ダンジョンをとあるチート持ちが攻略するのは間違っているのだろうか   作:しろちゃん

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第40話 ロキ・ファミリアと黒鐘

「皆!!よぉ集まってくれた!!」

 

色が【ロキ・ファミリア】に来てから数日、完全に修復された黄昏の館の大会議室に【ロキ・ファミリア】の団員の殆どが集合していた。

 

「今日集まってくれたのは他でもない、色君の事や!!」

 

ロキは壇上に立ち、大声で自分の胸の内を言い放つ

 

「いいか?うちは色君をこのまま【ロキ・ファミリア】に勧誘しようかと思っとる!!」

 

その暴挙とも取れる言葉に、ロキの眷族達は動揺し

 

「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」」」」」

 

てなかった、むしろ乗り気である。その理由は、色が【ロキ・ファミリア】に起こした改革にあった。

 

「色さんの料理の知識を失うのは惜しいッス!!!」

 

それは料理の知識

 

お好み焼きから始まり、たこ焼きや串カツなどロキの眷族の心を鷲掴みにする料理の(レシピ)を数多く有しており。今日はどんな夕食になるのかを楽しむのは、団員等の共通の日課になっていた。

 

「まだ、まーじゃんの負け分を取り返していませんからね。せめてそれまで残って貰わないと」

 

それは娯楽の提供

 

麻雀や花札、トランプならば大富豪など、今まで思い付かなかった新しい遊びの数々。また、それを賭けにして競い会う楽しみも、すでに団員達に染み付いて、その輪の中に色が居るのも当たり前の様になっている

 

「まぁ、あの子のあんな姿見せられたらねぇ」

 

「あはは、カラス君には残って欲しいかな」

 

それは、とある少女の変化

 

今まで色の事を見かけてはケンカしていた彼女が、まるで性格が正反対になったかの様に色と仲良くなろうとしている。ティオナに至っては今まで一度も興味を示さなかった服装について相談されたのだから驚きだ。

 

「あの子をどうにかして、【ロキ・ファミリア】に入団させられないかしら?」

 

つまり

 

「難しいんじゃないですか?まずは【ヘスティア・ファミリア】を説得して」

 

この数日で

 

「もういっそ、無理矢理改宗(コンバート)させてしまえば」

 

黒鐘 色は

 

「ふぅむ、それなら酒に酔わせてその勢いで」

 

【ロキ・ファミリア】に気に入られ過ぎていた。

 

「静粛に!!皆いったん落ち着きぃ!!それと、無理矢理ってのは無しやで!!!」

 

パンパン!!っとロキは手を叩き、物騒な事を言い始めた団員達を静める。シンっとなった会議室を壇上でじっくりと見下ろしたロキ()は、細目をカッと開き声を張り上げた

 

「我に!!秘策ありや!!!!」

 

そして、【ロキ・ファミリア】の一大プロジェクトが始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、今日は何の用ですか?」

 

「嫌やわぁ色君。そんな怖い顔しんとって?」

 

「はいはい」

 

ロキさんの言葉をおざなり返した俺は、後ろに存在するアイツの気配にため息を吐くのをグッと堪えた。

 

「今日はな?ちょっと行って欲しい所があんねん」

 

「行って欲しい所?」

 

疑問系で返した俺に、ロキさんはスッと一枚の封筒を差し出してきた。裏を見ると、とあるファミリアのエンブレムが

 

「【ヘファイストス・ファミリア】ですか?」

 

「まぁ、中身見てみい」

 

言われるがままに封筒を破り、中身を確認すると、そこには一通の手紙が入っていた。

 

「なになに、手前が防具を作ってやるから来い・・・え、これだけ?」

 

差出人不明の手紙には、その一文だけが書き殴られている。あまりにも雑な字に、他に何か書かれていないかひっくり返したりして、注意深く見てみるが、どう見てもその一文しか書かれていない。

 

「ちゅう訳で、色君には【ヘファイストス・ファミリア】の本拠(ホーム)まで行って欲しいんよ」

 

「ふーん、まぁいいですけど。どうしてロキさんが封筒に入っていた手紙の内容を知ってるのか説明はありますか?」

 

「…………向こうに着いたらヘファイストスによろしゅう言っといて」

 

「うぃッス」

 

さて、何か企みがあると分かった所で行くとしましょうか。【ヘファイストス・ファミリア】には俺も行こうと思っていたから丁度良い――――クイクイ

 

「うん?」

 

部屋を出た所で不意に服の裾を引っ張られたので後ろを振り向くと、アイツが不思議そうに上目使いで見てくる

 

「どうした?」

 

「何も、聞かないの?」

 

「いいんだよ。ロキさんの事だから――――」

 

