ダンジョンをとあるチート持ちが攻略するのは間違っているのだろうか 作:しろちゃん
「アポロン様の言われた通りでございました」
「そうか、では手筈道理に頼んだぞ」
そう告げる短髪の少女に主神アポロンは一言だけ言い残し退出を命じた。
「本当に運がないわね、あのファミリア」
広い廊下に短髪の少女ダフネの足跡だけが響く
「それにしてもアポロン様も酷な事をするわね、たった一人の為にファミリアの殆どを差し向けて、【ロキ・ファミリア】の子まで利用するんだから」
会議室ともいわれる大広間に足を進めながら、ダフネは自身の主神が言った言葉を思い出した。
「兎を捕獲するために鴉を落せ、か」
緊急の
「全く、勘弁してほしいわ、ってカサンドラ?」
「どうしたのよ?そんな所で」
声を掛けるとカサンドラは膝に埋めていた顔をのろのろと上げ、此方を見つめてくる
「・・・ょ」
「カサンドラ?」
小さくつぶやかれた言葉は届かなかった、ダフネは仕方なしにカサンドラの目線に合わせるように自身もしゃがみこむ
「逃げようよ、ダフネちゃん」
聞こえた言葉にダフネは驚いたように目を見開いた、何故ならその言葉はもう出ないと思っていたからだ。
「なに、言ってるのよ」
確かに【アポロン・ファミリア】に入ってからも、逃げたいと思ったことはある、しかしそれが出来ないのはカサンドラも解っていたはずだ、どうしてそんな事を今更になって言うのか、ダフネはカサンドラに問いかける
「カサンドラ、それが出来ないのは私達が一番わかって「駄目なんだよ」・・・へ?」
ダフネはカサンドラに言葉を遮られた事にまたも驚く、カサンドラが自分の言葉を遮ったことなど無かったらだ
「鴉に手を出しちゃダメなんだよ、白い兎は幸運を呼ぶけど黒い鴉は不幸を呼ぶ、ううん、あの黒はその内すべてを呑み込む」
ダフネは今になってカサンドラが酷く震えているのに気付いた。
「ちょっと大丈夫!?」
「ああああああ、黒に飲み込まれる!全部、全部、人も町も太陽も!ねぇ逃げようダフネちゃん!此処に居たら一緒に呑み込まれちゃう!!」
【アポロン・ファミリア】が
「頭痛ぇ」
「ここは、家?えーと、昨日何があったんだっけか?」
頭を押さえていた手をどけ、机の上のコップに入っている水をボーっとしながら飲み、昨日の記憶を思い起こす。
「わ、私はレフィーヤ・ウィリディスと言います、そこの男、黒鐘 色に裸を見られた責任を取らすために来ました!」
そう言われてリオンさんとアスフィさんはゆっくりとこちらに振り向いた
「色さん、説明していただけますか?」
声のトーンからして笑顔で言っているみたいだが、リオンさんの目は笑っていない。凄く・・・怖いです
「わ、悪いけど記憶にない」
エルフの少女はその言葉に怒ったのか、俺に詰め寄って来て怒鳴りつけた
「あ、貴方が18階層で私の着替えを覗いてアイズさんに吹き飛ばされたって事は知ってるんですよ!?」
「はぁ?」
言われた言葉に顔を顰める、勿論そんな事実は無い、と言うより向こうからいきなり攻撃してきたのだ、俺は事実無根だとエルフの少女に言い返した
「な、白を切る気ですか!目撃証言だってあるんですよ!?」
「知らんもんは知らん、てかなんだよ目撃証言って誰が言ってた!」
「大体おかしいと思ってたんですよアイズさんがいきなり暴力を振るうなんて!」
「人の話を聞けぇ!」
ヒートアップする口論に周りの客達が囃し立て始める
「お、なんだ兄ちゃん痴話喧嘩か?」
「女を怒らせたらとりあえず謝っとけ!」
「とりあえず殴られろ!」
「うっせぇ!黙れ!」
