最近になって急に忙しくなって、更新速度が遅くなってしまいました。
可能な限り頑張る気ではありますが、更新は体力と相談して決めたいと思います。
マユとライザーが対峙している頃、両陣営の残りのメンバーは白音とレイヴェルがいる場所に集結していた。
「そろそろ二人が戦い始める頃ですね…」
「心配はしていませんが、どの程度に絞ってくれるのでしょうか?」
何気に兄に対して辛辣なレイヴェルだった。
「通信で聞いた時は半信半疑だったけど、本当にライザーを見限ったのね…」
「あんな兄では、見限りたくもなりますわ」
周囲のライザー眷属達は賛同していいのかどうかと言った感じの困った表情をしていた。
「でも、実際の話。一体どうやって勝つつもりなんですの?あんな兄でも、一応はフェニックス。無限に等しい再生能力は本物ですのよ?」
「分かってるわ」
「先輩なら大丈夫さ。あの人は送られてきた映像を見て、フェニックスの弱点を見つけたからね」
「フェ…フェニックスの弱点!?」
まさか、自分すらも知らない弱点を見つけられた事に、レイヴェルはかなり動揺した。
「じゃ…弱点とは一体…」
「それは、見ていれば分かりますわ」
朱乃が微笑みながら答える。
彼女の笑顔に、何やら怖い気配を感じたレイヴェルは、少しだけ後ろに下がってしまった。
その時だった。
彼女の手元に一組の耳栓が転移してきた。
それは、リアス達がマユから試合前に渡されていた耳栓と同じ物だった。
「これは…」
「お姉ちゃんの耳栓ね」
「きっと、マユさんがレイヴェルさんに送ったんですよ」
「私にこれを…?」
頭の上に?を浮かべながら耳栓を手に取るレイヴェル。
「そろそろつけた方がいいかもしれませんわね」
「そうね」
戦いの空気を感じたリアス達は、耳栓を付け始める。
「きっとそれは、マユさんが貴女の事を認めた証だと思います」
「私の事を……」
伝説の存在が自分を認めてくれた。
その事実に感動しながら、レイヴェルは静かに耳栓を付けた。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
私がライザーと向かい合っていると、何やら違和感を感じた。
まるで、何かが開いたような感覚だ。
(…ギルガメッシュ。一体何をした?)
(なに。あのレイヴェルとか言う小娘に耳栓を送っただけよ)
(レイヴェルちゃんに…?)
なんで彼女に…。
(他の連中や目の前の男は全員が論外だが、あの娘だけは別だ)
(と言うと?)
(自分では自覚してはいないだろうが、アイツは近年稀に見る『覇』の才能がある)
(覇?)
(烏合の衆を纏め上げ、他の上に立つ才能。お前に解りやすく言えば、王としての才能だ)
(王としての才能…)
見た目は至って普通の女の子に見えたけど…。
(ククク…。この我も久し振りにあれ程の才能を持つ存在を見たぞ。もしも、あの小娘が自分の才能を自覚し研鑽を重ねていけば、将来的には歴史に名を遺す程の存在になるであろうな)
凄い…。
あの慢心王がべた褒めだ。
そんなにもレイヴェルちゃんは凄いのか…。
(貴様にも王としての才能があるが、あの娘の才能とはまた別だ)
私にも…。
(お前は自ら前線に立ち、兵達を鼓舞させるような…戦う王だ。だが、あの娘は知略や謀略を使い、『冷たい戦争』で最大の力を発揮するタイプの王だ)
冷たい戦争…ね。
(あれほどの才能を、このような場所で潰させるのは非常に惜しい。故に、この我自ら耳栓を送ったのだ)
ほんと…優しいのか厳しいのか、よく分からないな。
これが英雄たちの王と呼ばれた男か。
「ん?さっきから黙って一体どうした?もしや、今更ながら臆したのか?」
「違う。少し考え事をしていただけ」
ちょっとボケーっとしすぎたかな。
「ところで、その恰好は一体なんだ?最初に会った時とは随分と様変わりしているが…」
「私の神器の能力だ」
「ほぅ…。やはり神器持ちだったか…。ただ者では無いと睨んではいたが…」
私の事を舐め回すように見るんじゃねぇよ!
本気で気持ち悪いわ!
