さぁさぁ、彼はマユにどんな反応をするのでしょうか?
いきなり私の部屋に転移してきて、自分とセックスして欲しいと言って来たリアス。
正直言って、私は何がなんだか訳が分からずに混乱している。
「い…一体どうしたんだ?」
「お願い。もうお姉ちゃんしか頼れる人がいないの…」
「どういう意味だ?」
「本当なら男の子がいいんでしょうけど、私が知っている親しい男子は裕斗だけ。でも、私も裕斗の気持ちはちゃんと理解しているつもりよ。だから、こんな真似は出来ない」
私ならいいのかよ!?
「それに……私、お姉ちゃんにならいいと思ってるの」
「な…何が?」
こっちの疑問に答える前に、リアスは徐に自分の着ているネグリジェに手を掛けた。
「リ…リアス!?」
ちょ…ちょっとっ!?
一旦冷静になろうよ!
(はははははっ!!!いいではないか雑種!今時、同性同士の体の交わりなど珍しくもあるまい?貴様のテクニックを見させて貰おうではないか!)
(な…何を言ってやがるですか!この人はぁ~!!ご主人様の始めては私だけの物なんですよぉ~!!)
そっちはそっちで好き勝手な事を言ってんじゃねぇ~よ!!!
その裸体を晒しながら、リアスはじわりじわりとこっちにすり寄って来る。
「お姉ちゃん……私を大人にしてください……」
おいおいおい~!?
ええ~い!こうなったら!!
「リアス!」
私は咄嗟に彼女の両肩を掴んで、その進行を止めた。
「お…お姉ちゃん?」
「駄目だ…リアス。これは…ダメだ」
「ど…どうして?私の事が嫌いなの?」
「そうじゃない…そうじゃないんだ…」
そう…そう言う意味じゃない。
「私は…リアスの事を大切な友と思っている。君の為なら、どんな事でもしてあげたい」
「なら…「でも!」……!?」
「例え、どんな理由があっても、こんな形で肌を重ねるべきではない」
「え……?」
私は真っ直ぐにリアスの目を見る。
「リアスはとても聡明な女の子だ。その君がこんな事をするのにはきっと、とても深い理由があるんだろう。けど、だからと言って、こんな形でこんな事をすれば、後で後悔するのは間違いなくリアス自身だ」
後悔……。
その言葉を口にした瞬間、
一つは……リンドウさんの事。
もしもリンドウさんが行方不明になった時、私がもっと強かったら、リンドウさんはMIAにならずに、あんなにも苦しまずに済んだのかもしれない。
そして、もう一つはシオの事。
もしもあの時、私がもっと強くて、アーク計画を事前に食い止められれば、シオは月に行かずに、皆ともっと遊べたのかもしれない。
特に、第二のノヴァを倒す為に超弩級アラガミを探していた時、シオの記憶を見て、その気持ちはより一層大きくなった。
「後悔は……自分を苦しめるだけだ。どんな事をしても…過去は変えられないのだから…」
「お姉ちゃん…」
(お姉ちゃんがとても悲しそうな顔をしている…。もしかして、お姉ちゃんにも深く後悔するようなことが……)
リアスに、私と同じ苦しみは味わってほしくない。
あんな思いをするのは…私だけで充分だ。
「ごめんなさい…。私…お姉ちゃんにそんな顔をさせるつもりじゃ…」
「いや……気にしないでくれ…」
しまった…心配させたかな?
「今の私にリアスの期待には応えられない。だから…せめて……」
私は、ゆっくりと…優しく彼女の事を抱きしめた。
「こうしてあげる事で……満足して貰えないか…?」
「お…お姉ちゃん……!」
リアスも、私に体を預けるようにして、自分の顔を私の胸に埋める。
「満足よ……大満足よ……」
「そっか……よかった……」
これで…大団円…かな?
(雑種め…。変なところで妙に紳士っぷりを発揮しおって…)
(ナイスです!ご主人様!私も抱きしめられたいですぅ~♡)
いい加減に二人は黙れ。
こうして抱きしめると分かる。
リアスの体はとても震えている。
きっと、彼女も本当は怖かったんだろう。
せめて、こうすることでリアスの恐怖心を癒せたらいいと思う。
そうして抱きしめて少し経ってから、急に部屋の床に魔法陣が現れた。
「この魔法陣は…!」
ん?リアスは知ってるのか?
