魔法少女リリカルなのはvivid~氷結の拳~   作:園部

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上手く書けない・・・・・助けてクレメンス


第24話

俺はリンネの手を引っ張ってまずはジルとヴィクターのところに向かう。

 

「あの・・・・」

 

「ちょっとここで待ってて」

 

俺は2人のほうに近づいて声をかける

 

「あら?リンネのほうは大丈夫なの?」

 

「ああ、それより2人に聞きたいことがあるんだ」

 

「聞きたいこと?」

 

「ああ、とても大事な事だ・・・・真面目に答えてほしい」

 

俺の雰囲気にあてられたのか2人は真面目な顔つきになる、

 

「格闘家としてのリンネではなく、1個人のリンネのことをお前らはどう思ってる?」

 

「どうって・・・・・大事な後輩よ。色々気が難しいところはあるけど、それでも私にとって大事な後輩。」

 

「そうね・・・妹みたいなものかしら?色々あったし長い付き合いだし・・・って言っても3年くらいだけどね。」

 

なるほど。

 

「じゃあありがとう。今日リンネ早退させるからーおつかれー」

 

返事を待たずに俺はリンネの元に戻る。

 

「どうだった?」

 

「どうだったって・・・・大事にはされてるんでしょうね。私が有力な選手だから・・・」

 

わーやっぱりこの程度じゃ無理かー・・・・

 

「なら、次はお前の家に行くか」

 

俺は再びリンネの手をひっぱって走り出す

 

「ちょ・・・・」

 

 

俺達はベルリネッタ邸に来ていた

 

「初めまして~リンネさんの友人の高町紫苑と申します!」

 

「あらあら、まさかリンネにお友達が出来るなんて・・・」

 

「ああ、しかも家に招くほどの仲だとは・・・」

 

俺は今ベルリネッタ夫妻とリンネで夕食を食べていた。

 

「すみません急にお邪魔しちゃって・・・」

 

「いいのよ。いつでも来てね。リンネのお友達ならいつでも歓迎だから。ヴィクターさんやジルコーチもたまに来て下さるけど異性のお友達なんて初めてじゃないかしら」

 

「そうだな。紫苑君、これからもリンネと仲良く頼むよ。」

 

「はい!」

 

ふむ・・・予想以上に良い両親じゃないか。

 

「(・・・・どういう事ですか)」

 

リンネが念話で話してくる。

 

「(どういうって?)

 

「(何故うちに来たんです?しかも友人だなんて・・・・)」

 

「(迷惑?俺はリンネとは友人のつもりなんだけどなー)」

 

「(別に迷惑というほどでは・・・・)」

 

「(今はご飯食べようか。話は後で)」

 

念話を無理やり切って俺は微笑みながら夫妻に向き合う

 

「そうだわ。紫苑君、今日泊まっていったらどうかしら?」

 

ローリーさんがそう提案してきた。

 

「いいんですか?」

 

「ええ!別に構わないわよね?あなた」

 

「え?しかし友人とはいえ男女一緒じゃ・・・・」

 

「リンネの為よ。いいでしょ?」

 

「・・・・ああ」

 

一瞬ローリーさんの顔が般若に見えた気がするけど・・・・気のせいか

 

「リンネもいいわよね?」

 

「はい、問題ありません」

 

「じゃあリンネの部屋で寝てちょうだい。今生憎他の部屋が使用中なの・・・」

 

「母さん!?部屋ならいっぱい空いてるハズじゃ・・・」

 

「いいからいいから、お友達なんでしょ?なら問題ないわ」

 

お、おう・・・・お淑やかに見えるけど結構強引な所もあるのか

 

 

夕食を食べ終わり俺はリンネの部屋に移動する。

リンネの部屋はあまり物もなく、最低限の家具を置いているだけだ。

俺はベッドに腰を落とす。

 

「良い両親じゃん。愛されてるのが分かる」

 

「はい・・・・私には勿体ないくらいです」

 

「なのに自分は1人とか思ってるんだ・・・・」

 

「・・・・・」

 

「俺がここでお前は1人じゃないって言っても信用しないだろうけど、お前の両親は信用していいんじゃねーか?血が繋がってなくてもお前らは確かに家族だよ」

 

