ダンジョンをとあるチート持ちが攻略するのは間違っているのだろうか 作:しろちゃん
長時間行われた
「それにしても、お前ら
「だよね、僕も魔石食べて強くなれないかなー」
「お、おい止めろベルっち。腹壊すぞ?」
「ははは。冗談ですよ、リドさん」
「勘弁してくれよ~」
と言う緊張感も何もない会話をするのも楽しいものだ。ウィーネも
「クロっち、ウィーネはどうするんだ?連れて帰るのか?」
掃除の手を止めずにリドが聞いてくる。取り敢えずクロっちは止めろ
「いや、ウィーネはここに残すぞ」
「えー!?いやっ!!色といっしょがいい!!」
恐らくモンスターの鋭敏な聴覚で聴こえたのだろう。乗っていたフォーの肩から飛び降りて走ってくるウィーネは、そのまま俺に抱き着いた。やだ、うちの子可愛い過ぎ
「安心しろウィーネ、俺もここに残るからな」
「お、おいクロっち!?」
「本当に!やったー!!!」
頭を撫でながらそう言うと、ウィーネは目をキラキラさせてギュー、と抱き着いてきたので俺も抱き締め返す。春ちゃんが、「
「ほ、本当に残るのか?いいのかベルっち」
「いいよ」
「軽いな!?」
素っ気なく了承したベルにリドの蜥蜴顔が驚の声を上げる。ベルの態度に苦笑いていると、
「いい加減にしろ!!お前がここに残る?私は人間など信用していない!!」
声を荒げる
「いいか、良く聞け。お前達人間は狡猾で、残虐で、例え
【
そんな昔の事を思い出しながら、目の前の
「だったら指切りしようぜ、ラーニェ」
「ゆびきり、だと?」
恐らく初めて聞くであろう単語に警戒する彼女を安心させるため、指切りの説明をする。
「これは簡単に言うと嘘をつかない為の儀式みたいなもんだ。取り敢えずそっちの小指借りるぞ」
「お、おいこら!?勝手に触るな!!」
小指を無理矢理絡めさせられ、騒ぐラーニェ
固唾を飲んで見守る
少しだけ笑みを作る【ヘスティア・ファミリア】
そして真剣な眼差しを向けるフェルズ
その場に居る全ての生命の視線を浴びながら、その儀式は始まった。
「俺はずっとお前達の味方でいるし裏切らない、まぁ出来る限りお前達の夢も叶えてやる・・・約束だ」
「なっ!?そんな事、信用出来るわけ」
「ゆーびきーりげーんまーんうーそついたらはーりせーんぼーんのーます」
「!?」
「ハ、針千本!?」
「おいおい!?」
驚きの声を上げる
「ゆーび切った」
「・・・・・・」
恐らく一番驚いているのは目の前の
「ほ、本気か?」
「応、男に二言はねぇよ」
「し、しかし私達は
「そりゃお前達が俺達を襲うって言うのなら、この約束は無しだぜ?」
「ッ!?・・・・勝手にしろ!!!」
そう言うと彼女は上半身に着ている冒険者の鎧を大きく鳴らし、踵を返して奥に行った。ふぅ、取り敢えずこれで一件落着だな。
片付けに戻ろうとするとフェルズが黒衣を揺らしながら俺に近づいてくる
「彼等の為に愚者になってくれたこと。今一度、心より感謝する」
「馬鹿にしてんのか」
「!?」
いや、なに驚いた風に肩跳ねさせてんの?指切りしただけで愚者とか言われたら俺だって怒るよ?
