神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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前回、謎の堕天使(正体は分かっているけど)に遭遇したマユ。

果たして、どうなるのでしょうか?

またまた、一級フラグ建築士の力を発揮するのか?

それとも……?





第20話 波瀾万丈な毎日の始まり

 公園に入った途端に、いきなり現れた謎の堕天使の少女。

あんな格好をして、恥ずかしくないのかしら?

 

(この感じは…恐らく下級堕天使だな)

 

下級?

堕天使にも上級とかあるのか?

 

(一応な。以前会ったアザゼルなんかは最上級堕天使だぞ?)

 

あ、なんとなくそれは分かる。

あの人から感じたプレッシャーって凄かったし。

 

「ふふ…どうしたのかしら?怖くてビビった?」

 

なんか言ってるし。

いや…こんな事を言ったら怒るだろうけど、全然怖くない。

これなら、オウガテイルの方がよっぽどマシだ。

 

「……お前は誰だ?」

「ふっ…。低俗な人間風情に私の名を教えるなんて、堕天使としてのプライドが許さないけど、冥途の土産に教えてあげるわ」

 

お~お~。

なんか上から目線で言ってるよ。

 

「私の名はレイナーレ!至高の堕天使となる存在よ!」

 

うわぁ…。

自分から『至高の堕天使』とか言っちゃってるよ…。

いたたたた~…。

 

(自分で言ってて恥ずかしくないのか?)

 

私もそう思うよ。

もしかして、自分に酔ってるのかな?

 

「どうやら、貴女には神器が宿っているみたいね。私の計画を成就させるためにも、可能な限り不確定要素は排除したいの。だから……」

 

堕天使レイナーレは、その手に光る槍のような物を創り出した。

 

「死んでくれる?」

 

う~む……どうする?

右手にはカバン、左手には買い物袋がある。

見事に両手が塞がっちゃってるね。

 

(ふははははははは!何やら面白そうな事になっておるな!雑種!)

 

あ、この声はギルガメッシュ?

 

(ん?何しに来た?)

(なに、困っている後輩にアドバイスを…な)

 

アドバイス?

 

(雑種。心配は無用だ。そのまま立っておればよい)

 

……どゆこと?

 

(ククク……。見ていれば分かる)

 

なんなのよ…もう。

 

「さようなら!名も知らぬ人間!」

 

レイナーレが光の槍を私に投げつける。

段々と槍が迫って来る。

だが、槍が私に当たる瞬間……

 

「「え?」」

 

槍が消滅した。

 

「な…!?どういう事!?」

 

それは私のセリフですよ!?

 

(簡単だ。以前、ネロの奴が雑種の力が強すぎると言った事を覚えているか?)

(う…うむ。確かに言っていたな。それがどうかしたのか?)

(数多くの戦いを経て、雑種の実力は飛躍的に上昇している。それに伴い、赤龍帝の籠手も成長しているのだ。我等と邂逅したのがいい例だ)

 

そうか…私ってば成長してるんだ…。

 

(赤龍帝の籠手が強大になるにつれて、龍のオーラも増大している。今の雑種では、通常時でも全盛期のドライグの5割程のオーラが出ているのだぞ?)

(なんだと!?嘗ての俺の5割だと!?)

 

それって相当に凄くないですか?

 

(その気になれば、9割程までいけるぞ?)

 

マジか…。

まさかそこまで成長しているとは…。

 

(だが、なんで他の奴等には影響が無い?俺の5割なら相当な量のオーラが出ている筈だが?)

(それは、こやつの心の影響だ)

 

私の心?

 

(貴様は常に守護者であろうと心掛けている。それが龍のオーラに作用して、雑種が守りたいと思う連中には龍のオーラの影響が出ないようになっているのだ)

 

なんちゅーご都合主義…。

 

(簡単に言うと、常時サ○フラッシュやサイ○ブラスターが発動しているようなものだ)

 

メタ発言乙。

 

(なら、なんであの堕天使には影響が無い?)

(それも簡単だ。あやつが余りにも弱すぎるが故に、雑種の強大さを知覚できんのだ。人間の存在を正しく理解せずに挑んでくる害虫共と同じようなモノだ)

 

えぇ~?

そこまで言う?

 

(害虫を害虫と言って何が悪い?あのような輩、雑種にすらならんわ!)

 

レイナーレは雑種以下なのね…。

 

(A・U・Oの有難い説明である!感謝するがよい!)

