神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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ここからはある種の幕間です。

数話の後にフェニックスの話に行こうと思います。




第30話 目指せ!使い魔マスター!

 アーシアとレイナーレが私の家に来てから数日が経過した。

この数日の間に入学の準備をしたり、二人の部屋の用意をしたりした。

 

二人の私物などを買いに近くのデパートに行った際、思った以上に色々と買ってしまった。

私自身も前々から欲しいと思っていたものを結構購入してしまった。

後にも先にも、衝動買いなんてあの時が初めてだった。

 

制服や教科書、入学案内書が届き、遂にアーシアが駒王学園に転入した。

彼女の弁当はレイナーレが作っているらしく、私が危惧していたような事には至っていないようだ。

二人の仲は思ったよりも良好のようで、アーシアに至っては笑顔を見せるようになっていった。

レイナーレも割と早く家に馴染んで、今では黒歌と一緒に家事全般をこなしてくれるようになっていった。

黒歌も助かったと言って安堵していた。

 

余談だが、風神ちゃん(風神に封印された妖精の事。アーシアがそう呼びだした為、気が付けば皆でそう呼んでいた。本人も満更じゃない様子)も比較的に大人しくしていて、時折、黒歌の頭の上で寛いでいるのを見かける。

 

そして、アーシアが転入した日の放課後……

 

 

 

 

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 私と白音はアーシアを連れてオカルト研究部の部室に来ていた。

最初は部室内の様相に驚いていたが、私が隣に来たら落ち着いてくれた。

 

「あ…改めまして、アーシア・アルジェントです。よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく。オカルト研究部は貴女の事を心から歓迎するわ」

 

それから軽く自己紹介をした。

なんでも、アーシアは裕斗と同じクラスに編入されたらしく、彼女自身も安堵していたようだ。

やっぱり、見た機会が少ないとはいえ、顔見知りがいるのは安心するのだろう。

私もリアスや朱乃がいなかったらどうなっていたか…。

ここに来る前に簡単に裕斗が軽く校舎を案内していたとの事。

裕斗の話では、アーシアはクラスの皆にも歓迎されて、思ったよりも早くクラスに馴染めそうと言っていた。

ま、外国からいきなり金髪清楚系美少女がやって来たら、歓迎もされるよな。

特に馬鹿な男連中には。

これからは裕斗にアーシアのボディガードを頼もうかな…?

 

その後、朱乃の紅茶に舌鼓を打ちながら、久し振りに他愛のない話に華を咲かせた。

 

アーシアも皆とすぐに仲良くなれたようで安心した。

 

こうして、アーシアとオカルト研究部との本当の意味でのファーストコンタクトは、良好な形で終えることが出来た。

 

 

 

 

 

・・・・・

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 アーシアが転入してきてから数日後。

最早、放課後に部室にて寛ぐことが日常の一部になりつつある。

 

「使い魔?」

 

ふと、話の話題が使い魔の事になった。

 

「ええ。私達を始めとした悪魔達は、その殆どが有しているわ」

「そうなのか…」

 

使い魔…ねぇ。

有ったら有ったで便利そうだけど…。

 

「お姉ちゃんほどの戦士なら、間違いなく持ってると思ってたんだけど…」

「どういう事だ?」

「悪魔たち以外にも、名のある戦士や魔導士なども使い魔を有している場合が多いのよ。その殆どが神話や伝説に名を残している人間ばかりよ」

 

意外な真実が発覚。

もしかして、生前はネロやギルガメッシュも使い魔を持っていたのかな?

 

「お姉ちゃんも半ば伝説になりつつあるんだから、使い魔ぐらいは持っててもいいんじゃない?」

「そうだなぁ……」

 

ちょっとだけ想像してみる。

 

戦闘中に私をサポートしてくれたり、それ以外にも、日々の潤いになったり……。

 

「いいかもしれないな…」

「そう言うと思っていたわ!」

 

いきなり叫ぶと、部室の魔法陣が光り出す。

 

「こんな事もあろうかと、既に準備はしていましたの」

 

抜かりはないって訳か。

 

「しかし、この魔法陣は基本的にグレモリー家の関係者以外は転移出来ないんじゃ…」

「ドライグなら、私達の魔力を感知して、それを追うようにして転移することも出来るんじゃないかしら?」

 

え?そんな器用なことが出来るの?

