ドラえもん のび太の僕たちだけがいない街    作:雛月 加代

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第三章:一人で助けられるわけないべさ

公園のベンチに腰を下ろし、周りを見渡す。ベンチの前には大きな川が流れていた。

 

「・・・・悟君の言うとうりだ・・・・ひとりぼっちでいるのがこんなに辛いなんて・・。」

 

のび太はあの時した会話を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バカなの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんな言葉が懐かしい・・・。

 

涙に暮れていると、突然聞きなれた声がした。

 

「のび太!!」

 

「???」

 

「遂に見つけたぞ、のび太!!」

 

「ジャイアン!!」

 

静香ちゃんの死後、毎日のようにのび太をいじめるジャイアン。

 

「そこを動くなよ、のび太!!」

 

のび太に近ずくジャイアン、だが足を滑らせて川に転落・・・・

 

「わああああああ!!」

 

風が強いのか、川の流れが速い。どうにか近くの枝に捕まるジャイアン。

 

「ジャイアン!!」

 

のび太はジャイアンの腕を掴み引き上げようとする。

 

「のび太、やめろ。お前の力じゃ無理だ!」

 

「そんなこと言ったって、ほっとけないでしょ!!」

 

「お前も一緒に落ちるぞ!離せよ!」

 

「やだ!!頑張ってよね、ジャイアン。」

 

「のび太・・・・・・お前・・・。」

 

すると突然、のび太の隣に見知らぬ人が現れる。彼女はジャイアンのもう片方の腕を掴むと、のび太と一緒に引き上げる。

 

「ハァ・・・・・ハァ・・・・ハァ・・・。」

 

するとジャイアンはのび太を睨み、胸倉を掴んだ。

 

「本当なのか!?本当にお前が静香ちゃんを・・・!?」

 

「ち・・・違う、誤解だよ。」

 

「・・・・そうか・・・・。」

 

ジャイアンは力尽きたようにのび太の胸倉を離し、泣きながら抱きつく。

 

「のび太!!お前を疑ってた俺を命がけで助けてくれるなんて。なんて素晴らしい男なんだ!!」

 

「そんな大げさな。」

 

「いや!俺は自分が恥ずかしい。ありがとう、心の友よ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のび太は女生の方を向き、礼を言った。

 

「ありがとう、助かったよ。」

 

「バカなの?一人で助けられるわけないべさ。」

 

「そんなこと言ったって・・・・・ん?・・・・・バカなの・・・」

 

顔を上げると、そこには懐かしい顔があった。艶のある柔らかな茶髪に三年経って更に整ったあどけない顔立ち。表情も柔らかくなってかつての陰が魅力として昇華されている。別れたのは二週間前なのに、彼女にとっては数年ぶりの再会である。

 

「久しぶり、のび太。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おふくろに見つかるな。その辺の漫画でも読んでろ。」

 

(ジャイアンって意外に親切なんだなぁ。)

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

ジャイアンの部屋に招待されたのび太と加代。しばらくすると加代は色々な事を話してくれた。あの事件の後、加代は明美の母親である祖母が預かることとなり、一時保護されることになった。それからオサムとカズが馬鹿やった話、ケンヤが他校の女子に告白されて大変だった話、ヒロミが他校の男子に告白されて大変だった話。するとのび太は気付く

 

「そういえば、悟君は元気?」

 

「・・・・・・・・・・・・・。」

 

突然空気が重くなり、加代から笑顔が消える。

 

「悟は・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ!お茶持ってきたぞ。」

 

ジャイアンがお菓子とお茶をもって部屋に入ってきた。

 

「それがな、のび太。俺も少し調べてみたんだけど・・・どうやら静香ちゃんの部屋にあった交換日記が・・・・。」

 

「交換日記?」

 

「ああ。どうやら静香ちゃんは出木杉と交換日記をしていたらしい。」

 

「あ〜、そういえばそうだっけ。それがどうかした?」

 

「一番最後のページにのび太を馬鹿にする内容が書かれてあったんだ。」

 

ドキッ

 

「みんなはそれをお前がこっそり読み、激怒して思わず殺してしまったと思っているんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっふ〜ん。のび太、見つけたぞ。まさか、ジャイアン家にいるとはねえ・・・・。」

 

ジャイアンの部屋をコッソリ覗くスネ夫。

 

「やっぱりのまま黙っているわけないか。きっと、これからドラえもんと一緒にタイムマシーンで犯人を探しに行くんだろうなぁ。でもそんなことされたら、こっちが負けだよ。よし!」

 

スネ夫の目が光る。

 

「邪魔してやる!」

 


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