 

へいへい。

感謝してますよッと。

 

「ど…どうして私の槍が効かないのよ!?」

「それは……」

 

なんて説明しようか少しだけ考えていると、彼女の背後に怪しい影が見えた。

 

「あれは…!」

 

あのシルエットは……まさか…!

 

「危ない!!」

「は?」

 

私は咄嗟に両手に持った荷物を近くのベンチに投げて、彼女に向かって大きくジャンプ。

その際、空中で神機を出した。

装備は、ハルバードにヴァスグレンツト、剛デコイシールドだ。

 

「なっ!?」

 

反射的にレイナーレを空中で抱き寄せて、その背後にいた存在にハルバードを突き刺した!

 

目の前で血飛沫が上がる。

目を凝らすと、そこにいたのは黄色く染まったザイゴート堕天(雷)だった。

ザイゴート堕天はその口を大きく開けており、もしも少しでも遅かったら、彼女が捕食されていたことは想像に難くない。

 

急所に直撃したようで、一撃でザイゴートは死亡して、その死骸は地面に落ちた瞬間に霧散した。

 

レイナーレを抱きしめたまま、地上に着地した。

 

「ふぅ……危機一髪だったな…」

 

周囲を見渡すと、他にはアラガミの気配はない。

 

(ドライグ?)

(大丈夫だ。不可解ではあるが、いたのはあのザイゴートのみのようだ)

(そう……)

 

どうしてザイゴートが単体で…?

 

「ちょ……ちょっと」

「ん?」

 

あ、そう言えば、レイナーレを抱きしめたままだった。

 

「な…なんで…」

「んん?」

「なんで!私を助けたのよ!?貴女を殺そうとしたのよ!?」

「ああ…その事か」

 

なんで…ねぇ。

自分の言葉じゃないけど、やっぱこれしかないでしょ。

 

「誰かを助けるのに、理由がいるかい?」

「……っ!?」

 

極論言っちゃうと、やっぱりこれに帰結しちゃうよね。

実にシンプルだと思うけど。

 

ところで……どうしてレイナーレは顔を真っ赤にしてるの?

 

「それとも、私の助けでは不満かな?」

「だ…誰もそんな事は言ってないでしょ!」

 

ん?なんか可愛いぞ?

これが噂に聞くツンデレってヤツか?

 

(ククク……フハハハハハハハハハ!まさか、敵対者にすらフラグを建てるとはな!見事なまでの一級フラグ建築士っぷりだな!)

 

おい、誰がいつフラグを建てたって?

 

ギルガメッシュに心外な事を言われていると、後ろに赤い魔法陣が出現した。

そこから出て来たのは、腕組をしたリアスだった。

 

「私が管轄している土地で何をしているのかし……ら…?」

 

あ、こっちを見てフリーズした。

 

「な…ななななななな!?何をしてるのよ!?お姉ちゃん!堕天使の女の子を抱きしめたりして!!」

「いや…これは…」

「そ…そうよ!なんで私がこんな奴に…」

(ハハハハハハハハハ!!修羅場だな!雑種よ!)

 

顔を真っ赤にしながら否定の言葉を言いつつ、レイナーレは私から離れて立ち上がった。

それと、英雄王は少し黙って。

 

「か…勘違いしないでよ!別に有難いとか思ってないんだからね!」

 

ま、さっきまで私の事を殺そうとしてたしね。

 

「で…でも、助けられたのは事実だし?一応お礼は言っとくわ……その……ありがと…」

 

結構律儀だな。

 

「今度こそはその命を頂くんだから!覚えてなさいよ!」

 

悪役のお決まりのセリフを言って、照れながらレイナーレは飛んでいった。

勿論、結界は解除して。

 

残されたのは、状況が分からないリアスと、神機を握ったまま茫然としている私だけだった。

 

「あの~……一応、明日にでも事情を聞かせてくれるかしら?」

「…分かった。私も状況の整理がしたいと思っていた」

「今日はもう遅いから、私も行くわね?また明日、お姉ちゃん」

「ああ。また明日」

 

リアスはそのまま公園を出て行った。

 

「はぁ……」

 

これも赤龍帝の運命なのか…?

