神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

34 / 82
前回の続き。

果たして、マユVSティアマットはどうなったのでしょうか?



第31話 使い魔ゲットだぜ!

 リアス達が森の中を移動しながら色々な使い魔を見ていて、その最中にアーシアが蒼雷龍の幼龍を使い魔にした……その直後だった。

 

森全体に凄まじい衝撃音が響いた。

 

「な…なにっ!?」

「この音は……ティアマットの住み家の方角だ!」

 

いつもは陽気なサドゥージが珍しく真剣な顔になる。

 

「と言う事は……」

「この音は…先輩がティアマットと戦っている戦闘音と言う事か…?」

「まさか…ここまで響くなんて……」

「だ…大丈夫でしょうか?」

「お姉ちゃんならきっと大丈夫ですわ……きっと…」

 

全員がマユの勝利を信じてはいたが、それでも心配な事には違いなかった。

 

「自分で促しておいてなんだが……俺っちもちょっと心配になって来たぜ!少し様子を見に行くぜ!」

「私達も行きましょう!もしかしたら、お姉ちゃんが怪我をしているかもしれないわ!」

「そうですわね」

「はい!急ぎましょう!」

 

一路、オカルト研究部+サドゥージは、マユが戦っているであろうティアマットの住み家に改めて向かうのであった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「や…やってしまった……」

 

まさか……これ程までにパワーアップしているとは思わなかった…。

 

これは完全に予想外だ…。

何故なら……

 

『は…ははは…!まさか…あのティアマットを一発KOとはな…!』

 

そう、私の目の前には頬に大きな打撲跡を付けたティアマットが気絶している。

 

あの時、私の一撃はティアマットのブレスを完全に破壊し、その上で彼女(?)の顔に最大の一撃をお見舞いしてしまった。

しかも、その一撃は見事にクリーンヒットしてしまったようで、地面には大きなクレーターが出来ているだけでなく、私のパンチの衝撃波によって洞窟自体が完全に崩壊してしまった程だ。

 

戦闘とは全く関係の無い所で制服と体が汚れてしまった…。

 

「…………」

 

正直言って、まだ自分がやった事が信じられない。

これが私の今の最大まで倍化した力なのか…。

 

「これは…危険すぎる…!」

 

唯のパンチでさえこの威力なのだ。

もしもこれを禁手化した状態で使い、尚且つ宝具なんかを使った日には……

 

「本気で世界が終わるかもしれない……」

 

流石に世界の破壊者にはなりたくない。

別に色んな平行世界を旅するつもりなんてないし。

 

『これで、名実共に最強の赤龍帝の称号は相棒の物だな』

 

んなもん別にいらんがな。

 

「ティアマット…どうしよう…?」

『大丈夫だ。流石に死にはしないさ。暫くは夢の中かもしれんがな』

 

うぅ……意図していなかったとはいえ、なんだか悪い事をしてしまった…。

こんな時にアーシアがいれば……。

 

私が困惑していると、今更ながらに籠手から音声が聞こえた。

 

【Reset】

 

どうやら、倍化の効果が切れたようだ。

多分、ドライグがやってくれたんだろう。

 

「あ、そうだ」

 

ちょっといいこと思いついたかも。

 

「ドライグ。確か赤龍帝の籠手には倍化以外にも、蓄えた力の譲渡があったな?」

『ああ。その通りだ。今の相棒なら使える筈だ。それがどうした?』

「ちょっとね。なら、力以外にも倍化は可能なのか?」

『例えば?』

「自然治癒力とか」

『ふむ…出来なくは無いと思うが…』

『ほぅ?俺には雑種が何を企んでいるか分かったぞ?』

『なに?』

 

おいこらギルガメッシュ。

いきなり出てきて企むとか言うな。

人聞きの悪い。

 

『どういう意味だ?ギルガメッシュ』

『ふん。百聞は一見に如かず…だ。雑種、試しにやってみるがよい』

「言われずとも」

 

私は籠手に精神を集中させる。

 

【Boost!Boost!】

 

取り敢えず二回でいいかな?