俺の言葉に納得したアイツは、コクッと一回だけ頷いてから何時ものように服の裾をちょこんと摘まみ、ピッタリと後ろにくっついてくる。

 

慣れて来ている自分が怖いです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして俺がこんなくだらねぇ事をしなきゃならねぇんだ!!」

 

「まぁまぁ、ベートもあの二人の事気になるやろ?」

 

「あぁ!?」

 

「しっ!!ほら動いたで」

 

ロキにせっつかれたベートは前を歩いている二人、羽帽子を被っている色とその後ろを歩いているアイズを渋々尾行する。勿論、第一級冒険者(アイズ・ヴァレンシュタイン)にバレないように遠くからコッソリとつけているのだが

 

『フォ!!』

 

「サンキュー、フォー……ほれ」

 

「え……あの」

 

「早く取れよ、朝ごはん食べてねぇだろ?」

 

「うん、ありがと」

 

大きな身体に合った特製のエプロンをしている異端児(ファモール)から大きめの袋を貰った色は、その中からじゃが丸くんを一つ取りだし、ごく自然な流れでアイズに手渡した。

 

「ハムハム」

 

「モグモグ……おっ新作の雲菓子(ハニークラウド)味結構イケるな」

 

「ハニー………クラウド」

 

「食べるか?高かったから一個しか買ってねぇんだよ」

 

「うん食べる………ハグ。あ、帽子ずれてるよ色」

 

「ん、ありがとよ」

 

色の帽子を直したアイズは、そのまま食べかけのじゃが丸くんを租借し始めた

 

ベートは思う

 

帰りてぇぇぇぇぇぇ!!!!

 

「何が凄いって、二人とも特になんも感じとらん所やな。あれぐらいは当たり前って感じや」

 

「おい、本気で帰っていいか?」

 

「あかんって、ヘファたんの所から戻ってくるまで見張るんがうちらの仕事や」

 

「…………チッ」

 

軽い舌打ちを行ったベートは、葛藤のすえ結局二人を尾行することにした。何だかんだ言ってあの二人の動向が気になるのだ。

 

その後、いくつかの露店をフラフラと行き来しながら、時間を掛けて【ヘファイストス・ファミリア】の本拠(ホーム)に到着した二人は、何をする度に無自覚な戯れ(イチャつき)でベートに膝を付くほどダメージ与えた事も知らずに、中に入っていく。

 

「はぁ……はぁ……なんでアイツら真っ直ぐ進まねぇんだ……」

 

「うんうん、昨日の内にうちが渡したマニュアルしっかり活用出来てるみたいやな」

 

「てめぇのせいかよ!?」

 

ロキが何処からか取り出した、オラリオ露店巡りマニュアルと書かれたパンフレットを、とりあえずベートは破り捨てるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どもー、お邪魔します」

 

「おお、来たか黒鐘。待ちわびたぞ………ん?後ろに居るのは【剣姫】か?」

 

「お邪魔……します」

 

執務室に通された俺達を出迎えたのは【ヘファイストス・ファミリア】の団長、ハーフドワーフの椿さんだ。片眼に眼帯をしている彼女は、俺の後ろにアイツがいるのが余程不可思議なのか、顎に手を当てながら首を捻った

 

「ううむ、確か黒鐘とお主は心底仲が悪かったのではなかったか?それが――――」

 

「悪くないです」

 

「「…………」」

 

俺と椿さんは沈黙した。その原因は、椿さんの言葉を遮ったアイツが一瞬の内に椿さんの目の前に瞬間移動していたからだ

 

「私と色の仲は悪くない……です」

 

「お、おう。仲睦まじいようでなによりじゃ」

 

「なっ………そこまで仲良くも、ないです」

 

そこまで言ってからアイツは頬を染め、スススと俺の後ろに隠れる。何がしたいんだよお前は

 

「とりあえず、この手紙の送り主は椿さんって事でよろしいですか?」

 

「うむ、手前で合っておるぞ。用件はこれじゃ」

 

高級っぽい椅子に腰かけた俺の向かいに座った椿さんは、手紙に送り主が書かれていなかった事を軽くスルーして、今回俺が訪ねた用件(りゆう)を机の上に置いた。

 

「…………はぁ、やっぱり直りませんでしたか」

 

机の上には指の部分が消し飛び、所々に穴が開いている手袋の様な何か――――黒籠手(デスガメ)の成の果てが置かれていた。本来、不壊属性(デュランダル)が施されているガントレットはどんな衝撃を受けても、ここまで壊れないらしい、それがここまでボロボロになっているのは理由がある

 

「すまん、手前が昔作った出来損ないが、よもや市場に売られていようとは。お主達の最初の戦争遊戯(ウォーゲーム)を見た時に気づくべきじゃった」

 