「し、色さん、少し落ち着いてください」
他の客に叫び返す俺に声を掛けて来たアスフィさんはレフィーヤと名乗ったエルフの少女に向き直った
「私も色さんの話を聞きましたが、あの件はアイズ・ヴァレンシュタインが一方的に色さんを殴っていたと聞いておりますが?」
俺は首を何度も縦に振る
「そ、そんなの嘘です、だってさっき女の人が言ってたんです。
「誰だよそんな嘘垂れ流してんの!俺はそんなことしてねぇ!!」
「それこそ嘘よ!アイズさんが何の理由も無しに人に危害を加える訳が無いじゃない!!」
またも口論を始めた俺達にアスフィさんは深い溜息を吐き、今度はリオンさんが待ったを掛けた
「お二人とも、決着を着けたいなら私にいい考えがあります」
「「いい考え?」」
聞き返す俺とレフィーヤに喉が渇いたのかジョッキに入っているお酒を飲み干し、リオンさんは続ける。
「勝った方が正義、そう、決闘を行いましょう!」
自身の木刀を掲げ、リオンさんは恐らくだがドヤ顔で言い放った。
「もう、好きにしなさいよ」
アスフィさんは頭を抱えた
「いいですか?私が勝ったらしっかりと謝罪してくださいね?」
「解った解った、その代わり俺が勝ったらお前が謝れ」
俺達はいま豊穣の女主人の前で距離取り、にらみ合っている、周りにはギャラリーとなる客や店の店員まで集まっていた
「ちなみに言っときますけど私はLv.3ですよ?Lv.2になったばかりの貴方じゃ逆立ちしたって勝てないと思いますが?」
馬鹿にしたように言ってくる少女に俺は挑発的な態度で言い返す
「あまり強い言葉を遣うなよ。弱く見えるぞ」
「おおお、かっこいいぞ兄ちゃん!」
「それで負けたら恥ずかしいぞ黒いの!」
「てかあの黒いのゴライアスと戦った奴じゃない?」
「色さんかっこいい!」
「リオン、あんた本格的に酔ってるわね」
「クッ!いいでしょう、実力の差というものを見せてあげます!」
レフィーヤは手に持っている杖を振りかぶり、
「私は魔法専門ですけど、それでもLv.2の貴方には近接格闘だって劣りません!」
力いっぱい振り下ろされたエルフの杖は俺の頭上に直撃して・・・折れた
「・・・へ?」
「ベクトルデコピン!」
「はぅっ!?」
反射により折れた杖を呆然と見ているレフィーヤに俺はベクトルを操作した必殺の
「「「・・・」」」
「さすが色さんです!」
口々に騒いでいた周りのみんなは信じられないとばかりに唖然としている、俺も唖然としていた。ヤバいLv.2になってから強い奴としか戦っていない訳か、力加減が全然わからなかった。あとリオンさんは黙っててください
「お、おい大丈夫か?」
慌ててレフィーヤに駆け寄ろうとしたが、突然後ろから肩を叩かれて止められる
「やるね兄さん、あの【ロキ・ファミリア】の
少し違和感を覚えながら振り返ると見たことがない短髪の少女がそこに立っていた
「えっと、誰キミ?」
「だれでもいいでしょ、あっ用事を思い出したから帰らなきゃ、行くわよササンドラ」
まるで用は済んだとばかりに短髪の少女は長髪少女を引き連れてこの場から離れていく
「面白いものを見せてくれてありがと」
と言う言葉を言い残して
「確かその後、泣き出したレフィーヤを宥めながら豊穣の女主人でずっと飲んでたんだっけ・・・あいたた」
頭が痛い、俺が飲んでたのは実はアルコールだったのか、いや、でもリオンさんはジュースとして進めて来たんだけどなぁ、まぁあの人も相当酔ってたから間違えたのかもしれない。頭を押さえながら初めての二日酔いに戦う俺は、ふと机の上に置かれていたメモ用紙に視線を移した
