神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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なんか、最近になって急に冷え込みましたね。

身体が弱い私には大変な時期です。

風邪を引かないように気を付けないと…。



第24話 私について

 ディアウス・ピターとまさかの遭遇をした次の日。

トラウマになっていないか心配していた白音は、どうやら大丈夫だったようだ。

朝食の時になんでか聞いてみたら、私と一緒に寝ることが出来たから、だそうだ。

私と一緒に寝ることに心労を回復させる効果でもあるんだろうか?

 

その際、黒歌は羨ましそうにこっちを見ていたし、オーフィスとレドは『私も一緒に寝る』と言い出した。

仕方がないので、今度一緒に寝てあげることにした。

 

そして、いつものように白音と一緒に登校していると、校門付近でリアス、朱乃、祐斗と会った。

 

表向きはいつものようにしていたが、無理をしているのはすぐに分かった。

放課後に昨日の事を説明するにしても、それまでは私も普段と同じように接するとしよう。

 

そして、全ての授業が終わり、あっという間に放課後になった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 放課後。

毎度のように私達はオカルト研究部の部室で過ごしている。

 

「その……大丈夫か?」

「ええ……なんとかね」

「昨晩は上手く寝付けませんでしたわ…」

「僕は、寝る前に少しだけ筋トレをして、そのお陰で何とか寝れました」

 

…どうやら、大なり小なり昨日の事は皆の心に余りよくない影響を与えてしまったようだ。

 

「……すまない。私がもっと気を付けていれば…」

「お姉ちゃんは何も悪くないわ!」

「その通りですわ!あれは私達が未熟だっただけで、お姉ちゃんが責任を感じる必要は決してありませんわ!」

「その通りです。先輩はあの時、真っ先に前に出て僕達を守ってくれたじゃありませんか。それだけで充分ですよ」

「私も裕斗先輩と同意見です。寧ろ、こっちがお礼を言わなきゃいけませんよ」

「皆……」

 

あぁ……私は……

 

「ありがとう……」

 

本当に……いい友達を持ったな…。

 

「あれ?そう言えば白音は大丈夫なの?」

「私は昨晩、マユさんに添い寝して貰いましたから」

「「「ええっ!?」」」

 

あ、それを言っちゃう?

 

「お…お姉ちゃん!今度泊まりに行ってもいいかしら!?そして、私とも一緒に…」

「私もして貰いたいですわ!いえ!お姉ちゃんが私の家に泊まりに来て…」

「くっ…!男として生まれたが故の弊害か…!これで『僕も』なんて言ったら変態じゃないか…!けど、先輩にだったら僕は別に…」

 

…お~い……戻ってこ~い。

 

「なんか、別の意味で大丈夫じゃなくなってしまいましたね」

「確信犯か……」

 

中々に腹黒いな…。

 

(クハハハハハハハハッ!この小娘は中々に見所があるではないか!愉悦の何たるかを自然と理解していると見える!)

 

また唐突に出てこないでよ、ギルガメッシュ。

 

「お…おい?」

「「「はっ!?」」」

 

あ、戻ってきた。

 

「ゴ…ゴホン!お姉ちゃん?」

「なんだ?」

 

咄嗟に誤魔化したな。

 

「昨日の事、説明してくれないかしら?」

「それはいいが……」

「何か問題でも?」

「多分、こういうのはサーゼクスさんを初めとした偉い方々がいる時に話すのがいいと思うんだ」

 

その方が二度手間にならずに済むしね。

 

「それもそうね……」

「だが、簡単な事なら説明出来る」

「いいの?」

「ああ。全てを話そうとすると、単純に話が長くなってしまう」

「…具体的には?」

「今日中には終わらないかもしれない」

「「「…………」」」

 

それだけ、アラガミは奥深いのだよ。

 

「私達も簡単な事しか教えて貰ってませんから」

「あら?そうなの」

「はい」

 

あの時も今回と同じ理由で詳しくは話さなかった。

 

「皆も既に知っているとは思うが、私は定期的に色んな場所に行って討伐行為をしている。その討伐対象こそが……アラガミと呼ばれる存在だ」

「「「アラガミ?」」」

「アラガミとは、地球上に何処からともなくいきなり出現した考え、捕食を行う謎の単細胞生物『オラクル細胞』の集まりで、それ自体で数十万、数百万の生物の集まりなんだ」

「あれが……細胞の集まりですって…?」

「ああ。昨日遭遇したのもそうだし、君達が幼い頃に遭遇した連中もアラガミだ」

「「「ええっ!?」」」

 

この反応はある意味予想通りだ。

 

「昨日の奴と子供の頃に会ったアレが……同じ仲間?」

「信じられませんわ……」

「強さは全然違うがな」

 

ピターと小型のアラガミとじゃ、完全に別格だよ。

 

「アラガミは細胞結合が非常に強固で、通常の兵器では全く歯が立たない」

「私達の魔力は?」

「多分…無理だろう」

「し…しかし、リアスの滅びの魔力なら……」

 