そう、この黒籠手(デスガメ)は椿さんが昔に作った初めての不壊属性(デュランダル)だったらしく。壊れたのはその硬度が後ろでシュンとしている奴のデスペレート(デュランダル)より脆かったからだとか。

 

「別に謝る事ないですよ。黒籠手(デスガメ)には危険な時に何度も助けてもらいましたから。俺が使ってここまで持っててくれただけでも御の字です。黒籠手(デスガメ)サイコー」

 

「そ、そうか。だがの黒鐘、そのぅあまりソレの名前を連呼しないで欲しいのだが………」

 

「なに言ってんですか。良い名前だと思いますよ《黒籠手(デスガメ)》、ヴェルフも褒めてましたし、黒籠手(デスガメ)サイコー」

 

「おおおお主!!わざとやっておるだろう!?」

 

顔を茹で蛸の様に真っ赤にした椿さんは、机をバンッ!!と叩き立ち上がった。実は黒籠手(デスガメ)の制作者が椿さんだと分かったのは【ヘファイストス・ファミリア】に異端児(ゼノス)を配属する時、偶然ここの主神、ヘファイストスさんに黒籠手(デスガメ)を見られたからなのだが、その時にたっぷりと椿さんの黒歴史について語ってくれた

 

「まぁまぁ、椿さんが昔作った最高傑作じゃないですか。名前がおかしい上に渡した人間の腕に全く合わなくて突っ返されたからって恥ずかしがる事無いと思いますよ?」

 

「お主意外と良い性格してるな!?」

 

突っ込まれたので取り合えず「あっはっはっ」と笑っておいた。俺は悪くないよ?悪いのは俺にそういう情報を渡したヘファイストスさんだ

 

「はぁ……はぁ……ま、まぁ、悪いのは主神様が勝手に市場に出していた事を把握してなかった手前だ。新しい防具をタダで作ってやる」

 

「あ、いいです」

 

「なんでじゃ!?」

 

眉間に皺を寄せて顔を近づけてくる椿さんに苦笑いを返す。ちょっとからかいすぎたか

 

「防具ならうちに優秀な鍛冶師(スミス)が居ますから。ソイツに作って貰いますよ」

 

「優秀な鍛冶師(スミス)?ひょっとしてヴェル吉の事か?」

 

「ウッス」

 

出来るだけ、どや顔を作って言ったのだが、椿さんは納得がいってないのか顎に手を置きジロジロと俺の顔を見ながら次の言葉を溢した

 

「ふぅむ。前に会った時は鎧の様に周りをガチガチに固める男だと思っとったが、今はその鎧が取っ払われておるのか」

 

え、鎧?この人なに言ってんの?

 

「はっはっはっ、なに、先ほどからかわれたお返し、冗談だ。だからその殺気を納めろ、【剣姫】」

 

いきなりカラカラと笑いだした椿さんは、いつの間にか剣の柄に手を掛けていたアイツを言葉で制止させた。

 

「…………えい」

 

「あうっ!?」

 

取り合えず脳天にチョップをかましておく。何が気にくわなかったのか分からんが、幾らなんでも抜刀しようとしたのはいかんでしょ

 

「すみません椿さん」

 

「いや、なに…………ほぉ、【剣姫】よ。お主、いい鞘を見つけたな」

 

「!?」

 

先ほどの険悪な雰囲気を霧散させ、真っ赤になってワタワタしだしたアイツとニヤニヤと笑いだした椿さん。話の流れに付いていけないので、今の二人の言葉を考えてみた。

 

うん、俺が鞘で鎧ってやっぱよくわかんねぇわ

 

「黒鐘、やはりお主の防具は手前に作らせろ」

 

「え?いやだから」

 

「作らせろ」

 

「…………」

 

あ、これ駄目なやつだ。

 

アイツをからかっていた椿さんから唐突に向けられた瞳の奥には、良く知る炎が煮えたぎっていた。初めて渡された武器を壊した時にヴェルフが見せた、グツグツと湧き出すような(おもい)

 

「手前はな、あの戦争遊戯(ウォーゲーム)を見るまで、こう考えておった。才能であろうが『血』であろうが、あるもの全てをそそぎ込まねば子供(われわれ)は至高の武器には至れん、とな――――しかし」

 

そこまで言った椿さんは何かを思い出しているかの様に目を瞑った

 

「あの黒大剣と筒は手前の考え(常識)を根本から覆した。特にあの筒、恐らくあれは手前が何もかもを注ぎ込んでも届かない、女神(ばけもの)の領域を超えた何かだ。神の領域を目指していた手前一人では、どう足掻いても、全てを注ぎ込んでも、アレには敵わぬ」

 

次に開かれた瞳に奥には先ほどの炎は消えていて、代わりに何処までも真摯な眼差しが合った

 

「頼む黒鐘…………いや、色!!手前にあの領域を越えさせてくれ!!!武器では敵わん、あの《スキル》の前に手前の力は無力だ。しかし、防具なら越えられる!!お主の《スキル》と手前の技術。この二つが合わされば、あの筒の威力を()えられる筈じゃ!!!」

 

「ちょっとまて!?何で俺の《スキル》の事知ってんの!?」

 

情報の魔女(ピンク・レディ)から情報を買った!!」

 

ミィシャさぁぁぁぁああああああああああああああああん!!!!!!

