魔法少女リリカルなのはvivid~氷結の拳~   作:園部

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修行は今回で終了になります。


第15話

一週間が経った。

俺は自身を見つめ直せたことと新たな誓いを胸にさらに強くなることができた。

 

「今日で俺は下山するが、教えられることは全て教えたつもりだ。残り3週間いるんだろ?後は自分自身で反復練習を欠かすな」

 

「はい」

 

「朝のダッシュだけは続けろ。その際は抜刀のみ許可する。」

 

「いいの?」

 

「今のお前なら問題ない。刀を持ったお前は魔法抜きでも俺と良い勝負ができる。」

 

「魔法を使えなくても負けないよ。今の俺を初日の腑抜けてた俺と一緒にしないでほしい」

 

「確かに初日とは段違いだ。特に心構えがな。しかし俺はまだ負けてやれんぞ?」

 

「なら時間無制限1本勝負といこうか」

 

「問題ない」

 

そして俺と兄さんは時間の許す限り激しくぶつかり合った。お互いに全力の勝負。

初日は圧倒されたが、今は良い勝負ができている。

常時神速を多用しているが今の俺には問題ない。恐らく一般人には刀のぶつかる音しか聞こえないだろう。

 

日が暮れるまで切り合う俺達。結局勝負はつかなかった・・・・・

 

 

「はぁー負けはしなかったけどさ・・・・」

 

俺はその場に座り込み不満そうに言う。

 

「俺相手に引き分けで不満があるとは・・・それにしてもお前は恐ろしいな」

 

「は?」

 

「確かに精神的に一皮剥けたがそれだけでここまで変わるなんてあり得ない。奥義についてもほぼ全てマスターしているといっていい。お前が天才と言われる所以は常人を遥かに凌ぐ成長スピードにある。」

 

「確かに俺は人より成長が速いのは自覚はあるよ。」

 

「しかし俺は不安だ」

 

「なにが?」

 

「今でもお前は強い。だがお前に敵う人間は今はいるだろう。しかし断言する。このまま訓練すれば数年後お前に勝てる人間はいなくなるだろう。俺は魔法については知らないがそっちの才も相当高いんだろう?俺は最強ゆえにお前が孤独になるんじゃないかと心配しているんだ」

 

「それなら問題ないよ」

 

「なぜ言いきれる?」

 

「家族がいる。友人がいる。俺を支えてくれる人達がいる限り絶対に孤独にはならない。」

 

兄さんはフッっと笑うと

 

「そうだな」

 

俺の言葉を肯定した

 

 

兄さんとの最後の特訓の翌日。とうとう兄さんが下山をする。

 

「また何かあったら声をかけろよ。決して1人で悩むな」

 

「ああ、ありがとう。兄さん忍さんと仲良くね。姪たちによろしく」

 

「分かった。」

 

そうして兄さんは下山した。

 

 

俺は残り3週間ひたすら訓練を重ねた。

魔法戦も鈍らせないように結界を張って訓練する。

俺の愛機、”スノードロップ”を出しセットアップする。

 

「デバイス出したの久しぶりだな。すまないスノー」

 

『No problem(問題ありません)』

 

「ありがと。」

 

俺のバリアジャケットはフェイト姉さんのバリアジャケットを白にしてスカートをズボンに変えた感じだ。ただし露出はしない。

 

「じゃあ早速始めようか・・・・・」

 

これからの一週間のサイクルを説明すると、お昼まで剣、夕方まで拳、夜は魔法にしようと思っている。万遍なく鍛えていきたいので1日もかかさず鍛えぬく。

朝は練習を始める前にウォームアップ代わりに山をダッシュ。途中クマが出ても何も動じなくなった。

 

それから3週間経った。

自然に触れ、訓練して、俺の心はすっかり晴れやかになった。

 

「(色々あったが来てよかった。このまま下山して翠屋によって報告しよう)」

 

俺は翠屋に来た。

 

「ただいま」

 

カウンターから慌てた様子で母さんがやってくる

 

「お帰り紫苑!怪我はない?疲れてない?料理いっぱい作ったから食べる?それとも先にお風呂入る?」

 

「とりあえず落ち着こう?怪我は多少あるけど大丈夫だからさ」

 

「そう?あ、士郎さん!紫苑帰ってきたよー!」

 

そういったら厨房から父さんがやって来た。

 

「紫苑か!お帰り!」

 

「ただいま父さん」

 

「ふむ・・・・・」

 

父さんは俺を髪の先から足のつま先まで凝視する。

 

「なるほど、1ヵ月前より見違えるようだ。大分成長したようだな。よく頑張った」

 

