前回の続きからです
「正直お前相手に変に嘘ついてもバレそうだから単刀直入に言う、というか想像はついてそうだけど俺はアインと付き合っている」
「そっか・・・・・アインハルトさんは冗談言わないタイプだもんね。そうだとは思ったよ。他に知ってる人は?」
「いない。聞かれたら教えるつもりだったよ」
「ねえ・・・・私はどうしたらいい?アインハルトさんとはもっと仲良くなりたいのに自分の悪い心がそれを邪魔しているの」
「それは・・・・どういうことだ?」
「察してほしいな。私は初めて会ったあの時から紫苑くんが好きなんだよ?でもアインハルトさんに取られちゃった。」
「それは違うな。俺がアインのものじゃなくてアインが俺のものなんだ」
「そこどうでもいいよ。人が失恋した時に惚気ないでほしいなぁ・・・・・」
「失恋?俺は返事してないじゃないか」
「返事は分かってるもん。あーもう・・・・・結構ダメージくるなぁ・・・・」
ユミナの目から涙が溢れ出る。
「分かってるのに涙が出るのか。あ、返事はOKだ」
「うん、分かって・・・・・・え?」
「だからOKって言ったじゃないか」
「いやいやいや!アインハルトさんと付き合ってるんだよね?」
「そうだけど?」
「じゃあ何でOKするの!?」
「何でって・・・・・俺もユミナが好きだからOKしたに決まってるだろ」
「ちょっと待って・・・・・それって二股するってこと?」
「二股程度に留まるといいな。せっかくだし順を追って話そう」
俺は以前アインと決めたことを話す。
「え?愛人でもいいって・・・・アインハルトさんがそう言ったの?」
「ああ、そうだよ。今の所アインだけだが、俺自身他にも気になる子もいるし告白されたら受ける。アインは好きだし愛してるけど1人に絞る気なんてさらさらない。」
「言ってること最低なの自覚してる・・・・?」
「してる。凄くしてる。それでユミナの心が俺から離れるならそれはしょうがないとは思っている。本当は凄い嫌だけど、俺の考えは一生変わらない。愛してる人は全員貰う」
「うわー・・・・ハーレム宣言とか・・・・」
「ドン引きしてるとこ悪いけど今度はこっちが返事をもらう番だ。ハーレム宣言してるクズ野郎だけど、俺と付き合ってほしい」
「・・・・・あまりの衝撃に涙も枯れたよ。えっと・・・・返事ならもちろんOKです。正直ドン引きしたけど、それ以上にあの日から貴方のことがずっと好きです。」
「うん、ありがとう。全力で愛すけど本当にいいの?」
「うん。それにアインハルトさんと険悪になることなさそうだしこれを機にもっと仲良くなれそうだから」
「そっか。俺の恋人になるならお前が嫌という日がくるまで絶対に手放さないから覚悟しろよ?」
「うん、絶対ありえないけど覚悟します」
「じゃあ今日はこれだけで・・・」
俺はユミナに口づけをした。
翌朝になり、俺はアインに話す。
「ユミナとも付き合うことになったから」
「予想の範疇です」
結構あっさりしてた
遊んだりルーフェン武術を体験したりと中身の濃い三日を過ごした夜のこと。どうやらじーちゃんがヴィヴィオを呼んでるらしいので俺はこっそり様子を見に行くことにした。
どうやらヴィヴィオを試すらしい。俺がやってもよかったが守るべき愛する妹に殺気は送れない・・・
どうやら合格したらしい。
「(やはり神眼の領域に入りかけてたのか・・・これでヴィヴィオももっと強くなるな)」
ヴィヴィオが去った後じーちゃんの所に向かう。
「結構無茶やったね。でも感謝するよ」
「なんじゃ覗いていたのか。ビックリするのう」
「普通に気づいてたくせによく言うよ。で、どうだった?」
「ふむ、思った通り神眼に半歩踏み込んでおったのう。将来が楽しみな子じゃな」
「そっか・・・・・ところで今周りに人はいない。止める人もいない。俺の一番の目的を果たす手伝いをしてくれないか?」
「昂ぶっておるのう、年寄りを労わる気は?」
「ない。そんな余裕を貴方に見せるのは同格かバカしかいない」