 

『それぐらいなら容易に可能だ』

 

おぉ…ホントに出来るんだ。

 

「ついでだから、白音とアーシアも一緒にいらっしゃい」

「いいんですか?」

「勿論。貴女達も使い魔をゲット出来るかもしれないわよ?」

「それなら……」

「私も行ってみたいです」

「なら、お姉ちゃんが二人を連れて来てくれる?」

「分かった」

 

と言う訳で、私達は一路、使い魔を手に入れに向かうのであった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 リアス達に少し遅れる形で転移が完了すると、そこは沢山の木々が乱立したうっそうとした森の中だった。

森の中は日の光も入りにくいのか、薄暗くなっている。

 

「ここは…?」

「ここは通称『使い魔の森』と言われている場所なの。私達悪魔の殆どが、ここに住み着いている魔物や精霊などを使い魔にしているのよ」

「その理論で言うと、姉様の風神ちゃんも使い魔になるんでしょうか?」

「そうなのかもしれないな」

 

実際、風神ちゃんは黒歌の事を『ご主人さま』と呼んでいるしな。

 

「あら?あの子は既に使い魔を手に入れているの?」

「はい。小さくて可愛らしい風の精霊なんです」

「あのもふもふ具合は反則だよな…」

「私も風神ちゃんのもふもふには勝てません…」

 

既に闇里家の全員が風神ちゃんの毛並みの虜になっている。

あのレイナーレでさえにうっとりするぐらいに。

 

「もふもふな使い魔…」

「ちょっと羨ましいですわね…」

 

女の子たるもの、やっぱり可愛い動物には勝てない。

 

私達(裕斗以外)が風神ちゃんのもふもふを想像していると、いきなり森の中に声が響いた。

 

「ゲットだぜ!」

「……!?」

「「きゃっ!?」」

 

本能的に一瞬身構える私と、驚いたように私にしがみつくアーシアと白音。

そして、それを羨ましそうに見る他の面々。

 

よく見てみると、私達の近くにある大樹の枝にある男が立っていた。

帽子を深く被り、動きやすさ重視のラフな格好。

そして、その背には少し大きめのリュック。

ここまで聞けば年若い少年を想像するだろうが、実際には違った。

そこにいたのはいい年した中年男性だった。

 

「俺の名前はマザラタウンのザトゥージ!使い魔マスターを目指して修行中の悪魔だゼ!」

 

だゼ!…って…。

 

「ツッコミたい…!ハリセンを持って盛大にツッコみたい…!」

「我慢です…マユさん。私も全力で我慢してます…!」

 

よく見たら、既に白音の手にはハリセンが装備してあった。

 

「ザトゥージさん。約束通り、噂の赤龍女帝を連れて来たわよ」

「おぉ!その背の高い眼鏡美人さんが伝説の赤龍女帝か!噂通りに凄い美人だな!」

 

私の伝説(笑)は何処まで広まっているんだろう…。

今度サーゼクスさんに会ったら詳しく聞こう…。

 

「それと、お姉ちゃんと一緒に住んでいる子達も連れてきたの。こっちの子は猫又で、こっちの金髪の子は神器持ちよ。大丈夫かしら?」

「実力さえ伴っていれば問題無いぜ!」

「…だそうよ」

 

白音は密かに修行を続けていて、今ではかなりの実力になっている。

その上、人口神器も所持している。

実力に関しては一切問題無いだろう。

 

一方のアーシアは、戦闘能力は皆無だが、彼女の癒す能力は相当に高い。

しかも、朱乃が言うには、彼女の潜在的な魔力はかなり高いらしい。

こっちも大丈夫だろう。

 

「今回はその三人の使い魔をゲットするんだな!俺に任せればどんな使い魔でもすぐにゲットだぜ!」

「ああ見えても、彼は使い魔に関しては間違いなくプロフェッショナルよ。初めて使い魔を手に入れる者は基本的には彼のアドバイスを受けながら自分の使い魔を決めていくの」

 

ああ見えてもって……リアスも彼の格好には色々と思う所があるんだな…。

 

しかし、人…もとい、悪魔は見かけによらないな。

あれで使い魔のプロかよ…。

 

「さて、お三方!どんな使い魔がいい?やっぱり強いのか?それとも早いのか?意外なところで特殊な特性持ちとか?」

「いや…いきなり言われてもな…」

「はい。まず基準が分かりません」

「なにかオススメなどは無いんですか?」

 

こっちとしては、そう言った情報があった方が決めやすい。

 

