魔法少女リリカルなのはvivid~氷結の拳~   作:園部

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今回オリジナルストーリー

メインは住所不定の王者とヘンテコお嬢様です。


第9話

楽しかった旅行も終わり、インターミドルまで残り2ヵ月。

ヴィヴィオ達もそれまで特訓するつもりだが・・・・・

 

「暇だな」

 

俺は暇を持て余していた。

それぞれの特訓相手についてはノーヴェが既に手を打っていた為俺のやることが何もない。なら・・・・・

 

「探したぞ、ジーク」

 

「何で居場所分かったん・・・?」

 

森の中にテントを張って昼食を食べていたジークを発見した。

 

「この時期ならお前は大抵首都を離れてない森の中にいると前に聞いた気がする」

 

「まぁ、インターミドル終わるまでならここにいるけど・・・・・何しにきたん?」

 

「もちろんお前に会いたかったからだよ」

 

「え!?・・・ホンマ?またいつものようにからかってるだけとちゃうん?」

 

「そんな訳ないだろ?(暇つぶしに)お前を探して一緒に過ごしたかっただけさ」

 

「そっか・・・・そんなにウチといたいなら一緒に居てもええよ!」

 

「あ、なんかウザイから帰るわ」

 

「冗談や!いかんといて~!」

 

「そこまで言うならいいだろう。一緒に居てやる」

 

「あれ?訪ねてきたのはそっちなのに何でウチがお願いしとるん?」

 

「気のせいだろ」

 

さて、俺はその場に座りながらジークに近況を聞いた。

 

「お前ずっとここに居たの?」

 

「ん~1ヶ月前くらいから?」

 

「相変わらずのホームレスっぷりに感動するよ」

 

「確かにホームレスやけど!言い方に悪意あるやん!」

 

「そんなことはないけど、あ、ヴィクターも心配してたぞ。連絡一つ寄こさないって」

 

「ヴィクターには機会があったら連絡しとく・・・・」

 

「それしないパターンだな」

 

「う・・・・紫苑のほうはどうだったん?何か変わったことあった?」

 

「ああ、あるぞ。お前にも関係することがな」

 

「え?」

 

「少し前に連続して起きた格闘家襲撃事件知ってるか?」

 

「知らん」

 

「期待はしてなかった。で、その犯人が覇王の末裔だった。今では俺の友人だけど」

 

「一体何がどうなってそうなったん?」

 

「説明するよ」

 

俺はここ最近の出来事を掻い摘んで話した。

 

「なるほどな~まぁ、今は良い子なら別にええんちゃう?」

 

「ああ、本人も反省してるしそもそも悪い子じゃないからな」

 

「・・・・その子のこと好きなん?」

 

「友人としてな」

 

「そっか・・・・」

 

「で、お前インターミドル終わるまでずっとここにいるの?」

 

「そのつもりやけど」

 

「・・・・前からヴィクターのところに居候する話あったけど何で受けないの?」

 

「だって、悪いし・・・・」

 

「悪いなんて思ってたらそんな話来ないだろ。せめてインターミドル終わるまでやっかいになっとけば?体調管理だってしやすくなるだろうし」

 

「ウチ何も返せるものないよ?」

 

「別にヴィクターはそんなの望んでないだろ。お前自身納得いかなかったらいつか返してやればいい。」

 

「・・・・・」

 

「今日ここに来たのは暇つぶしが大半だったけど、さすがにこんな生活してるやつを目の前に見るとお節介焼きたくなる。」

 

「けど・・・・」

 

「じゃあ部屋でも借りるか?昔働いてたときの金が丸々残ってるし・・・・・いっそ一緒に住むか?」

 

「え!?・・・・それはまだ早いと思うんよ・・・・でもええなー」

 

「冗談だバカ」

 

「ヒドイわ!乙女の純情なんだと思ってんねん!」

 

「そんなもんゴミ箱に捨てちまえ。とにかくお前に拒否権はない」

 

「なんで!?」

 

「お前が強いのは知ってる。けど、お前が女の子であるには代わりない。体調崩してるときに襲われたらどうする?いくらお前でも対処できないかもしれない。」

 

「そんなん・・・・」

 

ジークの肩を両手でつかんで必死に言う。

紫苑の必死な顔にジークは顔を赤らめる

 

「ハッキリ言う。お前が心配なんだ。頼むから安心させてくれ・・・・」

 

「・・・・うん、分かった///」

 

「というわけで行くぞ」

 

 

 

 

