神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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最近になって、急に忙しくなってしまいました。
一応、今週で収束するらしいのですが、どうなる事やら…。

疲れ果ててしまって、すっかりくたくたです。


第36話 温泉と情報収集

 一日目の特訓が終わり、レイナーレが作ってくれた夕食を食べ終えた私達は、皆でお風呂タイムと洒落込んだ。

 

最初に私達女性陣が入り、その後に裕斗が入る手筈になっている。

 

にしても……

 

「温泉かよ……」

 

別荘とは思えないほどに大きな温泉がそこにはあった。

どう考えたって、これは高級旅館とか高級ホテルとかにあるタイプの温泉だ。

流石は魔王の血脈と言ううべきか…。

 

「ひ…広いです…」

「ブルジョア全開にゃ」

「質素って言葉を知らないのかしら?」

 

こらこら、そんな事言わない。

 

一応、全員がバスタオルで身体を隠した状態で浴場に来ている。

勿論、私は普段は左腕を覆い隠している手袋を外している。

 

「にしても…」

「ん?」

 

レイナーレが私の左腕を凝視している。

 

「こうして改めて見ると、すっごい腕よね…。ホントに大丈夫なの?」

「ああ。今の所はこれと言った問題は出ていない」

「そう…。それならいいけど…」

 

もしかして…心配してくれた?

 

「お姉ちゃん!すっごく広いぞ!」

「おぉ~…」

「泳げそうだな~」

 

幼女組は案の定、はしゃいでいる。

 

「三人共、走ったりしたら駄目だぞ?危ないからな」

「「「は~い!」」」

 

うむ、よろしい。

 

「お湯に入る前に、まずは身体を洗ってしまいましょうか?」

「そうだな」

 

マナーだしね。

 

「そ…それでね?お姉ちゃん…」

「ん?どうした?」

 

さっきからずっと顔が赤いけど…マジでどうした?

もしかして、もうリアスは逆上せてしまったのか?

 

「よかったらなんだけど……御背中流せてほしいの!」

「そんなことか。別にいいよ」

「やった!」

 

それぐらいなら全然構わない。

家でも白音とかにして貰っているしな。

 

「ず…ずるいですわ!リアス!私もお姉ちゃんの背中を流したいわ!」

「こういうのは、先に言った者が勝つのよ!」

 

お前達が喧嘩してどうする。

ちょっとは子供達を見習いなさい。

 

「ティアちゃん。痒い所は無いですか?」

「うん。大丈夫」

「オーフィス。ちゃんと目を瞑ってるにゃ」

「分かった」

「ほらレド。頭を流すわよ」

「ん」

 

アーシアがティアを、黒歌がオーフィスちゃんを、レイナーレがレドの頭を洗ってくれている。

そして、白音はその傍で一人で体を洗っている。

 

「あ…貴女達は冷静ね…」

「そう言えばそうですわ…」

「私達は家でマユさんと一緒にお風呂に入れますから」

「「そうだった!!」」

 

そう。

もう家の皆全員と一緒にお風呂に入っている。

当然、アーシアやレイナーレも。

 

「ぐぐぐ…!こうなったらじゃんけんよ!朱乃!」

「望む所ですわ!」

 

遂に勝負に発展したか。

ま、安全な勝負で安心したけど。

 

「「じゃんけん……ぽん!」」

 

リアスと朱乃のじゃんけん勝負の結果は……

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「ふふふ……♡」

「まさか…この私が負けるなんて…!」

 

じゃんけん勝負の結果は、朱乃がパーでリアスがグー。

という訳で、見事に朱乃が勝利した。

 

体と頭を洗い終わった私達は、皆揃って湯船に浸かっていた。

 

「ふぅ~…」

 

一日の疲れが癒えていくようだ…。

やっぱり温泉は最高だぜ!

 

「明日こそは私が勝つわ!」

「いつでも受けて立つわよ?」

 

まだやってるのか…。

 

「醜い争いにゃ」

「三人共、あんな大人になってはいけませんよ?」

「「「は~い」」」

 

何気にリアスと朱乃をディスったな…。

恐るべし白音…!

 

「ねぇ…マユ」

「ん?どうした?レイナーレ」

「アンタの訓練風景をちょっと見たけど…私が来る前からずっとあんな事をしてたの?」

「まぁ…大体な」

「はぁ……。いくらなんでも鍛え過ぎよ…。私の力が通じないのも納得だわ…」

 

そうか?

私としてはあれぐらいは当たり前なんだけど…。

 

「マユさん…。なんてしなやかで鍛えられた体なんでしょう…。とっても綺麗です…」

 

アーシアに至っては私の体をさっきからずっと見てるし…。

流石にちょっと気恥ずかしいぞ…。

 

「って…やめましょうか。温泉ぐらいゆっくりと入りましょう…」

「それもそうですわね…」

 

あ、元に戻った。

 

「あ…あの…お姉ちゃん?」

「今度はどうした?」

「ちょっとだけ…その腕を触っていいかしら?」

「わ…私もいいですか?」

「いいぞ」

 

別に減るもんじゃなし。

こんな腕ならいくらでも触っていいよ。

 

「じゃ…じゃあ…行きます」

 

どうしてそんなに緊張する?

