神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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今回もまたネタ祭りになるかもです。

でも、ギャグ回はここまでで、後はシリアスまっしぐらだと思います。




第44話 球技大会

 遂に来た球技大会当日。

私達は着替える為に更衣室に来ていた。

 

「遂に本番ね」

「腕が鳴りますわ」

「使うのは足だがな」

 

ま、こんな感じでいつものように話しながら着替える私達。

こんな時は変に緊張などせずに、いつものペースでいる事か大事だ。

 

「そう言えば、今日も裕斗を見てないわね」

「アーシアの話では、いつの間にか着替えていて、既に移動しているらしい」

「彼は何の競技に出るんですの?」

「セパタクローの男子の部らしい」

 

結局、会えはしなかったが、球技大会が終われば機会は出来るだろう。

今は兎に角、全力で優勝を目指すだけだ。

 

 

 

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・・

 

 

 

 

 

 グラウンドに全員集合して、開会式が始まった。

 

『それでは…球技大会、開会の挨拶!生徒会長の支取蒼那さん!』

「はい」

 

グラウンドに設置された壇上に体操服姿のソーナが上がる。

 

『え~…今年も晴天の日に、こうして大会が開かれて、競技についても厳正なるくじ引きによって決定した訳ですが……』

 

ん?どうした?

 

『他の仕事が忙しかったとはいえ、やっぱりこんな決め方は駄目でしたね。ぶっちゃけ、どの競技も私は全然知りません。決まってから初めて調べたぐらいです』

「「「「721(ナニィ)!?」」」」

 

いきなりの問題発言キター――――――――!!

 

『因みに、今回の競技である『セパタクロー』『ペタンク』『チュックボール』。どれもが未体験の人が多いが故に均衡したレベルの試合になると思われます』

 

だろうな。

そうでなくては困る。

 

『猶、ルールが解らない方は本日より中央掲示板に説明文が張られましたので、そちらをご覧いただけばいいとは思いますが……』

 

こ…今度はなんだ?

 

『当日になって初めて説明するのは流石にやり過ぎましたね』

「「「「マジで一体どうした!?」」」」

 

ソーナってこんなキャラだったっけ!?

もしや、日々の過労でおかしくなっちゃったとか!?

 

『っていうか、学園のイベントを全てを生徒側に任せるとか、完全にふざけ過ぎですよね』

「「「「「生徒会長が学園側に喧嘩売った!?」」」」」

 

…こ…これが終わったら、ソーナを労ってあげるべきか…?

暇な時は生徒会の仕事を手伝ってあげるようにしよう…。

 

 

 

 

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 開会式も終わり、早くも各試合会場にて第一回戦が始まろうとしている。

私達も自分達の試合があるコートに行き、準備体操をしていた。

 

「遂にこの時が来たわね!今こそオカルト研究部の実力を見せつけてあげましょう!」

「当然ですわ」

「ああ!」

 

気合いを入れるために私達は円陣を組んだ。

 

「私達三人の力を発揮しましょう!」

「いくぞ!オカルト研究部セパタクローチーム…」

「その名も!『オーロラ三人娘』!!」

「それは野球(・・)漫画のグループ名じゃなかったか…?」

 

朱乃も漫画とか読むんだな…。

ちょっと想像出来ない。

 

「じゃあ『アストレイ三人娘』で!!」

「…なんか、最終回近くで無意味に全滅しそうね…」

 

なんかフラグになりそうで嫌だなぁ…。

 

グダグダになりながらも、円陣を解いた。

 

「とにかく、私達が力を合わせれば勝利は固いですわ」

「そうね。昔から『三人の力を合わせる歌』も多いし」

 

三人の力を合わせる…か。

 

「『織田がつき…羽柴がこねし天下餅…すわりしままに食うは徳川』?」

「その歌は駄目なんじゃないかしら?」

 

駄目だったか。

パッと頭に思い浮かんだんだが…。

まぁいい。

 

こうして、私達の初戦が始まったのであった。

 

 

 

 

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 一方その頃、白音は…。

 

 

「…………」

 

コートの中でボールを持ったまま体を震わせていた。

 

因みに、今回白音が参加したチュックボールとは……。

 

本来『人間形成』を学ぶべきスポーツが『相手の邪魔』をしたり『妨害』する事ばかりなのは、おかしいのではないか!?

 

この矛盾を解決すべく、とあるスイスの生物学者が科学的に批判を基に『あらゆる妨害を禁じる』超紳士的スポーツとして、この競技を生み出したのが『チュックボール』と言う競技なのである!