「うん、自分でもよく分かるよ」

 

「だが、油断や慢心はしないように。」

 

「分かってる。」

 

少し話すと美由紀姉さんも来る

 

「紫苑おかえり~!」

 

「ただいま姉さん!」

 

「そうだ、母さんが料理作ってたよ!」

 

「まずはお風呂入るよ。川で水浴びだけだったからね。」

 

「大丈夫!そっちも準備できてるから!」

 

俺は移動してお風呂に入りあがった後は母さんの料理を食べる。

 

「母さんの料理久しぶりだな。なのは姉さんの料理も美味いけどどやっぱ母さんのは特別だなー」

 

「ふふっありがとう。食べたらどうする?もう休む?」

 

「うん、今日は家で休んだら明日朝イチで戻るよ」

 

「あら、もう少しゆっくりしててもいいんじゃない?」

 

「あっちで待ってる人達もいるからね。それに長期休暇のときはまたこっちに来るし」

 

「そう、分かったわ。紫苑の部屋はそのままにしてるから」

 

「ありがと。じゃあおやすみなさい。」

 

「おやすみなさい」

 

 

朝になり家を出る。転送ポートの月村邸に俺は向かう

 

「おはよう、紫苑くん」

 

「おはよう、すずか?こんな朝からどうしたの?」

 

「帰ってきたとき顔見てなかったでしょ?今日戻るのは知ってたから一目見たいな~って」

 

「そっか。で久しぶりに俺を見た感想は?」

 

「去年よりも背伸びてるね。顔も昔は可愛かったのに今はカッコイイ感じかな?」

 

「ありがと。すずかも前も美人だったけど今はもっと美人さんだ」

 

「ありがとう。あっちに行っても頑張ってね。長期休暇のときはみんなで戻るんだよね?」

 

「そうだね。なのは姉さんやフェイト姉さんの休暇に合わせる感じかな?」

 

「じゃあそれまで元気でね?無茶して怪我しちゃダメだよ?」

 

「大丈夫。無茶しない程度に頑張るからさ」

 

「うん。じゃあまたね」

 

「うん、また」

 

そう言って俺はミッドチルダに戻った。

まずは何をしようかな・・・・・

 

 

 

俺はミッドに戻ってきた。今はこっちは夕方か。まずは学校に明日から行くことを伝え、とりあえず家に戻る。

 

「姉さんたち帰ってきてるかな?」

 

俺は扉が開いてるのを確認して家に入る。

 

「ただいまー」

 

そう言うと奥からドタバタ音がしてヴィヴィオが来た。

 

「お兄ちゃん!」

 

そう言って俺にダイブするヴィヴィオ。俺はそれに抵抗せず受け止める

 

「久しぶりだね。会いたかったよヴィヴィオ」

 

「わたしのほうが会いたかったよ!」

 

「そうかな?」

 

ヴィヴィオを抱きしめながら頭を撫でる。

 

「これで約束は果たせたかな?」

 

「もっと!」

 

「はいはい」

 

俺はヴィヴィヴォを抱えリビングに行く

 

「おかえりー!紫苑!!」

 

なのは姉さんも抱きしめてくる。

 

「おかえりなさい、紫苑」

 

フェイト姉さんも駆け寄ってくる

 

「ただいま2人とも。姉さん今ヴィヴィオ抱いてるから後にして」

 

「えー」

 

「なのはママは後ね!」

 

「はーい」

 

そういってしぶしぶ離れる

俺はヴィヴィオを抱きながらソファーに座る。

 

「色々話聞きたいしお茶いれるねー」

 

なのは姉さんはキッチンに行った。

 

 

「じゃあ早速聞いてみるよー」

 

「なんなりと」

 

「じゃあ私から!」

 

ヴィヴィオが手を挙げる

 

「あっちでは具体的に何をしてきたの?」

 

「そうだね。最初の1週間は恭也兄さんと修行。あ、魔法なしでクマと戦ったよ」

 

「「「クマ!?」」」

 

「うん、魔法なしでキツかったけど何とかなったよ。で、奥義とか教わったり色々教えてもらえなかったこととか重点的にやった」

 

「魔法なしでクマって・・・・・怪我はしなかったの?」

 

「もちろん怪我したよ。特に4日目はやばかった。5頭もいてさ、一気に襲われたなー」

 

そういって俺は上半身を脱ぐ。切り裂かれたあとがいくつも残ってる。

 

「大丈夫なの!?病院いく?シャマル先生呼ぶ?」

 

フェイト姉さんが慌てたように聞いてくる

 