「正直・・・・貴方に言われても皮肉としか捉えられません。幸せ家族に何が分かるんですか?両親から愛情を貰う度、私は2人に申し訳ないという感情を感じます」

 

「お前さ、孤児院に居たときもそう思ってたの?孤児院でも愛情は貰ったんだよな?」

 

「それは・・・・・」

 

「お前が申し訳ないと思ってるのは両親じゃなくて・・・・孤児院の連中じゃないのかな?」

 

リンネが驚いてる様子がうかがえる。俺は言葉を続けた

 

「自分だけ金持ちの家に引き取られて、申し訳ない。だから両親から愛情を貰う度にそれを実感してしまう・・・・・なるほどね、お前は孤児院に居たときのほうが今より幸せだったわけだ」

 

「そんなこと・・・」

 

「そりゃ今は幸せではないよな。好きでもない格闘技をやって養父母に心配かけないように無難に接して自分の感情を押し殺してる。そんな生活幸せなわけないよな」

 

「・・・・」

 

「お前はもっと素直になったほうがいい・・・・・家族なんだから迷惑かけていいんだよ。子供は親に甘えるもんさ。きっと2人だってそう思ってんじゃね?」

 

「でも・・・・私は強くならないと御爺ちゃんに顔向け出来ない」

 

そこら辺も調べたから知ってる。ロイ・ベルリネッタ。リンネを引き取った張本人だっけ。

 

「爺ちゃんってさ・・・お前にそんなこと望んでいたの?強くなれって・・・・そう言ったのか?」

 

「いえ・・・・・でも私が弱かったから、おじいちゃんの死に目にも会えませんでした」

 

「言ってはないのね・・・・爺ちゃんは何をお前に望んでいたんだ?」

 

「御爺ちゃんは・・・・私に笑顔で幸せになれるようにって・・・」

 

「なってないじゃん!爺ちゃん亡くなってから笑った?幸せ?お前のするべきことって強くなることじゃなくて幸せになることじゃん!」

 

「だって!弱かったら幸せだって来ない!!」

 

「強さとか弱さとか関係ないっつーの!弱くても幸せなヤツなんてゴマンといるわ!」

 

「さっきから説教ばっかり・・・・結局貴方は何がしたいの?関係ないじゃない!」

 

あ?俺が何をしたいって・・・・

 

「お前の笑顔が見たい。お前が幸せなところが見たい。友達の幸せを願うのがおかしいことか?」

 

「友達って・・・・・まともに会話したのだって・・・・今日が初めてなのに」

 

「時間は関係ない。俺はお前の笑顔を見たいから、お前の心を土足で踏み荒らすよ」

 

「最低・・・・・自己中。自分勝手」

 

「俺が最低なのは知ってるし自覚もある。」

 

だって複数人と付き合ってる時点で男としてもクズだし性格も悪いし。

 

「自覚してこれなんだ・・・・救いようがないね」

 

「俺に目を付けられたのが不運だったな。それより敬語抜けてるぞ」

 

「もういいよ。貴方に敬語なんか使わない・・・・・友達だし」

 

「やっと友達認定したか。じゃあ夜もまだまだこれから。いっぱい語り合おうぞ。明日も休みだしな」

 

「嫌。私明日練習だもん」

 

「あ、それならジルに連絡して休みにしたから」

 

「何勝手なことしてるの!?」

 

「それと次から名前で呼びなさい。友だち同士は名前で呼び合うもんだ」

 

「そこはどうでもいいよ!1日練習休んだら3日遅れが出るんだよ!」

 

「実際そんなことないよ。休みも立派な練習さ。無駄に詰め込んでも効率よくないしねー」

 

「・・・最初はこんな人だなんて思わなかった」

 

「最初はどう思ってたの?」

 

「・・・・優しくて強くて全てを持ってる人」

 

「実際そうでしょ」

 

「優しくない!イジわるじゃん!」

 

失礼な子だなー

 

「それも優しさの裏返しだよ。下手に気を遣わなくていい相手って貴重だよね」

 

「そうかもしれないけど・・・・自分で言う?」

 

「問題ないさ。じゃあ話の続きをしようか・・・・・」

 

「続きなんて・・・どうでも」

 

