ドラえもん のび太の僕たちだけがいない街    作:雛月 加代

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第三章:恥ずかしがらず、勇気をもって

【学校の図書館】

 

ノートとドリルを机に置き、教科書を読み始めるのび太。その姿を背後から見守るドラえもん。

 

「どっからかき集めてきたんだか・・・・。」

 

どうやって100点をとるのか不思議がるドラえもん。のび太は今、学校の図書館で勉強をしている。普通なら図書館は彼にとって縁のない場所、まず立ち入ることはありえない。

 

「・・・・・・・・・。」

 

「でもあの頭では、半分も理解できないだろう。すぐ飽きて投げ出すと思うけど、自分の力でやろうというのが立派だ。ま、失敗しても良い、暖かい目で見守ってやる。」

 

真横で不気味に笑みを浮かべているドラえもん。

 

「じーーーーーーーーーーっ。」

 

「!?なんだよ?」

 

「暖かい目のつもり。ニーーーーッ。」

 

「ニタニタとしまらない顔して邪魔しないで。」

 

「!?」

 

その言葉がお気に召さなかったのか、ドラえもんはそのまま図書館を後にした。

 

 

 

【10分後:】

 

「あ〜っ、もうだめだ。」

 

顔面を机につけて倒れこむのび太。

 

「どうしたの?」

 

するといきなり頭上から声をかけられる。頭をあげるとのび太と同い年くらいの男の子がのび太の顔を覗き込んでいた。

 

「は〜あ、だめだよ、とても100点なんて取れないよ。」

 

「???」

 

疲れのあまりグチを見知らぬ少年にこぼしはじめるのび太。

 

「もう嫌だ!初めから0点しか取れないのを知っててテストを受けるなんて。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「なんだよ。」

 

「情けねえなあ。やってもないのに、どうしてあきらめるんだ?人にできて、お前にできないなんてあるもんか。」

 

加代に言ったことをそのまま返されるのび太。

 

「結果より内容に意義がある・・・・・。そういえばそんなこと言った偉い人がいたな。え〜と、たしか・・・・。」

 

「クーベルタン男爵?」

 

(あっ、声に出てた。)

 

「???」

 

「とにかくのび太も結果よりその参加する方に意義を見つけだして、はりきればいいじゃないか。恥ずかしがらず、勇気をもって。」

 

「うるさい!やればいいんだろ!」

 

怒りながら教科書の数式をノートに写すのび太。

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 

【その夜】

 

「いよいよ明日か・・・・・・。」

 

布団の中から窓の外を見るのび太。

 

「台風も起こりそうにないし、は〜あ。」

 

ふう

 

電気を消して眠りにつくのび太。

 

「お休み」

 

 

 

 

【真夜中】

 

電気を再びつけて教科書を読むのび太。

 

「だめだ!とってもこんなに頭に入いんないやあ!」

 

「のび太君、良く眠っとかなくちゃ。明日遅刻するぞ。」

 

「うるさいな!分かってるよ!」


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