神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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今回はハンニバルとの戦いが終わってからの話です。

今になって気が付く真実に、マユはどんな反応をするでしょうか?



第42話 本当の意味でのゲーム終了

 ハンニバルを撃破した後、私は安全地帯とも言うべき観覧席に転移させられた。

 

転移が完了すると、そこにはリアス達を始めとしたオカルト研究部メンバーとサーゼクスさん、グレイフィアさん、そしてなんでかレイヴェルちゃんの姿が見えた。

 

「お…お姉ちゃ「大丈夫ですか!?」なっ!?」

 

駆け寄って来るリアスを追い抜いてレイヴェルちゃんがやって来た。

 

「ああっ!こんなにもお怪我を…!」

「ちょ…ちょっと貴女!」

 

私の両隣でリアスとレイヴェルちゃんが言い争っている。

余りこう言った事は言いたくないが…五月蠅い。

 

「マユさん。大丈夫ですか?」

「なんとかな」

「今すぐ治療しますね!」

 

白音とアーシアがやって来て、神器の力で治癒してくれた。

おぉ…これは気持ちいい…。

 

「「あ!」」

 

なんでそこで驚く?

 

アーシアの力で背中の火傷などがあっという間に治っていった。

数秒後にはすっかり怪我は無くなっていた。

流石に体の疲労は消えてないけど。

 

気が抜けると、私の格好が元に戻った。

 

「マユ君」

 

私の治療が完了したことを確認したサーゼクスさんが話しかけてきた。

けど……

 

「なんで鼻にティッシュを突っ込んでいるんですか?」

 

因みに、裕斗もなんでか同じように鼻にティッシュを突っ込んでいる。

 

「こ…これは…」

「その…」

「これはお姉ちゃんが原因よ」

「私が?」

 

どゆこと?

 

「お姉ちゃんは気が付いてなかったようだけど…」

「戦っている間、スカートから下着が丸見えでしたわ」

「ついでに言うと、あんな格好をしていたせいか、胸も揺れまくりでしたよ」

「なっ……!」

 

う…嘘でしょ…!?

皆が見ている場所でそんな羞恥プレイをしてしまったのか…!?

 

「それをここで見ていて、男連中が鼻血を出していたのよ」

「全く…」

 

うわ…女性陣の目が非常に冷ややかだ…。

同性から見ても怖え~…!

 

「本当に申し訳ございません。私からもよく言っておきますので…」

「はぁ…」

 

確か…この二人って夫婦だったよな?

もしかして…かかあ天下だったりする?

 

『相棒』

「ん?」

『リベンジが出来たな』

「…そうだね」

 

リベンジ…ね。

ま、確かに借りは返せた…かな?

 

「リベンジ?」

「どういう事ですの?」

『嘗て、相棒はアイツに手痛いダメージを負わされてしまったことがあるのさ』

「君が…!?」

「お恥ずかしい限りです」

 

あの時は必死だったからねぇ…。

 

『あの龍…ハンニバルが初めて出現した際、相棒は仲間達と共に討伐に向かった。特に問題も無く討伐には成功したが、異変はその後に起こった』

「何が起きたんですか?」

「死亡した筈のハンニバルがいきなり起き上がって、攻撃を仕掛けてきたんだ」

「「「ええっ!?」」」

 

そりゃ驚くか。

 

『その際、不意を突かれて棒立ちになってしまった仲間を庇って相棒が盾になって、そのままぶっ飛ばされてしまい、気を失ってしまった』

「マユさんらしいと言えば納得しますけど…」

「あまり危ない真似はしないで欲しいですわ…」

「うん…そうだな」

 

心配だけはかけたくないしね。

 

『あの時の相棒は、日々の激務で疲労が溜まっていた上に、神機も度重なる戦いで碌に整備も出来ずに故障寸前だったからな』

「貴女は……」

 

うぅ…グレイフィアさんや。

そんな目で見ないで…。

 

『今でこそ多少は収まったが、あの頃の相棒は今以上に自分の事を顧みなかった。余りにも無茶をし過ぎた結果、上官から溜まっている休暇の消化を命じられたほどにな』

「無茶にも程があるわよ…」

「呆れますわ…」

 

自覚がある為、何も言い返せない…。

 

「だから『リベンジ』だったのね」

「そう言う事だ」

 

ちょっとだけスッキリはしたかな?

 

「ところでお兄様。予想外の介入者はあったけど、ゲーム自体は私の勝利だったから、結婚の話は…」

「分かっているよ。僕から父上達には話しておこう」

 

良かった…。

これで一応の解決はしたのかな?

