神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

38 / 82
今回は、今までやらなかった英霊の力の訓練もしようと考えてます。

果たして、何が出てくるかな?



第35話 特訓と言う名の合宿(午後編)

 シャワーを浴びた後にレイナーレの昼食を食べて、少しだけ休憩してから午後の訓練に入った。

え?レイナーレが作った食事?

結構、ボリュームあったよ?

なんか、質より量って感じだった。

それでも、凄く美味しかったけどね。

どうやら、オカルト研究部の皆のレイナーレに対する評価も変わったみたいだし。

 

「では、午後からの訓練を始めるか」

「何をしましょうか?」

「そうだなぁ……」

 

また筋トレと言うのも、効率が悪いしなぁ…。

 

ちょっと試してみたいこともあるけど、私一人でやるのもなんだか……。

 

「ちょっといいですか、先輩」

「ん?どうした裕斗?」

「実は…お願いがあるんです」

「なんだ?」

 

裕斗がお願いなんて珍しい。

一体何だろうか?

 

「僕と手合わせしてくれませんか?」

「私と?」

「はい。是非とも今の自分の実力を試してみたいんです」

 

成る程…。

それも良いかもな。

 

「いいぞ。私で良かったら」

「寧ろ、先輩じゃなければ駄目ですよ」

 

裕斗の中での私の評価高いなぁ~。

 

「なら、午後は一人ずつお姉ちゃんと一緒にするようにしましょうか?」

「いい考えですわ」

「マユさんが訓練をしている間は、筋トレか見学をしていればいいと思います」

 

なんか、あれよあれよと言う内に午後のメニューが決まっていく。

私の意思はそこには無いのか…。

 

「ま、いいか」

 

私としても異議は無いし。

 

「私も少し試してみたいことがあるんだが、それでもいいか?」

「はい。勿論です」

「ありがとう」

 

なら、やりますか!

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 と言う訳で、今私は裕斗と対峙してます。

私は赤龍帝の籠手を装備済み。

 

「アーチャー、準備はいいか?」

『ああ。いつでもいいぞ、マスター』

「なら、いくぞ!」

 

私は籠手を前方に構える。

すると、いつものように籠手から音声が聞こえた。

 

【Archer!】

 

すると、私の体に変化が訪れる。

まず、肌の色が褐色になって、髪の色が白髪になった。

 

変化が終了してから、試しに掌を握りしめてみる。

 

「……よし」

 

問題無しっと。

 

「それが……噂に名高い、歴代の赤龍帝の力…ですか」

「正確には、その一角だがな」

 

歴代の力を憑依させると、その能力と使用方法が頭の中に流れ込む。

実に便利と思う。

ご都合主義万歳だな。

 

『マスター。私の力の使い方は分かるか?』

「問題無い」

『なら、試しにやってみてくれ』

 

目を閉じて、脳内にイメージを刷り込む。

そして……

 

「……トレース…オン」

【Trace ON!】

 

籠手から音が聞こえると、私の両手に独特な形の双剣が出現し、握られていた。

 

「何も無い所から剣が!?」

「これが錬鉄の英霊『エミヤ』の能力…『投影魔術』だ」

「投影…?」

「簡単に言うと、頭の中に想像した物を魔力を媒体にして作り出す魔術の事だ」

「それは……僕と同じ……いや、それ以上…!」

 

基本骨子とかから想像しなきゃいけないけどね。

でも、想像力は昔から豊かな方だ。

 

『最初にしては中々の出来だな。やるな、マスター』

 

アーチャーに褒められた。

普段は辛辣な彼が誰かを褒めるのは珍しい。

それ程に凄かったという事か?

