クリスマスにお正月と、色々とありますね。
ま、どうせ私は一人で過ごすでしょうけど。
年末年始には特別篇とかしてみようかな…?
高校入学から、早二週間が経過した。
現代日本の若者らしく、新入生達はあっという間に学校に馴染んでいった。
それは、私やリアス、朱乃も例外では無かった。
そんな今日も私は学校へと登校する。
「…………」
私は携帯を出して時間を確認する。
携帯には、入学祝として足長おじさんに貰ったソウルジェム(笑)をストラップとして付けていた。
(相棒。どうしてそれを付けているんだ?確か、嫌がっていなかったか?)
うん…確かに嫌だったよ?
だって、どうして好き好んで魔法少女のコスプレなんてしなくちゃいけないのさ。
けど……
(家に置いていたら、オーフィス辺りが触るかもしれないから)
あの子なら似合うかもしれないけど。
だが、被害は少ない方がいいのもまた事実。
黒歌や白音がいるから大丈夫だとは思うけど、万が一に備えて…ね?
(…相棒も大変だな…)
とうとう同情されましたよ…。
この優しさが身に沁みます…。
「お姉ちゃん!」
あ、この声は……
「「おはようございます!」」
「ああ、おはよう」
リアスと朱乃が眩しい笑顔と共にやってきた。
朝から元気だなぁ~。
「あら?そのストラップ…」
気付かれた。
「珍しいわね。お姉ちゃんがそんな宝石のストラップを付けているなんて」
「でも、なんだか可愛らしいですわ」
「そうね。お姉ちゃんだからこそ似合うんだわ」
どこまで私を持ち上げる気?
そんな感じで話しながら歩いていると、あっという間に校門につく。
登校時間と言う事もあり、校門は生徒達で賑わっている。
その中には、当然のように新一年生もいるわけで……
「あ!見てみて!あの三人!」
こんな感じに、何故か注目の的になっていたりする。
どうしてこうなった?
「やっぱり素敵よねぇ~…」
「ホント、同じ高一とは思えないわ…」
「三人共、凄くスタイル良いし…」
この通り、女子達からは羨望の眼差しで見られ…
「今日も三人一緒か…」
「なんか、あの子達がいる空間だけ、空気が違うよな…」
「あの子達の彼氏になれたら、それだけで勝ち組だよなぁ~」
「やめとけって。お前じゃ見向きもされねぇよ」
男子達からは何やら、アイドルを見るような視線で見られる。
リアス達ならともかく、私はそんなにいいもんじゃないですよ?
戦う事しか能のない、筋肉女ですから。
実際、腕も足も筋肉質だし、お腹に至っては腹筋が割れてるしね。
もう、何処のアスリートだよって感じ。
「ふふ…。相変わらず、お姉ちゃんは人気者ね?」
「いや…君達の方こそ」
「あらあら。ご謙遜を」
謙遜じゃないって。
ま、朝は大体こんな感じだ。
こうして、また私の学校での一日が始まる。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
午前中の授業が終わり、お昼休みと言う名の昼食タイム。
私は食堂にて黒歌が作ってくれたお弁当を広げていた。
(今日も実に美味しそうだ)
毎日毎日、朝早くからお弁当を作ってくれる黒歌には感謝しかない。
なので、休日の日は黒歌の手伝いをして、私と黒歌の二人で家事をしている。
「お待たせ、お姉ちゃん」
「お待たせしました」
そして、リアス達がやってきた。
二人の昼食は食堂のメニューのようで、リアスはきつねうどん、朱乃は日替わり定食だった。
だが、今日はどうやら二人だけでは無い様だ。
「お姉ちゃん、今日は彼女もいいかしら?」
「ああ、いいよ」
「ですって」
「ありがとうございます」
少し前に出て、私に丁寧にお礼を言う女の子は、リアスの親友の『支取蒼那』こと『ソーナ・シトリー』だ。
なんでも、彼女もリアスと同じように悪魔らしく、しかも魔王の妹でもあるらしい。
色々と共通点がある二人は、昔から仲が良かったとの事。
前々から悪魔を始めとした人外の存在を知っていた私にそっと教えてくれた。
勿論、学校の誰にも言ってはいない。
ソーナ自身も、私の事はリアスから聞かされているらしい。
因みに、ソーナの昼食はスパゲッティ・ミートソースだ。
三人は早い者勝ちと言わんばかりに素早く席に座った。
結果、私の左に朱乃、右にソーナ、その隣にリアスが座った。
「うぅ~…!今度こそは…!」
「うふふ…。恨みっこは無し…よ?」
「そう言う事です」
「分かってるわよ…」
なんかふくれっ面になってるし。
そんな所が女の子らしくて可愛いんだけどね。
「そう言えば、お姉ちゃんのお弁当っていつも美味しそうね。誰が作ってるの?」
「家族が…ね」
「そう…なんかいいわね…」
ん?お弁当が羨ましいのかな?