 

そして、次に私はティアマットの身体に籠手のついている左手で触れる。

 

赤龍帝の贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)

 

淡い緑色の光がティアマットに吸い込まれる。

すると、次の瞬間……

 

「う…うぅん…?」

 

無事、ティアマットが目を覚ました。

 

『なんと…!一体何をしたんだ?』

『簡単だ。まずは己の自然治癒力を倍化し、それをティアマットに譲渡しただけだ』

「なんとなく思いついただけだがな。上手くいって良かった」

『自然治癒力を倍化させるという事自体が前代未聞だというのに、それを他者に譲渡する事によって気絶から回復させるなんてな…』

『発想の転換と言う奴だな。中々に面白い事をするではないか。気に入ったぞ』

 

英雄王のお墨付きとはね。

 

『もしもこれを限界まで倍化した状態で自身に使用した場合、お前は文字通り無敵になるな』

 

確かにそうかもしれない。

だって、怪我する度に速攻で回復していくんだもん。

相手の心が先に折れるわ。

 

でも、とんでもない強敵との戦いとかでは利用出来るかも。

これならアラガミとの戦いにも使えるかもしれない。

なんでもうちょっと早く思いつかなったんだろう?

 

「お前が……助けたのか?」

「流石に悪いと思ったから」

「御人好しな奴め…」

「よく言われる」

 

気にしてないけど。

 

「だが、そのお人好しに敗北したのもまた事実…か」

 

あれ?もしかして落ち込んでる?

ヤバいな…龍王のプライドを爆砕してしまったかもしれない。

 

「神を喰らう者よ」

「な…なんだ?」

 

いきなり話しかけられたから、思わず背筋が伸びちゃったよ。

 

「この戦い、完全に私の敗北だ」

「そ…そうか…」

 

殆ど反則に近いけどね。

 

「お前ならば、私の主人に相応しいだろう」

『という事は……』

「ああ。神を喰らう者よ。私はお前と使い魔としての契りを交わそうではないか」

「おぉ…!」

 

マジですか!?

本気で龍王を使い魔にしちゃったよ!?

 

「手を出すがよい」

「う…うん」

 

緊張しながら、私はティアマットに向かって手を出した。

すると、彼女は目を瞑ってそっと自身の鼻先を私の手に触れさせた。

その瞬間、手と鼻先の接触点に緑色の魔法陣が出現し、消えた。

 

「これで契約完了だ」

「そ…そうか…」

 

結構あっさりとしてるのね。

もうちょっと仰々しい儀式的なものがあると思ってたよ。

 

「さて、それでは行くとするか」

「どこに?」

「おぬし…御主人の住み家だ。私の住み家は…この通りだしな」

 

そうだった…!

ティアマットの住み家は私が粉々にしちゃったんだった!

 

「ごめん…」

 

これは言い訳できないわ…。

ちゃんと責任を取らないと。

 

「気にするな。それだけそなたが強かったというだけ。誇りに思う事は有れ、落ち込む理由はあるまい?」

 

なんていい奴なんだ…ティアマット…。

主人のメンタルケアをしてくれるなんて…。

 

「しかし、このままでは少々移動がしにくいな」

 

この森の中では、この巨体では移動しにくいだろう。

必然的に飛行する羽目になりそうだ。

 

「少しだけ待っていてくれ」

 

んん?このパターンはどこかで……。

 

私が小首を傾げていると、ティアマットの身体が急に光り出した。

 

「こ…これはデジャヴ…か?」

 

これって確か、レドことグレートレッドの時と同じような…。

なら、次に出てくるのは……

 

「………ふぅ」

 

ティアマットの身体はあっという間に縮んで、気が付いた時には小さな幼女の姿になっていた。

真っ白なワンピースを着ていて、鱗と同じ青銀の長い髪が靡いている。

ハッキリ言って、見た目はかなり可愛い。

 

「これでよし!」

『なんでまたその姿なんだ…』

「この方が動きやすいからな!身軽だし!」

 

なんか…一気に幼児退行してるんですけど…。

さっきまでの龍王としての威厳は何処に消えた?

 

もしかして、私と同様に体に精神が引っ張られてるのかな?

 

『む?』

「どうした?ドライグ」

『他の連中がこっちに向かってきているぞ』

「そうか。ならば行こう」

 

私がその場から動こうとすると、ティアマットが私の手を握ってきた。

 

「これではぐれない」

「ふふ…そうだな」

 

なんだろう……もう一人妹が出来た気分だな…。

 

こうして、無事(?)にティアマットを使い魔にした私は、リアス達と合流する為に森の中を歩いて行った。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 森の中を二人で歩いていると、リアス達の姿が見えた。

 

「あ!お姉ちゃん!」

「御無事でしたのね!」

「「マユさん!」」

「先輩!」

 

おうおう…私を見つけるなり、いきなり皆で走り出したよ?