「龍と思わしき角と尾…か。その恰好も中々に魅力的だぞ」
「あっそ」
こんなにも嬉しくない褒め言葉も珍しいな。
「だが、それでも俺には届かない。何故なら、俺は不死身のフェニックスだからだ!」
そんなに高々と自慢して言う事?
「例えどんな攻撃であろうと俺には無意味!それでも向かってくるのか?」
「最初から引く気はない」
「はははははっ!それでこそ俺が認めた女だ!絶対に俺のハーレムに入れてやるぞ!」
はいはい。
勝手にほざいていてください。
「そうだ。これもハンデとして教えておいてやろう」
ん?何を言う気だ?
碌な事じゃないだろうけど。
「俺達フェニックス一族を倒したいのであれば、圧倒的な力で押しつぶすか、俺達の精神を潰すしかない。今のお前にそれが出来るかな?」
「さぁ……?」
ここで安易に答えて、自分の手の内を晒すのは素人のする事。
時には心理戦も大事なのだ。
「くく……。ここまで言っても、まだ目が死んでいない…か。いいだろう!お前の将来の夫の実力をたっぷりと見せてやろう!」
「勝手に結婚を約束するな!」
私にだって選ぶ権利ぐらいあるっつーの!
同じ金髪の男だったら、絶対にカレルさんを選ぶわ!
だって、あっちの方がイケメンだし、性格もいいし!
「その気概はよし!では…いくぞ!」
ライザーは私に向かって火炎放射を放った!
反射的に槍を構えて突撃し、槍の一振りで炎を払い、一瞬でライザーの懐に飛び込んだ!
「は…速い!?」
「そっちが遅いんだよ!」
そのまま、槍をライザーの腹部に突き刺す!
だが…全然手応えが無かった。
よく見ると、槍はライザーの腹部に突き刺さったまま、その周りには炎が出ていた。
「凄まじいな。俺の攻撃を一撃で払い、流れるような動作で懐に飛び込み、一瞬の躊躇も無く槍を放った。もしも俺がフェニックスでなかったら、間違いなくこの一撃でアウトだ。だが…」
槍を抜いて離れると、穴が開いたライザーの腹部が見る見るうちに炎と共に再生してしまった。
「この通りだ。これで分かっただろう?無意味なんだよ。俺にこんな攻撃は」
成る程。
実際にこの目で見ると、確かに厄介な能力だ。
けどね……
「余計な心配は無用だ」
「なに?」
「別に……不死身の存在と戦うのは…これが初めてじゃない」
そう。
あの『白いアラガミ』に比べたら、全然平気だ。
「どうやら、お前は相当な戦闘経験があるようだな」
「お陰様でね」
「だが、世の中にはどんなに頑張っても勝利出来ない存在がいる事も学ぶべきだぞ?」
「そんなのは……とっくに知ってる」
そう…沢山ね。
「だが、それは決して逃げる理由にはならない。だから!」
私は籠手を前に突き出した。
「本気でいかせて貰う!」
「ならば見させて貰おうか!お前の本気とやらを!」
その言葉を死ぬほど後悔させてやる!
「ドライグ!エリザ!」
『待っていたぞ!』
『オッケーよ!』
「これは…さっきの声か。あの籠手から聞こえているのか…」
赤龍帝の籠手の宝玉が眩しく光り輝く。
『今まで誰かの為に歌った事なんて無いけど…。生まれて初めて、自分以外の誰かの為に歌いましょう!!!』
エリザ…!
『私の力の全て…受け取って!マスター!!!』
宝玉の輝きが最大になると、籠手から音声が聞こえた。
【Welsh Dragon Lancer Balahce Bleaker!!!】
光が私の体を覆いつくし、光が消え去った後、私の格好は大きく変化していた。
黒いコルセットに黒いフリフリのスカート。
その下には同じように赤いフリフリのスカートがあった。
袖の部分は直接腕に付けるようにしてあって、それもまた赤くてフリフリだった。
左腕にはさっきと同様に赤龍帝の籠手が装着してあった。
足の方は、赤い装甲に覆われた棘付きのブーツに変わっていた。
やたらとヒールが高い為、ちょっと立ちにくい。
でも、一番の問題はそこじゃない。
「な…なんだ…この格好は…!」
この姿で一番露出しているのは、胸の辺りだった。
中央に一本、胸を隠すように二本の帯があったが、お世辞にも全てを隠しきれているとは言い難い。
寧ろ、隠せていない場所の方が多い。
帯は首の辺りから続いていて、首の部分をチョーカーのように覆っている。
「さ…流石に恥ずかしい…!」
『え?どこがよ?すっごく可愛いじゃない!』
これでは唯の危ないコスプレにしか見えない!