ところかわってダールグリュン邸

 

「で、ジークを拉致してきたと?」

 

呆れた様子のヴィクターに俺は

 

「と、いうわけでこの放浪娘を住まわせてくれ」

 

「ヴィクター久しぶり・・・・よろしく」

 

溜息をつくヴィクター。

 

「まぁ、もともとはそのつもりでしたから別に構いませんけど。あなたのやり方は少し強引ではなくて?」

 

「結果的に連れてこれたしいいだろ」

 

「まぁ・・・いいですわ」

 

諦めた様子のヴィクター

 

「ヴィクター!?」

 

「実際貴女のことは心配していたのよ。それに大会前に不安を取り除けるのはいいことよ。」

 

「まぁ、なんにせよこれは決定だから。覚悟を決めろよジーク」

 

「うう・・・・・」

 

「・・・・ついでに貴方も住む?」

 

「は?俺が?」

 

「ええ、別に一緒に暮らしたいわけじゃないけどインターミドルも近いし特訓相手になってほしいのよ。ほら、いちいち呼ぶのも面倒じゃない?ならいっそのことここに住んで一緒に訓練したほうが効率も良いと思うわ。」

 

ヴィクターが妙に必死な顔をして説得に移った。

 

「あー住むのはマズイな。家族が許してくれそうにない・・・・けど泊まるくらいならアリだしそれでいいか?」

 

「ええ!もちろんよ!」

 

ヴィクターの顔が満面の笑みに変わる。

 

「じゃあ、訓練内容はともかく1日だけじゃ意味ないよな?どれくらい泊まる?」

 

「2ヵ月で」

 

「それ予選始まってるじゃねーか!」

 

「冗談よ。とりあえず1週間でいいわ。後のころはその時決めましょう」

 

「OK、じゃあ家に荷物取りに戻るわ。ここから学校にも通わなきゃいかんし」

 

「ええ行ってらっしゃい(今の感じ職場に行く夫を見守る妻っぽくなかったかしら!じゃあお帰りなさいのあれもしなきゃね!!)」

 

脳内で暴走中のヴィクター。

 

「なんやお泊り会っぽくて楽しいなー(1つ屋根の下なら一気に距離を詰めるチャンスや!ヴィクターも同じこと考えてそうやけど出し抜いて見せるわ)」

 

さて早く行くか

 

 

 

 

「ちょっとただいま~」

 

「紫苑お帰りーちょっと?」

 

「あ、なのは姉さんいたのね。」

 

「うん、今日は早めに終わったからねー。ヴィヴィオもクタクタになって帰ってくるだろうし今日の夕飯頑張っちゃうよ!」

 

頑張ってるところ申し訳ないなー

 

「あーごめん姉さん。今日から一週間友人のところに泊まりに行くから夕飯いらない」

 

「え・・・・・?」

 

満面の笑みから一転絶望の表情

 

「一週間も・・・・・えっと、家になにか不満でもあるの?ヴィヴィオばっかりに構い過ぎてイジけちゃった?大丈夫だよ。紫苑のこともお姉ちゃん大好きだから」

 

「いや、そういうのじゃないから。不満なんて何一つないからイジける年でもないから後、俺も姉さん大好きだけどそれ人前で言うのはやめてね?」

 

「じゃあ、なんで?」

 

「インターミドルに出る友人が特訓つけてほしいって・・・家を提供する友人ともう1人と3人で。学校にもちゃんと行くし、いいかな?」

 

「うーん・・・・あっちの親御さんは何て言ってるの?」

 

「いや、あっちは親とは別々に暮らして執事さんと2人暮らしなんだ。心配ないよ」

 

「執事さん・・・・お金持ちなんだねー。今度友達に挨拶させてね」

 

「ああ、まぁ、いずれ」

 

「私は許可するしフェイトちゃんは航海中だからいいけど、ヴィヴィオには自分で言ってね?多分イジけるかもしれないし」

 

「ヴィヴィオには後で通信しとくよ。じゃあすぐ準備して行くから」

 

「うん。行ってらっしゃい」

               

でも驚いたなー。紫苑にちゃんと男友達がいたなんて。学校の友達かな?それとも外で作った?男友達なんてエリオしかいないと思ったけど。なんにせよ紫苑の友達ならきっと良い子だよね。会うの楽しみかも

 

なのはは2つ勘違いをしていた。

1つは泊まりに行く相手が男であると思っていたこと。

そしてもう1つは、紫苑に男友達がいると思っていたことに。

 

