そして、他作品とのクロス回でもあります。
今回、赤龍帝の籠手にオリジナルの設定を盛り込みました。
多分、賛否両論あると思いますので、不快に感じられたのなら、予め謝っておきます。
すみません。
今日も今日とて学生生活。
ってな訳で、今は丁度お昼休みです。
私は毎度のようにリアス、朱乃と一緒に食堂に向かう。
もうこの光景も当たり前になってきたなぁ~…。
「そう言えば、お姉ちゃんは部活はどうするの?」
「部活?」
「ええ」
部活か…。
確かに、高校生活の一番の醍醐味と言えば部活だよな。
けど……
「私は…ちょっと難しいかな…」
「え?なんでですの?」
「色々と忙しいから…」
「「あ……」」
一応、二人は私の事情をそれなりに察している。
私が定期的にアラガミ退治をしている事を。
故に、そこまで深くは追及してはこない。
「けど……はぁ…」
「…?どうしたの?」
「色んな人達が、私を勧誘してくるんだ…」
「「え?」」
ホント…マジで勘弁してほしいよ…。
昨日は女子バレー部、一昨日は女子サッカー部。
そして今日は……
「今回は、女子バスケットボール部に一日体験入部する予定だ…」
「そ…そう言えば、放課後にお姉ちゃんが色んな部活に顔を出しているって噂で聞いたけど…」
「そんな事情があったのね…」
一日限りだから今はいいけど、流石にどこかに入部する気はない。
いつアラガミが出てくるか分からないし、それ以上に家族の団欒を大事にしたい。
誘ってくれる皆には悪いけどね。
「あ…あの!お姉ちゃん!」
「ん?」
リアスが真剣な顔で顔を近づけてきた。
「あ…あのね?実は私、ある部活を立ち上げようと思ってるんだけど…」
「ほぅ…?」
新しい部活を立ち上げようと考えるとは…。
中々に思い切った事をするんだな。
魔王の妹は伊達じゃないってか?
「どんな部活なんだ?」
「え…とね…『オカルト研究部』って言うんだけど…」
「オ…オカルト…」
悪魔がオカルトって…。
これはツッコミ待ちか?
「で…出来れば…出来ればでいいんだけど……お姉ちゃんに入って欲しいの!」
「……え?」
なんですと?
「お姉ちゃんが忙しいのは知ってるわ。だから、名前を貸してくれるだけでいいの。幽霊部員でもいいから!」
お…おう…。
なんか必至だな…。
「な…なんで私なんだ?」
「新しい部活を立ち上げるには、最低でも3人の部員が必要なの。だから…」
「3人?」
「私に朱乃。そして、お姉ちゃん」
あ、朱乃も一緒なのね。
「ソーナは誘わないのか?」
「あの子は生徒会に入るつもりらしいの」
なんと…生徒会とな…!
なんちゅー真面目な子だ…。
私なら絶対に入りたくない…。
って言うか、関わり合いにもなりたくない。
「なんて言うか……凄いな」
「昔から真面目な子だったから」
昔からあんな性格だったのか…。
「………何気にソーナもお姉ちゃんを生徒会に誘おうとしてたし、先手を打っておかないと…」
ん?今なんて言った?
よく聞こえなかったけど…。
「私も出来ればお姉ちゃんに入って欲しいですわ」
「朱乃……」
う~ん…。
可能な限りはこの二人の頼み事は断りたくないんだよなぁ~。
「本当に名前だけでいいのか?」
「勿論よ!お姉ちゃんがいてくれるだけでいいの!」
その発言は大きな誤解を招くからやめようね?
実際、周囲の女の子たちが顔を真っ赤にしているから。
「まぁ…いいか」
「ホント!?」
「でも、今週一週間は待ってほしい」
「え?なんで?」
「まだ、体験入部の予定があるんだ。せめて、今週分の予定を消化してからにしたい」
「成る程…。いいわ。それぐらいなら喜んで待つわ」
「そうですわね。今までの時間に比べたら、一週間なんてあっという間ですわ」
はは…そこまで言ってもらえると、なんか悪い気はしないな…。
「そう言えば、さっきの話で思ったことがあるんですけど…」
「ん?なんだ?」
「お姉ちゃんはスポーツが得意なんですか?」
別に得意ってわけじゃないんだよなぁ…。
多分、この体格を見て誘ってるんだよね。
「まぁ……可もなく不可もなく…って感じかな?」
「でも、運動神経はいいわよね?」
「体育の合同授業の時なんかは、凄く活躍してるものね」
ま、これでも神機使いだからね。
身体はそれなりに鍛えてるし、オラクル細胞の恩恵もあるからね。
「男子達は馬鹿みたいに興奮してるけど」
「お姉ちゃんを見て鼻の下を伸ばすなんて、許せませんわ…!」
おおーい!?
何気に殺気が出てますからねぇ~!?
って言うか、私みたいな筋肉女を見てどうして興奮するかね?
私的にはリアスや朱乃の方に注目すると思うけど。
「しなやかな肉体に、芸術的に鍛えられた筋肉…」
「背の高さと相まって、見る者全てを魅了しますわ…」
そうかねぇ~?