「じゃあ新しいお話をしよう。お前よりも生まれは不幸なのに幸せになった女の子の話だ」

 

「え?」

 

興味示したな。

 

「本物の強さをはき違えて不幸ぶってるお前には刺激が強いかもな」

 

「・・・・聞かせてもらう」

 

ムッとしたリンネの顔も可愛いね

 

そして俺は話始めた。ヴィヴィオの生まれについて色々バレないようにところどころ濁しながら。

 

「・・・・そんな子が存在するわけ・・」

 

「事実だ。そして彼女は過去を乗り切って今は幸せに新しい家族と暮らしている。なぁ、この話を聞いてお前はどう思う?話に出てきた女の子は当時6歳そこそこだったが弱いと思ったか?」

 

「・・・・・」

 

「お前に今必要なのは肉体的強さじゃなく心の強さだ。どんだけ肉体的に強くても心が伴ってないと意味がない。というわけで・・・・明日出かけるぞ」

 

「え?何で急に・・・・それにどこいくの?」

 

「・・・お前のもといた孤児院」

 

 

 

そして朝になり俺達はリンネが居た孤児院に向かった。

リンネが難色を示したので強制的に手を繋ぎながら

 

「なんでそんな顔してんの?お前にとって孤児院って嫌な場所だったわけ?」

 

「違う!・・・・でも私が・・・・・院長先生やあの子達に会う資格なんて・・・」

 

少し話題変えるか・・・

 

「そういえば部屋にあった写真って孤児院のときの?お前と2人で写ってた」

 

「あ、フーちゃんのこと?一番の友達だったんだ・・・・今も孤児院にいるかは分からないけど・・・」

 

「仲良かったんだな」

 

「うん。それにフーちゃんは強かったんだよ。私が近所の子にイジめられた時によく助けにきてくれたんだ」

 

「会えるといいな」

 

「・・・・・」

 

「お前を送り出したときの皆の顔は・・・・誰か嫉妬でもしてたのか?」

 

「ううん、皆笑顔で送り出してくれたよ」

 

なら問題なさそうだな。少なくても敵対みたいなことにはならないだろう。

 

 

そして孤児院の前についた。

 

「へー中々いいとこじゃないか!」

 

「・・・・・」

 

やはりリンネの顔は優れない

すると、扉が開いて誰かが外に出る。

 

「ふー・・・・最近腰が・・・・あれって・・・・リンネちゃん?貴方リンネちゃんよね!?」

 

「!?」

 

「あれが院長先生かな?リンネ・・・・逃がさないぞ。覚悟を決めろ」

 

俺はリンネの手をがっちり掴んで離さない。

 

「だって・・・だって・・・・」

 

俺達は院長先生の前に立つ。

 

「リンネちゃん元気だった?背も大きくなって・・・・」

 

「お、お久しぶりです・・・・院長先生」

 

緊張した様子のリンネが院長先生に挨拶をする。

 

「ふふ、それにしても本当に久しぶりねー。それで・・・貴方は?」

 

「ああ、申し遅れました。リンネの友人の高町紫苑です」

 

「あららーリンネちゃんも隅に置けないわねー。こんなカッコイイ人と良い仲なの?」

 

「はい、良い仲です」

 

「何を言って・・・・!」

 

リンネが顔を赤くしてこちらを見る。

 

「ふふ、ああ外は寒いから2人とも中に」

 

そういって案内された。

今は子供たちは遊び部屋というところで遊んでるらしい。俺とリンネは院長にコーヒーを貰い話をした。

 

「それで・・・今日はどんな用なのかしら?」

 

「ああ、リンネが育った場所に興味が湧きまして・・・・ここで幼少期は過ごしていたんですねー」

 

「そうね。当時はフーカちゃんと一緒にいることが多かったかしら?引っ込み思案な子だけど優しい子で、小さい子たちからも好かれていたのよ」

 

「へーそうだったんだー」

 

「み、見ないで・・・・」

 

ここ来てから真っ赤だなー

 

「でも意外だったわ、リンネちゃんが格闘技をやるなんて・・・」

 

「え?」

 

リンネが反応する。

 

「ふふ、たまに試合がテレビに映るでしょう?その時にねみんなで応援してるのよ。頑張れ―って」

 