「三人は料理は出来るのか?」
「勿論出来ますわ。大和撫子として当然の嗜みですから」
「私も一応…。簡単な料理しか出来ませんが…」
「わ…私も出来るわよ!?」
そうか…三人共出来るのか。
今時の女子高生は意外と女子力が高いんだな。
この三人を基準にしていいのかは謎だけど。
「そう言うお姉ちゃんは?」
「私も出来るよ。一時期は一人で暮らしていたから、自然と出来るようになっていった」
「自然と?」
「ああ。こういったスキルは、必要になれば嫌でも出来るようになる」
少なくとも、私はそうだったしね。
いつの間にか料理が出来るようになっていったんだよなぁ~。
それからは、料理レシピを掲載しているサイトとかで色々と調べたっけ。
「そう…。私もちょっと頑張ってみようかしら…」
「料理が上手になれば、私も…」
ん?なんかリアスとソーナがブツブツと言ってるけど、どうしたのかな?
「あらあら、ライバルを焚きつけてしまったかしら?」
ライバルとは何ぞや?
その後も四人で色々と話しながら、昼食は進んでいった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
学校が終わり、真っ直ぐに家に帰った後、夕飯の準備をする黒歌の手伝いをして、その後に夕飯を食べ終えてからゆっくりとしていると、ドライグがいきなりアラガミの反応を感知した。
私は急いで準備を済ませて、出現場所へと転移した。
出撃する際に、白音がお風呂の準備をして待っていると言ってくれた。
とっとと済ませないとな。
『…ついたぞ』
「よし」
見た感じ、転移した場所は少し離れた場所にある公園だった。
公園の中央に大きな噴水があるのが特徴だ。
「……あっちか」
ここまで来ると、私にもアラガミのオラクル反応が感知できる。
この腕の恩恵かな?
「行くぞ、ドライグ」
『応!』
いつものように赤龍帝の籠手を出して、その後に神機を出す。
組み合わせは、リベリオンにストライバー、ディソレイトのアニメ主人公セットだ。
しかし、今日だけはいつもと違った。
「な…ななっ!?」
いきなり、私の身体がピンク色の光に包まれたのだ!
その瞬間、一瞬だけ私の身体が裸になった。
自分の身に何が起こったのか分からない私は、完全に混乱していた。
そんな事をしているうちに、光は収束していった。
すると、私の格好が変化していた。
「こ…これは…!?」
なんと、私はまどマギのまどか(魔法少女)の姿になっていた。
ピンク色のフリフリの衣装に、髪はいつの間にかツインテール(ショート)になっていて、そこには赤いリボンが付いていた。
「なんで…?」
『ふむ…そう言う事か』
「え?」
なによ?原因が分かったって言うの?
『相棒。携帯にあの宝石をつけっぱなしにしていただろう?』
「あ…ああ」
『どうやらアレな、身に着けているだけで、赤龍帝の籠手が発動すると同時に自動的に変身するような機能が付加されていたようだ』
「なん…だと…?」
なんちゅー事を…!