 

「うわ……固いわ…」

「けど、決して太すぎない腕…。まるで古代ローマの彫刻のようですわ…」

 

それはちょっと褒め過ぎ。

 

(確かにな!奏者の肉体は、かの太陽神ソルも嫉妬するような美しさだ!)

 

あ、ネロが割り込んできた。

多分、『ローマ』の部分に反応したんだな。

 

「今日のような鍛え方をしていれば、納得ですわ…」

「ええ…。やっぱりお姉ちゃんは凄いわね…」

 

因みに、二人がさっきから触っているのは、アラガミ化していない右腕の方だ。

少しくすぐったい。

 

それからも、皆でゆっくりと温泉を堪能して、今日の疲労を解消していった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 私達が湯から上がり、裕斗もお風呂に入った後で、私達はリビングに集合した。

 

「この間ライザーが言っていた通り、私の元に彼の試合の様子が映ったDVDが送られてきたわ」

「意外と律儀なんですね」

「それだけこっちを下に見ているってことさ」

 

ま、油断してくれている分はこっちに有利だからいいけどね。

 

「それじゃ、再生するわよ?」

 

リアスがDVDレコーダーに送られてきたDVDを入れてから、スイッチを押す。

すると、リビングの中央に位置している大型テレビに映像が映し出された。

 

テレビには、フィールドを縦横無尽に駆け抜けるライザーの眷属達が映った。

 

「数で圧倒してるって感じですね」

「質より量…。その考えは分かるけど…」

「ちょっと粗さが目立ちますわね…」

 

確かに。

見た感じは連携が取れているように見えるが、所々に隙が見え隠れしている。

しかも……

 

「あ…」

 

ライザーの女王と思わしき女性が、味方ごと敵を爆撃した。

 

「サクリファイス戦法…!」

 

サクリファイス…生贄。

つまり、味方を敢えて犠牲にしてから敵を討つ戦法か。

 

「私はあんまり好きじゃないわ…!」

 

リアスは嫌いそうだよな。

こう言った戦法は特に。

 

「私もあまり好みでは無いな…」

「マユさん…」

 

味方を犠牲にして敵を討つのは、本来なら最後の手段の筈だ。

いくら死の概念が無いゲームとは言え、それを多用するのは、あんまり褒められたものじゃない。

 

画面に映っているライザーの眷属達の一挙手一投足をじっくりと観察していると、ライザーの戦闘シーンになった。

 

相手の攻撃をワザと受けるライザー。

すると、ライザーの体が一部消滅したかと思った瞬間、あっという間に再生してしまった。

 

「これが…フェニックスの『再生』ですか…」

「確かにこれはチートだにゃ」

「しかも、こいつの性格も相まって、慢心しまくってるわね」

 

さっきから画面の中で大笑いしてるしね。

……ん?

 

「リアス…今のシーンをちょっと巻き戻してくれ」

「え?」

「頼む」

「分かったわ…」

 

リアスがリモコンを使って映像を巻き戻す。

 

「一体どうしたの?」

「ちょっと静かに…」

 

私はライザーの姿の注目する。

 

「コイツ……相手と会話をしているぞ…」

「それがどうかしたんですか?」

「見た感じ、戦闘時のライザーには物理攻撃の類は一切通用しないように見える」

「ええ…そうね」

「なら……なんでライザーは会話が出来るんだ?」

「ど…どういう事?」

 

私は座り直してから、皆に説明することにした。

 

「白音。音とはどうやって伝わる?」

「それは…空気の振動が鼓膜に伝わって…そして…」

「その通りだ。そして、空気も立派な『物質』だ。ライザーに物理が通用しないなら、空気の振動もあいつの体を貫通して、全ての音が聞こえない筈だ。なのに…」

「実際はああしてちゃんと会話をしている…」

 

これはもしかしたら…凄い発見かもしれない…。

 

「どんな状況であっても、アイツにはちゃんと『音』が聞こえている。つまり、フェニックスの再生能力をもってしても、防げない物が存在するという事だ」

「それって…!」

「空気……もしくは音…ね」

 

レイナーレが真剣な顔で呟く。

 

「こんな抜け穴があったなんて……」

「流石はお姉ちゃん…。素晴らしい観察眼ですわ…」

「でも、音や空気の攻撃手段なんて…」

「そこら辺は大丈夫かもしれない」

「しょ…勝算があるんですか?」

「うん」

 

私は左腕に視線を落とす。

 

「エリザ…聞こえるか?」

『いきなりどうしたの?子リス』

「次の戦い……君の力を貸して貰うかもしれない」

『わ…私の力を!?』

「正確には、エリザの宝具を…ね」

『私の宝具って……もしかして…』

「君の予想通りだ。多分、あの宝具が勝利の鍵になる」

『そ…そう……私の宝具が……』

 

ん?んん?

一体どうした?

 

『こ…子リスがそこまで言うなら、私の力を貸してあげるわ!感謝しなさい!』

「うん。ありがとう」

『ちょっ…!そんなストレートにお礼を言われたら……照れるじゃない…』

 

最後の方がよく聞こえなかったけど、なんて言った?