 

「恥を忍んで頼む!!手前にあの武器を越える防具を!!!最強の鎧を作らせてくれッッ!!!」

 

「えぇ~」

 

とうとう土下座しだした椿さん。どうしよう、梃子でも動かなさそうなんだけど………

 

「あら、もう来てたのね、貴方たち」

 

どうするべきか悩んでいる俺の背後から声を掛けられた。振り向くと、紅い髪に椿さんと同じ眼帯、少しだけ煤の付いた作業着姿の女性が扉を開けており。その背後には、女性と同じような作業着を着て、両耳には【Hφαιστοs】のロゴが彫られた耳飾り(イヤリング)を付けている石竜(ガーゴイル)の姿が伺える

 

「こんにちは、ヘファイストスさん。グロスも久しぶりだな」

 

「此処ニ配属サレタ時以来ダナ、色」

 

「こんにちは―――あぁ、やっぱりこうなったのね」

 

挨拶を交わしたヘファイストスさんは、土下座をしている椿さんを困り顔で見た後、そのまま俺に言葉を繋げた

 

「その子のお願いを聞いて貰えないかしら」

 

どうしよう、すごい断り辛いんですけど

 

「色………あの……取り合えず様子見で作ってもらったら?」

 

「…………はぁ、そうするか。わかりました、一応様子見って事で作ってもらってもいいですか?」

 

結局、横から口出ししたアイツの言葉に便乗することにした。

 

「おぉ、本当か!?許可は貰ったぞ!!」

 

ガバッと顔を上げた椿さんは、瞳をキラキラとさせながら俺の両手を握る。うん、多分様子見って言葉忘れてるね

 

「はっはっはっ!!!よし、では早速取り掛かろう。おっとその前に、その帽子を貸してくれんか?」

 

「え?」

 

ハイテンションで断りもなく俺の帽子をシュッと奪い去った椿さんは、次の瞬間には親の敵でも見ているかの様に手元の羽帽子を睨み付けた

 

「ふん、劣化品の上に《キュクロプス》なぞ生意気な帽子じゃ。色よ、これを使った防具を作りたいんじゃが駄目か?」

 

ニヤリと挑発的な笑み。あぁ、そうか、この人の二つ名。羽帽子の名前教えるんじゃなかったなぁ。

 

「…………わかりました、どうせ駄目って言っても聞かないですよね?だったら好きにして下さい。でも今は使うので止めてくださいね」

 

「よし、決定じゃ!!任せておれ、本物の【単眼の巨師(キュクロプス)】の羽帽子をくれてやる!!!」

 

椿さんが拳を掌に打ち付け、パンッ!!と小気味良い音が部屋に響き渡った。

 

「さて、改めて自己紹介をさせてもらおう。【ヘファイストス・ファミリア】団長にして、現オラリオ最高の最上級鍛冶師(マスター・スミス)、椿・ゴルブランドじゃ。これからよろしくのぅ、黒鐘 色」

 

「はいはい、って一応言っておきますけど、まだ様子見期間ですからね?それと、ヴェルフが嫌がったら止めますからね?」

 

スッと差し出された右手に、自分の右手を近づける。握手が交わされる瞬間、更に上からゴツゴツした石の手が重ねられた

 

「ソウイウ話ナラバ私モ混ゼテクレ。今ハマダ修行ノ身ダガ、イズレハドンナ鍛冶師(スミス)ヨリモ色ノ(ちから)二ナッテミセル」

 

「おい、グロスお前まで」

 

「ははっ、大きく出たな生意気な新米(ガーゴイル)め、手前と好敵手(ライバル)にでもなるつもりか?身の程をしれ」

 

「フンッ、人間風情ガ。スグニ越エテヤル」

 

「おーい、俺の話聞いてます?」

 

頭を垂れて項垂れる俺を他所に、二人は勝手に盛り上がってい。そんな俺の左肩に、隣に座っているアイツがポン、と右手を置いて一言

 

「どんまい」

 

「お前今晩じゃが丸抜きだから」

 

「!?」

 

これから先、何度も二人の防具に助けられる事になるなんて知る由も無かった俺は、固まったアイツの前で盛大に溜め息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方になるまで身体の採寸などをしていた色達がようやく黄昏の館まで帰ると、そこには昼とは見違えるほど変わり果てた館の姿が広がっていた