「知っていたんですか・・・・?」

 

「もちろん!・・・・でもね、私は心配だったのよ。だって貴女・・・勝っても笑わないじゃない?もしかして強制してやらされてるんじゃないかって・・・でもベルリネッタさんがそんな事するなんて思わないし、ずっと気になっていたの」

 

「・・・・それは・・・」

 

「貴女はここを卒業したけど、それでも私にとっても娘同然なのよ。もちろん今まで居た子たちも全員ね」

 

「私は・・・・」

 

そしてリンネは今まであったことを話した。何一つ隠すことなく、まるで懺悔のようにずっと語った。

 

「そっか・・・・私の知らないとこでそんなことがあったのね」

 

「私は・・・強くならなきゃ・・・・フーちゃんのように私も・・・」

 

院長先生はリンネを抱きしめて言った。

 

「貴女は充分強いわ・・・・・でもね、人は1人じゃ何も出来ないのよ。だから人は群れて生活するの。だから孤独になる必要なんてない。貴女は1人じゃない・・・・」

 

「院長先生・・・・」

 

「それにね・・・・・この子も貴女を本気で心配してる1人なのよ」

 

「院長先生ストップ。それは言わなくていいです」

 

初対面のフリしてって言ったじゃないですかー!

 

「うふふ、実は今日貴方たちが来るのは知っていたの。昨日の晩彼から連絡を受けてね・・・あまりにも必死に懇願してきたわぁ」

 

「え?・・・・それって」

 

「リンネを助けてください。今の彼女を放っておけません。俺にとって大事な友達なんです。あの子に声をかけてやってください。ってね」

 

俺の顔が赤く染まる。

 

「それ言わない約束だったのに・・・・」

 

「うふふ、ごめんなさい。でも私嬉しくって・・・リンネちゃんはこんなに愛されてるんだなーって思うとつい口が滑っちゃったわ」

 

ドタドタ音がする。俺が少し警戒するとドアが思いっきり開いた。

 

「あー!やっぱりリンネお姉ちゃんだー!」

「ホントだ!リンネおねーちゃん!」

「だから言ったんだよー!あの姿はリンネねーちゃんだって!」

 

そこにいたのはここにいる孤児院で預かっている子供たちだった。

 

「あらあら、みんなお客様の前ですよ」

 

院長先生が嗜めるが・・・

 

「だってリンネおねーちゃんだよ!何で言ってくれなかったのさ!」

 

「うふふ、それはごめんなさい。話が一段落したら呼ぶつもりだったのよ」

 

そして子供たちがリンネに群がる。

 

「おねーちゃんおかえりー!テレビで試合みたけどかっこよかったよー!」

「おねーちゃんひさしぶりー!すっごいつよかったねー!」

「むかしはなきむしだったのにー」

「ぼくもね!りんねおねーちゃんのようにつよくなるんだ!そしてわるいやつからみんなをまもるの!」

 

「みんな久しぶりだね・・・私が強い?」

 

「うん!だっておねーちゃんつよいもん!」

「こいつおねーちゃんのまねばっかしてんの!まだまだよわいのに」

「いまはよわくてもすぐつよくなるもん!」

 

「そっか・・・・そうだね。すぐに私のように強くなれるよ」

 

リンネが子供たちに微笑む

 

「ほんと!?いつかぜったいおねーちゃんにもかつからね!」

「むりだよーおねーちゃんさいきょーだもん」

「ぜったいかつもん!ぜったいのぜったい!」

 

「こら、喧嘩はダメだよ。昔フーちゃんにも言われたでしょ?」

 

「「はーい」」

 

「よろしい」

 

一瞬で姉の顔になったな・・・・そして

 

「今、笑った・・・・よな?」

 

俺が驚いてると後ろから院長先生が近づく

 

「ええ、そうね」

 

「・・・・ここに連れてきてよかったです。院長先生と子供たちのおかげですね」

 

「でも、切っ掛けを与えたのは貴方よ。だから悔しそうな顔はしない。ほらスマイルスマイル!」

 

俺の頬をムニュムニュする院長先生

 

「別に悔しがってませんー」

 