それから暫くして片付けが終わり、
「色殿、取り敢えず針千本用意しときますね」
「命ちゃんが珍しくブッ込んできた!?」
突っ込む俺にアタフタと手を動かす命ちゃん
「い、いえ、これはリリ殿が緊張を解すためと言われて」
「なに言ってるんですか?まさか本当に言うなんて思ってなかったですよ。色さんの事を信用しているのなら普通は思い止まると思いますが?」
「リリ殿ォ!!!」
掴み掛かる命ちゃんに応戦するリリ。しかし
「わぁぁああ、ウィーネちゃぁあああん!!!」
「春姫泣かないで。また会えるから大丈夫だよ?」
案の定、春ちゃんはウィーネに抱き付いて号泣しているし。どっちが子供だかわかんねぇな
「いいかお前ら、良く聞け。これは氷の魔剣で、こっちが風の魔剣だ、これを同時に使って」
そして、そんもん関係ないとばかりにヴェルフは
別れの挨拶なんて無かった
最後にベルが膨らんだバックパックを俺に渡してきた。
「色、取り敢えず
「いや、そこまでは要らねぇよ。
「ははは、大丈夫だよ。色一人が抜けたぐらいで、どうにかなる
「言うねぇ」
そんな軽口を叩きながら、お互いの拳をぶつけ合わせる
「そっちは任せたぜ、ベル」
「うん任せて。色も、大丈夫だよね?」
「応、その為の
そうしてお互いの拳を離し、一旦別れることにしたのだ。
「こいつらの味方だぁ!?化物を大量に殺してるお前が、化物に加担するってのか!?黒鐘 色ィ!!!」
ミィシャさんから聞いた通りの容姿をしている男の名前は、ディックス・ペルディクス。【
「化物を助ける義理が、価値が何処にある!!」
ギラついた瞳を
「なぁ、人を恐怖させる物の条件って知ってるか?」
「あぁ!?お前いきなり、何の事だ!!」
怒鳴ってはいるが、動きは止まった。相変わらず物凄い殺気だが、話は聞く気らしい。
「一つ、怪物は言葉を喋ってはならない」
俺は見せつける様に指を立て
「二つ、怪物は正体不明でなければいけない」
そのまま教壇に立つ教師の様に歩き
「三つ、怪物は不死身でなければ意味がない」
最後に笑みを浮かべ、ディックスを見た
「以上が、人を恐怖させる化物の条件だ」
「なんだ・・・そりゃ」
何か呟きが聞こえたが、構わず続ける
「さて、これを
「・・・・・・・・」
「まず一つ目、これは言わなくてもわかるよな?あいつ等は俺達人間と会話が出来てる」
「・・・・・・・・まれ」
「そして二つ目、あいつ等は自分達に
「・・・だまれ」
「最後に三つめ、あいつ等言ってたぜ、死にたくないって。死ぬ事を恐れてる時点で不死身とは、かけ離れてる。以上三点で
「だまれ!!だまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれぇええええええええええ!!!!」
判断は一瞬、フリュネ師匠との修行で前より研ぎ澄まされた感覚を頼りに腕をクロスさせ、突如視界から消えたディックスの赤槍が
薄暗い『大樹の迷宮』の壁に戟音が反響し、【
「ははははは!!!どうした黒鐘ェ!!防戦一方じゃねぇか!!」
「チッ!!」
縦横無尽。縦に横に宙に地面に怪物の様に駆け抜け、応戦する色に対して、ディックスの長槍はまるで蛇のようにうねり、繰り出される拳や蹴りを叩き落とし、空に逃げる事も許さず、激烈に突き刺していく。
「グッ・・・クソがぁ!!」
畳返しの様に捲れ上がる地面、しかし槍を凪ぎ払い、力業で地面の壁を吹き飛ばしたディックスとの接近戦は、終わらない
「大層な事をほざいてた割には口だけだじゃねぇか!!所詮てめェはその程度なんだよ!!おら、何とか言ってみろォ!!!」
「ガッ!?」
激しさが増していく紅槍の応酬に、風を操る事も出来なくなり地面に叩き落とされた。止めとばかりに降ってくる矛先の雨を、地面に落とされた際の衝撃のベクトルを操り、滑るように離脱。黒髪三本を持っていかれながらもディックスとの距離を空けることに成功する