 

 

ダールグリュン邸に戻った俺を出迎えたのは、

 

「ご飯にします?お風呂にします?それとも「ストップや!」ジーク邪魔しないで!」

 

エプロンを付けたヴィクターとそれに飛び蹴りするジークであった。

 

「あーなにしてんの?」

 

「た、ただの遊びよ・・・ただのね・・・」

 

「あー・・・・・あ?」

 

「あなたがくるまで暇だったからちょっとハメを外していただけ!気にしないでいいわ!(ジークのせいで完全に失敗したじゃない!なんで邪魔するのよ!)」

 

「紫苑は気にせんでええよ。うちとヴィクターの問題やから(邪魔するに決まってるやろ!なんなん?新妻プレイって・・・・あざとすぎや!)」

 

「あー分かった。いやよく分からないけど分かった。とりあえずメシにしよう。エドガーいるか?」

 

そう言った瞬間エドガーが現れる。

 

「ここに」

 

「飯の準備はできてるよな?」

 

「もちろん、出来ております。」

 

「ならまずは食べて休憩した後に練習しよう。それでいいか?」

 

「ええよー」

 

「それでいいですけど、エドガーが紫苑の執事っぽくなってるのは何故なんですの?」

 

「気にすんな。じゃあ移動しようか」

 

 

 

 

 

飯を食べ休憩した俺たちはトレーニングルームに居た。

 

「さて、具体的にはどうするか決めてるのか?」

 

「ひたすら模擬戦って感じですわね。2人とも扱う流派は違いますから教えを乞うことも難しいですし。」

 

「そうやねーヴィクターや紫苑クラスなら模擬戦だけでも成長できるやろうし」

 

「じゃあ時間決めてやるか。戦闘時間は15分。その後各々納得するまで反省会。それをずっとループする。俺はインターミドル出ないからなるべく2人を中心にやるぞ」

 

「え?出ないん?」

 

「ジークには言ってなかったか、今回妹が参戦するから俺は応援に回る。」

 

「へー妹さんかー」

 

「じゃあ早速始めるぞ。まずはヴィクターとジークからだ」

 

「「はい」」

 

 

3時間経過

 

 

「さすがに・・・・キツイですわね・・・」

 

息を切らしながらその場に座り込むヴィクター

 

「まぁ、実質休憩は反省会の5分程度だしな。お前ら2人なら反省会もすぐ終わるし」

 

「2人レベルだと気も抜けないしホントにキツイなぁ・・・・」

 

「じゃあ総評を俺から。まずヴィクターだが、攻撃も防御もいいけど速度が遅い。スピードを重視する俺らクラス相手には苦戦するぞ。だからお前は読みを鍛えろ。」

 

「読み・・・ですか」

 

「ああ、装甲が厚いから自身のスピードアップはほぼ望めない。なら、相手の動きを先読みして動け。読みを極めれば相手の移動する場所も分かる。一朝一夕じゃ厳しいが残り2ヵ月あるしある程度モノにできるだろ」

 

「分かりましたわ」

 

「一番問題なのはジークだ。お前の場合全ての能力が高水準でスキがない。しかし俺には勝てなかったな。何故か分かるか?」

 

「・・・・分からん」

 

「本来ならお前が全敗なんてあり得ないんだよ。俺とお前に差なんてほぼない。あるとしたら・・・・・覚悟の違いだ」

 

「覚悟?」

 

「俺は守るために絶対に負けないという覚悟がある・・・・・が、お前はどうだ?未だに自身の血を受け入れきれてない部分がある。本気で勝とうとする意志も弱い。だからこそ『エレミア』の制御も出来てないんだろ」

 

「・・・・」

 

「一度自身を見つめなおせ。キツイ言い方するが、その姿勢じゃこれ以上の成長もないし俺には一生勝てない」

 

「紫苑!」

 

非難めいたヴィクターに俺は

 

「黙ってろヴィクター。いつまでも逃げてんじゃねーよ。お前は何のために格闘技をしてるんだ?」

 

そう言うとジークはその場を去っていった

 

「紫苑!ちょっとキツイんじゃないの!あれじゃジークもショックを受けてしまいますわ!」

 

「確かにショックは受けるが、現状でジークより強い俺が言わなきゃいけなかったんだよ。ちゃんと後でフォローはいれる」

 

「今から追いかけませんの?」

 

「今は俺の言葉を受けて考えてるころだからな。後の方がいい」

 

「明日までに直せますの?」

 