彼女達には悪いが、私は静かに首を横に振った。

 

「以前、サーゼクスさんがアラガミの一体に滅びの魔力を撃ってしまった。最初は良かったが、次の瞬間にはもうアラガミ達は滅びの魔力に対する耐性を持ってしまった。もう…通用しない」

「そんな……」

 

一気にるリアスの顔が青くなる。

なんか……心苦しいな…。

 

「奴等を行動不能にするには、連中の行動を司る司令細胞群『コア』を摘出するのが最善なんだ」

「コア……」

「他の生物で言う所の心臓だな」

「けど、普通の方法なら倒せないんでしょ?お姉ちゃんはどうやってあいつ等と互角に戦っているの?」

「簡単な話だ。目には目を。歯には歯を。…アラガミにはアラガミをぶつければいい」

「ど…どういう事ですの?」

「私は……オラクル細胞を体内に取り込んでいるんだ」

「「「!!!」」」

 

さっきから驚きっぱなしだな。

不謹慎かもしれないが、見ててちょっと面白い。

 

「そ…そんな事をして平気なの!?」

「その為に、この腕輪がある」

 

皆に見せるように右腕を上げる。

 

「そう言えば、いつもつけてるわよね。その腕輪」

「これは、私が今の立場……神機使いになった時に付けたものだ。詳しい事を言えば長くなるから省略するが、これによってオラクル細胞の浸食を防ぐことが出来る」

「よ…良かったです」

「その代わり、未来永劫外すことは出来ないがな」

「は…外せない!?なんで!?」

「この腕輪は私の身体と完全に一体化している。これがもしも外れることがあれば、その時が私の死ぬ時だろう」

「「「…………」」」

 

あ、やべ。

空気を重くしてしまった。

 

「先輩方の気持ちは解ります。私と姉様も、聞いた時は同じでしたから」

「そう……。強いのね」

「信じてますから」

「そう…ですわね。信じなくてはいけませんわね」

「ですね…。僕達が信じないで、誰が信じるんだって感じですよね」

 

信じる…か。

 

「なら、お姉ちゃんが持ってる大きな武器はなんなの?」

「あれが『神機』。対アラガミ用に開発された生物兵器だ」

「せ…生物兵器?」

「神機はアラガミのコアから造られているんだ」

「コ…コアから!?」

「人為的に調整された『コア』を元にして、この腕輪を介して操作するんだ。他にも色々と説明することは多いが、ここでは省略する」

 

本気で長くなるからね。

 

「しかも、神機を操る為には神機の中にあるオラクル細胞をより深く埋め込んで神経接続する必要があって、遺伝的体質が該当神機に適合している事が条件なんだ」

「それってつまり、他の人には使えないって事?」

「その通りだ」

「お姉ちゃんだけのワンオフという訳ですね」

 

そう言われると、なんかカッコいいな。

 

「私のように神機を操る者を総じて『神機使い』、もしくは『ゴッドイーター』と呼ぶ」

「お兄様と初めて会った時に、お姉ちゃんは『ゴッドイーター』と名乗ったと聞いたけど、そういう事だったのね」

 

あの時は色々とテンパってたんだよ~!

咄嗟に思いついたのがアレだったんだよ~!

 

「簡単ではあるが、これで一応終わりだ」

「分かったわ。…お姉ちゃんは私達が思っていた以上に大変なのね…」

「アラガミと戦う事は出来ませんが、出来る範囲で協力は致しますわ」

「僕もです。負担は皆で分け合いましょう」

 

うぅ……なんて感動的な事を言うんだぁ~!

本気で泣いてまうやろ~!

 

『…良い友を持ったな。相棒』

「そうだな……」

 

皆と会えて本当に良かったと思うよ。

いや、マジで。

 

「そう言えば昨日、お姉ちゃん左腕を痛そうにしていたけど、それもアラガミと関係があるの?」

「それは……」

 

なんか、ツッコまれる気はしてたんだ。

けどなぁ……。

 

『いいんじゃないか?』

「ドライグ…」

「私も大丈夫だと思います」

「白音も…」

 

そうだよな。

私も信じなきゃ駄目だよな。

 

「どうしたの?」

「……皆。ちょっと見て欲しいものがある」

 

私は制服の袖を捲り、左腕全体を覆っている腕袋を取り外した。

 

「昨日の痛みは……これが反応していたんだ」

 

全員に見えるようにアラガミ化した左腕を見せる。

 

「…!?そ…それは…!」

「ど…どうしたんですの!?」

「先輩!その腕は…!」

「前に仲間を助けた時に…な。こうなってしまったんだ」

 

ま、後悔は無いけどね。

 

「お姉ちゃん!!」

「は…はい?」

 

なんか、いきなりリアスが立ち上がって来て、私の両肩を掴んだ。

 

「お願いだから、自分の事を大切にして!!」

「え…え?」

「リアスの言う通りですわ!仲間を助けたいと思う心は素晴らしいと思いますが、それでお姉ちゃんが犠牲になっては意味が無いじゃないですか!」

「僕も…先輩の気持ちは痛い程理解出来ます。けど、自分が犠牲になればいいと言う考えは良くないと思います」

 

ちょ…ちょっと?