 

「これってアレだよな」

 

色とりどりに吊るされた提灯(ネオン)に、たこ焼きや射的、くじ引きまで揃った様々な屋台………つまりこれは

 

「焼きそば、焼きそばはどうッすか!!」

 

「りんご飴、出来立てですよ~」

 

「一等は高価な魔剣だよ!!よかったら引いていってね!!」

 

「何故に祭?」

 

【ロキ・ファミリア】の団員達がわざわざ店と客に別れてやっているのは紛うことなき祭だった。しかも学園祭でやるような適当な物ではなく、かなり本格的に作り込まれており、祭囃しまで聴こえてくる。

 

「遅かったやん色君、アイズたん!!」

 

「なんか凄いことになってますね」

 

「うん、凄い」

 

ロキさんの事だから、俺の居ない間に何か仕掛けるつもりだ。とは思っていたものの、ここまで大掛かりな事を僅かな時間で仕出かしたロキ達に、色とアイズは素直に称賛した

 

「ふっふっふっ、凄いやろ?色君がくれた情報を元に極東の祭を再現してみたんや!!」

 

そう言いった後、上機嫌に持っていたジョッキの中身を煽ったロキは、酒気を滲ませながら色とアイズに近づいていく

 

「さぁ、色君もアイズたんも今日は楽しむでぇ!!!」

 

「いや、楽しむのは良いんですけど。どうしていきなり祭なんですか?」

 

色の至極当然な質問に、女神(ロキ)は歯を見せながら

 

「ちょっと早いけど、今日は色君のお別れ会しようと思ってな!!」

 

と、宣言した。

 

そして、数分後………

 

「ぐへへへ~、色きゅんとアイズたんの両手に花(サンドイッチ)状態サイコーや!!!」

 

右手に色、左手にアイズを携えた酔っ払い(ロキ)は、下卑た笑いを浮かべながら、祭風に改造された黄昏の館内を練り歩いていた

 

「あの…………色、ごめんね?」

 

「なにが?―――お、金魚すくいあんじゃん、行きましょうロキさん!!」

 

「おぉ!?」

 

腕を引っ張られ、たたらを踏むロキ。黒鐘 色は結構ノリノリだった。

 

「三回分お願いします」

 

「うむ…………お、誰かと思えば色達か」

 

「ありゃ、ガレスさん」

 

「ガレスも、お店やっているの?」

 

三人分のポイを受け取った色とアイズは、捻り鉢巻きをしながら金魚が入った水槽の前で座っているドワーフの老兵眼を丸くする

 

「がははは、クジ運が悪くてな」

 

「店側と客ってクジで決めてたのか。でも、それだったら面白く無くないですか?」

 

「そこら辺は大丈夫やで、一定時間で交代する事にしてるからな。あ、祭の主役の色君とそのボディーガードのアイズたんは別やで?勿論、主神のうちも」

 

「職権乱用っすね」

 

神の理不尽をしみじみと感じた色は、特に追求することなく金魚すくいをする事にした。結果は、基本不器用な色、力が入りすぎたアイズ、酔っ払って狙いが定められないロキの三連敗だ。

 

次に向かった先は、共通語(コイネー)でお面屋と書かれた屋台だ

 

「三人共、いらっしゃあい!!」

 

「よし、あそこはあかん。回れ右や」

 

「了解」

 

「わかった」

 

「ちょーとまったぁあああ!!!」

 

すぐに引き換えそうとした色達の前に、ネコミミを生やしたティオナが立ち塞がった。まぁ、それはいいのだ、お面じゃなくてもネコミミは可愛い。ティオネがしているイヌミミも似合っている。問題は、あと一人

 

ティオナに強引に連れてこられた三人は、最後の一人の格好を見て頬をひきつらせた

 

「やぁ、良く来てくれたね」

 

「どもっす…………フィンさん」

 

フィン・ディムナは、お面では無く仮面をしていた。飾られているお面も全て仮面だ、しかもロキですら突っ込めないほどの、祭との雰囲気とは場違い過ぎるド派手な仮面。

 

「せっかく取り寄せたのに何故か売れ行きが悪いんだよ。よかったら一つ買ってくれないかな」

 

「えっ………と」

 

色が後ろに居る二人に視線を送ると、ブンブンと左右に首を降っていた。やっぱり嫌かぁ、と思った色だが、フィンの隣で迫力のある笑顔を放っているティオネに逆らうという選択肢は無かった

 

「アイズに一つ下さい」

 

「!?」

 

「アイズたん、どんまい」

 

禁止されていたじゃが丸を解禁されるまで、少女の崩れた機嫌は治らなかったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベンチに座りながら夜空を見ていたら、少しだけ冷たい風が全身を撫で付ける。ずっと歩いて暖まっていた身体が冷やされ、気付けばホっとした息を吐いていた。