「大丈夫だよ。ちゃんと治療はしたし多少痕は残るらしいけど異常はないって」

 

「痕残るの・・・・?お嫁にいけないじゃない・・・・」

 

「フェイト姉さん、俺男だからね」

 

動揺しすぎて性別すら忘れたのか

 

「あとは?」

 

「まぁ、精神的なことについて。自然に触れて剣だけじゃなくて拳法も魔法も一通り鍛えてきた。全体的に能力は上がったけど一番は精神的なことについてかな」

 

「答え見つかったんだ」

 

「うん、俺自身見つめ直せたのはよかった。行ってよかったと本気で思う」

 

「ならもう安心かな?」

 

「なのは姉さんには心配かけたね。ゴメン」

 

「ううん、紫苑が元気になってよかったよ」

 

ヴィヴィオが話についていけず困惑する

 

「えっと・・・・どういうこと?」

 

「ヴィヴィオは気にしなくていいんだよー」

 

「仲間外れは寂しいなぁ・・・・」

 

「そうじゃないよ。俺のカッコ悪い部分を説明しなきゃいけないからね。ヴィヴィオには恥ずかしくてそれが出来ないんだよ」

 

「そうなんだ・・・・でもお兄ちゃんはカッコ悪くないよ!」

 

「ありがとー。ヴィヴィオは最高の妹だな」

 

「えへへ・・・・」

 

 

「じゃあ次はこっちが聞くけど、この1ヶ月なにかあった?」

 

「ミウラさんが勝ち進んでるってこととー」

 

「まだ残ってたのか。やるじゃないかミウラのやつ」

 

「でしょ!初出場で話題になってるし凄いよねー」

 

「それ以外では?」

 

「えっとねー。イクスが目覚めたの!」

 

「え・・・・?イクスが目覚めたって・・・・」

 

「その目覚めたっていうかなんというか・・・・」

 

そして俺はヴィヴィオに詳しい話を聞く

 

「(なるほど、ようは精神体ということかな?なんにせよ本体も目覚めかけてるってことには違いないか)なら明日行ってみるかな」

 

「うんそうしてあげて!」

 

それから俺達は1ヶ月の空白を埋めるように色々話した。

 

 

夜になり俺はある人に会いに家を出る。

そいつが住んでるマンションに行って呼び鈴を鳴らすと目的の人物が出てきた

 

「久しぶり、アイン」

 

「お久しぶりです。紫苑さん」

 

俺はアインに会いに来た。どうしても会いたかったから

 

「驚かないんだな」

 

「ヴィヴィオさんから一斉送信がありましたから。とりあえず中へどうぞ」

 

俺は家の中に入る。

 

「久しぶりだな。ここに来たのは」

 

「変わってないですよね?で、ここに来たのは・・・・・」

 

「約束を達成した報告を・・・・・ってのは建前でアインに礼をね」

 

「私に・・・・・?」

 

「アインと約束してなかったら途中で心が折れてたから・・・・・あれがなかったら俺はダメだったかもしれない。俺はお前に救われた」

 

「・・・・それなら私もお礼を言わなければなりませんね」

 

「アインが?俺はお前に対してなにも・・・・」

 

「初めてあったときのこと覚えていますか?」

 

「懐かしいな。新しい学校でテンション上がってるときに隣の席が無口で無愛想なやつだったのはショックだった」

 

「私も貴方が隣に来たときショックでしたよ。うるさい人が来たなーって・・・・」

 

「でも口を開いてくれたときは嬉しかった。」

 

「でも話しかけてくれるのは嬉しかったです。」

 

そう言うとお互い静かに笑い出す。

 

「私はずっと学校が退屈でした。友達もいない、話の合う人もいない。ずっと孤独でした。でも貴方が来てから退屈な学校もいつしか楽しみになりました。今日はどんな話をするんだろう?とか今日も私をからかうんだろうかとか・・・・貴方は私に対して救えなかったと言ってましたが」

 

アインが俺を抱きしめて言う

 

「私はもうとっくに・・・・・貴方に救われていたんですよ?」

 

「そっか・・・・・気づかないうちにお互いがお互いに救われてたんだな・・・・」

 

「友人ってそういうものなのでしょうかね?私は貴方以外に友人がいなかったのでまだ把握できてないんですよ」

 

「俺的に友人って言うのは迷惑かけてかけられて、それをお互い許せる関係が友人だと思ってるよ。」

 

「なら、これからもお互い迷惑かけますか?」

 

「いいんじゃないか?これからも嫌になるほど迷惑かけてやるよ。今のうちに謝っておくわ」

 

「それはこちらも同じです。嫌になるほど迷惑をかけます。だから今のうちに謝っておきます。」

 