 

「だ…だ…だ…」

「塔城さん?」

「騙された!!!!!」

「ネットに向かって投げるんだよ!?」

 

己の不甲斐無さと騙されたことに対する怒りをぶつけるように、コートに思いっきりボールと叩きつける白音だった。

 

チュックボールのルールは簡単で、コートに設置されたネットに向かってボールを投げて、跳ね返ってきた球をノーバウンドで取られなければポイント獲得。

所謂、ハンドボール型競技である。

 

「こうなったら…もう自棄です!!」

「あ…そんなに思いっきり投げたら…」

 

クラスメイトの心配する通り、猫又の筋力でボールを投げたりしたら、当然バウンドしてきたボールの勢いも強くなるわけで、そうなると当然……。

 

「うにゃっ!?」

 

自分に跳ね返ってくるボールもかなりの勢いになるのである。

 

案の定、己の投げたボールが顔面に直撃し、変な声を上げてしまった白音であった。

 

幸いなのは、万が一に備えて予めボールが軟らかいものに変更してあったことか。

 

 

 

 

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 チュックボールが行われていた体育館の近くの運動場では、ペタンクの試合が行われていた。

 

今回アーシアが参加したペタンクとは、南フランスのスポーツで、的球(ピュット)に向かって投げた玉が、どれだけ近いかを競う投擲球技である。

 

「えい!」

 

可愛らしい声と共にアーシアがボールを投げる。

すると、玉は的球の近くに落ちた。

 

「お~!やるじゃん!」

「かなりの高得点ね!」

「やったわね!アルジェントさん!」

「はい!ありがとうございます!」

 

殺伐とした雰囲気とは完全に無縁の空気が流れていて、とても和気藹々としていた。

 

その光景は勿論、体育館からも見えるわけで……

 

「ああぁぁ……!あの空間にこのボールを猛烈にぶち込みたいです……!」

「せ…先生~!塔城さんが~!?」

 

密かに殺意の波動に目覚めながら、ボールを持ったまま白音が行き場のない苛立ちに体を震わせていた。

 

 

 

 

・・・・・

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・・

 

 

 

 

 

 なんか、少しだけ殺気のようなものを感じたけど…気のせいだよね?

 

それよりも試合に集中!

 

「来たわよ!」

「お任せを!」

 

向かい側からこっち側のコートにボールが降ってくる。

それを……

 

「朱乃が受け!」

 

弾かれたボールを追って……

 

「リアスが放てし狙い球!」

 

そして止めに……

 

「飛ぶがままに打つは闇里!」

 

私の渾身のアタックが決まり、相手側のコートに叩きつけられた。

 

「これぞ!『闇里剣富士山返し』!!」

「さっき三人で相談して『天下餅ボール』って決めなかったっけ!?」

 

そうだったっけ?

試合に夢中ですっかり忘れてた。

 

因みにセパタクローとは、東南アジアで盛んな足で行うバレーボールこの事だ。

サッカー+バレーと考えれば分かりやすいと思う。

 

この試合も私達が圧勝。

 

身体能力的に考えて、当然と言えば当然なのだが、やっぱり試合に勝つのは純粋に嬉しい。

 

午前の試合が全部終了した私達は、タオルで汗を拭きながら他の試合を見る為に移動していた。

 

「この調子なら決勝も楽勝ね」

「油断は禁物だ」

 

慢心王の二の前は御免だしね。

 

『慢心せずして何が王か!』

「ちょっとしゃらっぷ」

 

いきなり叫ぶなよ。

誰かに聞かれたらどうするねん。

 

「ふふふ…その通りですよ、リアス」

「この声は…!」

 

声のした方を見ると、ソーナが腕組をしながらこっちを見ていた。

 

「決勝戦で貴女達と戦うのは私達です」

「成る程ね…!ソーナの実力なら納得だわ…!」

 

ソーナの隣には、付き添うように生徒会のメンバーの二人が立っていた。

 

眼鏡を掛けた黒髪ロングストレートの女生徒が、副会長の真羅椿姫ちゃん。

そして、長身の女生徒が確か…由良ちゃん…だったか?

 

椿姫ちゃんが『女王』で、由良ちゃんが『戦車』だった筈。

 

「マユさん。例えこのような形とは言え、貴女と手合わせ出来るは光栄の至りです」

「でも、やるからには勝ちに行きます」

「それでこそ…だ」

 

いいじゃないか…!

中々に燃える決勝戦になりそうだ!

 

「それでは、後で…」

 

三人は静かに去って行った。

 

「強敵出現ですわね…!」

「いいじゃない。そうでなくちゃ優勝のし甲斐が無いわ」

「ふふ…楽しい試合になるといいな」

 

午後の試合を楽しみにしながら、私達は昼食を食べるために食堂に向かった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 昼食を食べながら私達は、それぞれに試合の状況を報告し合った。

 

聞くと、意外な結果が待ち受けていた。

 

まず、白音がまさかの一回戦敗退。

これは物凄く意外だった。

彼女の事だから、軽く優勝ぐらいすると思っていたからだ。

そして、もっと意外だったのがアーシアだった。

 

既にペタンクの試合は全て終了していて、なんと…アーシアが優勝したのだ!