 

因みに、私が今握っているのは『干将・莫耶』と呼ばれる剣で、生前に彼が最も使用していた剣だ。

 

「では、やろうか」

「はい!よろしくお願いします!」

 

裕斗も剣を出現させた。

本当なら木刀とかがいいんだろうけど、彼が実体剣での模擬戦を望んだため、私もそれに応える事にした。

 

私と裕斗が同時に走り出し、互いの剣がぶつかり合う。

激しい火花が散って、剣戟が広がっていく。

 

「凄いですね先輩!剣の長さはそちらの方が短いのに、一撃一撃が凄く重い!」

「裕斗もな。中々のスピードだ」

 

確かに裕斗のスピードは素晴らしい。

けど……

 

「スピード重視になっていて、一撃ごとの攻撃力が低下している!」

「くっ…!」

 

身体全体を使って裕斗の体を弾き返す。

それを利用して間合いを取る裕斗。

次の瞬間、彼は自慢の速さを利用して、フェイントを交えて向かってくる。

しかし……

 

「甘い!」

 

背後に回った裕斗の剣を受け止める。

 

「なっ…!」

「フェイントを交えたのはいいが、背後を取るのはいけないな」

「どういう意味ですか?」

「戦いにおいて、背後を取るのはセオリーだ。相手が素人、もしくは普段から剣を使わないような連中なら、その方法も使えるかもしれないが、同じ剣士同士では寧ろ逆効果だ」

「……!」

「一対一の戦いの場合、背後こそが最大の死角。それ故に、そここそが最も警戒が高くなるんだ」

「確かに……」

「安易に背後を狙っていくと……」

 

全力で裕斗の剣を弾き上げる。

すると、裕斗の手から剣が離れて、空中を回転しながら飛んでいき、地面に突き刺さった。

 

「こうなる」

 

最後に、裕斗の眼前に剣を突き付ける。

 

「……降参です。やっぱり先輩は凄いですね」

 

裕斗は両手を上げて降参のポーズを取る。

 

それを見て、私は投影を解除する。

 

「大丈夫か?」

「はい。問題ありません」

 

裕斗の手を引いて立ち上がらせる。

 

「これでも、剣にはそれなりに自信があったんですけどね…。まだまだ頑張らないとですね」

「だが、それはまだ伸びしろがあると言う証でもある」

「そう言われると、やる気が出て来ます」

「そうか」

 

こうして、初めてのアーチャーの能力使用と、裕斗との模擬戦は終わった。

私としてもいい経験になった。

これなら、アーチャーの禁手もなんとかなりそうだ。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 裕斗との手合わせが終わり、レイナーレからスポドリを貰ってから一旦休憩した。

勿論、アーチャーの力は解除した。

 

「さて…次は…」

「私がいいですか?」

「白音か。いいよ」

 

確か白音は武器を持たずに徒手空拳での戦いを好んでいた筈。

なら……

 

「先生。いいですか?」

『儂か?構わんぞ。呵々!』

 

こと格闘技において、この人以上の先人はいないだろう。

 

「では……」

『うむ。いつでも良いぞ』

 

さっきと同じように精神を集中させる。

 

【Assassin!】

 

私の髪が深紅に染まり、同時にポニーテールになる。

そして、目の部分に赤い化粧が施された。

勿論、完全に無手だ。

 

「それが…伝説の拳法家の力を借りたマユさんの姿なんですね」

「そのようだな」

 

さっきとは別の意味で、全身から力が沸いてくる。

 

「白音の場合、手合わせをするよりは、拳法を教えた方がいいかもしれないな」

「マ…マユさんに教えて貰えるんですか!?」

「あ…ああ。そのつもりだが…」

「~♡」

 

え?そんなにも嬉しがること?

 

『呵々!恋する少女は実に愛いものよ!これが教え甲斐がありそうだ!』

 

お?先生ってばやる気満々ですな。

 

「お姉ちゃんに手取り足取り…」

「羨ましいですわ…」

「白音……中々やるにゃ…」

 

そこ、嫉妬深い視線で見ない。

ちょっとはオーフィスちゃん達を見習いなさい。

 

「お~…」

「相変わらず、お姉ちゃんの変身は凄いな!」

「流石は私達のお姉ちゃんだ!」

 

ああ言ったキラキラした目を取り戻して欲しい。

オカルト研究部の中で、アーシアだけがあの子達と同じ目をしてるよ?