「オススメと言ったらやっぱりあれだろ!伝説の龍王の一角……天魔の業龍の異名を持つティアマット!龍王唯一のメスであり、現存している龍の中でも最強クラスの実力を持つと言われている!一説では、魔王クラスの実力を持つとかなんとか……」

 

ま…魔王クラス…ですか。

確かにそれは強そうだ…。

 

『ふむ…。この森に来てから何やら懐かしい気配を感じていたが、あれはティアマットだったか…』

「ドライグさん。お知り合いですか?」

『別にそこまで親しいわけではない。俺も何回か顔を合わせたことがあるというだけだ』

「ふ~ん…」

 

ま、龍の社会もそこまでシンプルじゃないよな。

 

「伝説の戦士と言われている赤龍女帝なら、伝説の龍王を使い魔にするぐらいが相応しいぜ!」

「おいおい……」

 

そこまで大層な奴を使い魔にしなくても、そこら辺の魔物とかで充分…。

 

『…いいかもしれんな』

「ド…ドライグ!?」

『それに、俺を宿している時点で相棒は龍と言う種族とは相性がいいと言っても過言ではない。試しにチャレンジしてみればいいんじゃないか?』

「そこまで言うか…」

 

なんか、嫌だとは言えない空気になりつつあるし…。

はぁ…仕方ない。

こうなったら、実際に対峙してから、諦めて貰おう。

 

「ティアマットは何処にいる?」

「お!行くのかい!?」

「一応な」

 

こうなったら自棄だよ!こんちくしょう!

 

「流石はお姉ちゃんだわ!私、応援する!」

「頑張ってください!お姉ちゃんならきっと出来ますわ!」

「吉報を期待してます!」

「一応言っておきますけど、気を付けてくださいね?」

「どうか御無事で…マユさん」

 

あ…あれ?もしかして私一人で行くことになってる?

 

「余り集団で行くと却って危険だからな。アンタには悪いが一人で行ってくれ」

 

ま…マジか…!

 

「赤龍女帝なら大丈夫だろ!伝説の戦士が伝説の龍を従える。最高じゃねぇか!」

 

勝手に最高にするな。

こちとら最悪だっつーの。

 

「しかし、場所が……」

『龍の気配を感じていけば大丈夫だ。お前だってそれぐらいは感じ取れるだろう?』

「まぁ…一応」

 

いつの間にか、アラガミ以外の気配も感じ取れるようになっていたんだよなぁ~。

これも私が成長しているってことなのかな?

 

「私達はサドゥージさんと一緒に他の場所を見回ってみるわ」

「そんじゃ、行くぜ!」

 

あ……行ってしまった。

 

『ほれ。呆けてないで行くぞ?』

「あ…ああ…」

 

私…生きて帰れるよな…?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 龍の気配と思われるモノを感じながら、それをあてにしながら一人で歩いていく。

迷ったらどうしようかと思ったが、いざとなったらリアス達の気配を辿って転移すれば問題無いとドライグに言われた。

どうやら、この深い森の中でもちゃんとリアス達の気配は感じ取れるらしい。

 

「なんか…近くなってきた?」

『もうすぐだな』

 

なにやら岩肌が目立ってきた。

もしかして洞窟に住んでるのかな?

 

現実逃避に森の風景を楽しんでいたら、とうとう、その時がやって来た。

 

『ここだな……』

「ああ……」

 

私の目の前には非常に大きな洞窟が見える。

中は真っ暗で何にも見えない。

 

明らかにここからティアマットの気配がする。

 

「は…入るぞ…」

 

私は恐る恐る洞窟に足を踏み入れる。

恐らく向こうは既にこっちの事に感づいているだろう。

 

少し歩くと、奥の方から何か大きな物体が歩いてくる地響きが聞こえた。

 

洞窟の入り口から入って来る光に照らされて、それは現れた。

 

「ほぅ…?この気配は…まさかドライグか?」

 

目の前にいたのは、青銀に輝く美しい龍だった。

駄目だと分かっていても、思わず見惚れてしまう。

 

『その通りだ。久しいな、ティアマットよ』

 

私の意思とは無関係に左腕に赤龍帝の籠手が出現した。

 

「…随分と変わったな」

『そう言うな。俺は俺なりに満足している』

「貴様がそこにいると言う事は…その小娘が件の『神を喰らう者』とやらか?」

『ほぅ~?既に知っていたか』

「ここには様々な連中が年中やって来る。嫌でも噂は聞く」

 

そんなに頻繁に色んな連中がやって来るのか…。

って、なんで私ってばこんなにも冷静なの?