「ハッ!何度でも言ってやるよ!!俺はあいつ等の味方で、仲間だ!!てめぇとは違うんだよ、
色の反撃が始まる。砂鉄の剣を生み出し、ディックスの両側から挟撃、更に発生させた小規模なプラズマを正面から飛ばす。
「俺とお前が違うだと?違わねぇさ!!お前だって化物と長く居ればいずれ掌を返すに決まってる!!!」
その場に深く腰を落としたディックスは、腰のポーチからバトルナイフを引き抜き両刀の構えを取った。そして槍と剣を音を置き去りにする程の速度で振るい、砂鉄とプラズマを傷一つなく叩き落す。
想像を絶する第一級冒険者の絶技に思わず色の頬が引きつった。しかしそんな理不尽は何回も
「何故ならなぁ、俺達が人間であいつ等がモンスターだからだ!!」
周りに漂う砂鉄を気にも止めず、ディックスは両手を開き色を嘲笑う。
「世間知らずのお前に教えてやるよ黒鐘!!モンスターってのは人類にとってはどうしようも無い病原菌なんだよ!!大量の人類をブッ殺してきた病原菌が、人間と仲よくなりたいだの誰も殺さないだの言ってるんだ!!そんな奴らと仲よくしてみろ?今に全ての人類がお前を殺しにくるぜ!!それでもお前はあいつらの味方でいられるのかよ!!!えぇ!!答えてみろ!!!」
確信だった。ディックスにとってこの問題は解決出来るわけが無いと断言出来る真実だ。神々が降りてくる遥か昔から人類を襲い続け、現代も犠牲者を出し続けるいる
しかし、ディックスは知らない。
この場にいるのが、この世界において最大級の
「味方でいる」
「・・・は?」
その言葉で戦闘中にも関わらず、ディックスの頭の中少しの間真っ白になった。
「味方でいるって言ってんだ。病原菌っていっても種類は様々だし、人間だって体の中には常に何かしらの菌と共存してる。それに病原菌からはワクチンだって出来るんだぜ?まぁ、それと」
そこで色は自分の小指をディックスに見せつける様にして言った
「約束したからな」
確かに、先程の言葉を反論出来る人間なんてこの世界には、それこそ神ですら居ないのかとしれない。しかし、
「は、ははははははははははははははははははははは!!!!!最高に狂ってるぜお前はァ!!!だったらどうするか言ってみろよ!!俺に苦戦しているような奴が全人類からアイツらを守んのか!?それとも隠すのか!?でも残念だったな黒鐘ェ!!俺は決めたぜ、アイツ等を全滅させてやる、例え何処に隠れようが見つけ出して
遂にディックスは本気で動き出した。周りの砂鉄も気にせずに振るわれる全力の突き。音速を超えるそれを籠手で受けた色は宙に飛ばされ、激しい音と共に壁に叩きつけられる。
「グッ!?」
「そうだなァ、まずはテメェが逃がした
攻撃は止まらない。
「ガーゴイルの化物もいたなァ!!アイツは固そうだから剣の試し切りに丁度いいぜェ!!」
防御もままならない。
「リザードマンの化物は尻尾から徐々に切り落として、上半身だけの
回避も不可能
「最後はお前の飼ってるヴィーヴルだァ!!両手両足を切り落として、頭の宝石を引っこ抜いた後にお前を喰わしてから首を落としてやる!!!」
そんな中、黒鐘 色は三日月の笑みを浮かべ
「ディックス、お前何を焦ってるんだ」
ディックス・ペルディクスの瞳孔が開いた
ディックスがそれを見たのは偶然と言えるだろう。偶然通りかがったとある通りに、偶然とある男女の楽しげな声が聞こえてきたのだ
「ねぇねぇシキ、あれはなぁに?」
「あぁ、これはじゃが丸君って言う食べ物だ、食べるか?」
「たべる!!」
片方は全身真っ黒な男、もう片方は青銀の髪に鍔広帽を被った女、二人とも服装からしてギルド職員だろうか?