小首を傾げていると、魔法陣の中から見覚えのあるメイドさんが出て来た。
「やはりここにいましたか……」
呆れ顔でこちらを見るメイドさん……グレイフィアさん。
「ところで……なんでお二人は抱きしめ合っているのですか?」
「「あ……」」
咄嗟に私達は離れた。
急に意識してしまって、顔が赤い。
リアスの方も顔が真っ赤だった。
「…で?貴女がここに来たのは貴女の意思で?それとも家の事情?もしくはお兄様かしら?」
「それら全部です」
即答ですよ…。
「本当にすみません、マユ様。こんな夜中にいきなりやって来て、ご迷惑をお掛けしました」
「い…いや…私の事は気にしないでください…」
「貴女は変わりませんね…」
そうか?
一応、背は伸びたよ?
「ところで……随分とお綺麗な部屋なんですね」
「黒歌がいつも掃除してくれてますから」
ホント、あの子には感謝しかないよ。
「そうですか…。彼女も頑張っているのですね…」
あの時、黒歌の事を応援した身としては、気にせずにはいられないんだろう。
「はぁ……。グレイフィア、私の根城に行きましょう。詳しい話はそこで聞くわ」
「承知しました」
リアスはネグリジェを着直して、グレイフィアさんの隣に並ぶ。
「お姉ちゃん。今日は本当にごめんなさい。でも、抱きしめてくれて…嬉しかったわ。ありがとう」
「では、失礼いたします。黒歌さんによろしくお伝えください」
「分かりました。リアス、おやすみ」
「ええ。おやすみ…お姉ちゃん」
それだけ言って、二人は転移していった。
「……なんか…目が冴えてしまった…」
眠くなるまで、さっきの事を色々と考えてみるか…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
次の日の放課後。
私と白音は部室に行く途中でアーシアと裕斗に合流した。
「部長の悩み事…ですか?」
「そうだ。何か心当たりはないか?」
「そうですねぇ…。多分、グレモリー家の事じゃないですか?」
「矢張りそこに帰結するか…」
そうなると、私には手の出しようが無いんだよなぁ~。
う~ん…どうする?
「朱乃さんなら、何か詳しい事を知っているかもしれませんね?」
「朱乃が?」
「はい。あの二人は付き合いが長いですから」
そう言えばそうだったな。
部室についたら、試しに聞いてみるか…。
そう思いながら部室の前まで行くと、ドアの向こうから覚えのある気配がした。
裕斗も何やら怪訝な表情をしている。
「あれ…?この感じは……」
「どうしたんですか?マユさん」
「いや…なんでもない」
心配そうにこっちを見るアーシアを他所に、私達は部室の中に入った。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
部室の中には、いつもの位置にリアスと朱乃がいて、その傍に控えるようにしてグレイフィアさんが立っていた。
「またお会いしましたね。マユ様」
「は…はい」
まさか、昨日の今日でまた会うとは…。
偶然とは恐ろしいものだ。
リアスと朱乃はいつものようにしているが、どことなくいつもとは雰囲気が違う。
なんだかピリピリしているような気がする。
「昨日のお詫びと言っては何ですが、お受け取り下さい」
「は…はぁ…。分かりました」
なんか、グレイフィアさんから菓子折りを受け取ってしまった。
箱の包み紙には『魔王饅頭』と書かれてあった。
冥界にも饅頭ってあるんだな…。
私達はいつもの席に座る。
「マユさん。昨日、何かあったんですか?」
「まぁ…色々とな」
あれを詳しく話すわけにはいかないよなぁ~。
特にリアスの前では。
「皆揃ったわね。今日は部活をする前にちょっと話があるの。実は……」
もしかして、昨日の事を話してくれるのか?
リアスが話始めようとした瞬間、部室の床にいきなり魔法陣が出現した。
「フェニックス……」
「え?」
フェニックスって…あの不死鳥伝説のフェニックスか?
魔法陣から突如、勢いよく炎が吹き出て来たので、私は咄嗟に『左腕』を大きく振って、その炎をかき消した。
危ないなぁ~…もう!