「嘘おっしゃい。私はね長い間子供たちを見てきたおかげで子供の嘘が分かるのよ。ほら、本音を私に言ってみなさい」

 

亀の甲より年の功か・・・

 

「・・・笑顔になってくれたのはよかったけど、出来れば一番最初に見たかっただけですよ」

 

「女々しいわねー。一番最初じゃなくていいじゃない男ならシャキっとしなさい!」

 

女々しいか・・・・確かにそうだな。リンネが笑ったならそれでいいか

 

「それもそうっすね。じゃあ俺も子供たちに混ざってきますわ」

 

俺はリンネと子供たちに近づいて

 

「こんにちは、みんな!」

 

「だれー?このにーちゃん」

「ねーちゃんといっしょにきたよね?」

「りんねおねーちゃんのともだち?」

「きっとかれしだよー」

 

「か、彼氏じゃないからね!・・・・この人はね、高町紫苑っていうの・・・私の大切なお友達」

 

うん、リンネから言ってもらえると嬉しいな

 

「ねーちゃんのともだちならおれらもともだちだなー」

「じゃあいっしょにあそんでー」

「にーちゃんもつよい!?」

「きっとねーちゃんよりはよわいよ」

 

「俺はリンネよりも強いぞーじゃあまずはお前らと遊んで証明してやる!」

 

俺は子供たちを抱きかかえて一緒に遊ぶ

 

 

リンネside

 

 

「あははーにーちゃんたけー!」

「つぎおれもー!」

「わたしわたしもー!」

 

「おう順番だ順番!」

 

すっかり打ち解けたみたい。精神年齢が近いからかな?

 

「すっかり彼も人気者ね」

 

コーヒーカップを持ってきた院長先生がこちらに来て渡す。

 

「ありがとうございます。精神年齢が近いからですよ」

 

「うふふ、リンネちゃんも言うようになったわね。」

 

「当然です。紫苑には遠慮しませんから。」

 

こちらを見て笑ってる院長先生は・・・・

 

「リンネちゃん・・・ああいう子は大事にしなさい。あのタイプは全てを投げ出しても家族や友人を大切にしてくれるから」

 

それは・・・分かる。きっと昨日の話は彼と仲間の話・・・・そして主役の彼女は彼の・・・・妹のことだろう。深い事情がありそうだから私からは聞かない。いつか話してくれるまでは・・・・

 

「はい、だって私にとっても大事な人なので・・・・」

 

院長先生がこっちをみて普段よりもにっこり笑ってる。どうしたんだろう・・・

 

「大事な人かー。2人の結婚式は呼んでね!私はその時までは生きるからさ」

 

結婚・・・・結婚式!?なんでそんな話になるの!?

 

「院長先生・・・・別に私たちは付き合ってるわけじゃ・・・」

 

「でもお似合いだと「それより!!」」

 

これ以上はダメだ。それよりも・・・・

 

「今日フーちゃんはいないんですか?」

 

「フーカちゃんなら去年ここを出ていったよ・・・・」

 

え?

 

「もういい歳だからって言ってね・・・・私たちは止めたんだけどね。でもあの子は優しいから、働ける年になってまで世話にはなりたくないと思ったんだろうね」

 

フーちゃんが・・・・

 

「そうですか・・・・でもきっといつかどこかで会えると思うんです。」

 

「そうだね・・・もし会ったら言っといてね、いつでも帰ってきなさいって」

 

「はい、必ず。」

 

「もちろんリンネちゃんもまた来なさい・・・・みんな歓迎だからね」

 

ああ、本当に今日は来てよかった・・・・私は、1人じゃなかったんだ。

 

「リンネー!お前もそろそろこっちこい!・・・・こいつら体力無尽蔵すぎて1人じゃ捌ききれない!」

 

紫苑が子供たちに揉みくちゃになってるなぁ・・・

 

「行っておいで。」

 

「はい!」

 

私は紫苑のもとに向かう。

 

 

リンネsideout

 

 

子供たち舐めてたわー超強いわー疲れるわー

 

「だらしないね、紫苑は」

 

「こいつら容赦ねーの。いいから手伝ってくれ」

 

「はいはい・・・・みんなーこっちにいらっしゃい」

 

『はーい!!』

 

おおう、すげぇ・・・・というか変わりようが凄い。いや、こっちが本来のリンネなんだろうな。

 

 

「じゃあねーねーちゃんとにーちゃんまたきてねー!」

 

夕方になり俺達は孤児院を出る。あの後ひたすら遊びまくったから疲労が・・・

 

「で、リンネさん今日来た感想は?」

 

俺は一緒に歩いてるリンネに今日の感想を聞いた。

 

「そうだね・・・来てよかったって心から思うよ。だから・・・ありがと・・・しー君」

 

ん?今なんて呼ばれた・・・?