昼間っからお熱いねぇ
男の方はポケットに手を突っ込み、女の方はその腕に自身の腕を絡めている。恋人オーラ全快の二人にディックスは呆れた視線を向けた
「じゃあ自分で買ってみるか?ほれ、お金渡してやるから何事も経験だぞ」
「いいの!?わ、わたし頑張る!!」
フンス!と気合いを入れる少女と優しく見守る男。身長からしてある程度の年齢と思われる二人のヘンテコなやり取りは、周りの人間からしたら奇異に映っているだろう。
もしここで少女がじゃが丸に興味を持たなかったら、もしここで少年が少女にお金を払わそうとしなかったら、もしここで少女がお金を取り溢さなかったら。
ディックスの運命は変わっていたかもしれない
チリーン
それは極々小さな音だった、しかし先祖からの血の呪いのより迷宮ダイダロスを築き上げる為に金に対して敏感になっている男の耳にはハッキリと聴こえた。
聴こえてしまった。
「おいおい、大丈夫かウィーネ?」
「あぅ、ごめんなさい・・・えっと、あったよ!あ!?」
落とした金貨を取ろう屈んだ時に、帽子が落ちたのだ。現れたのは異形の額、その宝石は誰が見てもモンスター『
なぁ!?
ディックスから言葉が失われる。理由は町中にモンスターが出現したこと、ではなく。
町中にモンスターが出現したにも関わらず、誰一人としてパニックになっていなかったからだ。
「何が、起こってやがる」
理解が追い付かない間に異形の少女は人通りの多い昼下がりの道で堂々と帽子を被り直し、隣の男に教えてもらった手順で当たり前の様に買い物を済ました。
「はい、小豆クリーム味。一個オマケしといたからねウィーネちゃん」
「わぁ、ありがとう!」
「サンキューおばちゃん。それじゃ帰るか、ウィーネ」
「うん!」
ディックスはまるで時が止まったかのように静止していた。そんな彼に見せつける様に買い物を終えたモンスターと人間が寄り添って近づいてくる。
なんで、周りの奴は何も言わねェ!いったいどうなってやがんだ!?
男とモンスターの歩みは止まらない、近づいてくる
「ッ!?」
そして、男とモンスターはディックスの横を何事もなく通りすぎた。
見えた男の横顔は先日の
「・・・黒鐘 色」
呟いた言葉は回りの喧騒に消えていく
「あれからだッ!!あれから俺の中の何が変わっちまった!!お前のせいでッ!!!」
激化していく戦闘の中、ディックスは思う、コイツとあの
「あの化物共を辱しめ、泣かせて、絶望させて、ゴミクズみたいに扱ってるだけで満たされてた!!血の飢えを鎮めることが出来たんだ!!!」
赤槍と黒籠手の間に火花が激しく舞い、周囲の木々が削れ、散乱する。
「なのに満たされなくなった!!!あれを見た日から全く満たされなくなったんだよ黒鐘ェ!!!」
上に下に右に左にコロコロ変わる体制の中、武器と武器を撃ち合わせながらもディックスの言葉は止まらない。
「お前のせいだ!!お前のお前のお前のお前のお前のお前のお前のォ!!お前さえ居なければ!あの『呪い』に変わる『欲望』に浸っていられたんだ!!!お前が俺にあの『世界』を見せなければ!!!」
色とウィーネの光景はディックスにとって鮮烈だった、鮮烈過ぎたのだ。今までの価値観を根底から覆すほどに、別の世界を見せられていると錯覚する殆に、鮮烈過ぎた。
それを、頭の中から消し去ろうと尚もディックスの攻撃速度が上昇する。しかし色もただやられている訳ではない、相手の攻撃を受け流し、徐々に徐々にカウンターを決められるようになっていた
こいつ、動きが変わってきてやがる!?