「今日はベル君と一緒に【アポロン・ファミリア】の『神の宴』に行ってきます、夜には帰ってくるので留守番お願いします。お酒は程々にね。ヘスティア・・・か、迷惑かけたのかなぁ、って【アポロン・ファミリア】ってどこだよ!」
一人ツッコミは空しく部屋に響いた、残るのは大きい声を出して響いた頭痛だけだ
「痛つつ、頭痛て、二度寝しよ」
ベットの中に体を滑り込ませ目を閉じる、しばらくすると程よい睡魔が襲って来た。しかし、眠ろうとする俺を邪魔するかのように部屋の扉が荒々しく叩かれた。
「何だよ人がせっかく寝ようとしている時に」
仕方なしに扉を開けに向かう、新聞はお断りですよー
「はいはい、誰ですか?」
ガチャ、と開けられた扉の前にはピンクの悪魔が立っていた
「えっと、ミィシャさん何の用で?」
「何の用でじゃないわよ!!このお馬鹿さん!!!!」
二日酔いの俺にその絶叫は
「色君!」
「大体君は!」
「何でいつもいつも!」
「Lv.2になったのに!」
「はい、はい、すいません、すいません」
弾丸の様に捲し立てるミィシャさんのお説教に俺は正座しながら平謝りをしていた。怒られている理由は中層に上がってから一回もギルドに行かなかった件について、特に17階層に出現した
「それなのに色君は全く来ないし、どうして私がこんな目に合わなきゃいけないわけぇ!?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、頭に響くので大きな声を出さないでください」
「大体どうしてエイナの所には何もないの!?おかしいじゃん!私が一体何をしたぁ!!」
「うぉぉぉ、頭がぁぁぁ」
最早愚痴みたいになっていたミィシャさんの言葉に頭を抱える俺は次の一言により顔を上げた
「いいよね色君は、こんなカッコいい二つ名貰って昼過ぎから寝れるんだから」
「ちょっ、ちょっと待って下さい、今なんて?」
「え?こんなカッコいい二つ名貰って「そこじゃなくて」・・・ん?」
可愛らしく首を掲げるミィシャさんに、聞き間違いだと思いながら俺に着けられたという二つ名を聞き出す。
「俺の二つ名を教えて貰えませんか?」
「?色君まだ聞いてなかったんだ、色君の二つ名はね」
まるで死ぬ直前みたいに、ゆっくりとミィシャさんの口が動いているのが解った
「『
「・・・」
「色君?」
俺は黙ってスゥッと深く息を吸い込んだ。
「中二病ぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!!!」
「どうしの!?色君!?」
二日酔いを忘れあらん限りの力で叫んだ俺は悪くないと思う。
「お、『
「『
「あれ、『
「うんうん、やっぱりかっこいいよね『
「もういいです」
死にたい、羞恥で顔を上げられない俺は素直にそう思った、確かに中二的発言を多数してきた自覚はあったが、これは酷すぎる、なぜベルの時は『リトル・ルーキー』で俺の時は『
グルグルと同じことを頭の中で回しながら俺はミィシャさんと二人でギルドへの道を歩いて行く。
「あ、カラスだぁ」
「本当だ!カラスだ!」
不意に掛けられた言葉に前を向くと、近所の子供たちが俺の事をカラスだ、カラスだ、と連呼しながら寄って来た
「カラス?」
「えっと、『
「うん!それと何時も真っ黒な服着てるからカラスなんだよ!」
しゃがみこみ、女の子の目線に立ち、話すミィシャさんに、その女の子は元気いっぱいに俺の方を指さし説明する
「確かに色君いつも黒い服着てるもんねぇ、今も黒い着物だし」