一度服脱いだら、筋肉ムッキムキだよ?
オーフィスちゃんなんて、一緒にお風呂に入った時に『マユ、お腹カチカチ』って言ってたぐらいだし。
ちょっぴりへこんだけど。
「お姉ちゃんって、家でトレーニングとかしてるの?」
「ああ。身体は鍛えて損は無いからな」
いざって時に後悔したくはないしね。
もう……あんなことは御免だ。
リンドウさんやシオがいなくなった時、本気で己の力不足を
「素晴らしい考えですわ」
「そうよね…。努力するに越したことは無いわよね…」
なんかシリアスな雰囲気になりながらも、色々と話しながら食堂へと向かった。
その際、妙に真剣なリアスの顔が記憶に残った。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
夕食後にお風呂に入って、今は皆でリビングにてテレビを見ながらゆったりと寛いでいる。
私はソファーに座っていて、膝の上にオーフィスちゃんが座っている。
その両隣にはグレートレッドと白音が座ってる。
テーブルでは黒歌がお茶を飲みながらニコニコしている。
『う~む…』
「どうした?ドライグ」
さっきからドライグがずっと唸っている。
こんな事は珍しい。
因みに、
『ああ…。相棒の実力ならば、とっくの昔に
「禁手?」
聞いたことが無い言葉だな。
「聞いたことがあるにゃ。確か、
黒歌が簡単に説明してくれた。
次の段階か…。
つまり、リミッター解除、もしくはパワーアップ的なヤツかな?
『どういう訳か、そんな気配が欠片も無い。決して条件を満たしていない訳ではないと思うのだが…』
条件ってなんだ?
満たした記憶は全然無いんですけど。
『ふはははははは!困っておるようだな!ドライグよ!』
『こ…この声は!?まさか!?』
な…なんだ!?
いきなり女の子の声が響いたぞ!?
「な…何にゃ!?」
「女の子の声…?」
「ここから聞こえた」
「マユの手からだな」
マジで?
「ドライグ…この声は…」
『おお!そう言えば、自己紹介がまだだったな!』
元気だな…。
『我こそは!ローマ帝国第5代皇帝!ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス!歴代の赤龍帝の一人である!!』
「「「…………」」」
…今…なんつった?
『つまり…相棒の先輩だな』
先輩…?
「「「ええええええええ!?」」」
なんじゃそりゃ!?
ちょっと急展開過ぎるでしょ!?
「ネロ・クラウディウスと言えば、歴史の本や教科書にも出てくる人物ですよ…」
「歴史上で名を遺した人物の殆どが神器持ちだってのは聞いたことはあるけど、まさか『暴君ネロ』が赤龍帝だったなんて驚きにゃ…」
「私もだ…」
いや…本気で驚いたよ…。
でも、ネロ・クラウディウスって女の子だったっけ?
『まさか、もう歴代の意思が表面に出てくるとはな…』
『余だけではない。他の連中もとっくに目覚めておる』
『なんだと!?』
他にもいるんだ…。
って、そりゃそっか。
『ドライグよ。そなた、奏者が禁手に未だ至れていない事を疑問に思っていたな?』
『ああ…』
『その理由は至ってシンプルだ』
シンプル?
って言うか、奏者ってなんだ?
『それは…奏者の能力が高すぎるせいだ』
「「「はぁ?」」」
高すぎるから至れない?
どーゆーこっちゃ?
『…詳しく説明してくれ』
『いいぞ。その耳をかっぽじってよく聞くがよい』
偉そうだな…。
流石は皇帝様だ。
『実はな、通常の禁手では奏者の能力を却って制限してしまう可能性があるのだ。それ故に、我等が今の奏者に相応しい禁手の姿を思案中なのだ』
『う…うむ。確かにそうかもな…』
ドライグもなんか納得してる。
話について行けないんですけど…。
「通常の禁手とはどんなヤツなんだ?」
ナイス質問だ!グレートレッド!
私も気になる!
『通常通りに禁手に至った場合、全身を深紅の鎧に包まれる形になる。だが、それでは相棒の高い身体能力を縛ってしまうことになりかねない』
全身装甲…。
想像するだけで動き難そうだ…。
『アラガミとの戦いは一瞬の隙が命取りだ。防御力を優先するあまり、折角の機動力を犠牲にしてしまっては本末転倒だ』
「確かにそうにゃ…」
『大体、アラガミの前では全身を覆う鎧など、あって無いようなものだ』
ごもっとも。
アラガミはなんでも『食べる』からね。
『それは我々とて重々承知している。故に、可能な限り我等の力を最大限に有効活用出来る形にしたいのだ』
我々の力…?
なにそれ?
「なんだそれは?」
『他の神器とは違い、二天龍と称される龍が封印された神器には歴代の所有者達の魂が眠っておるのだ』
歴代の魂とな?