 

「僕としても、君の戦いが見れて満足だしね」

「そんな事だと思ったわ」

 

それが目的で私と白音のゲーム参加を許可したのか…。

喰えない人だ。

 

いつまでも座りっぱなしは悪いと思い立ち上がろうとしたが、少しだけふらついてしまい、リアスとレイヴェルちゃんに支えられるようにして立ち上がった。

 

「出来ればさっきの龍の事を君に聞きたいところだけど…」

「今日はおやめになった方がいいでしょう。今はマユ様の体が第一です」

「分かっているよ。僕だって空気ぐらいは読めるさ」

 

私としてもそうして貰いたい。

今は兎に角、休みたい…。

 

「赤龍女帝殿」

「ん?」

 

奥の方から紅いスーツを着た夫婦と思わしき二人組がやって来た。

男性の方はサーゼクスさん達と同じように鼻にティッシュを詰めていたけど。

 

「貴方方は…」

「我々はライザーの両親です」

 

マジですか…。

もしかして、ライザーについて何か言われるのかな?

結構えぐいやり方で倒しちゃったし。

 

「今回は本当に感謝します。これであの愚息も少しは懲りるでしょう」

「え?」

 

なんで感謝されるの?

 

「しかも、レイヴェルの事を命懸けで救ってくださった。なんて礼を言えばいいか…」

「いえ…それほどでは…」

 

咄嗟の事だったし、そこまで深くは考えて無かったなぁ…。

 

「それに関しては僕も感謝しているよ。またリアスの事を助けてくれた。本当にありがとう」

 

改まって言われると…なんか照れる。

 

「ど…どういたしまして…」

 

うぅ…穴があったら入りたい!

 

「もしも冥界に来る機会があったら、是非とも我が屋敷にいらしてください。盛大に歓迎させて貰います。きっとレイヴェルも喜ぶでしょう」

「はい!」

 

息子が目の前で倒されたのに、全然心配されないとか…

普段からライザーがどんだけ我儘な事をしているのか目に浮かぶようだよ。

レイヴェルちゃんに至っては元気に返事してるし…。

 

「お姉ちゃん。今回は本当にありがとう。お姉ちゃんがいなかったら、きっと私はライザーに負けていたわ」

 

弱点さえ分かっていれば、私がいなくても勝てると思うけど…。

 

「今日はこれで解散しよう。念の為、今日は転移で帰った方がいいだろう」

「そうですね…」

 

実の所、家まで歩いて帰るほど体力は残されていない。

言われなくても転移で帰る予定だった。

 

てなわけで、軽く別れを挨拶をした後に、お言葉に甘えてドライグの力で転移して帰宅した。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 家に帰って玄関を開けると、そこには黒歌とレイナーレが待っていた。

 

「マ…マ…」

 

んん?

一体どうした?

 

「マユ~!!」

「うわぁっ!?」

 

いきなり黒歌が抱き着いてきた。

よく見ると、体が震えている。

 

「もしかして…泣いているのか?」

「当たり前にゃ!」

 

怒られた。

 

「よかった…マユが無事で本当に良かった…」

「黒歌…」

 

心配…掛けちゃったか…。

 

「私は…私は別に……うぅ…うぅ…」

 

強気な事を言っているが、次第に声は収束していって……

 

「うぁ~ん!アンタが無事でよかったぁ~!!」

 

やっぱり抱き着いてきた。

素直じゃないなぁ~。

 

「……今回ばかりは勘弁してあげます」

 

なんてことを言いてるけど、白音もさっきまで私に抱き着いていたよね?

 

「エリザ。今回は本当に感謝してる。お陰でライザーに勝てたよ」

『べ…別に?私はアンタの先輩として当たり前に事をしただけだし?』

「素直じゃないですね」

『うっさいわよ!』

 

意外と仲が良さそうで良かった。

 

「子供達は?」

「途中で寝ちゃったにゃ」

「夜も遅かったしね」

 

仕方ないか。

あの子達には明日、事情を話そう。

 

「まずはゆっくりと休むにゃ」

「お風呂は沸かしてるわよ。二人共、入っちゃいなさい」

「うん」

「はい」

 

その後、私達は一緒にお風呂に入って、そのままベットに直行。

 

夢を見る事も無いほどにぐっすりと熟睡出来た。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 次の日。

私がゆっくりと目を開けると、そこには驚きの光景が広がっていた。

 

「すぅ…すぅ…」

 

…なんで…私のベットにリアスが全裸で寝てるんだ?