「いいじゃん黒好きなんだし、それにしてもカラスか、俺はそっちの方が二つ名でよかったな」
そう言いながら女の子の頭を撫でると、くすぐったそうにして走り去っていってしまった
「可愛かったねぇ、あの
「犬耳、犬耳初めて触った」
本物の犬耳だよ!暖かかったよ!この世界に来てよかったよ!ありがとう神様!俺は初めて手にした感触に感動していると、横からの強い衝撃で路地裏へと吹き飛ばされた
「っ!?」
「色君!?な、なに!?や、はなしてぇ!」
ミィシャさんの叫び声と同時に、人目のつかない路地裏で
「いきなり、何しやがる!!」
吹き飛ばされながら
「おい、手筈道理にやれよ」
「解ってるわよ」
周りを見渡すと太陽のエンブレムを着込んだ冒険者達が屋根の上や道の出口、様々な場所から俺の事を囲っていた
「何だてめぇら、俺になんの用だ?」
睨みつけながら問いかけると、昨日俺の肩を叩いて来た少女が答える
「あんたには悪いけど、しばらく拘束させてもらうわ」
「はぁ?意味わかんねぇ・・・っておい!?」
向かってくる少女に俺は驚いた声を上げる、昨日
「グッ!?」
反射ができなかった!?あり得ないことに少女の放った拳は俺の反射を突破し、腹にめり込んだ。声にならない声を上げながら、体制を整えようとすると後ろから蹴りが飛んできた。
「ガッ!?」
何だこいつら!?もしかして全員反射を突破出来るとかじゃねぇだろうな!?
「おらぁ!」
「グッ!」
「シッ!」
「ブッ!」
それから何発か貰い俺は確信する、違うこいつらは反射を突破してるんじゃねぇ!
「おいおい、ダフネの言った通りだぞ、当たる寸前で拳を引いたら拳が当たる!」
「マジかよ!意味わかんねぇ!」
意味わかんねぇのはこっちだ!何でお前らが木原神拳使えんだ!という叫びは顔面に迫るダフネと呼ばれた少女の拳に吹き飛ばされたことにより遮られる。そうか、あの時肩を叩かれた違和感はコレか、でも何で俺の《スキル》の内容がバレてんだ!詳しい内容はリリにも教えてねぇんだぞ!混乱する俺をあざ笑うように太陽のエンブレムを背負った冒険者達は俺に襲い掛かってくる
「クソッ!これでも食らえ!【ウィンド・カッター】!」
反射が効かないなら接近戦は不利だと考えた俺は、風を起こそうとして・・・失敗した
「なんでだよ!?」
「風の
ダフネが指さした方向を見ると、屋根の上の冒険者が一振りの剣を握っていた。
「だったらこれでも食らえ!」
そう言ってすぐに【
「それも無駄」
放った雷は俺の制御を離れ、他の冒険者が持っていた鉄の棒に向かって行き、その力はすべて地面に流される
「これは雷を放つモンスター専用の避雷針、貴方にも効いてよかったわ」
呆然とする俺に一人の冒険者が突っ込んできた。
「チッ!調子に乗んな!」
向かってくる拳に俺は反射ではなく逸らす方向に
「右だぁ!」
「はい!」
「ガッ!?」
男が叫ぶと同時に横から女が俺の設定した
「右ぃ!」
「ウッ!」
「左ぃ!」
「オッ!?」
「後ろぉ!!」
「ブッ!!」
何だよ、何なんだこれは!?俺の全てが攻略されてる!?
「気をつけろよ!こいつに2秒間触れられると殺されるぞ!」
「ハッこんなど素人に捕まらねぇって、戦い方がまるでなっちゃいねぇ」
「本当にこんなのが
「《スキル》にずっと頼ってたんだろ?いるいるそういう奴、大層な二つ名が泣いてるぜ」
「オイッ!油断だけはするなよ、アポロン様からは
血で滲む視界の中、聞いた事がある名前が頭の中に入った。アポロン?たしか、それってあの手紙に書かれていた【アポロン・ファミリア】のことか!?