貴族の考えていることはよく分からん…!
「う~む…」
「な…なんだ…」
ライザーがずっとこっちを見てるんだけど…。
「実に俺好みの格好だ。本気で俺と付き合わないか?」
「誰が付き合うか!変態!」
くそ…!あんな奴に殆ど露出した胸を見られるとは…!
絶対に倒さなければいけいない理由が増えたな…!
「そ…そんな風に言っていられるのも時間の問題だ!」
「その恰好で言われても説得力無いぞ」
「私を見て鼻血を出してる奴に言われたくはない!」
「おっと」
今更鼻血を拭っても遅いんだよ!
「お前は…色んな意味で私の逆鱗に触れた…!」
「な…なんだと?」
「血の伯爵夫人と呼ばれた槍の英霊…エリザベート・バートリーの力を思い知れ!!!」
槍を振り回して地面に刺す。
すると、新校舎を押しつぶすようにして、アンプが付いた巨大な城が出現した。
「な…なにぃ~~~!?ウリィィィィィィィィィィッ!?」
いきなりの校舎の崩壊に、ライザーは巻き込まれたかに見えたが、咄嗟に羽を広げて宙に浮き、運動場に降り立った。
「な…なんなんだ!?その城は!?」
そんな言葉は基本的に無視無視。
よく見ると、リアス達も驚いた表情でこっちを見ていた。
特に凄かったのがレイヴェルちゃんで、まるで顎が外れんばかりに大きく口を開けていた。
「こ…これが歴代の…英霊の宝具!?」
「幾らなんでも凄すぎますわ…!」
どうやら、ちゃんと耳栓はしているようだな。
これならこっちも遠慮なく全力を出せる。
校舎が崩れたから、改めて槍を地面に突き刺す。
そして、背中から龍の翼を広げて槍の上に立つ。
「これが私達の!」
『ラストナンバーよ!』
「盛大に!」
『魅せてあげるわ!!』
思いっきり息を吸って、力を込める。
「『
一気に口の中に貯めたものを吐き出す。
それは、強大な力が込められた超音波だった。
そして、その超音波は城のアンプからも放出された。
超音波はそのまま真っ直ぐにライザーに向かって行った。
「ぎゃ…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!?」
耳栓をしていないライザーは、耳を抑えて苦しみだした。
「す…凄い振動…!」
「く…空気が震えている…!」
「耳栓をしているお陰で聞こえてはいないけど…」
「それでも…凄い力を感じます…!」
耳栓はちゃんと機能しているようだ。
他のライザーの眷属は苦しみながらも辛うじて耐えているって感じ。
この宝具の超音波は一見すると対城、対軍宝具のように見えるが、実は対人宝具なのだ。
指向性の超音波はターゲットにしか効果は無く、他の相手には凄い音にしか聞こえない。
実際、この力で苦しんでいるのはライザーのみで、他の連中は耳を手で防いでいるだけで済んでいる。
ライザーも同じように耳を手で防いでいるが、そんな事で英霊の宝具を防げれば誰も苦労しない。
だが、この程度では終わらせない。
戦いの前、ドライグとある打ち合わせをした。
それは……
【Boost!】
私が宝具を使用中、ドライグの意思で宝具の威力を倍化して欲しいと言うものだ。
これで、私は宝具の使用に集中出来る。
威力が倍化したことによって、ライザーはさっき以上に苦しむ。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁあああぁぁあぁあぁあぁあああぁああっ!!?」
地面に転がりながら、全身に汗を掻きながらのた打ち回る。
徐々に血管が浮き出てきて、口からは涎が、目からは涙が出始める。
(な…なんなんだぁぁぁぁぁぁっ!?頭が割れるぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?)
さっきまでの余裕は何処へやら、ライザーは無様な姿を晒している。
(そ…そうだ!鼓膜を破ればなんとか…!)
とか思ってるんだろうな。
けど、その程度の事を考えてないとでも?
ライザーは必死に震える指を動かして耳を突く。
奴の耳から血が流れるが、すぐさま耳から小さな火が出て鼓膜が再生してしまう。
(し…しまった!?フェニックスの再生能力で鼓膜を破ってもすぐに治ってしまう!)