「分からない。けど全く受け入れてないわけじゃないんだ。後で話してみるからヴィクターは汗を流してきな」

 

「・・・・分かりましたわ」

 

そう言ってヴィクターは風呂に向かう。

 

「さて、エドガーいるか?」

 

「ここに」

 

「ジークを見張ってろ。無いとは思うが、外出たら教えてくれ」

 

「分かりました」

 

そういってエドガーはここを去った。

 

「あ・・・・ヴィヴィオに通信すんの忘れてた・・・・」

 

 

 

俺はすぐさまヴィヴィオに通信する。

 

『遅い!』

 

「ごめん、怒ってるよね?」

 

『だっていきなり外泊とか聞いてないよ!』

 

「いや、こっちも急だったし・・・・」

 

『しかも一週間も!ヴィヴィオ寂しいな~』

 

「帰ったら何かしらに付き合ってやるから機嫌直してほしいな」

 

『じゃあ一週間一緒に寝ること!』

 

「はいはい」

 

『ヴィヴィオは疲れてるのでもう寝るね!おやすみなさい!』

 

「はい、おやすみー」

 

良い子に育ってるけどまだまだ子供だな。まぁ、甘えられるのは大歓迎だし別にいいか。

 

「さて、ジークの部屋にでもいきますかね。」

 

 

 

ジークの部屋の前までに着いた。

 

「ジークいるか?」

 

「・・・・・・」

 

「まぁ、気配で分かるからいるのは分かるけど(エドガー、ジークの見張り解除していいぞ)」

 

エドガーにそう念話で伝えると気配もなくここを去った。

 

「ああ、鍵開けないと扉壊して入るから。」

 

そういうと慌てた様子で扉を開けた。

 

「傷心中の女の子の扱い考えて!」

 

「悪いがシリアスに付き合う気はないぞ。俺はシリアスが大嫌いだ。」

 

「うう・・・・・入ってええよ」

 

言われずとも入るけどな。

 

 

「で、お前のことだ。色々考えてはみたが何も思いつかなかったんだろ?」

 

「う・・・・・」

 

「というわけで、俺が助けてやる」

 

「え?」

 

「まずは俺が聞く。お前自身その力をどう思ってる?」

 

「出来れば使いたくない。けど、ダメージが一定になると無意識に解放されてしまうからどうにもならんのや・・・・」

 

「なぜ使いたくない?」

 

「だってズルイやん・・・・与えられた力で戦うって・・・・」

 

「それのどこが悪い?」

 

「え・・・・?だって・・・」

 

「与えられた力でもそれはお前自身の力であり、それは周りも納得してる。ミカヤなんかは解放したお前自身を倒したいと思ってるぞ。ミカヤだけじゃない、ヴィクターだってハリーだってそうだ。」

 

「・・・・・」

 

「それとも誰かにズルイって言われたのか?」

 

そう言うとジークは首を左右に振る

 

「だろうな、その力を否定してるのは俺の記憶ではお前だけなんだから」

 

「・・・・・解放したらまた壊してしまうよ?」

 

「俺が止める。」

 

「・・・・・いっぱい迷惑かけるよ?」

 

「友達ってそういうもんだろ?お互い迷惑掛けて迷惑掛けられる。そういう遠慮のない関係が友達じゃないのか?」

 

「・・・・・・」

 

俺は泣きじゃくるジークを抱きしめる。

 

「大丈夫だ。何があろうと俺はお前を見捨てない。ずっと傍にいる」

 

「ずっと・・・・・ずっと怖かった・・・・・この力でみんなが離れていくって思ったら怖くて・・・・力を否定して・・・・」

 

「分かってる。今まで辛かったよな?本当は寂しがり屋のくせに、被害だしたくないから1人でいてさ・・・・でも、これからは大丈夫だ。お前の力もお前自身も俺が守るよ。俺の剣は泣いてる子を守るためにあるんだから」

 

その晩ジークは溜め込んでいたものを全て吐き出した。小さい子供のように一晩中ずっと泣いていた。

 

 

翌朝

 

 

「えへへー紫苑~」

 

「なんですの・・・・これは・・・」

 

俺の腕にしがみつくジークをみて絶句するヴィクター

 

「慰めたらこうなった。後悔はしてない(キリ」

 

「キリっじゃありませんわ!慰めるように言ったかもしれませんが落とせなんて一言も言ってません!」

 

「えへへ~ずっと一緒~」

 

「(クッ・・・・元々好意を持っていたのは分かってましたが好感度が限界突破していますわ・・・・)」

 