「お、お前ら、俺達に何の用だ!」
フラフラになりながら叫び返す俺に【アポロン・ファミリア】のダフネは少しの隙も見せずに答えた
「あの方が欲しいのは貴方じゃなくて兎の方だよ、不幸を振りまく鴉はいらないんだって」
何だよそれ、ベルが欲しい?それじゃあ【アポロン・ファミリア】に向かったあいつは今頃!?
「ふざけんなよ!こんな所で戦ってる場合じゃねぇ!」
逃げようと思った俺の行動は早かった、1撃や2撃食らっても構うもんか、全力で跳躍して逃げ切ってやる!しかし、足の力の
「た、たすけてぇ!、色くん!」
「ミィシャさん!?グガッ!?」
【アポロン・ファミリア】に捕まっているミィシャさんに駆け寄ろうとした所を顔面に迫ってきた拳が襲い、その一撃で俺の意識は暗闇に沈んだ・・・
「それじゃあ、拘束して終わりだな」
「それにしてもこんな大勢でやらなくてもよかったんじゃないか?」
「つべこべ言わずに運びなさい」
「へいへい、ん?なんだアイツ」
その人影は迷うことなく木刀を構え、叫ぶ
「その人に、色さんに触れるな!」
色を運ぼうとする【アポロン・ファミリア】に怒りを携えた覆面のエルフが襲い掛かった。
【アポロン・ファミリア】が去った後、すぐにリオンに連れて来られたヘスティアは、階段を駆け上がる、向かう場所は豊穣の女主人の屋根裏部屋
「色君!?」
その扉を開けると、【アポロン・ファミリア】に狙われたら危ないからという理由で隔離された異世界の少年、
「うぇぇぇん、色くぅん!」
「き、君はえっとミィシャ君だったね、色君は!色君は大丈夫なのかい!?」
泣いている少女、ミィシャにヘスティアは問いかける、何があったのか、どうしてこうなったのかを
「それでぇ、色君はぁ、吹き飛ばされてぇ・・・ヒックッふぇぇぇぇん!」
「アポロンめぇ!色君の書置きが色君の筆跡と違うから、おかしいなと思っていたらこういう事だったのかぁ!!!」
泣き崩れるミィシャを抱きしめながらヘスティアはアポロンに対して今までにない程の怒気をみせた
「うっ、ううん?」
「「色君!?」」
ヘスティアの声で目が覚めたのか色は頭を振った後にヘスティアの顔を見つめた
「ヘス・・・ティア?」
「そう、そうだよ色君!ボクだよ、ヘスティアだ!」
「ふぇぇぇぇん!色くぅぅぅぅぅん!」
「え?ちょっミィシャさん!?いきなり抱き着かないで!?ってヘスティアも抱き着くなぁ!!」
叫び返す色は助けを求めるように二人に抱きしめられながら視線を見渡すと、扉の前にリオンさんが立っているのを見かけ声を掛ける
「たっ助けて、リオンさ「色さぁぁぁぁん!」あんたもかぁ!?」
女の子三人に抱き着かれ困った顔をしながら、
「ていう状況なんだよ」
ヘスティアに説明された内容に俺は顎に手を当て考える、家が襲撃された事、アポロンの事、ベルの事、そして・・・
「一週間か・・・」
残っている
「アポロンの奴、なぁにが
プンスカ怒るヘスティアを尻目に俺は考える、どうやって勝つのか、どうやってあいつらを倒せるのか、どうやって・・・
「色君?」
不安そうに瞳を揺らし覗きこんでくるミィシャさんは俺に言葉を投げかけようとし、突然の闖入者に止められた
「ここか!鴉!」
「お、お邪魔します」
勢いよく入ってきたのは【ロキ・ファミリア】のベートさんとレフィーヤだった
「な、なんだい!どうしてロキの所の子が!?」
「あ?そんなの匂いを辿ったからに決まってんじゃねぇか」
「そ、そう言う事をいってるんじゃない!」