ほらね?
さて、そろそろフィニッシュに…
【Boost!】
って、あれ!?
ここでまた倍化!?
なんで!?
(俺の相棒をナンパするなど絶対に許せるか!これぐらいでもまだ生温いわ!)
あ…ドライグもご立腹だったのね。
「がぁぁぁぁああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
とうとう白目を剥いて、口から泡まで吐き出した。
我ながら、これはちょっとやり過ぎかも…。
ライザーは身体全体を弓なりに逸らして、全身が痙攣している。
そして遂に……
「あ…あぁぁ……」
力尽きたのか、ガクッとなって地面に横たわった。
それを見て、私は宝具を解除した。
「……ふぅ」
槍から降りると、城は地響きと共に地面に消えていった。
『ライザー・フェニックス様、リタイヤ!勝者!リアス・グレモリー様!』
勝った…!
「「お…お姉ちゃん!」」
「先輩!」
「マユさん!」
皆がこっちに走ってやって来る。
その顔は、皆一様に嬉しそうだった。
特にリアスが一番嬉しそうで、私に思いっきり抱き着いてきた。
「ありがとう…!本当にありがとう…!」
「うん…」
本当に嬉しいのか、リアスの体は歓喜に振るえている。
それを落ち着かせるために、私はリアスの頭を撫でてあげた。
すると、レイヴェルちゃんもこっちにやって来た。
「お見事でした。まさか超音波を使うなんて、予想も出来ませんでした」
「だろうね」
「流石のフェニックスも音だけは防げない。完全に盲点でしたわ」
こっちも映像が送られてこなければ分からなかったけどね。
「貴女様の戦いは本当に勉強になります。お会い出来て良かったです」
「私もだよ」
きっと、彼女との出会いは私にとってもいい経験になるだろう。
なんでかは知らないけど、そんな気がする。
「兄にもいい薬になったでしょう」
皆で気絶したライザーの方を見る。
すると、股間の辺りがなにやら湿っているのが見えた。
「あ……」
「全く…」
レイヴェルちゃんが頭を抱えている。
そりゃそうだ。
実の兄の失禁姿なんて、見ていて恥ずかしい以外の感想は出ない。
流石に見るに堪えないのか、ライザーはすぐさま転移されていった。
「これで…終わったのね」
「うん…」
やっと明日からいつもの日常に戻れる。
さて、まずは帰って黒歌とレイナーレ達に報告……
「うっ…!?」
急に『左腕』が疼き出した。
まるで、ティアウス・ピターの時のように。
「これは……」
「お姉ちゃん…?どうしたの?」
「い…いや…。ちょっとな…」
リアスがそっと私から離れながら顔を覗き込んできた。
次の瞬間、強烈なまでのオラクル波を感じた。
「皆!この場から離れろ!!!」
必死に叫ぶと、全員が弾かれたかのように逃げ出した。
「リアス!レイヴェル!危ない!!」
咄嗟に一番近くにいた二人を抱きしめて庇う。
すると、私の背中に巨大な火炎球が命中して、吹き飛ばされた。
その勢いで旧校舎にぶつかったが、反射的に自分を盾にした。
「ぐぁっ…!」
壁をぶち抜いて校舎の中に突っ込んでしまったが、なんとか二人に怪我は無かった。
「お…お姉ちゃん!背中が…!」
「あ…あぁぁ…!」
もしかして、背中を火傷とかしちゃったかな?
凄い熱いんですけど…!
「さっきまで何にも感じなかったのに…!なんでいるんだよ…!」
痛む背中を我慢しながら火球が飛んできた方向を見ると、そこには一匹の白い体の炎を纏った龍がいた。
「ハンニバル!!!」
戦いは…まだ終わってはいなかった。
いや、ここからが本番なのかもしれない。
ライザー退場。
そして、入れ替わるようにハンニバル登場。
ライザーはハンニバルの為の咬ませ犬ならぬ咬ませ鳥(笑)になったのです。
そして、マユはエリザモード(禁手)になれるようになりました。
お分かりかもしれませんが、勿論のようにパンチラはしてます。
ただ、皆はマユの事を気遣って言わないだけです。
実は、めっちゃ凝視してました。
お次はハンニバルとの決戦?
では、次回。