 

「う…うん…?もう朝…?」

 

目を擦りながら目を覚ますリアス。

 

「あら…おはよう、お姉ちゃん」

「いや…おはようじゃなくて…」

『な…なんでこの女がここにいるんですか!?』

『余に聞かれても知らん!』

 

私にもさっぱり分からない。

一体何がどうなっている?

 

「な…なんでリアスがここにいるんだ?」

「私が今日からここに住むからよ?」

「『『はい?』』」

 

今…なんて言いました?

 

「にしても驚いたわ。いつの間にかこの家が豪華になってるなんて。どうなってるの?」

「驚いたのはこっちの方なんだけどな…」

 

一先ず、リアスには何かを着て貰う事にした。

いくら同性とは言え、裸を見るのは恥ずかしい。

 

クローゼットから適当に私のTシャツを貸して着せた。

 

「いいの?」

「沢山あるから大丈夫」

 

因みに、リアスが着ているTシャツには『駄目な方のバナージ(笑)』と書かれてあった。

黒歌が買ってきたのだが、何処で見つけたんだ?

 

「お姉ちゃんには何回もお世話になったわ。私も必死に恩返しの方法を考えたんだけど、生半可な事では返せないぐらいに恩は大きい。だから、一緒に暮らしてそれを考えようと思ったの」

「なんちゅーこった…」

 

別に恩返しなんてしなくてもいいのに…。

 

「御両親には言ったのか?」

「勿論。二人共お姉ちゃんの正体が赤龍女帝だと知っていたから、二つ返事で許可してくれたわ」

 

そんな簡単に許可すんなよ…。

リアスの御両親は何を考えてるんだ…?

もしかしたら、サーゼクスさんの入れ知恵かもしれないけど。

 

「はぁ……皆になんて説明したら…」

 

朝から頭が痛いよ…。

 

取り敢えずは皆に会せようか…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「と言う訳だから、今日からよろしくね?」

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

案の定、皆が茫然としている。

 

「ど…どういう事にゃ?マユ…」

「私に言われても…」

 

事情を聞いても、なんて言ったらいいのか分からない。

 

そんな時だった。

毎度の事のように、私の携帯に着信が来た。

 

「はぁ……」

 

溜息と共に着信に出る。

勿論、スピーカーモードで。

 

『やっほ~!どうやら無事にゲームを乗り越えたようだね!マユちゃん!』

「な…なに?」

『マイネームイズASHINAGAおじさん!マユちゃんのお助けマンさ!』

「は…はぁ?」

 

いきなり訳の分からない事を言われて戸惑うリアス。

そこから、簡単に足長おじさんについて説明を受けた。

 

『と言う訳さ!』

「成る程ね…。お姉ちゃんが昔から神出鬼没なのは貴方の影があったからね」

『その通り!』

「まぁ…お姉ちゃんが信用しているなら、私もするしかないわね」

『助かるよ~!』

 

こんな簡単でいいのか…?

 

「この家をリフォームしたのもコイツの仕業らしい」

「道理で…」

 

よもや、この事態を最初から読んでいたのではあるまいな?

いや…コイツなら充分有り得る…。

 

『部屋なら沢山あるから、この子一人ぐらいなら一緒に住んでも問題無いでしょ』

「確かにそうだが…」

 

この家がまた賑やかになるな…。

 

「何だかよくは分からんが…」

「リアス、一緒に住む?」

「ええ。貴女達もよろしくね?」

「うむ!賑やかのはいい事だ!」

 

あぁ…幼女組は受け入れる気満々だし…。

 

「ここまで来たら、もう諦めるしかないにゃ…」

「私達が言って大人しく引くぐらいなら、最初からここにはいないわよね」

「これからは部長さんも一緒に…」

「はぁ……」

 

覚悟を決めるしかないか…。

どうこう言っても始まらないし。

 

そんな訳で、リアスが一緒に住むことになった。

因みに、家具や荷物は後で運び込むことになっているらしい。

用意周到と言うかなんと言うか…。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 朝からリアスが来たりして色々とあった日の放課後。

登校から私とリアスが一緒にいた事を朱乃が見て驚愕していたが、まずは気にしない事にした。

 

「はぁ…。ある意味、昨日以上に疲れた…」

「お疲れ様です、マユさん」

 

絶対に労ってない…。

 

『くははははは!モテる女は辛いな?雑種』

「五月蠅いよ?」

『ははははは!白音よ。前々から貴様には見込みがあると思っていたが、やはり間違いでは無かったな。この状態でも愉悦の心を忘れんとは』

「愉悦…ですか?」

『うむ。我は個人的に貴様を気に入った。褒美をくれてやろう』

 

何をやる気だ?