驚愕するディックスに今度は色が言葉で応酬する
「俺のせいにしてんじゃねぇよ」
「あぁ!?」
「お前が『
「お前ッ!?」
どうして『
「でもな、その欲が満たされなくなったのは俺のせいじゃねぇ。お前も自分で気づいているんだろ?」
そんな事はどうでもよくなった
「テメェェエエエエエエエエエエ!!!」
殺意の塊が黒鐘 色に襲い掛かる。赤い槍が雨の様に降り注ぎ、確実に殺すという意思の下、逃げ場すら射程にいれて、遂に体の中心に矛先が向けられた
しかし
ガキィン!!
という金属音と共に突如現れたリザードマンにその矛先が逸らされる
「な・・・にぃ!?」
「遅くなっちまった。わりぃクロっち」
「遅せぇよリド!!どんだけ時間稼ぎさせるつもりだ!!」
「すみまセン色さん、如何セン冒険者が強くて。それと砂鉄の道標もヤッテいただいて、助かりマシタ」
「お、レイが来たって事は全員揃ったんだな。それじゃあレーダー発動しますか」
「ありがとうございます色さん!魔剣のお陰で誰一人傷付く事無く対処出来ました」
「フィア、そのお礼はヴェルフに言ってやってくれ」
武器を弾かれたディックスに呆けている暇は無かった。次々と
「はぁッ!!」
「オオオオオオ!!!」
「てりゃ!!」
「チッ!クソッ!!何がどうなってやがる!?」
そして次々と向かい来る脅威を避ける【
「あぁ、ディックスさん。一応言うけど、あんたの【ファミリア】は全滅した」
ディックスが言われた言葉の意味が分かるまで少しの時間が掛かった。しかし返しの言葉は言えない、リザードマンが参戦したためだ。
「あんた達の動きは最初からわかってたんだ。そもそも俺に隠れて尾行するなんて真似は意味が無いんだな~これが」
沸騰しそうな頭を無理やり冷ましてリザードマンの
「それで、尾行を無理矢理引き剥がす為に行ったのが
途中で尾行が撒かれた理由が判明するが、鮮血を吹き出した体が口を開くことを許さない
「後は簡単だ、【イケロス・ファミリア】で一番強いあんたを俺が抑えて、その他の雑魚は
ディックスの過ちは黒鐘 色を偽善者だと思い込んでいた事だ。実際には違う、黒鐘 色の本質は偽善ではなく自己満足。
故に、自分の欲求を満たすために
その
「と、言う訳でチェックメイトだ」
「黒鐘 色ィイイイイイイイイイ!!!!!」
憎悪、怒り、憤怒、殺意、考えうる全ての負の感情を一人の名前に込めて吐き出した。
そして・・・片腕を伸ばし
「【迷い込め、果てなき
いいか、ディックス。黒鐘 色の対処法は
「【フォベートール・ダイダロス】!!!」
主神の忠告も忘れ、超短文呪文を発動させたのだ
場所はギルド本部、『祈祷の間』
「なるほど、 理知を備えるモンスターか」
ベル達が出掛けた後、直ぐにフェルズに連れてこられたヘスティアは、手で顎を押さえ、下を向き、目の前に座している巨神、ウラノスが語った
「一つ質問していいかな、ウラノス?」
「なんだ」
「ボクの子供、ベル君が見たって言ってたんだが、喋るバーバリアンについて何か知っているかい?ガネーシャに連れていかれたって聞いたんだけど、
「あれを助けたのはガネーシャに変装したフェルズだ。今は私の部下に匿ってもらっている」
「ふーん、ミィシャ君も大変だねぇ」
「!?」
目を見開いたウラノスに、露骨にぼかされた情報を言い当てたヘスティアはしたり顔を向けた。
「どうして、わかった」
「いや、わかって無かったよ。ちょっとカマを掛けてみただけだ」
それにしてもミィシャ君も苦労が絶えないね。なんてヘスティアは言っているが、その苦労の原因の大半が自分の子供関連だという事は理解しているのだろうか?