 

「隣、いいか?」

 

「いいですよ~、ってリヴェリアさんじゃないですか。ギルドにする報告書の製作は終わったんですか?」

 

「あぁ、お前達が自前に纏めていた資料のお陰で、滞りなく終わったよ。全く、どこまで掌の上だったのか」

 

「あ、あはは」

 

片目を詰むって向けられた翡翠の瞳に苦笑いしか返せない。因みに、資料とか報告書とかは、俺は関与しておらず、大体がミィシャさんの仕業だ。一連の作戦の大元もミィシャさんが考えたってフェルズから聴かされたし、恐らくこのオラリオで一番手を出してはいけないのは彼女なのでは無いのだろうか?

 

「まぁ、今は過ぎ去ったことだ。そんな事より、ふむ………良く寝ているな」

 

「何か酔っ払ったみたいで」

 

「なっ!?アイズに酒を飲ましたのか!?」

 

俺の膝の上に頭を置いて、気持ち良さそうに眠っているアイツに、何故かリヴェリアさんは信じられない物を見ている様な表情を浮かべる

 

「そ、その大丈夫だったのか?怪我とかは………」

 

「怪我ですか?ベートさんが売ってた甘酒飲んだら直ぐ酔っぱらって、そっからは何時も以上に俺に引っ付いて来ただけなんで、転んだりしてないから大丈夫だとは思いますけど」

 

ていうかLv.6のコイツが酔った勢いで転んだとしても傷一つ付かないと思うのだが。以外と過保護なのかな、リヴェリアさん

 

「はぁ………最終的に俺の背中で眠りやがるし、酒に弱かったら弱いって言えっつうの」

 

「うぅ…………しきぃ、喉乾いたぁ」

 

「はいはい、もうすぐロキさんが飲み物取ってきてくれるから、それまで待っとけ」

 

「うん、待つぅ…………えへへ」

 

アルコールが回っている為か、熱くなった頬に手を当ててやった。風によっヒンヤリとした掌が気持ちいいのか、アイツは今まで見た事も無い程にだらしなく頬を緩め、自分の手で俺の手を包み込み、頬擦りを始める。冬場にカイロを持った人間みたいだな。

 

「天然なのか、わざとなのか」

 

「何がですか?」

 

「やはり、天然か―――なに、お前とアイズは似ている所が少々あるようだ」

 

「心外なんですけど!?」

 

二度寝を始めたアイツの頭を撫でながらそう言ったリヴェリアさんに、即座に突っ込む。俺とコイツの共通点なんか人ってことだけだからね?

 

「さて、私もたまには羽目を外すことにしよう。うちの娘を頼むぞ、黒鐘色」

 

「あ、はい」

 

生返事を返した俺に、やけに生暖かい視線を送りながら、リヴェリアさんは祭の喧騒に混じりにいった。何だったんだあの人?

 

「色君ジュース買ってきたで~、アイズたんは大丈夫か?」

 

「さっき起きたんですけど、また寝てしまって」

 

「あのアイズたんが酔った後普通に寝とる、やと………色君はいこれ」

 

「ありがとうございます」

 

リヴェリアさんと入れ替わりにやって来たロキさんに、コップを貰いストローに口をつけた。中身はオレンジジュースらしく、柑橘系の甘酸っぱい味が乾いた口内を満たす。

 

「なぁ色君」

 

俺の隣に腰掛けたロキさんが、自信のコップを見詰めながらポツリと言う

 

「うちの眷族()にならへんか?」

 

「ブッフォッッ!!」

 

予想外の一言に吹き出す

 

「ゲホッ……ゴホッ…いきなり何の冗談――」

 

「本気やで、喉から手が出るほど、うちはアンタ欲しい」

 

「なんで、そこまで?」

 

「理由か?他の眷族()らとの仲も良いし、実力も申し分ない。アイズたんも懐いてるし、何より、今まで聞いたことも見たこともない未知を色君はうちらに教えてくれた。それにな――――」

 

紅眼がうっすらと開かれ、思った以上に真剣な眼差しに息が詰まった。

 

【ロキ・ファミリア】(うちん所)やったら、色君をこれ以上傷付けさせへん」

 

「…………」

 

祭囃しの音が消え、静寂が俺とロキさんを包み込む。気付けばアイツの頭に手を置いていた俺は、サラサラとした感触に感情のうねりを抑えられている事を理解し、大きく溜め息を吐きながらその手を自分の前頭部に持ってく

 

「”何を言っているのか解りませんが”、俺は【ヘスティア・ファミリア】を抜ける気はありませんし、これからずっと彼処が俺の居場所です」

 

言い切った俺に、ロキさんは少しだけ寂しそうな顔をした…………と思う。次の瞬間には明るい口調になっていたので気のせい

 