詰め寄るヘスティアをめんどくさそうにあしらい、警戒を強めるリオンさんや怯えるミィシャさんを無視し、ベートさんは俺に向き直った
「うちの主神からの命令だ、この間の礼と詫びとして全力でお前に協力して来いってよ」
「そう言う事なんで、その、あの、一昨日はすいませんでした!」
謝るレフィーヤにベートさんは怪訝な表情を向ける、どうやら誤解は解けていたらしい
「それじゃあ来い、稽古つけてやるよ」
腕を掴み引っ張って俺を連れていこうとするベートさんにリオンさんが声を掛ける。
「ま、待って下さい!まだ色さんは怪我が治って無いんですよ!?」
「あぁ?んなもん
「ッ!?・・・し、しかし」
言い淀むリオンさんを置いて俺を連れて行こうとするベートさんに待ったを掛けたのは俺だ
「んだよ鴉、テメェまさか断るってんじゃないだろうな?」
「いえいえまさか、稽古よりももっと効率的な力の付け方を思いついただけです」
「効率的な力の付け方だぁ?」
眉間に皺を寄せるベートさんに手を放してもらい、この部屋にいる面々に向かって口を三日月に歪めながら言葉を言い放つ
「俺とダンジョンに行きましょう」
「な、なんか怖いよ?色君」
その表情は、何時も自分を馬鹿にしてくるロキにそっくりだと、ヘスティアは思った。
「本当に行くのかい?」
背中に乗り、
「ああ、大丈夫、ベートさん達もいるし、
「そういう心配はしてないんだけどなぁ・・・って色君!?君はアポロンの子供たちにどんだけボコボコにされたんだい!?」
「あんまりそう言う事言うなよ、男の子は傷つくぞ?」
「い、いやでも!これはおかしくないかい!?」
「おかしいってベルと比べたら大したこと無いだろ?それにやられたのは【アポロン・ファミリア】だけじゃない、あの金髪にもやられたな」
「金髪?それってヴァレン某の・・・って、ちょっ!?色君!【ステータス】見て行かないのかい!?」
「時間がねぇんだ、行ってくる」
ヘスティアに付きまとわれながら俺は豊穣の女主人の出口を開けた、そこには
「おせぇぞ鴉!」
Lv.5
「べ、ベートさん駄目ですよ、ロキに言われてるんですから」
Lv.3
「行きましょう、色さん」
Lv.4 黒い
「だ、大丈夫、怖くない、怖くない」
ギルド局員 何故かついて来ると言って聞かなかったミィシャさん
目の前には俺と一緒にダンジョンに向かうパーティーが待っていた。
「待ってろよ【アポロン・ファミリア】、
以上5人は【アポロン・ファミリア】を倒すためにダンジョンへと足を進める
「はぁ、行っちゃったよ、ベル君も凄いけど色君も何だい?この【ステイタス】の伸びは?あの《スキル》のせいだとは思うけど異常過ぎじゃないかな?」
一人残ったヘスティアは黒鐘 色の【ステイタス】に目を落した
黒鐘 色
Lv.2
力 :I10→I57
耐久:I10→C687
器用:I10→I21
敏捷:I10→I17
魔力:D500→D552
耐異常:I
《魔法》
【
・電気を自在に発生させる事ができる。
《スキル》
【
・範囲内の
・自身のステイタスにより能力増大
【
・レベルアップまでの最適化
・レベルアップ時の【ステイタス】のブースト
やめて!ベル・クラネルの特殊能力で、城を焼き払われたら、
お願い、死なないでヒュアキントス!あんたが今ここで倒れたら、ダフネやカサンドラとの約束はどうなっちゃうの? 城はまだ残ってる。ここを耐えれば、【ヘスティア・ファミリア】に勝てるんだから!
次回「ヒュアキントス死す」。
そしてあのEDが流れる