次の日、市立美琴小学校の始まりのチャイムが鳴り終え、一時間目が始まろうとしていたその時。
「大変だ!遅刻だ、遅刻だ!」
グラウンドにはランドセルを背負ったメガネの少年が大急ぎで校舎に向かっていた。このあとのび太は結局一時間目に間に合わなかった。その上、宿題をしてなかったので先生にこっぴどく叱られたそうだ。
そして午後七時、ほとんどの子供は家に帰っているのだが、その少女は公園にいた。
「雛月さん!」
「野比・・・・・何してんのこんなトコで?」
「友達になりたいって言っただろ?。人殺しは・・・できないけど・・・」
「ジョーダンに決まってるべさ。」
「雛月さんの作文読んだよ。」
「・・・・・・そ・・・・。」
「きみは思っていたより、ずっとバカだな。」
「?」
「世の中はなにか欲しいと思ったら、そのためにそれなりの努力をしないといけない。
誰かを当てにして、ただ待っているだけじゃダメなんだ。」
「・・・・・・・・・・・。」
「人にできて、君にできないなんてことはない。一番いけないのは、自分なんかだめだと思い込むことだよ。」
「余計なお世話。」
「あ、人が心配してやってるのに余計なお世話ってことはないだろう。強情張り!」
「勉強も運動もできないのに偉そうにしないで。一人じゃ何もできないくせに。」
「僕は‥・・・ひ・・・・一人でだってやっていけるぞ!」
「バカなの?そんなことできるわけないべさ。」
「よーし、そんなら次のテストで100点とってやる。」
「100点?」
「ん?あ、いや・・・90点。え・・・・・やあ・・・80点・・・う〜ん・・・・70点とってやる。」
隣にいるドラえもんは呆れながら頭を抱える。
「60点でもいいべさ、取れるわけないけど。」
それだけ言うとそのまま雛月は立ち去った。
「やってやる!」
「なんであんな約束しちゃったんだ!」
「だって、しかたなかったんだよう・・・・・・。」
するとのび太の頭の中で、ある言葉が蘇る
一人じゃ何もできないくせに
「ねえ、ドラえもん。何とかして。」
「何とかって、どうすればいいのさ?」
「だから・・・・その・・・・・ねえ・・・・・。」
「なんだい?」
「何か道具出してよ。次のテストで100点取れる道具。」
「ないね、そんな道具。」
「ドラえもん!」
「大体最近ののび太君は僕に頼り過ぎている。そんなことじゃ君はいつまで経っても自分の力で困難を乗り切っていかれない。」
「そんなこと言わないで・・・頼むよ。ドラえもん!」
ドラえもんは無言のまま歩き出す。
「・・・・・・・・・・。」
バカなの?そんなことできるわけないべさ。
「く〜っ!もう、ドラえもんなんかに頼むもんか!」