これは何のエンディングだ?

 

「って!お姉ちゃん!全身汚れまくりじゃない!?」

「ど…どどどどどうしたんですの!?」

「あ~…私なら大丈夫だ。こんなナリだが、怪我は一切無い」

「ほ…本当ですか?我慢してる訳じゃないですよね?」

「本当だ」

「よ…良かったです…」

 

やっと納得してくれたか。

 

「ところで、先輩が手を繋いでいる、その女の子は誰ですか?」

「あ…この子は……」

「私の名はティアマット!龍王の一角なり!」

 

私が紹介するよりも先に自己紹介してしまった。

 

「ティ…ティアマット!?この女の子が!?」

「間違いないぜぃ。このお嬢ちゃんからは確かにティアマットの魔力を感じる」

「確かに強大な魔力を感じますけど…」

「どうしてそんな姿に?」

「動きやすいからだ!」

「…だそうだ」

 

なんか、私の中で【強い龍=幼女】のロジックが形成されつつあるんだけど…。

 

「けど、こうしてティアマットと一緒にいるという事は…」

「ああ。彼女を使い魔にすることが出来た」

 

幼女が使い魔って、絵的にかなりヤバいけどね。

 

「おめでとう!お姉ちゃん!」

「やはりお姉ちゃんは凄いですわ!」

「流石です、先輩。まさか本当に伝説の龍王の一角を使い魔にするなんて…」

 

そこまで言われると、ちょっと照れるな…。

 

「二人は何か使い魔にしたのか?」

「私はこの子を」

 

アーシアの腕に中には小さく可愛らしい龍が一匹いた。

 

「これは……」

「蒼雷龍の幼龍だな。こんなに小さくても、立派に雷を操れるぞ」

「凄いな…」

「いや、マユさんの方がずっと凄いですからね?」

 

そうでした。

 

思わず蒼雷龍を撫でる。

すると、気持ちよさそうに目を細めた。

 

『やはり相棒は龍に好かれるようだな。この幼龍も心を許している』

 

もうここまで来れば、私も何も言わないよ。

だって、この幼龍は私の手を舐めてるし。

 

「白音は?」

「私はまだです」

 

そうか。

白音ならすぐに出来そうだったんだがな。って……

 

「白音…その後ろにいるのは…」

 

白音の背後には、何やら見覚えのある小さな影が見えた。

 

丸っこくて小さい、そして、ふよふよと宙に浮いているその姿は……

 

「アモル?」

「マユさん。この子の事を知ってるんですか?」

「ああ」

 

なんでこんな所に?

しかも単独で…。

 

「さっきからずっと私についてくるんです。どうやら懐かれたみたいで…」

「そうなのか」

 

よりにもよってアモルが誰かに懐くなんてな…。

サカキ博士が知ったら卒倒するな。

 

「これはアラガミだ」

「えぇ!?アラガミ!?」

 

アラガミと聞いた途端、すぐにアモルから白音は離れた。

 

「大丈夫だ。確かにアラガミだが、こいつは誰かに害を与えたりしない、非常に珍しいアラガミなんだ」

「害が…無い?」

「そうだ。他のアラガミとの戦闘中にいきなり現れて、いきなり去って行く。こいつはそれぐらいしか出来ない。アモルには攻撃手段が無いんだ」

「な…なら大丈夫…なのかな…?」

 

白音は恐る恐るアモルに近づいていく。

すると、アモルの方からも白音に近づいていく。

 

「お姉ちゃん。他にこのアラガミの特徴とかは無いの?」

「そうだな……体内に非常に希少なコアを持っているぐらいか?」

「それだけ?」

「それだけだな。一部の連中は、このアモルを『幸運を呼ぶアラガミ』と呼ぶ者もいるぐらいだ」

「アラガミも千差万別なのね…」

「ある意味、アラガミは無限の可能性を秘めているからな」

 

良くも悪くも…ね。

 

「アラガミ相手には最弱だが、それでもアラガミだ。通常攻撃にはビクともしないだろうな」

「盾代わりになるかもしれないわね」

「ちょっと可哀想ですけど」

 

絵面的にはかなりの外道だな。

 

「この子とも…契約出来るでしょうか?」

「試しにやってみるんだぜぃ!」

 