「かーっ、スカウト失敗かぁ!!いやぁ、フラれたフラれた!!久しぶりに真面目なフリしたら喉乾いたわ!!!」

 

なわけないか

 

「俺、ロキさんの事結構好きですよ?」

 

「ブッフォッッ!!」

 

さっきの俺と同じように、ロキさんの口から液体が噴出された。ベンチの前がビシャビシャ

になっているが、まぁしょうがない。

 

「ゲホッ………ゴホッ………い、いきなり何を言うんや、色くん」

 

「いやいや、本心ですよ?ふざけていてもちゃんと眷族(かぞく)の事を見てたり、落ち込んでいたら笑顔で励ましたり――――」

 

「ななななんや、褒め殺しか!?」

 

「俺もロキさんみたいになれたらいいんですどねぇ」

 

「……ぅ………………うちみたいにって………そんなん………言われたん初めてや…………」

 

ロキさんは下を向いて震えだした

 

ロキさんはコップの中身を一気に煽った

 

コップの中身はアルコールだった

 

「………ぃ」

 

「い?」

 

「いやや」

 

「あの、えっと」

 

「いややいやや!!うちは色君ともっと一緒に居たい!!!色君をうちの眷族にするんや!!!」

 

「ろ、ロキさん?」

 

「もうこうなったら無理矢理色君をうちの眷族にしたる!!グヘヘ~、覚悟や~しっきキュ~ン――――ぼへぇ!?」

 

ルパンダイブを仕掛けたようとしたロキさんは、俺の肩越しからニュッと出てきたお盆により撃墜された。後ろを見ると、黒い巨体がいつの間にか佇んでいる。

 

「サンキュー、アステリオス」

 

「いえ」

 

「くぅぅ、アステリオス!!自分うちを裏切るつもりかー!!うちは主神やぞー!!」

 

「自分が使えてるのはフィンなので」

 

「そうやった!!」

 

そのまま米俵を抱えるように持ち上げられたロキさんは、アステリオスの背中をバシバシと叩きながら黄昏の館に連行されていった

 

「色君カムバァァァァァァック!!!」

 

という絶叫を残して………

 

「あちゃー、駄目だったね」

 

「そりゃそうでしょ、こんな作戦上手くいく訳ないわよ」

 

「チッ、使えねぇ」

 

ゆっくり後ろを振り向くと、何故か【ロキ・ファミリア】の幹部の面々が普通に居た。

 

「フィンさんまで、なにしてんすか?」

 

「んー、スカウト………かな?」

 

「スカウトって………」

 

茶目っ気を少し含んだ物言いに呆れた視線で返す。ベート君はそっぽ向いてるし、ヒリュテ姉妹は苦笑いしてるし

 

「最初っから全員グルってわけか」

 

言った俺は今だに膝の上で寝息を立てているアイツの頬っぺたを摘まんでみた。この人達が集まってるって事はコイツも―――――

 

「んにゅ…………はむ」

 

指を食われた。どうやら寝たフリではなかったらしい。

 

手がベトベトなんですけど

 

「おい」

 

「なんですか?」

 

少しだけ耳と尻尾をピクピク動かしたベート君が一言

 

「入れ」

 

「嫌です」

 

ピシッ

 

「ねぇ、色」

 

「なんですか?」

 

ティオネさんがしなを作って一言

 

「入ってくれるなら、お姉さんがイイコトしてあげるわよ?」

 

「俺年上には興味ないんで」

 

ピシッ

 

「で、でもでも」

 

「なんですか?」

 

ティオナさんが両手を忙しなく振りながら一言

 

「アイズとカラス君すっごく仲良くなったよね!!だから」

 

「俺コイツの事嫌いですよ?」

 

ピシッ

 

半眼で言い返した俺の前には、三人分の石像が出来上がった。

 

「とりあえず、俺は【ロキ・ファミリア】に入る気は無いですから」

 

「ふぅ…………色の意思は固いようだ、解散する事にしよう」

 

「う~、でもアイズが…………」

 

「元々、無理強いはしないって事になっていただろ?」

 

「はぁい。ほら、行くわよ二人とも、団長の手を煩わせない」

 

「ぶーぶー」

 

「チッ」

 

納得していない表情を浮かべる二人は、ティオネさんに背を押されロキさんと同じように強制退場させられていく。最後に残ったフィンさんに視線を向けた

 

「で、作戦の内容は?」

 

「君の故郷を再現して感傷に浸らせ、弱っている所を抱き込む、だったかな」

 

「最悪ですね」

 

「悪いとは思ってるよ」

 

隣に座ったフィンさんにそっぽを向いて、アイツの頭をひと撫で。しかし、気持ち良さそうに寝てるなコイツ、あの騒ぎでもグッスリ寝てやがる

 