 

この結果は流石に予想出来なかった…。

これが現役シスターの実力か…!

 

 

そして、待ちに待った(?)決勝戦が来た。

 

「セパタクロー女子の部。決勝戦は…オカルト研究部チームVS生徒会チーム!」

 

審判をしている女子がなんでか声高々に私達の事を紹介した。

決勝戦だからか?

 

「双方、挨拶を」

 

私達はネットの所まで行き、互いに握手をして挨拶をする。

 

「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」

 

挨拶の後、それぞれに配置につく。

 

「では…試合開始!」

 

こうして最後の決戦が始まったのだが…。

流石は決勝戦。

今までとは比べ物にならない程に生徒会チームは強かった。

何故なら……

 

「椿姫は2秒ずらして右へ打ってください!そこへ由良が左へアタックです!」

「なっ…!」

「しまったっ!?」

 

生徒会チームの強さ!

それは…ソーナと言う司令塔を中心にした頭脳プレーにあった!

 

身体能力に優れた私達と、その差を補うために計算と連携で戦うソーナ達。

試合は完全に拮抗し、一進一退の攻防が続いた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「全然リードが出来ませんわ…」

「これがソーナ達の実力か…」

 

まさか、これ程までとは思わなかった。

試合の内容とは裏腹に、私は心から楽しんでいた。

私って結構、戦闘狂なのかもしれない。

だからこそ、負けたくない。

 

「そっちがそうくるなら、私も本気を出すか…!」

「まだ本気では無かったと!?」

「一応、このような場では力のセーブをしなくちゃいけないからな…。だが、君達相手なら遠慮はいらないだろう」

「マユさんの本気…」

「それを出させただけでも嬉しいですね…!」

「ならば…いくぞ!」

 

私は全身のオラクル細胞に精神を集中させて、一気に加速する。

 

「リアス!朱乃!」

「「はい!」」

 

二人の連携でボールを上げて貰い、私は全力で飛ぶ。

 

「そこだ!!!」

 

サマーソルトキックでコートにぶち込んだ!

 

「は…反応出来なかった…!?」

「は…速い…!」

「凄い威力…!」

 

よし!これならいけるか…?

 

そこからは、さっき以上に特典の取り合いが続いた。

試合を観戦している皆も盛り上がり、かなりの白熱した試合になった。

 

「闇里先輩~!頑張れ~!」

「生徒会も負けんな~!」

「つーか…両チームともスゲーな…」

「これ…本当に高校生同士の試合かよ…」

 

互いに全力を尽くした結果、試合は……

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 球技大会は無事に終了し、今は放課後。

私達は疲れた体を癒す為に部室にてゆっくりとしていた。

 

「まさか、同点優勝になるとはね…」

「それだけ激しい試合だったという事だ」

 

そう、あの決勝戦は最終的に時間切れの同点で幕を閉じた。

特に最後の追い上げが凄まじく、あっという間に同点になって、それを死守するだけで精一杯だった。

 

「で…久し振りね。裕斗」

「はい…。今まで休んでしまい、すいませんでした」

「そこは別に責めないわ。来る来ないは貴方の自由ですもの。でもね…」

 

手元に置かれた紅茶を一口含むリアス。

 

「ちゃんとやるべき事をやるべき時に出来なかったのは、あまり感心しないわね」

「はい…」

 

噂で聞いたのだが、今回の球技大会でも裕斗は終始、気が抜けたような様子で、全然活躍出来ていなかったらしい。

 

「まぁ…今日は私達も疲れたからここまでにするけど、次からは気を付けるのよ?」

「はい…すみませんでした。疲れたので今日はこの辺で失礼します」

 

そう言うと、ドアに向かって歩いて行く裕斗。

私は咄嗟に立ち上がり、彼の方を向いた。

 

「裕斗。この間は本当に済まなかった。私の無神経な一言が君を傷つけてしまった」

「…先輩は何も悪くないですよ。寧ろ悪いのは……」

 

今にも泣きそうな顔を見せた後、裕斗は部室を後にした。

 

「裕斗先輩…」

「顔を見せるようになっただけ、まだマシになった…のかしらね…」

「こればっかりは、私達は安易に踏み込めませんものね…」

「なんだか…悲しいです…」

 

部室内が暗い雰囲気になる中、私は一人で外を見ていた。

 

「雲行きが怪しくなってきたな…」

 

黒い雲が漂って、今にも雨が降りそうだった。

 

『聖剣…か…』

 

ふと聞こえたエミヤの呟きが、部室内に響いた。

 

その一言に、妙な哀愁を感じてしまった私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




意外に長くなった球技大会。

そして、底力を見せたソーナ達。

前書きにもあった通り、次からはシリアス一直線です。

では、次回。


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