私は内心愚痴を言っていると、炎が人型のシルエットを形成して、中から腕が現れて炎を振り払った。
「ふぅ…人間界は久し振りだな……」
そこには真っ赤なスーツを着たイケメンが立っていた。
けど、なんか嫌だなぁ…コイツ。
同じ金髪男子なら裕斗やカレルさんがいいな。
なんだかんだ言って、カレルさんって凄い優しいし。
「愛しのリアス。会いに来てやったぜ」
愛しの?どういうこっちゃ?
「……………」
うわぁ……滅茶苦茶嫌そうな顔をしてますがな…リアスちゃんは…。
まさか…昨日の事はこの男が絡んでいるのか?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「紅茶です」
「すまんな」
男がソファーに座り、朱乃から紅茶を受け取る。
さっきからずっと、馴れ馴れしくリアスに絡んでくるな…。
「あの…この人は?」
「この方はライザー・フェニックス様。リアス様と同じ純血の上級悪魔であり、名家フェニックス家の三男でございます」
名家のお坊ちゃん…ね。
いかにもな風貌だしな。
うん、説得力全開だわ。
なんせ、全身から『我儘お坊ちゃんオーラ』が滲み出てるもん。
「そして、リアス様の婚約者でもございます」
「こ…婚約者?」
それってつまり…将来は約束されてるって事?
って言うか…今時、そんなのなんているんだ…。
初めて聞いたわ。
ああ…だからさっきからずっとリアスの髪とか体を触りまくってるのね。
私もこんな男は嫌だなぁ…。
なんか、ブレンダンさんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
少しは男らしくなるんじゃない?
「いい加減にして!私は貴方とは絶対に結婚はしないって何回も言ってるじゃない!!」
あ、とうとうリアスがブチ切れた。
「私は私が本当に…心から好きだと思った人と結婚する!私にだってそれぐらいの自由がある筈だわ!!」
今時、いくら名家とは言え、そこまで束縛はしないよなぁ。
そんなのは精々、黒歌とレイナーレが最近夢中になってみている昼ドラの中ぐらいだ。
「はぁ…。あのな、俺だって仮にもフェニックス家の看板を背負った男なんだよ。この名に懸けて、家の名に泥を塗るわけにはいかないんだ。そこら辺はお前にだって分かるだろう?」
「それは……」
あ、詰まった。
「例えお前がなんと言おうと、俺は君を連れて帰るぞ。例え……」
ライザーがその手に炎を宿した。
「この場で、全員を焼き尽くしてもな」
む…やる気か?
私はいつでも皆を護れるように、玉藻の力を出せる準備をした。
しかし、それは杞憂で終わった。
「おやめください。ライザー様」
グレイフィアさんが咄嗟にライザーの腕を掴んで動きを抑えた。
「それと、マユ様も」
え?ばれてた?
「貴女様がいつでも動けるように構えているのを僅かに感じましたから」
す…鋭い…!
流石はサーゼクスさんの奥さん…!
「マユさん…いつの間に…」
「全然分かりませんでした…」
少ししか動いてないしね。
「…そう言えば、なんでこの場に人間がいるんだ?」
「お姉ちゃんとアーシアの事?」
「お姉ちゃん?」
ライザーが『お姉ちゃん』に反応して私の方を見た。
「べ…別に私が彼女の事をなんて呼ぼうが貴方には関係ないでしょ!」
「ふむ…それもそうか」
納得するのかよ…。
ちょっとは疑問に感じて欲しかった…。
ライザーの手から炎が消えると、グレイフィアさんがその手を離した。
「ん?お前……」
な…なんだ?いきなりこっちの方を見だしたぞ?
「ほぅ…?中々に美しいな…お前」
おいおい!一体どんだけ節操無いんだよ!?
仮にも婚約者の前だぞ!?
「お前……名前は?」
「闇里…マユ」
「闇里…か。いい名だな」
「それはどうも」
褒められても全然嬉しくない。
「マユとやら。俺のハーレムに入らないか?」
「は……」
「「「「「はぁぁぁぁ~~~~~!?」」」」」
いきなり何を言ってるかな?
コイツも物好きだな。
「ラ…ララララライザー!貴方はいきなり何を言ってるの!?」
「そ…そうですわ!幾らなんでもその発言は!」
「無いと思います!先輩をいきなりナンパするなんて!」
「殴る殺す潰す捻るちぎる燃やす……」
「あわわわわわわ……」
全員動揺しすぎ。
少しは落ち着きましょう。
(ご主人様が落ち着き過ぎなんです!)