「とりあえず離せ。」

 

「え~」

 

「えーじゃない。この状態だと飯も食えないし学校もいけない。」

 

「・・・・しょうがないなぁ」

 

そう言ってジークは腕を離す。

 

「さて、今日の予定は昨日言った各々の課題をこなしてもらう。ヴィクターは読みをジークは力のコントロールだ。ジークについては俺が学校から帰ったら訓練を始める。ヴィクターについては、まず観察力を鍛えてもらう」

 

「観察力ですの?」

 

「そうだ。まずは見た目だけで相手がどんな人間かを把握してもらう。そうすることで相手がどんな性格をしているかを判断し、読みに繋げる。色々資料持ってくるからヴィクターも俺が帰ってからそれについて鍛えるぞ。」

 

「分かりましたわ。」

 

 

そしてこの一週間の訓練合宿が終わった。

隙あらばべったりしてくるジークをヴィクターが止める。この光景も大分慣れたな。

訓練については、一通り終わった。

ジークは無事にエレミアの力を制御できるようになった。とはいっても完全にではなくある程度だ。少なくても俺が見てなくても力を暴走させることはないだろう。

ヴィクターについては読み精度はある程度上がったが、やはり完全ではない。しかし2人とも短期間の成果としては上々だろう。

 

 

「じゃあ俺はそろそろ帰るよ」

 

「えー・・・・ずっと一緒・・・・」

 

「また近いうちに来るさ」

 

「本当にお世話になりましたわ。ジークについてはやりすぎた感がありましたが、ジークがちゃんと吹っ切れたのは貴方のおかげです。ありがとう紫苑」

 

「ん、まぁこっちも勉強になったしな。ジークのことよろしく頼むよ」

 

「ええ、任せてください。ほらジークいつまでも項垂れてないで」

 

「うん・・・・・じゃあまたね。紫苑」

 

「ああ、またなジーク」

 

 

そう言って俺は自分の家に戻った。色々あった一週間だったが(ジーク風呂特攻事件とかヴィクター料理爆発事件とか朝起きたら両サイドに2人がいたとか。夜通し2人とトランプしたとか)あれ?いや、訓練についての記憶が少ないのは気のせいだろう。

 

 

 

「ただいまー」

 

「お兄ちゃん!!」

 

家に着くとヴィヴィオが飛びついてきた。

 

「おーヴィヴィオ久しぶり?でも一週間程度だしな」

 

「一週間でも体感的に一ヶ月ぶりだよ!」

 

「どういうこと?」

 

なのは姉さんもきた

 

「紫苑ー!!」

 

「姉さんどうした?急に抱きついて危ないな・・・・」

 

「だって久しぶりだもん!体感的に1ヶ月は待ったよ!」

 

「それさっき聞いた」

 

血は繋がってなくても親子だなぁ・・・・・

 

「だってお兄ちゃんと一週間も離れたことなかったし・・・・」

 

「そういえばそうだな。地味に最長記録更新か。」

 

以前の記録は修学旅行だ。

 

「そんな記録更新しなくていいよ!今日は練習休みだからずっと一緒にいられるよ!」

 

「私も休みだからずっと一緒にいるよー」

 

「うん、じゃあ今日は家族水入らずということで・・・・フェイト姉さんはいないけど」

 

「フェイトちゃん航海中だからね~。早く戻ってくればいいのに」

 

「仕事だししょうがないよね。じゃあそろそろ離れようか?」

 

この会話中でも抱きついて離れない2人。

 

「やだーこのままリビングまで行ってー」

 

「紫苑がんばって♪」

 

「しょうがないな。ちゃんと捕まってろよ」

 

俺は二人を抱えリビングに向かう。家族に甘々なのは高町家ならしょうがないよね。

 

 

ヴィヴィオはトイレに行くため席を立ち、姉さんがお茶を用意して泊まりについて聞いてきた。

 

「で、どうだったの?」

 

「どう・・・とは?」

 

「色々だよ。遊んできたり練習してきたんでしょ?成果はどうとか楽しかった~とか」

 

「ああ、そうだな。俺自身の変化はそんなにない。基本的にコーチの真似事だったし。ただ、友達のトラウマの克服を手伝いできたのは一番よかったな。」

 

「へーそうなんだ。やるね紫苑」

 

姉さんが笑顔でガッツポーズをとる。

 

「役に立てたのは良かったな。あーでも・・・・」

 

「なにかあったの?」

 

