東方幸々蛇   作:続空秋堵

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月に泣く

「そうか、月にいくのか」

「ええ」

 

永琳と白蛇がいつも通りに部屋で寛いでいると不意に、永琳からの一言が発せられる。

それは、永琳を含めたこの村の全ての者が月へと移住するというなんともSFで、魅惑的で浪漫に満ちた話だった。

 

「ふむ。寂しくなるな」

 

白蛇はボソリと呟く。これは不意な話からの本音。唐突な話を聞かされてユーモアのある返しをできるほど白蛇は言葉が上手くない。

 

「そう、なら話は早いわ。ねぇ白蛇さん。あなた私と月に行かないかしら?」

 

それは永琳がずっと前から考えていたこと。

なんだかんだで半年以上を一緒に過ごした白蛇を置き去りにする選択肢は彼女にはない。人情深く、人のことを人一倍考える彼女の良心。

だが白蛇は聞かされていた時から答えはきまっていた。

 

「いや、俺様はいかない。いつか人類がこの地に産まれるか、またお前たちが戻ってくることを期待して地上で待つ」

「何年かかるかわからないわ。何十、いえ何百年かもしれない」

「それでも待つさ。なに、これが一生の別れではない。いつか会うだろう。さよならだけが人生なんて悲しいからな」

 

永琳はその言葉を噛み締め少し辛そうな顔をしたがすぐに表情を戻した。

これは白蛇の選択であり、この先のことは永琳が決めることではないからだ。だからこそ彼女は微笑む。

 

「じゃあ、さよならだ」

「ええ、また会いましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああおはよう、永琳」

「おはよう、白蛇さん」

 

目を覚ます。朝の寒さに弱い蛇はまだ意識朦朧としながら開ききっていないその紅い双眼を細めた。

この目は「まだ眠い。てーか目を覚ませていない」の合図だ。

それを見て永琳は手を差し出した。

 

「ほら、いつもみたいに首においで」

「永琳、これはいつまでやるんだ?」

 

それは二人の仲の恒例行事。

永琳に人間の一番暖かい場所は首であり、一度巻きついてみたときからの出来事だ。

白蛇自身も実は全く嫌がっていないのは内緒の話。

 

「そうね、冬を越えて暖かくなるまでかしら」

「じゃあもう暫く世話になるな」

 

この温もりはクセになる。止められん。

だからと言っていつまでも巻かれている訳にもいかず徐々に目を覚ませていく。首に巻かれてだいぶ時間が経ち、永琳の朝ごはんが過ぎてきたぐらいまで首にいた。時間で表すなら一時間と半分くらい。

 

「さて、今日はどこへお出かけしようかしら?」

「毎日毎日散歩に行かなくてもいいだろうが。どうしてあったまって来たのに外に出る必要がある。凍え死んでしまうわ」

「じゃあ今日は一日中巻かれていなさい」

「むぅ……」

 

外で永琳の首から離れては本当に死んでしまう。寒さに対する抵抗は全くないのだ。それがわかっててそう言うなら永琳はなかなかに悪である。

今日も今日とて巻かれて一日を過ごすだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「最近のこの村も平和だな」

「ええ、流行病も無くなって活気づいているわ。それに、幸運の白蛇様がこの村には付いているのだから」

「止めないか、照れ臭い」

 

わずか。白蛇が村には馴染んで平然と生活するようになって。同時に妖怪の類だと言われるようになって本当にわずかな時間で蛇神様と言われるようになった。

別段なにかした訳ではなく、ただ近い未来に起こるちょっとした不幸を予言し注意して回っただけにすぎない。

いつの間にそんな力が現れたのかと聞かれれば、知っていた。に他ならない。

知っていることなら知識として語ることはできるのだ。

 

変におちょくってくる永琳を煩わしく思いながら彼女なりのスキンシップだと思うと憎めない。悔しいことに。そんな彼女にも慣れつつある自分に苦笑したい。

 

「それにしても近頃の白蛇さんはどうも優しいわね。なにか企んでるんじゃないかしら」

「あんまりな言い様じゃないか、ええ?」

 

白蛇は、いや白蛇に表情なんてものはないが悪い顔をするようにニヤリと微笑を受けべる。それを受け取った永琳は少し困ったような顔をして言葉を続けるのだ。

 

「でもキャラじゃないって言うかなんていうか。誰にでも救いの手を差し伸べているような…そんな感じ」

 