「「ごめん(なさい)。そしてありがとう(ございます)。」」

 

 

 

「礼を言いに来たのに何でこうなるのかな?」

 

「多分それが私達なんでしょうね。」

 

「ところでいつまで抱きついてるつもり?」

 

「私が満足するまでです。我慢してください」

 

今はソファーに座ってなすがままにされている。

 

「ここまで甘えてくるなんて随分変わったもんだな・・・・」

 

「昔のほうがよかったですか?」

 

「いや、今のアインのほうが心地よい」

 

「ならいいじゃないですか。貴方がいなくてずっと寂しかったんですよ?みなさんも貴方がいなくて寂しそうでしたし」

 

「そっか。寂しいと思ってくれるのは嬉しいな。」

 

「もういなくならないでくださいね?」

 

「ならないよ。これからもずっとお前らの傍にいるさ」

 

「ならいいです。夜も遅いですがどうしますか?」

 

「今日は帰るよ。帰ってきた初日で外泊なんてさすがにな・・・・・」

 

「そうですか。ならそろそろ離しますね」

 

アインが俺を離し、俺は玄関に向かう

 

「明日学校に行きますか?」

 

「いくよ。定期考査始まるしな」

 

「明日からですけど大丈夫ですか?」

 

「誰に言ってるんだか・・・・こうみえて主席ですよ?」

 

「そうでしたね。なら、明日学校で」

 

「ああ、また明日な」

 

 

 

俺は家に帰る途中空を見上げて思う。

 

「(色々なことがあったけど今日ほどここに残ったのはよかったと思う日はなかったな。アインとより一層仲を深めた気がする。明日は学校行ってみんなと話して聖王教会に行ってイクスと会おう。意思疎通はできるっぽいし、楽しみだな)」

 

そして家に着くと遅くなったことに関して姉2人とヴィヴィオに怒られた。

罰として今日は4人で寝ることになったが、罰にならないだろう・・・・

 

「4人で寝るの久しぶりだねー」

 

「そうだね。多分六課以来じゃないかな?」

 

「自然とそうなったよねー」

 

「寝るのはいいけど、この態勢はキツイ」

 

俺の上にヴィヴィオが乗り左右になのは姉さんとフェイト姉さんが腕に抱きつく

 

「心配かけた罰だからしょうがいないねー」

 

「そうだよ。それにたまにはこういうのもいいね」

 

姉2人はまぁいい。問題は・・・・・

 

「ヴィヴィオさんは寝づらくないんですか?」

 

「大丈夫です!むしろいつもよりよく寝れそう・・・・」

 

「俺の体は硬いし寝づらくなったらちゃんと避けるんだよ?」

 

「はーい」

 

「でも珍しいね?」

 

フェイト姉さんが疑問に思う

 

「なにが?」

 

「こういうとき紫苑は抵抗するものだと思ってたんだけど・・・・」

 

「色々受け入れるようになって余裕が出来たからかな?前ほどの羞恥はないよ」

 

「そっか。大人になったのかな?」

 

「これがそうなのかは分からないけどね」

 

「寂しいなー」

 

今度はなのは姉さんが言う

 

「なにが?」

 

「弟の成長は嬉しいけどお姉ちゃん的には寂しいものがあるんだよ!」

 

「そう言われてもね・・・・」

 

「いつか紫苑は離れていくのかな?」

 

「いつかはそうなるかもしれないけど、学生でいる間はないかな。人生何があるか分からないけど当分は一緒なので安心してくださいな」

 

「うー・・・・・いつかは弟離れしなきゃいけないのかな・・・・」

 

「寂しいからしなくていいよ」

 

「へ?紫苑が素直にそう言うなんてやっぱり変わったんだね。前は仮に思ってても言わなかったのに」

 

「自分の気持ちには素直に行動したいからね。それで後悔したくないし」

 

「うん、いいことだと思うよ。」

 

変った、か・・・・・確かに変わった。視野が広くなったし大抵のことでは動じなくなった。もしかして無自覚に考え方も変わったのかな?自分自身を理解したからか・・・・それが理由かは分からないけど、少なくとも今の自分は嫌いじゃない。




自分で書いてて意味分からなくなった

次から原作に戻るよー。定期考査終わって文化祭だっけ?
前にちょろっと出せたけどやっとルミナを本格的に出せそう。


最新刊でルミナがアインハルトの通い妻になってたなー。アインハルト不在のときに家でご飯作ってやって一緒に食うってもう夫婦じゃないですかー。さらにクロにも手を出すとかハーレムまっしぐらですねー

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