『歴代の赤龍帝、白龍皇が死した時、その魂はそのまま神器へと封印される。そして、次の装着者を待つことになるのだ』
へぇ~。
そんな秘密が…。
『そして、歴代の者達は現代の装着者…つまり、奏者に自分の力を貸すことが出来る』
おぉ~…。
なんか凄そうだ。
「待ってください」
『ん?どうしたのだ?猫の娘よ』
「もしもマユさんが死亡した場合も、同じように神器に魂が封印されるんですか?」
『まぁ…そうなるな。かなり先にはなるとは思うがな』
「そうですか…」
……なんとなく解ってたけどね。
けど……
「大丈夫」
「え?」
悲しそうに俯く白音の頭を撫でる。
精神的年長者としては、ちゃんと慰めてあげなくちゃね。
「皆を置いて勝手に逝ったりはしないよ」
「…本当ですか?」
「うん。本当」
空いたもう片方の手でオーフィスちゃんを撫でる。
気持ちよさそうに目を細める姿が可愛かった。
「マユには敵わないにゃ…」
「ふふ……」
本当は黒歌も撫でて欲しかったのかな?
『素晴らしい!!!』
「「「「「!!?」」」」」
なによ急に!?
『家族に捧げる無償の愛!何があっても決して怯まぬその勇気!正しく我等の後を継ぐに相応しい!!』
「あ…ありがとう?」
なんか褒められた?
『ドライグよ!確かにそなたが言った通り、奏者こそが歴代で最強の赤龍帝かもしれんな!』
『ふっ…何を今更』
あ、ドライグもなんか嬉しそうにしてる。
『俄然やる気が出て来たゾ!』
おお…なんか気合入ってるな。
『待っておれ奏者よ!必ずやそなたの期待に応えてみせようぞ!』
「ああ。お願いするよ」
『むぁぁぁっかせておくがよい!!!』
自信たっぷりだ。
皇帝なんてものは、これぐらいでないとやってはいけないのかもしれない。
「…ところで、さっきから言っている『奏者』とはなんだ?」
『そなたの事だが?』
…うん。それは知ってる。
「なんで私が奏者なんだと聞いてる」
『奏者は奏者であろう?』
何を当然の事を聞いてる、みたいに言われてもな…。
こっちがリアクションに困るよ。
『もしかしたら、他の連中もそれぞれの呼び方で相棒を呼ぶかもしれないな』
「え?マジ?」
『…個性的な連中が多いからな…』
一体どんな人達なんだよ!?
逆に気になるわ!
『いずれ夢で逢うやもしれんな。だが、今は暫しの別れだ!また話そうぞ!奏者よ!』
元気な言葉と共に彼女…ネロの声は聞こえなくなった。
「…ドライグ。歴代の赤龍帝ってどれぐらいいるんだ?」
『大体…8人ぐらいだな』
「8人…」
思ったよりも少ないな。
もうちょっといるかと思った。
『少々騒がしくはあるが、ネロは比較的まともな方だ』
「あれでまともな方なんですか…」
白音がちょっと引いてる。
気持ちは解るけどね。
『一番厄介なのは、原初の赤龍帝だな…』
「原初…つまり、一番最初ってことにゃ?」
『そうだ。相棒を除けば、ある意味最強ではあった。いや…最強と言うよりは最凶と言った方が正しいか?』
さ…最凶?
『アイツは慢心の塊だったからなぁ…。その上に赤龍帝の籠手まで持って、その慢心に更に拍車が掛かっていたし…』
一体どんなヤツなんだよ…。
最初からどんな人間に当たったのさ…。
『幾ら次元と時を超えて受け継がれるとはいえ、『あれ』は本気でなかったな…』
「ドライグさんも苦労してるんですね」
「ドライグ、偉い」
『うぅ…そんな事を言ってくれるのはお前達だけだ…』
泣いてるのか?
どんだけストレス溜まってるねん。
「なら、マユはどうなんだにゃ?」
『相棒はかなりマシな方だ。少々口数が少ないが、真面目で実力があり、しかも努力家だ。正直言って、俺はこれ以上は何も望まない…』
真面目で努力家で強けりゃオールオッケーって…。
今までどんだけシビアな目に遭ってきたんだよ…。
『相棒。ネロが言ったことは期待してもいいと思うぞ。俺としても大いに賛成だしな』
「うん。私も、ドライグ達の事は信じてるから」
今まで一緒に頑張ってきた大切な『相棒』だしね。
「けど、実際にどんな姿になるんだろうにゃ~?」
『ネロは皇帝である前に一人の芸術家でもあったからな。もしかしたら、凄いのを考えるかもしれん』
「…それはフラグ…」
不安になるようなフラグを立てるのはやめてよぉ~…。
その後も、ドライグを交えて皆と色んな事を話した。
その日の夜は歴代の夢は見なかったが、これから不意に現れるかもしれないと思うと、少しだけドキドキした。
てなわけで、Fate/EXTRAから赤セイバーことネロ参戦です。
と言っても、姿は滅多に表しませんけどね。
今回の事で大体の事は察したとは思いますが、歴代の赤龍帝はFateシリーズのサーヴァントから出したいと考えてます。
けど、個人的に好きなのはEXTRAだし、他に知ってるのはstay nightとZeroだけなので、主にそこら辺から出すかもしれません。
次回はかなり時間が飛びます。
では、次回。