それは永琳抱いた疑問。彼、白蛇という存在を近くで見てきた永琳は思う。彼はこんな聖人君子ではなかったはずだ。困っている人がいたなら見知らぬふりをし、相談をされれば俺様よりもっと相談すべき人がいるなどと煙を立てるように厄介ごとを捨てそういった他者への思いとは靴紐を解くように簡単にあしらうような残念極まりないちゃらんぽらん。それが永琳の持つ彼への印象だった。

永琳自身もそれを疎ましく思わずむしろ個性として受け入れていた訳だった。だからこそ、次に放つ彼の言葉はどうも本人が言ったとは思えないような言の葉で。

 

「ならいっそ神様でも目指すか」

 

本気なのか、戯言なのか。それがわからず聞き流すことしかできない。でもそれは

 

「あら素敵。一体なんの神様かしら?」

「ああ、そうだな」

 

白蛇は変えれない表情をニヒルに浮かべたような雰囲気を持ち言う。

 

「幸運を前借りしてくる……いや、記憶の神様といったとこか」

どうにも皮肉めいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………おはよう。永琳」

「おはよう、白蛇さん」

 

それは何度目の朝か。

 

「今日も冷えるな」

「じゃあ今日も首までいらっしゃい」

 

返事なしに白蛇は体を這って首まで辿り着く。何度目かの温かい。それでいて暖かい。

永琳の優しさがあたたかい。

 

「永琳、これをあと何回する気だ?」

「春がくるまで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村を歩く。日課だ。見慣れた風景と人。その一つ一つが微笑ましく感じる。

自分の当初には考えもしないこと。絶対に浮かばなかった感情。それを感じて身に染みる。人との関わりは良くも悪くも自分を成長させると。

 

「雪が積もってるわね。それもたくさん」

 

白い息とともにそう呟く永琳に白蛇も頷いた。

 

「ああそうだな。このままでは(はしゃ)ぐ子供達が怪我をしそうで怖いな。よし、永琳手伝ってくれ。せめて積もった雪を端に集めておこう」

「あら優しい」

 

雪の上を這う白蛇を見て永琳は感心とともに困惑する。

それは白蛇が本当に寒いのが苦手だと知っていたからだ。冷気ですら身を震わせるのに、氷の上や雪の上を自ら進んで動くなんて考えられない。無理をしているのか我慢しているのかは白蛇のみぞしる。

それほどまでにこの村のことを思ってくれているのだと思うと永琳は嬉しいと同時に少し寂しく思う。

 

「さぁ、私もやりますか」

 

 

 

「こ、これは永琳様に白蛇様!申し訳ありません。このような雑務を任せてしまうなど。ささ、お二人方後は我々に任せて温まりくだされ」

 

数十分かかりいつまでもたっても終わる気がしない雪を見て寒いのに汗が流れた。そんな時に村の大人たちが気付いて集まった。

村人たちは申し訳なさそうに二人を屋内に向かわせる。

 

「しかし、凄いな。永琳様も白蛇様も」

「ああ、こんな寒空の下進んで雪掻きをするなど本当に村の子供たちや平和を大切にしてくださっていると思う」

「そうだな。そろそろ月に行くと言うのに、すっかり目先のことばかり気にしていて近くのことを忘れていた」

 

村人たちは皆月に移住することを賛同していた。より明るい自分たちの未来のために。

もうじき月に行くからといって、今のこの村を蔑ろにするなどとんでもない。ここはもう故郷へとなろうとしているのだ。

 

「そう言えば、この雪掻きを提案したのは白蛇様らしい」

「なんと、全く頭が上がらないな。このまま月に行く時にも付いて頂きたいのだが、永琳様は白蛇様に言ったのだろうか」

 

村人たちからすれば、もう白蛇様は立派な守り神様なのだ。そこそこの信仰を集めて一つの形になろうとしている。

そんな存在にもやはり月まで付いてきてくれたらと心から思う。

 

「確かに。結局結論を聞きそびれた。私たちは白蛇様の動向を期待しているのだが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ白蛇さん。今日は忙しそうね。一体次はどこへ行こうとしているのかしら」

「ババアのとこに用がある」

「お婆様に?」

 

永琳は以前あの老婆に変な疑いをかけられていた頃から苦手意識を持つようになった。

だからこそ今回も項垂れ向かう気にならなかったが白蛇が我先にへと進むので仕方なく付いていく。

 

「ババアいるんだろ」

 

家の前で大きな声で呼びかける。

だが返事は返ってこない。

 

「逝っちまったか。ええ?」

「こら失礼な」

 