なんか予想外の反応が返ってきたんですけど?

 

「あの…この腕に関しては……」

「そんなのどうでもいいじゃない!」

「なんと!?」

 

どうでもいいとな!?

 

「どんな腕をしていても、お姉ちゃんはお姉ちゃんよ!」

「リアス……」

「今までずっと隠し通せていた事にも驚きですが、それ以上に話してくれなかった事に悲しさを感じますわ」

「僕達はそんなにも頼りないですか?」

「そんな事は無い!」

 

そうじゃない……そうじゃないんだ!

 

「私は……ただ……」

「リアス先輩達の悲しむ顔を見たくなかった……ですよね?」

「白音…」

「マユさんの事だから分かります。大方、自分一人で抱え込めば万事解決とでも思ったんでしょう?」

「ゔ……」

「分かりやす過ぎです」

 

はぁ……敵わないなぁ…。

 

「……済まない。皆を信じていなかったわけじゃないんだ。皆がこの腕を見たら、きっと心配したり悲しんだりすると思った。リアス達のそんな顔を見たくなかったんだ…」

「お姉ちゃん…」

 

友達の…仲間の悲しむ顔は……もう見たくないから…。

 

『気持ちは解るが、お前達も察してやれ。相棒は今まで、それ程までに友を大切にしたいと思うような事を経験してきたんだと』

「「「あ……」」」

 

ドライグ…お前まで…。

 

『相棒は確かに強い。だが、決して常勝していたわけではない。最終的には勝利しても、その過程で仲間を失った事も一度や二度じゃない』

「先輩も……」

 

裕斗?

どうしたんだ?

 

「…ごめんなさい。お姉ちゃんの気持ちも知らずに…」

「別に気にしてないよ。白音達からも同じ事を言われたし、心配してくれたことが純粋に嬉しい」

「本当に…優しすぎますわ…」

「けど、それが先輩らしいです」

 

私らしいって…。

 

「最後に聞いていいかしら?」

「なんだ?」

「あのアラガミとか連中も、お姉ちゃんも…どこから来たの?」

「私は……」

 

何処から来た…か。

流石に『転生してきました~!』とは言えないしなぁ~。

 

「多分…これもサーゼクスさん達がいる場で言った方がいいと思う」

「そう…。少なくとも、話してはくれるのね?」

「必ず」

「それが聞ければ、それでいいわ」

 

な…なんとか誤魔化せた…!

後でちゃんと考えとかないと…!

 

この事を話すとなると、必然的に足長おじさんの事も話さなくちゃいけなくなるしな…。

流石に即席でそこまでの言い訳は思いつかない。

 

「白音もそれでいいか?」

「はい。さっきも言いましたけど、私はマユさんの事を信じてますから」

 

な…なんていい子や~!

黒歌の妹じゃなかったら、私の妹にしたいぐらいだよ~!

 

「取り敢えず、その腕の事は私達全員で隠せるように努力するわ」

「助かる」

 

そろそろ、一人じゃ限界が来ていたからな。

 

「ところで…その腕って痛覚とかってあるの?」

「一応な。だが、左腕限定でこうなっている為、少々鈍くはなっている」

「洗う時も、たわしで擦ってますしね」

「た…たわし?」

「そうでもしないと汚れが取れないんだ…」

 

ほんと、厄介なのよ。

一度こびりついたら中々取れない。

 

「く…苦労してるのね…」

「もう慣れたよ」

 

長い付き合いだしね。

 

それから、暫くリアス達とこれからの事を話してから、その日は解散した。

 

帰ってから放課後の事を話すと、少し驚いていたが、リアス達が理解を示してくれたことを一緒に嬉しがってくれた。

 

やっぱり…家族っていいなぁ…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 リアス達に左腕の事やアラガミの事を少し話した日から数日後の放課後。

私は白音と一緒に商店街に来ていた。

 

個人的に必要になった参考書を買おうと思い、本屋に行くことにしたのだ。

その際、白音もついてくると言い出した。

なんでも、白音も愛読しているラノベの新刊が出るらしく、買いたいと思っていたらしい。

 

本屋にて目的の物をそれぞれに購入し、ウィンドウショッピングを兼ねて商店街を歩く私達。

その時だった……彼女の事を再び見かけたのは。

 

「あの…マユさん」

「ん?どうした?」

「あの後姿は…もしかして…」

 

白音が指差す方向にいたのは、何やら見覚えのあるシスター姿の金髪少女が周囲をキョロキョロと見ている姿だった。

 

「あれは……アーシアか?」

「ですよね……」

 

どうして一人でこんな所に…?

 

この二回目の出会いが、後に彼女と私の運命を大きく動かすとは、その時は誰も想像すらしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




事情の説明とアーシアの再登場の回でした。

殆ど説明回になってしまいましたね。

出来ればもうちょっとコンパクトに纏めたかったのですが…。

では、次回。

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