「いやそのお蔭?せい?で凄い懐かれたのはいいけどさ、お風呂に乱入してくるのは焦ったよ。」

 

「え(同性同士なら)普通じゃない?」

 

「え?(異性でも)普通なの?」

 

「んー私よく(フェイトちゃん相手に)やってるしね」

 

「は!?(異性相手に)よくやってんの!?」

 

「え?そんなに(同性同士でお風呂って)驚くことなの?」

 

「いや驚くよ!(異性同士って・・・・)え?そういう相手いたの?」

 

「え?(フェイトちゃんだけじゃなくてってことかな?それならヴィヴィオとかはやてちゃん達とかと入ったことあるし)いっぱいいるよ?」

 

「は!?いっぱいって・・・・」

 

マジかよ・・・・うちの姉はいつから・・・・ヤバイ少し泣きそう・・・・

 

「そんなに驚愕することかな?ヴィヴィオだって(同性同士で)一緒に入ることあるし」

 

「はぁ!?ヴィヴィオも一緒だと!!!」

 

うちの天使と風呂だと!?しかもなのは姉さんも一緒に?ふざけんな俺の家族になんてことしてやがる!

 

「ちょ・・・・どうしたの?そんなに怒ることかな」

 

「そりゃそうでしょ!つーかなに冷静に言ってんの?自分の言ってることおかしいって思わないの!?」

 

「(同性同士でお風呂って)そんなにおかしい?」

 

「いや付き合ってるならいいかもしれないけど、それにヴィヴィオも一緒っておかしいだろ!」

 

「え?付き合う?」

 

「え?付き合ってないの?」

 

「・・・・・もしかして勘違いしてる?」

 

・・・・・勘違い?

 

「なのは姉さんが複数の男とヴィヴィオ連れて一緒に風呂に入ったってことじゃないの?」

 

「え!?ないよ!どんな勘違い!?」

 

「だってさっきそう言ったじゃん!」

 

「違うよ!会話の流れを考えてよ!紫苑の男友達がお風呂に乱入してくるって言ったけど同性なら普通だよねって・・・・」

 

「は?男友達?同性?」

 

「え?男友達じゃないの・・・・・?」

 

・・・・・・・・・あ

 

「えっと・・・・・」

 

「もしかして紫苑、泊まりに行ったのって男友達じゃなくて・・・・・」

 

「・・・・いや・・・その・・・・」

 

「2人の女友達との泊まりだったの?しかも一週間も?」

 

「・・・・・・言ってなかったっけ?」

 

「聞いてないよ!・・・・・・じゃあお風呂に乱入してきたのって女の子なの?」

 

「はい、そうです。」

 

「そうですじゃないよ!もしかして紫苑手を出したんじゃ・・・・・」

 

「してないです!未遂です!何もしてません!」

 

「・・・・・分かった。信じるよ・・・・それにしても女友達だったなんて・・・・」

 

「いや、純粋に仲良いだけだから邪推はしないでね」

 

「分かってる。待望の男友達だと思って嬉しかったのになー」

 

「俺に男友達なんていません」

 

「悲しいこと言わないでよ。あれ?エリオは?」

 

「あれはもはや身内のカテゴリーですし」

 

「そっか。エリオも喜ぶんじゃないかな?」

 

「まぁ、いいや。あ、このことは内緒にしておくからヴィヴィオには言わないようにね。多分卒倒するか口聞いて貰えなくなるかもだし」

 

「あー・・・・うん」

 

ヴィヴィオがトイレから帰ってきた。

 

「おかえりヴィヴィオー」

 

「なに話してたの?」

 

「一週間なにしてたかだよ」

 

「ヴィヴィオも参加する!聞いて聞いてノーヴェがねー・・・・・」

 

やっぱり家族はいいなー。こういう時間を過ごしてると一生このままでいたいと思ってしまうのはしょうがないよな。でも、勘違いだったけどいずれヴィヴィオも男を作るだろう。もしかしたら姉さんたちも旦那を作るかもしれない。そうなったとき俺は耐えられるだろうか?この居心地の良い空間を他人に犯されるのはあんまり気分の良いものじゃない。でも今は、今だけは・・・・

 

「お兄ちゃん聞いてるー?」

 

「ああ、聞いてるよ」

 

この時間をただ楽しもう。いずれその時が来るまでは、この愛しい家族達と共にいさせてほしい




まぁ、紫苑が不安に思ってることなんて一生来ないんですがね(ゲス顔



キャラの口調ムッズいー

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