下品な言葉遣いに思わずツッコンでしまった。

でも死んだかなんて聞くのは縁起でもないだろう。そんなときだ。

 

「煩いね、生憎逝っちゃーいないよ。今出ようかと思ったが気がかわった。入ってきな」

 

その言葉より少し早く白蛇は隙間を上手く入っていき、永琳はお邪魔しますと一声かけて戸を開けた。

 

「ふん、あいも変わらず化け物みたいな皺だ」

「へん、あいも変わらず薄気味悪い双眸さね」

 

「二人とも落ち着きなさい」

 

お婆様はヒヒと笑みを浮かべて手元のお茶を啜る。なんとも絵になる光景だ。奇妙さを纏ったという意味で。そう思うと笑う事で大きくなる皺もその奇妙さに引けをとらない気がしなくもない。

そして白蛇は座布団の上に体を曲げて椅子のようにしてお婆様と目線を合わせる。

 

「で、なんのようだよ」

 

お茶を舌でしっかり味わい滑舌を良くしながら本題に入った。

 

「さぁ、私は白蛇さんがお婆様に用があるからと」

 

私はそのまま付いてきただけで生憎目的なんてものもない。お婆様とは前回の件もあってかなんとも会いづらくもなっていたのだ。今回は何の為にここへ訪れたのか見当もつかない。

 

「ああ、ちとな。数日後の約束について話がある」

 

そんな私の考えを置き去りに話は流れていく。白蛇さんとお婆様の間に約束があるのも今初めて知るのだ。なんだか目の前で繰り広げられている将棋をルールもわからず観戦している子供の気分だ。

だからこそか盤上は動く。お婆様はその言葉に目を細めお茶を飲み干した。

 

「永琳、お茶を淹れてきな。ちと長話になりそうだ。それと、一時間は加熱した熱々で頼むよ」

あっちで遊んでなさい。そう言われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「雑な人払だな」

 

これでは永琳は蚊帳の外のような気持ちになってしまうではないか。と少々の不満を持ってみる。言い方と言うものを知らないのか。贅沢はいう気になれないが気遣いも足して欲しいところ。

 

「じゃあいてもらうかい?」

「遠慮しておこう」

「お礼は素直に言うものだよ」

 

こればかりは素直に感謝する白蛇だった。どう思ったって永琳がいて不都合なのは確かだからだ。今回の話は約束は永琳ありでは進めそうにない。まあそう思っているのは白蛇だけなのだが。まさに蚊帳の外にしているには白蛇自身だとも気づかずに。

 

「それで、どうなんだい?」

 

お婆様は片目を開き白蛇の双眸を見た。

白蛇もその開かれた瞳を鼻で笑うように言葉を投げる。

 

「もう昇華できる。当然だがな」

「へー」

 

昇華。それを聞いて最初に思う事はなんだろうか。個体が、液体を経ないで直接気体になる・また気体が直接個体になるというのが理科的言語であり一般的答え。それならって白蛇は表現する。『物事が一段上の状態に高められこと』と。つまり急激な成長と言っていい。彼は昇華する為に見方や意識感覚を忘れてもう一度受け取るようにしていた。彼が昇華し成長の後に残る結果の為に。その結果を知ってなお平坦な反応に白蛇は面白くないと言うように舌を巻く。

 

「反応が弱いな。まさか知っていたとでもいいたいか?妖怪」

「うるさいね。それでいて煩わしい。お前さんだって妖怪じゃないか」

 

二人はお互いの認識を露わにする。老婆は蛇を妖怪とそして蛇も老婆を妖怪と呼んだ。でも蛇は妖怪から昇華するのだ。

 

「そうだったな。でも昇華できる。私は半妖の半神となるのだ」

「ぺっ。気に入らん」

 

反応がないのではなく気に入らない。それが老婆の答えだった。ここで疑問を覚える。それは白蛇自身も覚えたこと。果たして妖怪は神様なんぞに昇華できるのか。それはyesでありnoであること。元々妖怪とは人間の抱く恐怖心から現れる存在なのだ。ならばその妖怪は恐怖の象徴であり、妖怪は恐怖と言って他ならない。人の恐怖によって生まれたような存在がどう神様になろうか。

いや、難しい話じゃない。まず村の人々は別に白蛇を妖怪だと思っていなかった。これがまず大きな理由。白蛇が喋るなど異端で不思議なことだが、それが永琳と言う一人の天才のペットなら合点がいく。できてしまう。いくら天才のペットと言えど喋るなど可笑しいと疑問を覚える人が現れても良かったが、そう思われないのが彼女八意永琳の人望さ。