「しょうがない。爺の力を特別に見せてやろう。ヴィヴィオ嬢ちゃんにも殺気は見せたがこれは・・・・その時の比ではないぞ?」
じーちゃん・・・・・タンドラ氏から濃密の殺気が放たれる
「(ここまでの気を発するか・・・・)いいね!楽しめそうだよ!」
「楽しんでいる余裕があるのか?」
俺は背後に音もなく忍び寄ったタンドラ氏に吹き飛ばされた
「・・・・これでお終いか?やれやれ期待外れじゃのう。儂の目も曇ったじゃろうか?」
「そんなわけないでしょ」
俺は神速で目の前に移動すると寸掌で吹っ飛び返す
「あれあれ?じーちゃんってこの程度?拳仙って言っても所詮は全盛期がとうに過ぎたオイボレか・・・・」
俺は挑発し返した。かなり失礼ではあるが今は勝負の最中。手段を選ぶ気はない
「ほっほっほ。あまり調子に乗らんほうがよいぞ?負けたときが恥ずかしいじゃろ?」
「無理しなくていいよ?腰にきたら悪いしね」
そういって俺は神速を使い間合いを詰める。スピードは・・・というか身体能力は俺の方が上。技では敵わなくても体の差で勝つ。
「速いのう・・・・・しかしそれだけじゃ儂には勝てんよ?」
俺の目の前に拳が通過する・・・・え?
「速さなら俺に分があるって思ったかのう?速くても読めればなんてことないんじゃよ・・・・・」
「知ってるよ。読む技術なら俺も鍛えてる」
俺はすぐに態勢を立て直して攻撃を加える
「ほう・・・・・読む技術も持っていたか。本当に底がしれんのう・・・・」
「様子見はもういいだろ?そろそろガチでやろうぜ!!」
「テンションも高まってきたか。これは本気を出さないと負けるかもしれんの」
「負ける気なんてさらさらない癖に何言ってんだ?」
俺達は打ち合いを始める。常人には音しか聞こえないだろう速さで
「本来お主は拳よりも剣のほうが強いな。遠慮なく使っても構わんよ?」
「まずは拳同士って思ってたけど、なら遠慮なく使わせてもらおうか」
俺はスノードロップを展開し、切りかかる・・・・・が、いなされる
「いいデバイスじゃのう。作った人には感謝しなさい」
「そうするよ。最高の愛機を貰った礼ついでに拳仙に勝ったって報告もしたいしな!」
「口が減らん小僧よのう」
俺は奥義を駆使してるが決定打には繋がらない
「ここ最近本物の強者と相対するなんてことなかったし最高の気分だ!」
「素直な若者は好感がもてるぞい!」
基本的に攻撃が読まれてしまうため膠着状態が続く。
「(チッ、この人レベルなら読むことも可能なんだろうが、ここまで決められないなんて・・・・)」
「どうした?剣が鈍り始めたぞ」
この人相手に半端な攻撃は通用しない。なら読んでようが防げないし躱せない一撃を用意するため俺は距離を取って集中する。
「ん?何かするのか?なら年長者として受けてやろう」
「後悔するなよ・・・・・防げるものなら防いでみやがれ。この技は読んでようが関係ないからな」
俺は極限まで集中して放つ
神速の中の神速。速度は倍に・・・・そして
「小太刀二刀御神流斬式 奥技之極 閃」
「!?」
この技は俺の持つ究極奥義。これの前に力も速さも関係無しであらゆる動きを超越して相手を倒す。
「(もらった!)」
「(反応できん!?まさかここまでの・・・・・)」
「「コラー!!!!」」
俺はその声に反応してしまい、奥義が失敗して転げまわる。
俺はつい・・・・
「ざけんなコラァ!いいとこで誰だ邪魔しやがったのは・・・・・」
「邪魔するに決まってるだろ!バカ!」
そこにいたのはノーヴェとリンナさんだった
「お前総師範になにやってんだ!というか周りみてみろ!」
そこには余波でボロボロになった庭が・・・・・
「じーちゃんも!安易に受けちゃダメでしょうが!」
「ワ、ワシは悪くないぞい。そこの小僧が無理やり・・・・」
「ひでー!俺だけに責任なすりつける気か!爺ちゃんだって割と序盤からノリノリだったじゃねーか!」
「すまんのう、最近ボケが始まったのか・・・・・覚えてないのう」
あの爺!都合の悪い時にボケを使うなんて卑怯な!