 

「凄いです…マユさん…」

 

ほらね?

 

「それじゃあ、基本的な構えから」

「分かりました」

 

それから、私は先生の知識を使って色々な事を教えた。

白音は本当に知識の吸収が早く、あっという間に基礎はマスターしてしまった。

 

『呵々!白音よ!お前は実に筋がいい!誰かに拳を教えて初めて楽しいと感じたぞ!』

「ありがとうございます」

 

大人しくしてるけど、内心は凄く喜んでるな。

だって、無意識のうちに耳と尻尾が出てきて、凄い勢いで揺れてるし。

 

それから、軽くストレッチをしてから、白音との訓練は終わった。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「お次は私にゃ」

「了解だ」

 

オカルト研究部では無いけど、黒歌も大事な家族だ。

出来るだけ、彼女の要望には応えたい。

 

『ご主人様。ここはこの玉藻にお任せを』

「玉藻に?」

『はい。私めも風の術を使います故、他の方々よりはお役に立てるかと』

「そこまで言うなら…」

『はい!』

 

てなわけで……

 

【Caster!】

 

前にも一回なった、玉藻モードになりました。

 

「お…お姉ちゃんが狐耳に尻尾!?」

「も…萌えですわ……」

「先輩……可愛いです…」

 

可愛いって……萌えって…。

私はそんなキャラか?

 

「マユさん…素敵です…」

「あのもふもふの尻尾…触りたいです…」

 

はいはい。後でちゃんと触らせてあげるよ。

 

「黒歌。試しにやってみてくれないか?」

「わかったにゃ」

 

黒歌は風神を構えて、近くにあった大きな岩の前に立った。

 

「それじゃあ……行くにゃ!風神ちゃん!」

『任せて!ご主人さま!』

 

風神の核から風神ちゃんが飛び出して、黒歌と一緒に並ぶ。

 

「まずは……鎌鼬!!」

 

風神から凄まじい風が吹き荒れて、岩をあっという間に切り刻んでいく。

気が付けば、大きかった岩は複数の小さな岩の塊になっていた。

 

「次はこれにゃ!」

 

風神ちゃんが丸くなって黒歌の掌に収まった。

それを両手で押し出すようにして放った。

 

風玉(かざだま)!!」

 

複数の岩の塊は、風の収束された弾が直撃して、文字通り粉々になった。

粉砕された岩が黒歌に降り注ぐ。

 

「最後は……」

 

風神から三つの針のような物が生えた。

それを使って黒歌は降り注ぐ岩の雨の中で、比較的大きめの奴を残らず切り裂いた。

 

「風の爪…にゃ」

 

す…凄い…!

これって、私が何か言う必要あるの?

 

『う~ん…』

 

あれ?玉藻が唸ってる。

一体どうした?

 

『黒歌さん』

「何にゃ?」

『最初からあそこまで風をコントロール出来るのは非常に素晴らしいですが、もうちょっと風の収束率を操れるようになれば猶良いかと』

「どういう事にゃ?」

『単体の敵にはあれでもいいかもしれませんが、複数になると途端に不利になります。そう言う時は多少の威力低下には目を瞑って、広範囲に風を放って攻撃するのもいいと思いますよ?』

「成る程…。敵に応じて、効果範囲を変えるんだにゃ?」

『理解が早くて助かります。当面の目標は風を自在に収束、拡散出来るようになることですね』

「やる事が分かれば話は早いにゃ!玉藻、コーチをお願いするにゃ!」

『わ…私がですか!?仕方ないですねぇ…。これもご主人様の為と思えば…』

 

ぶつくさ言いながらも、玉藻は黒歌に適切なアドバイスをしながら、特訓は進んでいった。

 

『今回はこれぐらいでいいでしょう。ご主人様が力を宿してくれているお陰で、より詳細に分析も出来ましたし』

 

え?そんな効果があったの?