そんな人望を持つ永琳のペットである白蛇が聖人の如く人々に耳を向け解決し、神様の真似事のように未来を予知したかのようにし続ければそこから、『永琳のペット』という概念から一匹の『守り神』と言う意識の改革が可能となる。そうなれば話は速い。勝手に信仰が集まりそこには恐怖ではない別の感情、【安堵】が生まれる。即ち守り神居てくれる事により安心されるのだ。彼が守ってくれるからこの村は安心できるのだと安堵される。さすればこの意識から信者が生まれ出すのだ。これはこの時代だからこそ可能だった、人類の意識の単純さをついたやり方。だからこそ彼は昇華する、恐怖の妖怪から安堵の神様へと。

 

だが忘れてはいけない。元が妖怪の彼が真の神様にはなれないと、結局は真似事が本格的になっただけなのだと。

 

お婆様、いや妖怪はもう中身が入っていない湯飲みに口を付けた。そして中身がないことに気づきしけた顔をする。

これは二人の仲では当の前から知っていたことであった。白蛇は妖怪で、それでいてこの老婆も妖怪なのだ。村の異変に気付いた白蛇は一度老婆の元へ訪れた。そして現状を知ったのだ。

 

この老婆が一体なぜ妖怪だと気付いたのか。白蛇談によると、

「まだこの時代の人間が老婆になるまで生きれるはずがないだろう」とのこと。

 

「で、約束の話ってのはなんだい?昇華できるなら早くしちまえばいいさ。私も悠々と核を落とせる」

「むぅ。落とさなければダメなのか?」

 

老婆から蛇は聞いていた話。核を落とすという事に白蛇は反対だった。だが彼女、老婆にも理由があるのだろう。

 

「そらそうよ。この先の歴史が崩れかねない。タイムパラドックスなんてごめんだね」

 

月移住。この村のすべての民は月へと向かう。その際に別れの象徴としてか決別としてか核を落とすのだという。

が、祠の件や白蛇というイレギュラーによってそれは阻止されようとしていた。祠に対しての記憶は白蛇が食ってしまったのだがこの白蛇が厄介な存在でこれがいる限り月へと向かう時間が遅くなり核を落とすことに反対意見を持つ者が現れかねない。それも今の白蛇には発言力もある。最悪、月移住そのものが計画として消えかねない。白蛇の影響力は大きすぎただからこそ現れた抑止力。それが老婆なのだ。

 

「わかった。じゃあ直ぐに、いやなんなら次の満月の日としよう。」

「三日後かい。まぁ妥当じゃろ、その間に別れを済ませてきな。わたしゃ墓でも建ててやる」

「誰の?」

「お前さんのだよばーか」

 

次の満月には核が落とされ月移住が決行されるまではよかった。納得であり違和感はない。ただ、どうして自分の墓など建てなきゃならんのか。あまりの流れに驚きを隠せない。

でも続きがあったようで老婆は言葉を続ける。

 

「いくら神に昇華したとこで核をもろに受けて平気だと思うかい、ええ?まだまだ未熟なお前さんは焼け死ぬだろうよ。だから墓に見立てた祠でも用意してやろうって言う気遣いさ。地下に出来る限り深く掘ってね」

「それは、なんとも……。ふむ、素直に感謝だな」

「唯一の同士が焼け死んでも気分が悪い」

 

老婆は白蛇を同士と呼んでくれるのか。同じ村に住む妖怪同士であってもう妖怪ではなくなるというのに。

いままでお互いに口を開けば火を吹いたというのに案外、気持ちは通じているのかもしれない。

 

「でも核を落とした後、そこからが本番さ。祠や墓が衝撃を吸収しきれる訳がない。ただモロで浴びるよりマシってだけさ。それに人がいなくなってからが本番だしね」

「どして?」

「今にわかるさ」

 

祠に始まり祠に終わる。なんとも奇妙な因縁か。だがそれも一興か。白蛇はこの世話になった地へと様々な念を浮かべて思い耽った。

 

「終われると良いねぇ。三日後に」

そう呟いた老婆の声は届かない。そして子供はそれを耳にしてどう思うのか。

 

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後、月に移住することがきまり村の人々はもう準備が出来ていたのだろう。別にそこまで騒がしくはならず、だが微々たるものだが熱があった。そう、遂に別れの時が近づいているのだ。

今日は、いや今日から永琳への感謝を込めて恩返しをしよう。こうして色んな生き方を決めれるようになった点、これは親孝行と言っても過言じゃないだろう。永琳はずっと娘のように思っていたが本当は逆だったのかもしれない。