「「とにかく2人とも正座しなさい!!」」
「「はい・・・・・」」
俺達は2人に説教を受けた。そして徹夜で庭の修復をさせられた
「(それにしても小僧は恐ろしいのう。あの時止められてなかったら腕の1本は持ってかれたかもしれん・・・・・)」
「(予想以上に手強い爺さんだったな。恐らく最後のあれは止められなくても失敗していたかもしれない。経験則から来る勘で反射的に避けてしまう。経験だけはどうしようもない。あれで全盛期じゃないって卑怯だろう)」
俺達は庭を修復しながら心の中で思っていた。
翌朝までかかった庭の修復も終わり、俺達は帰る準備をしていた。
「超眠い・・・・・」
「昨晩何かあったんですか?ノーヴェさんが大分怒っていたんですけど・・・」
「いや、ちょっとイザコザというかなんというか」
さすがに勝負の事は言いたくないし終わり方とかダサすぎて恥ずかしい
「そうですか。眠いなら出発まで寝ててもいいんですよ?」
「いや、そんな時間ないし移動のとき寝る」
出発の時間になり移動しようとする俺達
「紫苑さん」
アイリンが話かけてきた。
「どうした?」
「こ、今度は我が家のほうにも泊理に来てくださいね・・・・その友達として」
「ああ、分かったよ」
俺はじーちゃんのほうに向くと
「昨日はごめんな。無理に戦うことになっちゃって・・・・」
「気にするでない。お主の場合は技術よりもその戦闘欲求のほうをなんとかしたほうがいいのは確かじゃが・・・・・」
「明らかに強者を見るとどうしても抑えられなくて、我慢しようと思ったんですけど欲求には抗えずついあの時好機とみてしまって」
「ふむ・・・正直お主より強いものは10代にはいないじゃろ。20代でも今のお主に敵うのはそうはいない。故に自分より格上との戦闘チャンスが来れば我慢出来ずともしょうがないか・・・いつかお主の全力を受け止めてくれる同年代に出会えればいいんじゃが」
「恐らくその存在は来ないでしょう。ある人に言われました。お前は数年で世界最強にすらなれるだろうって・・・・」
「否定はせんよ。今は儂と互角じゃがお主はまだまだ伸びるし成長スピードも驚異的じゃ。が、腐るなよ?」
「そこは大丈夫です。俺の周りに仲間がいる限り絶対に」
「なら、いいんじゃがの」
「では、そろそろ行きます。総師範、ありがとうございました」
「なんじゃ、最後だからってしおらしいのう。いつも通りじーちゃんでよいぞ。全力で戦った仲なんじゃから戦友じゃろ?」
「そうだね。じゃあねじーちゃん!また来るよ!」
そういって俺達はルーフェンから移動する。
「・・・・・願わくばあの子にライバルと呼べる存在が現れることを祈るよ」
俺は次元船の中で寝ていた・・・・・ユミナの膝で
「疲れちゃったんだね。徹夜で庭の片づけしていたみたいだし」
「そうなんですね。ところでユミナさん。膝疲れるなら私が代わりますよ。慣れているので」
「大丈夫だよ。これからもこうする機会多いと思うから馴らしておかなきゃいけないもん。」
「・・・・・・ミッドに着くまで3時間あるので1時間半交代というのはどうでしょう?」
「・・・・・・そこら辺が落としどころだね。」
「私達じゃ修羅場にも発展しませんね。」
「アインハルトさんとも仲良くしたいもん。2人で共有していこう」
「そうですね。多分また増えますけど」
「覚悟してるよ。たとえそうなってもいいから一緒にいるし」
「お互い面倒な人を好きになりましたね」
「否定はしないよ。けど、好きになってしまったのはどうしようもないよ」
俺が寝ているときにそんな話になったとか・・・・・
ルーフェン終了!2人目はユミナちゃんでしたー