正直、この姿になる意味あったのかなって思い出してたのに。

 

「今回は本当にありがとうにゃ」

『ご主人様の為ですから』

「分かってるにゃ」

 

黒歌の特訓も無事に終わった。

その後、皆に尻尾と耳をもふもふされてしまった。

一番興奮していたのは、なんでか幼女組を抑えてリアスと朱乃だったが。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 因みに、リアスと朱乃の特訓は割愛する。

 

「「なんでっ!?」」

 

だって、私に魔術の事なんて分からないし、歴代の中にも精通してる人がいないんだもん。

唯一、知ってそうなギルガメッシュは面倒くさがって嫌だって言ってたし。

 

「「そんなぁ~!?」」

 

そんな訳で、次に行きま~す。

 

「あれ…?今回って私がヒロインよね…?」

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 必然的に最後はアーシアになるのだが……

 

「何を特訓しよう?」

 

これは流石に思いつかない。

アーシアの能力は『癒し』。

これをどう伸ばせと?

 

『困っているようだな。雑種よ』

「ギルガメッシュ」

 

一体どったの?

さっきは嫌がってたのに。

 

『なに。久方振りの『A・U・Oのアドバイスタイム』をしようと思ってな』

 

いつの間にコーナー化してんだよ…。

 

『アーシアよ』

「は…はい!」

『貴様の持つ癒しの力は、確か相手に触れる、もしくは近づく事によって効果が発動するのだったな?』

「はい…その通りです」

『戦場において、癒しの力のサポート能力は絶大だ。回復役が一人でもいるのといないとでは雲泥の差と言えるだろう。場合によっては、それだけで勝敗を決すると言っても過言ではない』

 

確かにその通りだ。

回復役がいるからこそ、前線の皆は迷わず前に進めるのだから。

 

『よって、お前がすることは主に二つだ』

「二つ?」

『まずは、最低限の自衛能力を身に付けよ』

「自衛…ですか?」

『そうだ。回復役は戦場において真っ先に狙われる。流石の我も貴様に戦う事は要求せんが、足腰を鍛えて敏捷性を鍛えたり、自身の身を護る即席の結界を作れるようになるだけでも、かなり違ってくるだろう』

「おぉ~…」

 

あのギルガメッシュが適切なアドバイスをしている…。

アーシアの事を認めたのかな?

 

『そして、遠距離での回復が出来るようにせよ』

「遠距離……」

『日常ならいざ知らず、いざと言う時に離れているせいで回復が出来ないのは致命的と言える。そうならない為にも、癒しの波動を飛ばせるようにするか、広範囲に展開に出来るようにしろ』

「わ…分かりました!」

『身体能力は雑種が鍛えてくれるだろう。結界については奴等に聞くがよい』

 

奴等…リアスや朱乃のことか。

 

『肝心の遠距離の回復はお前次第だ。神器は持ち主の精神力によって強くもなり弱くもなる。こればかりは誰も直接的な手助けは出来ん。全ては貴様次第だ。精々、精進せよ』

「はい!ありがとうございます!」

『ふん』

 

珍しく照れてる?

 

それから、アーシアはリアス達に教えられながら結界の張り方を学んだり、私や白音と一緒に体を鍛えたりした。

そして、肝心のロングレンジの回復は、まだまだ掛かりそうだった。

今日の記録は1メートルだった。

私的には、これでも充分だと思うけど。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 夕方まで特訓を続けて、空が赤くなってきた。

 

「夕飯、出来たわよ~」

 

レイナーレがフライパンをおたまで叩きながらやって来る。

 

「丁度良かった」

「お腹ペコペコです」

「疲れたわ……」

「早く休みたいですわ…」

「完全に空腹です…」

「はぅ~…」

「すっかりくたくたにゃ…」

 

どうやら、皆もお腹が空いているようだ。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

皆は頷いて、別荘の中に入っていった。

今日はゆっくりと休みたいな~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




特訓パート終了。

次は夕飯の後にリアスとの語らい?

では、次回。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。