 

「明日から早速訓練しようと思う。よろしくな」

『ま…任せておきなさい!』

 

それだけ言って、エリザは急いで引っ込んでいった。

 

「ふぅ……」

 

これで、かなり勝率が上がったな。

 

「お姉ちゃん……」

「リアス?」

 

どうしてそんなに怒ってる?

 

「いくらなんでも守備範囲広過ぎよ!歴代の赤龍帝にもフラグを建てるなんて!」

「フ…フラグ?」

「これもある種の才能だにゃ」

 

才能って…。

 

「う…んん……」

 

あらら。

オーフィスちゃん達が眠そうにしている。

 

「リアス。子供達がおやすみタイムのようですわ」

「そうみたいね。じゃあ、今日はもう休みましょうか?」

 

リアスの一声で、今日は寝る事にした。

私がオーフィスちゃんを、リアスがレドを、アーシアがティアを抱えて部屋に運んだ。

 

昼間にたっぷりと体を動かしたせいか、その日の夜は熟睡出来た。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 次の日。

私は早速エリザの力を使った訓練をすることにした。

 

昨日と同じように、動きやすい格好になってから、皆で別荘の前に出る。

ちゃんと事前に準備運動は済ませた。

 

「それじゃ、頼んだぞ」

『承知した』

『任せなさい!』

 

タンクトップにジャージと、動きやすさ重視の格好で、左腕には毎度お馴染みの赤龍帝の籠手。

この場の皆には既にバレている為、腕袋は外している。

 

【Lancer!】

 

音声と共に、私の体が変化する。

髪が濃い目のピンク色に染まって、髪型はツーサイドアップに。

そして、頭部からは龍の角が、腰の辺りからは龍の尾が生えた。

尾は先端が二股に割れていて、私の手には身の丈以上に大きな、複雑な形をした槍が握られていた。

 

「…よし」

 

この格好になるのは初めてだから、まだちょっと違和感があるけど、それは私が慣れていけばいいだけだ。

 

「狐っ子の次は龍っ子だなんて…」

「これはこれでマニアックですわ…」

 

マニアックって…。

 

「マユさん。尻尾は動かせるんですか?」

「多分」

 

試しに力を込めてみると、尻尾をフリフリと動かせた。

 

「おぉ~。お姉ちゃん、我等と同じになった」

「お揃いだな!」

「増々、私達のお姉ちゃんっぽくなったな!」

 

言われてみればそうかも。

エリザには実際に龍の血が流れていたらしいし。

 

「さて…始めるか」

 

私は槍を構えて、精神を集中させる。

 

「……はっ!」

 

槍を全力で突き出す!

 

「ふん!」

 

次は槍を薙ぎ払うように動かす。

 

「はぁっ!」

 

そして、ジャンプしてから槍を地面に叩きつける!

すると、槍が叩きつけられた地面にちょっとしたクレーターが出来た。

 

「すぅ~……」

 

息を整えて、体勢を元に戻す。

 

「やはり、剣とは勝手が違うな…」

 

チャージスピアも頻繁に使用するが、神機と本物の槍とでは使い勝手が違ってくる。

これは、要訓練だな。

 

「いや……充分ですよ。先輩…」

『私も同感よ。初めて握った武器であれだけ動ければ上等よ』

「そう言ってくれるのは嬉しいが……」

 

これでは私が満足出来ない。

この槍一本でライザーの眷属を全員倒せるぐらいにはならないとな。

 

『相変わらず向上心が強い奴だ。それでこそ赤龍帝だ』

「そうですね。私も頑張ります」

 

お?白音も気合いが入ってるなぁ~。

 

「私達も負けてられないわ!二人共、頑張るわよ!」

「「はい!」」

 

リアス達もやる気満々だ。

 

「私もちょいと気合い入れるにゃ」

「わ…私も、昨日以上に頑張ります!」

 

黒歌とアーシアも昨日よりも顔に力が籠っている。

 

「お姉ちゃん、頑張る」

「私達はここで応援だ!」

「お~!」

 

そして、妹達の激励のおまけ付き。

姉として、無様な姿は見せられないな。

 

「よし!飛ばしていくぞ!」

『ああ!』

『空回りしないようにね?』

「分かっているさ」

 

二日目の午前中は、全てを槍を使った訓練に費やした。

時折、エリザからアドバイスを受けながら、私の特訓は順調に進んでいった。

これなら、当日までにはなんとかなりそうだ。

 

宝具に関しては、ここでは訓練は出来ないから、ぶっつけ本番になるけど…。

こればっかりはエリザとドライグを信じるしかない。

 

こうして、あっという間に二日目の午前は過ぎていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回、劇中でマユが言っていたのは、完全に独自設定です。
でも、原作でも試したことは無い為、有効だとは思うんですよね。

対ライザー戦における切り札はエリザ。
これはサーヴァントを赤龍帝にした瞬間から決めてました。
アサシン先生と迷ったんですけどね。
ここで出番を与えないと、エリザが埋もれてしまいそうなので…。

次回も特訓回が続きます。

では、次回。

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