「それで、まだボクに隠していることがあるんだろ?言ってみなよウラノス」
「・・・鋭くなったな、ヘスティア」
「うちの子に嘘を見抜けない子が一人居てね。こういうのには馴れてるんだ」
「そうか・・・」
ウラノスは目を瞑り、少しの間思案した後、口を開いた
「お前は黒鐘 色がどうやってこの世界に現れたのか覚えているか?」
「ッ!?」
今度はヘスティアが驚愕に目を見開く。彼女は色がこの世界のに来た時の事を酔っていたため殆ど覚えていない、何より本人がどうやってこの世界に来たのか、わからないと言っていた事をどうして、
「偶然フェルズが見かけてな。お前の目の前の何もない空間が罅割れ、出てきたらしい。まるでモンスターがダンジョンから生まれ落ちる様に、な」
「それは、どういうことだい?」
言葉が止まるウラノス、それはヘスティアも同じだった。二人の間の沈黙を先に破ったのはウラノスだ
「私はこう思うのだ」
空を見上げた巨神は呟く
「彼こそが、人と
その瞳の先に映るのは・・・
『『『『『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!』』』』』』』
空を飛んでいる俺の眼下には理性を失ったモンスターが暴れ狂っていた
「こ、これは、どういうことだ」
「
「カース?なんだそれは?」
小脇に抱える
「なんだそれは!?防御不可能の呪いだと?どうやっても勝てないじゃないか!?」
「まぁ落ち着けって、この手の
俺の目に飛び込んできたのは暴れるウィーネをディックスが捕らえようとしている光景だった。
「あんにゃろう、ブッ殺してやる!!!!」
「お、おい!?まて、落ち着けッ・・・・色!!!」
突撃をかまそうとする俺をラーニェが止める。止めると言っても抱えられているので、必死に抱き付いているだけなのだが
「離せラーニェ!!アイツ殺せない!!!」
「冷静になれと言っているんだ!!今突っ込んだら
「知るかんなもん!!すり抜けながらかっさらってやる!!」
「それ私の安全考慮に入れてくれてるよな!?」
キーキー騒ぐ
クソッ!めんどくせぇ!!
「・・・いや、もしかしたら何とかなるかもしれねぇ」
「な!?本当か!!」
思い出した。それとも、思い知らされたと言うべきか。
「ダメ元でやってみるか」
片手を狂宴を続ける
使用する能力は『めだかボックス』の登場人物の一人
都城 王土
使う能力は【人心支配】
まぁ人心支配なんて言っても、実際は指先から出す電磁波によって対象の駆動系に干渉し相手の体を意のままに操るだけだ。
漫画の描写を見て思ったのだが、同じような能力の御坂美琴でも似た事が出来るのではないのだろうか?
「ふぅ、いくぜ」
電磁波を広げる。レーダーとはまた違った感覚が俺に伝わり、
「【ひれ伏せ】」
それは起こった
「ゴッ!?」
「色!?」
体内で荒れ狂う魔力を知覚した色は、咄嗟にラーニェを投げ飛ばす。そして起った大爆発、花火の様に小さな電撃を撒き散らしながら血まみれになった黒鐘 色は、まるでゴミクズの様に地面に叩きつけれた
「なん・・・で?」
その疑問に答える物は居ない。色自身、黒いゴライアスに初めて使った時ですら、完璧に制御出来ていたそれを制御が出来なかった事に、痛みより先に疑問を覚えたぐらいだ。
そんな色に近づく人影が一人
「どんな魔法を使おうとしたのか知らねぇが、ざまァねぇな黒鐘」
色を見下ろすのは、
「ウィ・・・か・・・・せ」
「本当は直ぐにでもテメェをブッ殺してやりてェ所だが、今ここでそれをやると化物に殺されそうなんで止めといてやるよ」
ディックスとの戦闘と
「だからまぁ」
それでも気力だけで必死に伸ばされた片腕は
「お前も狂えや」
「【フォベートール・ダイダロス】」
色の意識は途切れた
「ids殺wq」
いやぁ、【イケロス・ファミリア】は強敵でしたねぇ。