自分の周囲に気配を遮断する結界を張っているんだろうな」

 

気配遮断…か。

道理で発見出来ない筈だ。

 

「マユなら大丈夫だと思うけど、油断は禁物にゃ」

「勿論だ」

 

油断は神機使いにとって最もしてはいけない事の一つ。

一瞬でも気を抜けば、一秒後には命は無い。

 

「問題は裕斗達ね。無事だといいけど…」

「ああ……」

 

運よくコカビエルと遭遇していない事を祈るしかないのか…。

 

その後、疲れを癒す為にお風呂に入り、ベットでゆっくりと寝る事にした。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 深夜。

私は今まで感じた事の無いプレッシャーを感じて目を覚ました。

 

「これは…?」

『ふむ…この気配は堕天使か…?』

 

中々の気配だが、大型のアラガミには遠く及ばない。

このレベルだったら、近くにヴァジュラやクアドリガがいただけで気配が相殺されてしまうだろう。

 

「お姉ちゃん!」

「「マユさん!」」

「「マユ!!」」

「ん~…?」

「なんだぁ~…?」

「んにゃ~…?」

 

リアスと白音とアーシア、黒歌とレイナーレが慌てて私の部屋に入ってきた。

そして、幼女組は眠気眼でやって来る。

 

「皆も感じたか?」

 

全員が同時に頷く。

幼女組は立ちながら眠りかけているが。

 

私は部屋のカーテンを開いて、外の様子を見る。

すると、そこには……

 

「ククク……久し振りだな…?赤龍女帝…!」

 

黒いローブに身を包んだ、10枚の漆黒の翼を生やした堕天使が怪しい笑みと共に浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




コカビエル登場。

そして、何気に裕斗が強くなっている件。

今回はあんまりマユの出番がありませんでしたね。

けど、コカビエル戦では無双したいです。

そして、その時には勿論……

では、次回。

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