あのヤロ~…!
「あ」
『どうした?』
「赤龍帝の籠手もピンクになってる」
『なにぃっ!?』
流石にこれは予想外だったのか、ドライグも驚いている。
『お…俺がピンク色に…』
「神機もピンク色に変化してる」
さっきまではカッコいい緑色だったのに、あっという間に魔法少女のマジカル武器になってしまった。
こうなっては、神機も形無しだ。
ま、神機にもピンク色のパーツはあるけどね。
「落ち込んでいないで。結界」
『わ…分かった…』
あぁ…想像以上にへこんでるよ。
私はアンタ以上に羞恥プレイしてるんだから、これぐらいは我慢してよ。
幸いなのは、結界のお陰で人目につかない事か。
『張ったぞ』
「よし、急ごう」
馬鹿やってて時間を食ってしまった。
私は急いでアラガミの反応がある方へと向かった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
アラガミがいると思われる公園の中央付近に行くと、何かが暴れるような音が聞こえた。
もしかしたら、アラガミが公園を破壊しているのかもしれない。
ヤバいと思った私は、ちょっとだけ焦った。
「…見えた」
大きな翼が生えたような人型の影が見えた。
どうやら、今回出現したのはシユウのようだ。
ユーラシア大陸で発生した鳥人型のアラガミで、巨大な翼手で様々な格闘攻撃を仕掛けてくる。
それだけに留まらず、低空を滑空したり、気功のようなもので遠距離攻撃を仕掛けてきたりもする。
神機使いなりたての頃は、中々に苦戦したものだ。
だが、少しだけ様子が変だった。
何故なら……
「いい加減に倒れるにょ!」
なんでか既に瀕死っぽかったから。
頭、翼手、下半身と部位破壊可能な場所は全て壊されていた。
同じ場所には、滅茶苦茶大きな人影が見える。
月明かりに照らされたその人物は……
「およ?そこにいるのは誰にょ?」
筋骨隆々の物凄い体格の、魔法少女のコスプレをした『男』だった。
もう一度言う…『男』だ。
服がはち切れんばかりにピッチピチになっている。
今にも破れそうだ。
もしかして…この人がシユウをここまで追い詰めたのか?
「そんな馬鹿な…」
幾ら筋肉が凄くても、生身でアラガミを圧倒する?
んなアホな。
でも、流石に倒すまでには至っていないようで、シユウは彼に果敢に立ち向かっていく。
そんなシユウに、カウンターの要領で拳を繰り出す男。
どうして拳の一撃でアラガミを吹っ飛ばせるの?
大体、シユウと同じぐらいの体格って、それだけで反則じゃん。
「あ!その恰好は…」
見られた。
どうする…?
なんて言い訳しよう…。
「ミルたんと同じ、魔法少女にょ!?」
お…同じ?
アンタは明らかに男だろ!?
って言うか、そのなりで魔法少女?
筋肉野郎の間違いだろ?
その辺に関しては、私も人の事は言えないけど。
「いや…私は…」
「丁度良かったにょ!ミルたんと一緒に、この怪人さんをやっつけて欲しいにょ!」
人の話聞けよ。
まぁ…こっちもそのつもりで来たから、別にいいけど…。
って言うか、『ミルたん』?
この人の名前か?
「わかったよ」
「ホントかにょ!?有難いにょ~」
その『にょ~』ってのやめてよ。
マジで引くわ。
私が生理的嫌悪感を感じていると、シユウがフラフラと立ち上がった。
ミルたんの前に出て、シユウに向かって神機を構える。
「止めは私に任せて」
「お願いするにょ。なんでか、怪我はさせられても、やっつける事は出来ないんだにょ」
いやいや…生身で部位破壊出来ただけでも充分凄いからね?