 

「なぁ、リンネ、今なんて呼んだ?俺の聞き間違いじゃなかったらしー君って聞こえたんだけど・・・」

 

「そう言ったつもりだよ?大事なお友達だもん。渾名で呼びたいなーって」

 

そういえば幼馴染のことも渾名で呼んでたな。小さいころからの習慣なのだろうか

 

「そうか・・・・・色々思うことはあったみたいだな。なんにせよリンネが笑顔になってくれてよかったよ」

 

「うん・・・・院長先生や子供たちのおかげでね。しー君もありがとう。しー君に連れてこられなかったら、私はずっとそのままだったかもしれない」

 

「どうだろうな?そのまんまならお前の誰かがお前の前に立ちふさがって今回のようにお前を変えたかもしれない」

 

「仮定の話はどうでもいいよ。私はしー君に感謝してるんだから。」

 

「そうか・・・・じゃあ有難く受け取ろうかな」

 

 

 

そして俺達はそのままベルリネッタ邸に向かった。

 

「お父さん、お母さんただいま!」

 

リンネの顔を見た2人が驚愕する。

 

「あれ以来笑顔を見せなかったリンネが笑った・・・?」

 

「リンネ・・・・何があったの?」

 

まぁ、気になって当然だな。

 

「色々あったんだ・・・・・今まで心配かけてごめんなさい。」

 

「いいのよ!リンネが笑って過ごしてくれるだけで私達も幸せなんだから!」

 

「そうだぞ!ああ、本当によかった!いつかこの日を夢見てたんだ・・・・やっと娘の笑顔が見れた!」

 

3人が抱き合う。俺の場違い感がハンパないな。

俺はコッソリ家を出ようとするが・・・

 

「待ってしー君!」

 

「「しー君?」」

 

昨日までと呼び名が違うので疑問に思いますよねー

 

「うん・・・・大事な・・・大切な友達なんだ・・・だからあだ名で呼ぶことにしたの」

 

色々察してしまった両親は・・・・

 

「(リンネに笑顔を取り戻してくれたのは)そっか・・・・じゃあ今日も夕食食べて行って!しー君!」

 

「(君だったか!)そうだぞ!大丈夫だ。今日はお祝いだからシェフが腕によりをかけて作ってくれるさ!」

 

そして急なメニュー変更にも関わらず、事情を聞いたシェフは今まで以上に頑張って料理を作った。それを聞いたメイドも今まで以上に給仕に徹した。

 

「そうなの、孤児院に・・・・」

 

「うん・・・・私はずっと1人だと思っていたし幸せになるべきじゃないと思っていたけど・・・・そんな事なかったんだよね」

 

「当たり前だ!お前は俺達の娘だ!血が繋がってなかろうと・・・・俺達の大事な1人娘なんだよ・・・・」

 

酒の入ったダンさんは泣き崩れてる。

 

「あらあら、あなたったら・・・」

 

そのまま寝入ってしまったダンさんを使用人は寝室に運ぶ

 

「大丈夫なんですか?」

 

「嬉しいことがあると毎回こうなの。前は・・・リンネがうちに来た初日だったかしら」

 

「そうですか・・・・」

 

「だからしー君には感謝してるわ」

 

「あの、しー君は止めてください・・・・」

 

「あら?それはリンネ専用だから止めてって?それならしょうがないわね」

 

そんなこと言ってないんですが・・・

 

「お母さん!別に私専用じゃ・・・・」

 

「うふふごめんなさい。とにかく紫苑君には感謝してるの。リンネを救ってくれてありがとう。」

 

そう言って頭を下げるローリーさん。

 

「頭上げてください。今回俺は切っ掛けを与えただけなので・・・・院長先生や孤児院のみなさんのおかげです。」

 

「それでも・・・・・ありがとう。これからもリンネをよろしくね・・・・・彼女として」

 

ん?