(奏者は誰にも渡さん!余の剣の錆にしてくれる!)
(雑種が…!)
お前らも落ち着け。
「ライザー様。流石の私も、そのような発言は見逃せません。それ以上彼女に何かをした場合、私も本気を出すしかありません」
え?なんでグレイフィアさんが激おこなの?
「怖い怖い…。冥界で最強の
僧侶なのは知ってたけど、まさか最強と呼ばれてたんだ…。
流石は魔王の妻兼メイド。
「話が拗れるであろうことは、旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の皆様も承知しておりました」
最初からこの展開を分かってたんかい!
「実はこの話し合いは最後通告のようなものだったのです」
「最後通告…ですって?」
「はい。この話し合いで決着が付かなかった場合を予測し、最後の手段を考えていました」
最後の手段とな?
「お嬢様。これ以上、己の御意思を貫き通すのであれば『レーティング・ゲーム』で決着をつけてはいかがでしょうか?」
「レーティング・ゲーム……!」
リアスがいきなり険しい顔になった。
「グレイフィアさん。レーティング・ゲームとはなんですか?」
「簡単に説明しますと、爵位持ちの悪魔同士が眷属同士を戦わせるゲームでございます」
「それは…眷属をチェスの駒に見立てている事に関係が?」
「はい。その通りでございます」
ゲーム…ね。
悪魔も色んな事をしてるんだなぁ~。
「いいでしょう。喜んで受けて立つわ」
「俺もそれで構わない」
ちょ…ちょっと!?
そんな安請け合いをしてもいいのか!?
「両者の参戦の意思を確認しました。両家からは私からご報告しておきます」
あぁ…グレイフィアさんも承知しちゃったし…。
「だが、果たして勝負になるのか?ここにいるメンバーの中では、君の女王ぐらいしか俺の眷属の相手にならなさそうだぞ?」
へぇ~…朱乃ってちゃんと評価されてるんだなぁ…。
ライザーが指をパチンッ!と鳴らすと、再び部室の床に魔法陣が出現した。
その魔法陣から、複数人の人影が現れた。
「合計15人…ですね」
「多いな」
もしかして、フルメンバー?
多種多様な子達がいるな。
「分かるか?俺は完全にフルメンバー。それに比べてそっちは少数。しかも、実力や実戦経験もこちらの方が上だ。これでは完全にワンサイドゲームになるんじゃないか?」
普通に考えれば…ね。
けど、考えようによっては勝ち目は充分にある。
それに、戦いは決して数だけで決するとは限らない。
「戦力の大きさが勝敗の決定的な結果に繋がるとは限らない」
「ほぅ?」
「強力な単体戦力がいれば、幾ら有象無象がいても意味が無い」
「言うじゃないか…!ならば……」
ライザーが眷属の一人に目配せをする。
「それを証明して見せろ!ミラ!」
「はい!」
ライザーの命令を受けて、眷属の一人が長い棍を器用に回しながら突貫してきた。
「……!」
「大丈夫だ」
「マユさん…?」
咄嗟に迎撃しようとした白音を抑えて、私をやって来る女の子を見る。
そして……全力で睨み付けて、最大級の殺気を彼女だけにぶつけた。
「ひぃ……!?」
殺気をぶつけられた女の子は、急停止してから体を震わせて、その手に握っていた棍を床に落とした。
私は立ち上がって、床に落ちた棍を拾い上げてから彼女に渡した。
「はい」
その際に彼女の頭を撫でて、アフターケアも忘れない。
仕方なかったとはいえ、怖い思いをさせちゃったしね。
「は…はぅぅ……」
「その気合は認めるけど、相手の技量もちゃんと読めるようにならないとね?」
「は…はい……」
脅えて顔を真っ青にしていた彼女は、次の瞬間には顔を真っ赤にして元の位置に戻っていった。
「ふははははははは!流石は俺が認めた女だ!まさか、殺気だけでミラを圧倒し、その上でミラを堕とすとはな!」
堕とすってなんだよ…。
「うぅ……お姉ちゃんの一級フラグ建築士のスキルがここでも発揮されるなんて…」
「マユ様……別の意味で油断出来ませんね…」
別の意味ってなんですか。
「そうだリアス。丁度いいから、今回のレーティング・ゲームには彼女も参加して貰えばいいんじゃないか?」
「な…何を言ってるの!?お姉ちゃんは関係ないでしょ!」
「そんな事を言ってていいのか?戦力が不足しているのは事実だろう?」
「ぐぅぅぅ……!」
事実を言われて言葉を失うリアス。
「私なら構わないぞ。リアス」
「お…お姉ちゃん!?」
「昨日、私はリアスに何も出来なかった。どんな形であれ、私に出来る事があれば喜んで協力したい」
私に出来る事なんて微々たるモノだと思うけどね。
「本人もこう言っている。これはもう、彼女の参加を認めるしかないのではないか?」
「分かっ……たわ……」
渋々と言った感じで返事をするリアス。
「ちょっと待ってください」
話が終わりそうになった時、白音が手を上げた。
「そのゲーム。私も参加します」
「し…白音!?貴女も!?」
はい。私の参加が確定しそうになった時から、なんとなくこの展開は予想してました。
「マユさんが参加するなら、私も参加しないわけにはいきません」
「け…けど……」
「大丈夫です。私にはとっておきがありますから」
人工神器のことね。
確かにあれは強力な切り札になる。
「俺は一向に構わんぞ?そう簡単に戦力差がひっくり返るとは思えんしな」
何処までも自信過剰なのね。
そんな態度を取ってると、いつか足元を掬われるぞ?