そう思っていると、白音の傍の空間が歪んで、そこから小さな何かが落ちて来た。

 

「これは…」

「飴玉?」

 

何故に飴玉?

 

『唯の飴では無いぞ。これは我が宝物庫にあった至高の逸品である。食べてみるがよい』

「はい」

 

貰った飴玉をパクリを口に入れる白音。

すると……

 

「はっ!?」

 

いきなり、料理漫画のような反応をした。

 

「口に入れた途端、まろやかな口当たりに甘い香り…。そして、まるで全ての甘味を混ぜ合わせたかのような味…!素晴らしいです!」

『そうであろう!そうであろう!』

 

楽しそうですね。

この二人は…。

 

「少し遅れたけど…皆、今回は力を貸してくれてありがとう。お陰で助かったわ」

「今更…ですわ」

「そうですよ。僕達は部長の眷属なんですから」

「朱乃…裕斗…」

 

うんうん。

やっぱり仲間はこうでなくてはな。

 

「お姉ちゃんと白音もね。こっちの都合に巻き込んじゃってごめんなさい」

「気にしないでくれ。私達が勝手にしたことだ」

「その通りです。困った時はお互い様です」

 

またいつもの日常が帰って来た。

こんな毎日を守る為にも、これからも頑張らないとな。

 

そんな風に思っていると、何やら魔法陣がいきなり現れた。

 

「こ…これは!?」

「まさか…」

 

この魔法陣は確か…。

 

「…………」

 

やっぱりか…。

 

「ライザー!」

「また貴方ですか…」

 

なんでか再び登場のライザー。

妙に真剣な顔をしているけど。

 

「何しに来たの!?ゲームに勝った以上、貴女と私は…」

「わかっている。今回はリアスに用事があった訳じゃない」

「じゃあ何をしに…」

 

訳が分からず静観していると、ライザーがこっちに来た。

 

「マユ…」

「なんだ?」

「今までの女達は皆、俺に媚び諂うか、俺に屈服されるかのどっちかだった。だが、お前は違った」

 

まぁ…こんなんでも一応、ライザーって御曹司だしね。

寄ってくる女性はそれを分かって寄ってくるんだろうね。

 

「俺をあそこまで完膚なきまでに叩きのめしたのは、お前が初めてだった」

「そうか」

「しかも、父上に聞いたところによっては、レイヴェルの事も救ってくれたそうだな」

「当然の事をしたまでだ」

 

命を守るのは神機使いの使命みたいなものだしね。

 

「お前に倒されて医務室のベットで目覚めた時、俺の頭はお前の事で一杯だった」

「なん…だと?」

 

それって…。

 

私が猛烈に嫌な予感を感じていると、ライザーが私の足元に跪いた。

 

「俺は…マユ、お前に本気で惚れた。だから、俺と結婚を前提に付き合ってくれ!」

「「「「「「はぁっ!?」」」」」」

「な…ななななななな何を言ってるのよ!ライザー!!」

「止めないでくれリアス!俺の気持ちは本気だ!」

 

わ…私は…告白されたのか…?

 

「それが駄目なら、せめて番号を交換してくれ!」

「いきなり妥協したな!?」

 

恋人が駄目ならメル友って…。

 

「頼む!」

「う…うむ…」

 

ここまで懇願されては、こっちとしても断るのは気が引ける…。

 

「ま…まぁ…番号交換ぐらいなら…」

「……!感謝する!」

 

てなわけで、交換しました。

 

「はは…はははははは!これで俺は無敵だ!ではな!」

 

いきなりやって来て、いきなり去って行った…。

 

「な…なんだったの…?」

「さぁ……」

 

しかし、あのライザーが妥協をするとは……少しは改心したのか…?

 

「でも、良かったの?」

「ああでも言わないと、家まで押しかけそうだったからな」

「確かにね…」

 

携帯の番号ぐらいなら問題無いだろう……と思っていた私を、後で思いっきりぶん殴ってやりたい出来事が起こった。

 

なんと、ライザーはほぼ毎日私に通話をしたり、メールを送ってきたりするのだ。

しかも、酷い時は一時間に一回の間隔で。

 

流石にしつこすぎるので、レイヴェルちゃんに電話してなんとかなったが、これからも油断は出来ないな…。

 

あの時、別れ際にレイヴェルちゃんとも番号交換していて本当に良かったよ…。

 

こうして、騒がしくも賑やかな私の日常は、再び戻って来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これでフェニックス編は終了。

ライザーがマユに惚れるのは当初から考えてました。

まぁ…マユからしたら眼中にも無いんですけどね。

ぶっちゃけ、ライザーの一方的な片思いです。

多分、一生。

では、次回。

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