半ば呆れていると、シユウは私にターゲットを変えたようで、こちらに向かって走ってきて、その両拳で私を挟み込んでこようとしてきた。
だが、もう完璧に行動パターンは頭に入っている。
すぐにバックステップで回避して、一瞬の隙を狙って近づいて二回斬りつけて、元の位置に戻る。
私が移動を終えた瞬間、シユウは巨大火球を撃ってきた。
「危ないにょ!」
ここはガードした方が賢明か。
そう思った私は、即座に装甲を展開する。
多少の衝撃があったが、防ぐ事には成功した。
が、間髪入れずに飛行突進を仕掛けてきた。
「くっ…」
そのまま装甲を展開したまま耐えて、シユウの着地と共に装甲を解除、クイック捕食で噛みついた。
プレデタースタイルは『ゼクスホルン』。
捕食終了と共に自動的に後退する、安全重視のスタイルだ。
身体が光り、体内の細胞が活性化するのが分かる。
同時にアラガミバレットも手に入れる。
が、渡す相手がいないので、ここは撃つしかない。
手に入れたのは『爆炎球』だった。
シユウはもう限界近くなのか、体中から血飛沫を上げながら震えていた。
その大きすぎる隙を見逃さず、銃形態に変形。
そのまま、シユウから貰ったバレットをぶち込んだ。
「返す」
発射された爆炎球は、シユウの胴体部に直撃して吹っ飛んだ。
近接形態に変形しながら追撃し、そのまま四連撃、更にゼロスタンスでスタミナを回復する。
「発射」
最後にインパルスエッジをお見舞いしてやった。
その一撃は、シユウの胴体をブチ向き、大きな穴を開けた。
それが止めとなったのか、盛大に血の噴水を挙げて力尽きた。
「ここまでか…」
う~ん…派手に大穴開けちゃったけど、コアは大丈夫かな?
「す…凄かったにょ~!」
ドスンドスンと言う地響きと共にミルたんが走ってきた。
走るだけでこれかい…。
純粋に怖いわ。
と言うか、この光景に何か言うことは無いんかい。
めっちゃ血だらけだぞ。
「流石は魔法少女にょ!見事だったにょ!」
「いや…私は…」
なんとかして説明しようとするが、余程興奮しているのか、全然こっちの話を聞いてくれない…。
こうなったら……!
「ミルたん」
「何かにょ?」
「私が魔法少女なのは、内緒にしてほしい」
「それは分かってるにょ!魔法少女は正体を明かしてはいけないにょもね!」
あ、その辺は分かってるのね。
「それじゃあ、この辺で」
「さよならにょ~!」
一刻も早くその場を立ち去りたかった私は、全速力でその場を離れた。
『くく…魔法少女…か』
「私が魔法少女なら、ドライグは魔法の国のマスコットだな」
『マ…マスコット!?』
私からのささやかなお返しだ。
その後、速攻で結界を解除した後で赤龍帝の籠手も引っ込めた。
すると、同時に変身も解けた。
「…よかった」
本当にそう思うよ。
心の底から…本当に。
急いで家に帰って、すぐにお風呂に直行した。
一緒に入ったオーフィスちゃんとグレートレッドが心の中で悶絶している私を見て不思議そうな顔をしていた。
勿論、その日のうちにソウルジェムは押入れの奥深くに封印した。
転生してから初めて黒歴史が出来てしまった、忘れられない日になってしまった。
流石にこの事は黒歌達には言えない…。
永遠に私の中に仕舞っておこう…。
余談だが、実はミルたんは私達の家の近くにあるアパートに住んでいて、ご近所だった事が判明した。
ちゃんとあの日の事は内緒にしてくれているようだ。
それだけが幸いだった。
やってしまった…。
けど、後悔は無い。
いつかはするつもりでしたしね。
そして、怪物ミルたん登場。
ある意味、作中最強の存在なんじゃないでしょうか?
これから先、魔法少女の格好になるかは未定です。
気が向けばするかもしれませんね。
では、次回。