てなわけで、やってみました。

結果……

 

「出来ちゃいました…」

 

史上初、アラガミを使い魔にした少女の誕生だった。

アモルだけど。

 

「これで、皆使い魔を手に入れたわけね」

「私は苦労したがな…」

「その甲斐はあったんじゃないですか?」

「そうかもな…」

 

キョトンとした顔でこっちを見るティアマット。

もう完全に龍王としての名残がありません…。

 

「じゃ、戻りましょうか?」

「またいつでも来るんだぜぃ!」

 

サドゥージに別れを告げ、私達は使い魔の森を後にした。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 使い魔の森から戻り、部室のシャワーを使わせて貰ってから、私達は帰宅した。

校内には人影も少なく、ティアマットの姿を見られることは無かった。

 

家に帰ってからの黒歌とレイナーレの第一声は……

 

「にゃにゃ!?その恰好はどうしたんだにゃ!?」

「ど…どうしたのよ!?誰かに襲撃でもされたの!?」

 

やっぱり驚くよなぁ~。

 

「大丈夫だ。実は……」

 

私は今日あった出来事を事細かに教えた。

 

「成る程…使い魔を…」

「で?その使い魔は何処にゃ?」

「この子だ」

 

私はティアマットを前に出した。

 

「「……へ?」」

 

うん。そのリアクションは予想出来ました。

 

「この子は……」

 

私が紹介しようとすると、奥からオーフィスちゃんとレドがやって来た。

 

「ん?何やら懐かしい気配を感じたから来てみれば…」

「間違いない。あれ、ティアマット」

「「ええぇぇぇ~~!?」」

 

本日二回目の驚き頂きました。

 

「オーフィスにグレートレッド!久し振りだな!」

「それはこちらのセリフだ!まさか、お前がお姉ちゃんの使い魔なのか?」

「うむ!見事にぶっ飛ばされてしまった!はっはっはっ!」

「お姉ちゃんなら当然」

 

幼女龍同士で意気投合してるし…。

 

「伝説の龍王を使い魔にするって……」

「マユはどこまで規格外なんだにゃ…」

 

そこまで言う?

 

「そう言えば、二人も使い魔を手に入れたのかにゃ?」

「はい。私はこの子です」

 

アーシアが蒼雷龍の幼龍を見せると、風神の中から風神ちゃんが出て来た。

 

『それって蒼雷龍の幼龍だね。大人なら相当に強力な龍だけど、子供なら僕達精霊と殆ど大差ないよ』

「アーシアにはこの子ぐらいが丁度いい」

 

争い事はアーシアには似合わないからね。

 

「白音はどんな子にゃ?」

「この子です」

 

腕に中に抱えていたアモルを見せる白音。

 

「ちっこくて丸いにゃ」

「名前は?」

「アモルのアー君です」

 

いつの間にか名前を付けてた…。

しかもアー君って…。

 

「ある意味、猫又らしいにゃ」

 

丸いからか?

 

使い魔となったため、アモルと幼龍はすぐに呼び出せるため、一旦お帰り頂いた。

しかし、ティアマットだけは一緒にいると言いだした為、結局、一緒に住むことになった。

同じ龍だからか、オーフィスちゃんとレドとあっという間に仲良くなっていた。

幾ら龍とは言え、幼女が三人で戯れているのは見ていても凄く和む。

 

事実、黒歌やレイナーレも笑顔を見せていたし。

 

ティアマットはオーフィスちゃん達と一緒の部屋に住むことになった。

近いうちにまた買い物に行かないとな…。

 

そして、次の日。

足長おじさんからティアマットに関する書類一式が送られてきた。

 

ティアマットは戸籍上、私の三人目の妹して認定されたようだ。

因みに名前は【闇里ティア】だ。

語呂的には違和感が無い。

 

順番は、長女が私、次女がオーフィスちゃん、三女がレド、四女がティアだった。

 

今回は幼女だったから良かったけど、そろそろ部屋がヤバいぞ…。

 

まぁ…これ以上、同居人が増えることは無いだろうから、別にいいんだけど…。

 

こんな事を言ってるとギルガメッシュから『それはフラグだぞ、雑種』と言われてしまった。

 

本当に増えそうだから怖い。

 

大丈夫だよね?……だよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、まずはティアマットことティアが加わりました。

お次はソーナの眷属である匙が登場?

そして、その次はとうとう……

では、次回。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。