 

『災難だったな』

「全くだ…」

 

神機を収納した後にベンチに置いた荷物を持って、トボトボと公園を出て帰路についた。

空は、もうすっかり暗くなっていた。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 家につくと、黒歌達が玄関に集結して、心配そうに寄ってきた。

流石に何も言わないのは論外なので、家に上がりながら事情を説明した。

 

「そんな事が……」

「でも、怪我が無くて良かったです」

「しかし、いくら下級とは言え、堕天使の攻撃を無条件に無効化してしまうとは。流石は我等のお姉ちゃんだな!」

「マユお姉ちゃん、凄い」

 

龍神に褒められる…か。

悪い気はしないな。

 

既に夕食の準備は出来ているらしく、私は急いで着替えて、皆と一緒に夕食を食べた。

 

食後、私も一緒に洗い物をしようとしたら、今日は疲れているだろうと言われて、一番風呂を頂くことになった。

勿論、オーフィスとグレートレッド…じゃなかった、レドも一緒に入浴した。

 

全員が風呂に入り終わり、毎度のようにリビングでお茶を飲みながら一息つきながら話していると、いきなりアーチャーが話に加わってきた。

 

『今日は大変だったな。マスター』

「まぁね…」

『ところで、どうしてあの堕天使を助けたんだ?』

「…あの時言った通りだ」

『誰かを助けるのに理由はいらない…か?』

「ああ」

 

それ以外に思いつかないし。

 

「いい言葉ですね」

「マユらしいにゃ」

 

あはは……私らしい…か。

 

『勘違いしないで欲しいのだが、私は別に君の善性を否定しているわけではない。君の心掛けは私から見ても素晴らしいと思う。普通はそこに力量が伴っていないのがお約束だが、君の場合は実力もちゃんとあるからな』

 

おぉ~…。

珍しく褒められてる…。

 

「アーチャーさんはマユさんの事を高く評価してるんですね」

『彼女はそれだけの価値がある』

「ふふ……当然にゃ」

 

歴代の中で、私の評価ってそんなに高いの?

自分じゃイマイチよく分からないけど…。

 

『だが、一つだけ言わせて欲しい』

「なんだ?」

『マスター………フラグの乱立はほどほどにしておけよ?』

「は…はぁ?」

 

フラグの乱立?

 

「もしかして……また建てたんですか?」

『見事なまでにな。殺気丸出しの彼女が、一気に年頃のツンデレの少女になってしまった』

「マユは相変わらずにゃ…」

 

ちょっと?なんで黒歌は呆れたような顔をしているの?

白音はジト目でこっちを見てるし。

 

「白音。フラグとはなんだ?」

「簡単に言うと、また別の女の子がマユさんに惚れてしまったんです」

「「おお~」」

 

龍神っ子が揃って驚いてる。

今までフラグとかとは無縁だったしね。

 

「お姉ちゃんは本当にモテモテだなぁ~」

「マユお姉ちゃん、天然ジゴロ?」

「なっ…!どこでそんな言葉を…?」

「お昼のドラマで言ってた」

 

この子達は…私達が学校に行ってる間に昼ドラを見てるのか…。

もうちょっと、見た目相応の番組を見て欲しい。

レドはともかく、オーフィスには悪い影響を与えそうで怖い。

 

「これからは、もうちょっと別の番組を見て欲しい」

「なんで?」

「そ…それは…」

 

なんて言えばいいんだ…!

 

『オーフィス。面白い番組は他にも沢山ある。偶にはそちらを見ても悪くはあるまい?』

「ん。そうする」

 

ナイスだアーチャー!

オーフィスが素直で助かったよ。

 

「話は逸れてしまったけど、これからは外出の際も一応用心はしておいて欲しい」

「わかったにゃ。けど、下級堕天使程度なら、私でも楽勝にゃ」

「オーフィスちゃん達は……心配するだけ野暮ですね」

「我等は龍神だからな!下級堕天使風情から姿を隠す程度なら楽勝だ!」

「ん。大丈夫」

 

まぁ…この二人ならマジで心配ないしな。

だって、見た目は幼女でも中身はチートだし。

 

「今は念には念を…程度でいいと思う。私の方でもなんとかしようとは思ってるし。多分、リアス達も色々と探りを入れるだろうし」

「自分の管轄している土地に身元不明な堕天使が侵入してきたんだから、放置はしない筈にゃ」

「もしも何かあれば、自分達の沽券に関わりますからね」

 

そう考えると、悪魔も大変なんだなぁ…。

何か手伝えることがあれば、私手伝うようにしよう。

 

その後、少しだけ話してから、その日は寝ることにした。

 

そう言えば、明日はリアス達にも説明しなくちゃなぁ…。

 

今日の事を変に勘違いしてなきゃいいけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はちょっと短いですが、キリがいいのでここで終わります。

今年のこの作品の更新はこれで終わりです。

次は来年になりますね。

余裕があれば、番外編とかもやってもいいかもなぁ~…。

では、次回…って言うか、来年。

皆さん、良いお年を。

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