「大体なんで俺の事を欲しがるんですか?アステリオスだけで充分でしょう」

 

これは率直な感想だ。フィンさんの目的を達するだけならアステリオス一人だけで何とかなるだろうし、俺よりもアイツの方が強い。まぁ、【食蜂操祈(メンタルアウト)】は有用かもしれんけど、結局俺のLv.より上には効かないし、ロキさんなら兎も角【ロキ・ファミリア】の団員がそこまで俺を欲しがる理由が分からん

 

「確かに、これから先アステリオスが立てた功績は、全て調教師(テイマー)となっている僕の物になるだろうね。ファミリア的にも戦力が増えて助かってるよ。でもね、それでも僕は、僕達は、君の事が欲しかったんだ」

 

「過ぎたる欲は自分の身を滅ぼしますよ」

 

「返す言葉もないよ」

 

フィンさんと俺の間に一陣の風が吹いた。まるで、これで話は終わりだ、と言っているかのように

 

「気分を害して申し訳ない。さて、お詫びと言ってはなんだが、眠り姫を部屋まで送らせてもらおうか」

 

「いいえ大丈夫です、どうせ何時ものように部屋に転がり込んでくるので俺が運びます」

 

キザったらしい台詞を吐いたフィンさんは、瞳を二、三回パチパチさせる。

 

「いいのかい?アイズは華奢な体だがそれでも冒険者だ。君じゃ「余裕ですよ」…………」

 

「こんな奴、【ステイタス】が無くたって重くも何ともないんで」

 

スースー寝ているアイツを背中に移動させる。すると当たり前のように抱きついてきやがった、やっぱ寝たフリなんじゃねぇのコイツ?

 

「色」

 

「なんですか?」

 

「【ロキ・ファミリア】に入ってくれないかい?」

 

「お断りします」

 

そして数日後、俺の【ロキ・ファミリア】監禁生活は何事もなく終わりを迎えたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっだいまぁ!!!」

 

鐘楼の館に黒の少年の大声が鳴り響いた。反響する音が消える頃に、パタパタという足音が館の奥から近づいてくる

 

「しっきくーん!!!おっかえりぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!」

 

「ゴフッ!?」

 

弾丸の様に飛んで来たツインンテールが色の腹に直撃、そのままロリ巨乳に抱きつかれながら悶絶した

 

「だ、大丈夫かい!?まさかロキの所の眷族()に虐められていたんじゃ!?」

 

「…………ぉ」

 

「お?」

 

「お前のせいだぁぁぁあああああああ!!」

 

「うにぁぁぁあああああああああああ!?」

 

瞳に涙を溜めた色がとうとうヘスティアに掴みかかった。餅みたいな頬っぺたが縦に横に斜めに伸ばされ、みょんみょん蹂躙される

 

「わるはっは!!あやまふはらゆるひへふれ!?」

 

「全く、アイツだってそんな抱き付き方しねぇぞ…………」

 

「痛たたた、ボクの頬っぺたがぁ―――――ん?アイツ?色君、アイツって誰だい?」

 

「…………誰でもねぇよ」

 

「あぁ!?隠そうとしてるね!!ま、まさかロキの眷族()と如何わしい関係に!?」

 

「なってねぇよ!?」

 

全力で突っ込みを入れた色は、そのまま館の中にズンズンと入っていく。置いてかれたヘスティアは、少しだけ赤くなった頬を不満そうに抑えながら、その後ろ姿を追った

 

「まぁ、誰に抱きつかれたかは聞かないでおくよ。でも【ロキ・ファミリア】でどんな事をしていたのかは教えてくれるんだろう?」

 

「ん?あぁ、後でな」

 

背中に投げ掛けられた声にそう返した色は、そのまま階段を上がっていく

 

「えぇ、今教えておくれよ。ボクだって戦争遊戯(ウォーゲーム)罰則(ペナルティ)で館から殆ど出ていなかったから、娯楽に飢えてるんだ」

 

「だから後でって言ってるだろ?先ずはやる事やってからだ」

 

色が向かった先は自室だった。扉を開けると、簡素なベットと魔石灯(ランプ)が備え付けられた勉強机やノートと本が立て掛けられている本棚が出ていった時と変わらずに鎮座している。

 

「ねぇ、色君」

 

「積もる話は後だ後、先ずは【ステイタス】の封印を解いてくれ」

 

「…………」

 

ベットの上に寝転がった色の言葉に、ヘスティアは

 

「君の【ステイタス】の封印は解除しない」

 

と言った

 

 

 

 

 

 




レフィーヤは報告書作りを手伝って疲れて寝てるっていう設定。

本当は次の話と一纏めにする予定だったんですけど、文字数多すぎて重くて書けなくなってきたので区切らしてもらいます。

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