 

「いえ、彼女じゃないです・・・・友達としてならOKです」

 

「あら?うちのリンネに不満があるの?うちのリンネはどこへ出しても恥ずかしくない娘よ。見た目も中身も美人よ。今は胸が若干足りないけどそれも将来的にきっと大きくなるわよ。変身魔法を見れば分かるけど・・・・」

 

「お母さんもう止めて・・・・」

 

顔を真っ赤に染めるリンネに静止させられる

 

「あら?リンネ、チャンスを逃がしちゃダメでしょう。昨日も何もなかったみたいだし今日こそちゃんと既成事実を・・・・そういえば紫苑君って彼女とかいるの?」

 

あ、この質問出ちゃったか・・・・リンネもこっちをチラチラ見てくるし・・・

 

「そうですね・・・・今は3人ほどいます」

 

「「え?」」

 

2人がハモって聞き返す

 

「3人います。同級生2人と下級生1人・・・・一応みんな了承して付き合ってます。」

 

「あらそうなの。じゃあリンネも入っても問題ないわよね?3人も4人も変わらないでしょ?」

 

「ちょ、お母さん!?」

 

引くどころかグイグイきてるー・・・・

 

「そうですね・・・・でも今はリンネとは友達でいたいので・・・・」

 

「そうだよ!もう、しー君私の部屋行くよ!お母さんのテンションおかしいよ・・・」

 

そして俺達を背にローリーさんは言い放つ

 

「ちゃんと避妊はしなさい。子供のうちから作ったら絶対後・・・」

 

 

俺達はリンネの部屋に着いた。

 

「ごめんなさい。しー君・・・私のお母さんが・・・・」

 

「ああ、気にしなくていい」

 

空気が重い。さっきはサラっと流せたと思ったけど・・・・

 

「・・・・3人と付き合ってるのってホント?」

 

「そうだな・・・・」

 

「その子たちってちゃんと・・・」

 

「知ってるよ。それでも俺と一緒に居たいって言ってくれた・・・・俺も彼女達が好きだから付き合っている。倫理的には許されないことかもだけど、それでも一緒にいたい」

 

「そうなんだ・・・・私は軽蔑しないよ。」

 

「え?」

 

「ちゃんと平等に愛してるならいいんじゃないかな?それで私の態度は変わらないよ。それにしー君が最低なのは知ってるもんね。」

 

リンネ・・・・

 

「・・・・ありがとう。」

 

「最低って言ってありがとうって言われるのは変な気はするね」

 

「まぁ、この話はこの辺にして・・・・・リンネは格闘技続けるのか?」

 

「・・・・続けるよ。確かに私は格闘技はあまり好きじゃない。痛いのは嫌だし殴るのも辛い・・・・けど、子供たちが私の姿を見ていてくれてる。子供たちに私が頑張ってる姿を見せれるなら・・・・それだけで続ける価値はあるんだ」

 

「そうか・・・・お前自身の意志で決めたんなら俺から言うことはないよ。」

 

 

夜も深まりベッドに入る。俺達は一緒に寝た。単純にリンネの部屋には1組しか布団がなく残りはどこにあるかはローリーさんが使用人たちに口止めしてるせいで場所が分からないのである。

 

「少し恥ずかしいね・・・・」

 

「え?普通かな・・・・昨日も一緒に寝たじゃないか」

 

「昨日とは違うもん・・・・」

 

なにやら不満そうなリンネ。

 

「まぁ、昨日は線引きしたからなー今日はしなくていいのか?」

 

昨日は魔力で結界を作りお互い侵入しないようにした

 

「信用してるもん。それに襲わないでしょ?」

 

「襲うかもよーリンネは可愛いからね」

 

俺が手をワキワキさせてリンネに近づく

 

「きゃー襲われるー・・・なんてね。しー君はそんな酷いことしないもん」

 

「昨日と今日では大分違うな。正直若干戸惑っている」

 

「昨日とは違うもーん」

 

リンネが抱きついてくる

 