 

「永琳、なにかして欲しいことはないか」

 

あまりにも雑な問い。でもこう言うものは本人に聞くのが一番速いのだ。

永琳はふふっと微笑み首に這う俺様を見る。

 

「急にどうしたの?」

「いや、どうもしないさ。ただこうして一緒に居られる時間も残り僅かだと思うと惜しくてな。だからこそせめてものを返したいのだ」

 

俺様らしからぬ発言だからか。彼女は未だ笑みを崩さず、むしろ吹き出すかのように笑った。おかしなことは言っていないのだが、やはりキャラじゃないのだろう。俺様自身そう思う。そうして彼女が言った欲しいことはあまりにも無欲だった。

 

「なーんにも。今こうしているだけで幸せです」

 

それは紛うことなき事実なのだろう。だからこそ俺様は困らせた。こうしている事が幸せと感じてくれるのはいいが、まるで自分が何かをしたという感覚がない。あなたがいるだけで幸せですなど私は王や神様になったわけではない。厳密にはもうなるのだが、きっと満月の力で勝手に神へと昇華することだろう。だからこそ自然を待つ。時間が解決することはあまりにも多いのだ。

 

 

 

 

 

あと二日。

時間が過ぎて一日が終わった。俺様は村人へと同行はしない旨を伝えて別れの言葉を送った。人々は本当に俺様との別れを惜しむように悲しんだ。中には泣いた者さえいた。なんだかこちらが申し訳なくなってせめてと思いこの先幸せになれるおまじないをかけた。そしてすぐ木から落ちた。そのまま井戸の中へダイブして散々な目にあった。今日はついてない。

老婆とも最後であろう茶を啜った。そんな時だ。

 

「お前さんの墓はもう完成するよ」

「……なんというか速くないか?」

「準備は出来ていたしねぇ」

 

なんともう完成していたと言う墓。言い方は気に入らないが二人でそれを見に行く。まぁ悪くない、いや素晴らしい出来の物だったと思う。ここに神様が眠っているのだとわかるような神々しさを木と縄だけで表現している。これに文句など言える訳がない。

 

「そういえばだ。ババアは皆と月移住したあとどうするんだ?」

 

ふと、疑問だったこと。それを述べてみた。老婆はふんと空気を鼻から出しこちらを見据えた。

一体なんだというのか。

 

「移住したあとも村の皆と共に生きるのか?それとも妖怪として帰るのか?」

「帰るって、どこにだい?」

「それは……」

 

なんだろうか。俺様、いや私様には分からなかった。そういえばこの老婆はなんの妖怪なんだろうか。人ではないとしたら帰るのはどこなんだろうか。皆目見当もつかないでいる。どれだけ真剣に頭を捻っても答えはでない。私様はこの老婆のことをまるで知らないのだ。

 

「無。だよ」

 

無。それはないこと。なんにも結果が残らないということ。だからこそ私様は目を疑った。

 

「わたしゃね。お前さんが生まれたから、生まれてしまったから現れただけなんだよ。本当のとこ自分が妖怪かどうかもわかってない」

 

私様が生まれたから生まれた存在。その言葉の意味はなんとなくわかる。以前言っていた抑止力。

 

「お前さんは歴史を変えかねなかった。だからこそ軌道修正するための抑止力のわし。ただそれだけさ。そんなものは妖怪じゃない。ただの歪さね」

 

歪、歪んでいるということ。確かにそうかもしれない。どこの分類にもされない歪。でもそれは私様に答えを教えてくれている気がした。彼女こそ、この老婆こそ原始の神様なのではなかろうかと。先の未来を知っており、その障害となるものを取り払う行動はまさに神の偉業。始まり。人類が正しい進化を遂げるように、用意されていた物語を沿うように形を変えて完成させる、そんな老婆は規格外。

 

「じゃあ消えるのか」

「そうじゃないかねぇ。実際は知らん」

 

平然と言ってのけるこの老婆。その事実が怖くはないのだろうか。怖くないのだろう。だってそれは彼女の台本通りなのだから。そこに生まれた私様の感情は言い表せそうにない。ぐちゃぐちゃだ。

 

「もし、もしこの月移住を無かったことにすればババアは生き残るのか」

「まぁ、そうだろうね。でもやめてくれ仕事は速く終わらすに限る」

 

別に本当に阻止しようとした訳じゃない。単なる事実確認をしたかったまで。だからこの話はそうか。で済ます。ただお互いに事実確認しただけなのだから。

 