「本来ならばルール上は禁止ですが、今回のゲームは正式な試合ではありませんので、問題無いでしょう。サーゼクス様からも、万が一の際の眷属以外の参加を認めています」
絶対にこの展開を読んでただろ…。
「ならば、マユ様と白音様を特別にリアス様のチームに入れる形でよろしいですか?」
「ええ……」
「俺もいいぞ」
「ならばそのように。ゲームの日取りは今日から10日後とさせて頂きます」
10日…ね。
色々と試してみたいこともあるから、丁度いいかもしれない。
「ならば俺はこれで帰らせてもらう。10日もあれば対策ぐらいは立てられるだろう。だが、せめてものハンデだ。後で俺の試合の様子を撮影した物を送らせよう」
どこまで自分に自信あるねん…。
情報が手に入るのは嬉しいけど。
「そして…マユ」
「ん?」
会って間もないのに、いきなり名前呼びかい。
馴れ馴れしいにも程があるぞ。
「この試合に勝利した暁には、お前を必ず俺の女にしてやる。その時を楽しみに待っていろよ?」
勝手に彼氏宣言するなっつーの。
「ではな。愛しのリアス。そして…愛しのマユ」
最後に言いたい事を言って、ライザーとその眷属は魔法陣で転移していった。
それと一緒に、グレイフィアさんも転移していった。
別れ際に私に向かってお辞儀をしていたけど。
「どうやら……負けられない理由が増えたようね…!」
「あんな男性にお姉ちゃんは渡しませんわ…!」
「この一命に掛けても…必ず勝利を…!」
「あの男……絶対にアレを引きちぎって、すり潰してやる…!」
なんか皆がやる気満々になってる!?
しかも、白音に至っては目が完全に座ってるよ!?
「ところで、純粋な疑問を聞いていいですか?」
「何かしら?白音」
「あのライザーとか言う男の人は、マユさんの事が赤龍女帝だと知らないんですか?」
「そうですわね…。多少は噂ぐらいは聞いてそうですけど…」
「彼は完全に箱入り息子な上、俗世に興味を示そうとしないの。赤龍女帝の事は知っていても、その正体がお姉ちゃんであることは知らないんじゃないかしら?」
「世間知らずが幸いしましたね」
「そうね。皮肉だけど、お姉ちゃんと白音が加わってくれれば、こちらの勝率はぐんと上がるわ」
そこら辺は任せて欲しい。
こんな事ぐらいでしか役に立てないからね。
「でも、お姉ちゃん達だけに任せっぱなしには出来ないわ!私達も頑張るわよ!」
「「はい!」」
気合入ってるなぁ~。
私も負けてられないな。
こうして、いきなり悪魔同士ゲームに巻き込まれた…と言うよりは、自ら巻き込まれた私達であった。
…黒歌達になんて説明しよう……。
区切りが悪そうなので、図らずも長くなってしまいました。
焼き鳥君にいきなりナンパされた挙句、レーティング・ゲームに参加する羽目になりました。
少々強引だったかもしれませんが、私にはこれが限界でした。
お次は山での特訓開始?
では、次回。