「コラ、俺は彼女持ちだぞ」

 

「友達同士のスキンシップだから平気。それにこれ以上はしないよ。友達と一緒に寝るの久しぶりだからかな?少し落ち着かないかも」

 

「まぁ、いいや。俺からは何もしないよ」

 

「えー抱きしめ返して撫でていいよ?」

 

「いいから寝ろ。明日は今日の分練習しなきゃなんだろ?」

 

「しー君が無理矢理休みにしたのに・・・」

 

今ここで手は絶対に出せない。一緒に寝るのはギリギリいいけどこっちから手を出したら理性が崩壊しそうだから・・・そうしたらアイン達に殺される・・・・

 

「(生殺しかー・・・・抱きつきながら寝てるし・・・昨日とは違って本当に対応が雲泥の差だな・・・・それにしても安心しきった顔して寝てるなー)」

 

無理にでもリンネを連れてって本当に良かった・・・・

 

 

朝になり俺は時計を見た。

 

「(8時かー・・・・遅刻確定だなー。だーれも起こしに来なかったのか?それともこの状態をみて起こすのは悪かったのか・・・)」

 

俺はデバイスを確認するとアインやユミナやコロナからの履歴があった。

 

「あー・・・・なのは姉さんには昨日のうちに言ってるけど、アインやユミナやコロナには土日相手出来ないとしか言ってなかったからなー・・・・」

 

俺はベッドから降りようとするがリンネががっちり掴んでるせいで起き上がれない

 

「リンネー朝だから起きろー」

 

「むにゃむにゃ・・・・」

 

起きねーな。しょうがない、俺の顔だけ見えるようにセットして通話するか

俺はアインに通信をかける。

映し出されるモニターにはアインの顔。

 

「おはよう、今いいか?」

 

『どうしたんですか?彼女達を放って知らない女と逃避行した紫苑さん』

 

あれ?バレてる?どっから・・・・あ

 

「・・・・ヴィクター?」

 

『正解です。正直怒っています。ユミナさんやコロナさんもマジギレです』

 

うーわー・・・・・

 

「もしかしてそこに2人もいるの?」

 

『いえ、ただ昨日の晩家に泊まったので・・・・紫苑さんに対する不満の暴露大会をしました』

 

「そっか・・・・うん言い訳しようもない。ごめんな・・・」

 

『後で返してくれればいいですよ。それより「しー君誰かと通信してるの・・・?」・・・・・しー君?」

 

リンネ!?このタイミングで起きるなよ!

 

「あ、ごめんなさい。今通信中だもんね・・・・彼女さんから?」

 

「そう、だから「あ、じゃあ昨日の事で誤解しないように言っておくから」え?」

 

「あの、彼女さんたちの1人なんですよね?大丈夫です、昨日一緒に寝ただけなのでしー君は別に取っていません。安心して大丈夫ですよ。」

 

安心出来ねーよ!言わなくていいじゃん!というか抱きつかれてんのあっちから見えてる?え?態と?天然?どっちなの?

 

『・・・・・教えて下さってありがとうございます。確かリンネ・ベルリネッタさんですよね?ヴィクターさんの後輩の」

 

「はい、ヴィクターさんとは同門で・・・・」

 

『そうですか・・・・ところでしー君とは?』

 

「あ、渾名です。大切な・・・・お友達なので」

 

顔を赤らめながら言わないで!

 

「アイン?確かに昨日一緒に寝たけど何もなかったから!健全だから!」

 

俺は必死に言い訳してる横でリンネは・・・・

 

「しー君は私の笑顔が見たくて頑張ってくれたんです。だから怒らないでくださいね?私の為だけにやってくれたことなので」

 

言ったけど!笑顔が見たいって言ったけどさぁ!

 

『・・・・・そうですか。ところで今日の放課後はちゃんと家に来てくださいね。ユミナさんもコロナさんも待っているので・・・・絶対に来てくださいね。し・い・く・ん!』

 

「・・・はい」

 

そうして通信を切った俺はベッドに戻った。

 

「これで彼女さんも怒らないよね?」

 

「・・・・学校サボろうか・・・・」

 

せめて放課後になるまでアイン達には会いたくないと思う俺だった。




リンネとは付き合ってませんよ



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