 

 

 

 

日が沈み登った。あと一日。今日が最後にできることをする日。

でも正直全てやり終えた。あとは日を待つだけなのだ。今日はどこにも外出せずに永琳と過ごそうと思う。

 

「永琳、あれをくれないか」

「はい。お酒の瓶」

「かたじけない」

 

最近のマイブームはお酒などが入っている瓶、徳利に体を入れて顔だけ出す事だ。なんともこの狭い空間が落ち着くのだ。

永琳は微笑んで俺様が入った徳利を突いたりして刺激し頭を撫でられたりした。なんだかこれは面白そうだ。まるまる叩きと名前をつけよう。穴からでた頭を抑えるゲーム。でも俺様は抑えられる方だが。

 

「なんか徳利を見てたら私もお酒が飲みたくなったわ。一杯付き合ってくれないかしら?」

「付き合おう。今日は飲みたい気分だ」

 

二人で時間をただ消費し、夜になって酒を飲む。そして酔いが回って日が昇る。とても時間を無駄にしているのに、この時間が心地よい。酒は飲んでも呑まれるなとはいうが、時と場合によっては良いだろう。

 

 

さて、当日。朝から永琳は村人たちの元へと向かい居ない。そして私様はというと高熱にて火照っていた。いや、寒いよりかは断然マシなのだ。ただ昨日の酒が効いたのか変に身体が熱く身動きがまるで取れない。気持ち悪くはないが良くもない。なのにそれを通常を異常と身体感じてしまう。意識は何度か失った。今日で核が落とされるのだから出来る限り速く逃げ込めるように墓の近くに向かい木へと登り時を待つ。

時間は巡り時を待って満月を覗かせる。その瞬間だ。私様は身体中をくねらせた。何かが始まる違和感を覚えた。熱くなった自分の皮を破り鱗から身体を離す。初めてのことだったが遂にこの状態が何かわかった。

脱皮だ。阿呆なことに今まで経験がないため困惑してしまった。全て脱ぎ終わったと当時に満月をこの紅い双眸に写すと目が離せなくなった。月が光で私様を包み抱くような感覚を覚える。

 

そうか、これが昇華なのだろう。

 

全てが終わり光が閉じ、私様は知る。別に見た目に変化があった訳じゃない。だからこそ感じるのだ。自然の息吹を、風を、草の音を、生き物の声を、そして村人たちの想いを。

全てを受けて心が艶やかになって冷静になる。こんなに素晴らしいことがあったのに違和感を覚える。

 

どうして月へと向かう船の姿がないのだろうと。

 

 

 

 

 

 

 

 

私様が村へと戻ると村人たちは皆解散と言わんばかりに日々の生活に戻ろうとしていた。

一体どうして中止になったのか分からず困惑した。今日中に月移住を終わらせ、核を落とすのが老婆、いや唯一の同士である歪との約束だ。それを破る訳にはいかないのだ。

まず初めに見つけた村人の若い青年の背中に飛び乗った。

 

「うわっ!びっくりした。白蛇様じゃないですか」

「答えろ、どうして船が出ていない?」

 

唐突に背中に飛び乗ったからか青年は多少の驚きを見せたが直ぐにこちらの存在に気づいて安堵した。彼は私様の言葉を受け取り頬を掻きながら説明してくれた。

 

「いや、本当は今直ぐ月へと登る予定だったんですよ。でも永琳様の姿が見えないと騒ぎになってしまいまして。我々も永琳様なしで月に登る程の度胸も気持ちも持ち合わせてはいなかったので次の満月に予定をずらそうと……ってどこ行くんですか、白蛇様!」

 

私様はこの身を這わせて永琳を探す。なぜだ。何故唐突な失踪など起こした。それがまるで分からない。彼女の様子がおかしかったかと問われたら何時もと変わらなかったと答えただろう。ただいつもより笑顔が多い気がしただけで。

永琳と過ごした自宅へと向かうとそこには誰もいなく、置き手紙の一つもない。ならばどこにいる。考えろ、考えろ。

 

そうして閃いたのが、出会いの地。私ではなく、(わたし)がであった時にであった場所。そこに居ると直感が告げ、そして思い出すかのように当時の記憶が流れた。

 

 

 

 

 

 

「白蛇さん、くると思いました」

「永琳」

 

やはり、ここにいた。正直ここ以外は当てもなく、当然と言える気がしなくもない。彼女は悪戯がバレた子供のように困ったように微笑んだ。私様はそれを諭すように、子を叱るように口を開く。