もしかして、一周廻って変になった?

 

「で?こんな場所に何用だ?…と、聞くまでも無いな」

『話が早いな。今回は貴様を相棒の使い魔にしに来た』

「この私を使い魔に…か」

 

ん?ちょっと笑った?

 

「今までは分不相応な連中ばかりだったが、お前は違うようだな」

「え…?」

「ドライグだけでは無い。お前の身体からはあの最強の龍神達の匂いがする」

『鋭いな。今やあの龍神達は相棒の妹になっているぞ』

「妹?あのオーフィスとグレートレッドが妹?」

 

な…なんだよ?

文句があるってか?

 

「くくく……ははははははははははっ!よもや、あの龍神達を妹にするとはな!此度の赤龍帝は今までとは次元が違うらしいな!」

『当たり前だ。こいつは俺と歴代の連中が満場一致で認めた、最強の赤龍帝だからな』

「面白い!こんなにも面白い人間は初めてだ!」

 

おぉ……なんか好印象?

 

「いいだろう。ならば、私に挑戦することを許可しよう」

 

許可されちゃったよ…。

 

『ふむ…。いい機会だ。相棒、ここは試しに限界まで倍化してみないか?』

「限界まで?」

『そうだ。相棒はその戦闘方法故に余り倍化を多用しない。そのせいで倍化の限界が未だに解らないままだ。この機会に限界を測ってみてはどうだ?』

「面白そうだな。ならば、限界まで倍化をしてから挑んでくるがよい!」

 

なんか変な方向に話が向かってるんですけど~?

 

「はぁ……了解した」

 

こうなったら、女の意地…じゃなくて神機使いの意地……と言うよりは赤龍帝の意地を見せてやる!!

やってやるぜ!!

 

「ドライグ!行くぞ!!」

『おう!思いっきりやれ!!』

 

【Boost!Boost!Boost!Boost!……】

 

兎に角、とことんまで倍化し続けた。

 

百回を超えた辺りから数えるのが面倒臭くなったけど。

 

倍化を始めてから暫くが経った。

 

「た…多分…これが今の限界だ…!」

『ま…まさかこれ程とは…!相棒、今の自分がどれだけ強化されているのか分かるか?』

「さぁね……」

 

確かに体の奥底から力が湧き出てくるけど、具体的には分からないよ。

 

『今の相棒なら、その状態でも一日以上は維持出来る。これは今までの赤龍帝の誰もが出来なかった事だ…!』

 

そんなに凄い事になってるのか…。

全然自覚無いや…。

 

「凄い……凄いぞ!神を喰らう者よ!今のお前からは全盛期のドライグと同等…いや、それ以上のオーラを感じる!お前は本当に人間か!?」

「人間だよ…!全部じゃないけどね…」

 

オラクル細胞のせいで、もう体の半分以上が人間じゃなくなってるしね。

別に気にしてないけど。

 

「確か…古い伝説では、龍と言う存在は相手の実力を試す為に最初に必ず弱い息吹(ブレス)を放つと聞く。それに耐えきった者のみを認め、自身に挑戦する事を認めると…」

『相棒。随分と物知りだな。確かにその通りだ』

「ネットで調べた」

『今時のネットは龍の伝承すらも調べられるのか…。万能だな、ネット』

 

文明の利器だよね。

ネット様様だ。

 

「ならば伝承通り、私もブレスを放つとしよう!だが、一番弱いのではなく、最大級のをな!」

 

う…嘘でしょ!?

冗談じゃないって!!

 

「我が一撃を耐え、見事その一撃を喰らわせてみろ!!」

「く…来るなら来い!!」

「では…ゆくぞ!!」

 

ティアマットがその顎を大きく広げ、口内に凄まじいまでのエネルギーが充填される。

 

それと同時に私は籠手を装着した左手を構えて突貫する!

 

突貫の途中で李書文先生の禁手化しとけばよかったかも…なんて思ったが、後の祭りだった。

 

次の瞬間、洞窟はおろか、森全体に凄まじいまでの爆発音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キリがいいのでまずはここまで。

今回、リアス達がマユを置いて行ってしまいましたが、実は本人達も苦渋の選択だったりします。

本当は一緒について行きたかったけど、一緒に行けばマユの邪魔になると考えたのです。
もし言えば、マユの優しさ故に気を使わせてしまうと思ったんですね。

次回は遂に使い魔ゲット?

では、次回。

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