 

「こら永琳、ダメじゃないか。村の皆が困っている。速く船へ戻りなさい」

 

聞き分けの良いことは知っている。だから直ぐに戻ると思っていたが彼女は首を振った。

 

「いいえ、いけません。私には約束があります」

 

その約束は何か知っている。それは勿論、彼女にとっての全ての始まりのことである。あの日、たまたま薬草となる植物を見つけただの少女から天才へと変わってしまった物語。

彼女からすれば劇的、村からしたら喜劇的で、祠にとっては悲劇的な物語。

 

「ああ、知っている。だがその約束は果たせない。あの祠はもう存在しないんだ。藁は焼かれ上から叩きつけられるように割れ跡形は全て川に流された」

「そのようですね。でも約束は果たされました」

 

永琳は果たせなかった約束を果たせたと言う。そこに見出した結果を結果と受け止めてなお、約束を果たしたと。ならば彼女は私の存在に気がついているのだろう。

 

「そうですね。きっと白蛇さんは白蛇さんとして生まれてくる事は無かったでしょう。もし生まれたとしても、私の元には居なかったでしょう」

「でも俺様はここにいる」

「ええ、だってそれが呪いですから」

 

呪い。そう彼女の口をから永琳から聞かされた。それに少しショックを受ける。なにせ私との出会いのを呪いと言うならば、この関係はなんだったというのか。この気持ちは独りよがりだったというのか。それはなんとも虚しい。

 

「呪いとは言葉で縛るものです。普段友人や親戚へと使う『また』というのはもう一度巡り合わせる呪い。私たちはきっと無意識に言葉で縛って生活している。だからこそ言葉には力がある。ありがとうと言う感謝の言葉は活力や気力になり罵詈雑言はその逆をつく。私は意識的に白蛇さんを縛って幸せを感じ満足していました」

 

確かに、この月移住計画を知らされなければきっと永琳と一生を過ごしていた。何処かにいこうなど考えもしなかっただろう。

 

「この計画が成功すれば私達は離れ離れになる。いつ出会えるか分からない日々を迎えます」

 

きっともう出会う事はないだろう。私様だってそう思う。命には寿命があって時間がある。

 

「本当にあの祠を見つけてからは人生が一変しました。私は天才として村人から崇められそれに答える。本当は不満もあったけどそれを受け入れる。だって約束があったから、私は一人にならないと確信をしていたから。そして、本当に白蛇が生まれた、貴方が生まれた。本当に約束は、呪いはあったのだと心踊らせて日々の研究に没頭して貴方に声を生み、そしてほぼ人間と同じようになる細胞を作った。まさしく貴方は私にとっての生きる糧でした。その辺のただの少女が期待されて目を向けられて嬉しかった。でもそれはプレッシャーとなって押しかかり失望されるんじゃないかと言う不安や悩みが白蛇と言う貴方がいた事で救われた。貴方を鎖で繋げといて最低かもしれないけど私にはそれが全てだと思いました。私だけの物がそこにあると」

 

ただの少女は天才だった。ただの少女ではなかったのだ。それ故に同世代で喋る子なんていなく、常に日々の研究が自分の人生を支えた。

期待されて褒められてそのベクトルは高くなり常に期待通りに動く事が出来なければならない恐怖に支配される。期待されれば失望されるんじゃないかと不安になり、遠くからみる同世代の子達を遠くから眺める。それが彼女の、少し天才だったただの少女の人生。それを壊してしまったのは他ならぬ、この私様だったのだろう。

 

たしかに、祠から見つかった薬草によって村の人々は救えたが、救えなかった人もいる。私を焼いて捨てたあの悲劇の少女のようにこの八意永琳も同じく悲劇の少女なのである。彼女の心は蝕まれ救われなかった。研究に没頭し全てを忘れる事が彼女の平穏というように。だからこそ、縛る。幼き子供が玩具を壊さないように大事にする。初めて買ってもらえた玩具はそれほどまでに大事にされ、一番の宝物となろう。

 

だからこそ、彼女は壊れてしまう。きっとこの子は悪になれないから。

 

「でも、今日でお別れです。私の宝物はどこかへ行ってしまいます。だからこそ、お別れを言いに来ました。今までありがとうと。呪いを壊す為にここで貴方を待っていた」

 

そして言うのだ「さようなら」と

 

やはり、彼女はいい子であった。最後まで美しいいい子だ。我儘を言わず感情を押し殺し息を殺し、私様へと感謝を述べる。

でも、ならば彼女はどうなってしまうのだろうか。これからも我儘を言わず全ての時に流され利用され続けるのだろうか。それなら私様は我慢ならない。本当なら私様も一緒に月へ登りたいだろう。もしくは月なんぞに行きたくもないかもしれない。でもそれは叶わぬ願いと知っている。ああ、そうか。彼女はいい子すぎるのだ。

 

「縛っていたどうこうと。お前はバカじゃないのか」

 

子供には親が叱ってやらねばならない。それが理不尽でも。

 

「縛る?確かに私様は永琳、あんたの手からは逃げれなかっただろうよ。だってそれが呪いだからね」

 

思わず素になって言葉を放つ永琳の前では初めてだろうか。いつだってこの子には俺様と呼んだはずだ。

 

「私様はね、あんたに縛られたなんて微塵も感じてないんだよ。あんたといた時間は正直幸せだった。付き合わせていたなんて思っているならお角違いにも程があるね。いつ気づいたかは知らねーけど、私様は確かにあの祠さね。焼かれ割れて流された。でもそこに不満はないし在るべき姿だったとすら思える。だからこうしてお前さんと出会えたには涙するくらい嬉しかったのさ。祠時からそうさ。お前さんが来るのをずっと待って待ってきたんだ。約束を果たせなくて悔しかったのは私様のほうだね」

 

祠として、退屈で退屈で時間を消費して過ぎさるように流れた時の中で、唯一色をつけてくれたのがこの八意永琳だった。くそどうでもいいような話をしてくれて私様を認識してくれる。思えばこの頃から病んでたかもしれないがそんな事に気付かないぐらい幸せだった。満ち足りていた。

 

「お前さんが罪悪感を感じているならなんだ?私様はどう思えばいい。本気であんたと過ごした時間を充実していると思えた私様の気持ちはどこに置いてきたらいいんだい?ええ?気にくわないね。一方的に縛ったなんて勘違いしてるこのガキは。少しぐらい我儘を言いな。アレがしたいしたくないアレが好き嫌い言えばいいじゃないか。月に行かないかと一回だけ聞いただけで折れてヤダヤダって子供みたいに言ってみたらいいじゃないか」

 

事実、そうされたら月まで同行をしたかもしれない。

ここまで愚痴。私様はなかなかに性格が悪いのだ。昇華する前までは平然と人々の悩みを知るかと蹴ってきたような奴なのだ。

 

「さぁ、八意永琳、あんたは今何がいいたい?」

 

本題である。呪いを壊しに来たという表の顔の裏を出せと煽っているのだ。

すると彼女は口を開く、少し掠れて聞き取りづらい声を流すのだ。

 

「一緒に月まで来てください!」「だが断る!」

 

行くわけがないのだ。月なぞ何にも面白くなさそうなとこに用はない。

永琳は初めて言いたい事を言えたように肩で息をした。私様の答えはどうせ分かっていただろう。

 

「月に行くんだ。永琳。あんたは人々に必要とされてる。ここに居ていい人じゃない」

「はい」

 

これで言いたかった事は全て言い切った。後は私様の私情である。

 

「永琳、これで別れってのはあまりにも締まらない。それに私様がまだお前さんと話したい過ごしたい。語りたい。だからさよならなんて言わねー。また会おうだ」

 

今度は私様から呪いをかける。いや、呪いなんてものじゃない。そんな禍々しいものじゃない。ただの約束を。

私様は小指を差し出す、そして永琳も小指を差し出す。指切りをかわす。

 

「これからあんたが出来る限り幸せが続くようにおまじないをかけよう」

「一体なんのおまじない?」

「んー?幸せになるおまじないだ」

 

私様は永琳の額に触れる。そして力を流し込む。私様の操る能力、それは『幸せを前借りする能力』。人生に置いての幸せをはプラスマイナスゼロなんて話を聞くが、事実そうだろう。だから私様は神様になって得た能力を使った。『他人の不幸や悲しみを背負う能力』を。

 

「ほら、元気だして前を向いて真っ直ぐ進みな。このままじゃ夜が明ける」

 

気がついたらもう丑三つ時も過ぎようとしているとだろう。でもまだ間に合う。

 

「わかりました。白蛇さん」

「なんだい?」

 

永琳は私様へと何時ものように微笑んで言葉を発した。

 

「またね」「……私様も、ありがとうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

私が白蛇さんと最後に酒を飲み明かした日の夜。

先に眠りについてしまった白蛇さんを見つめて彼女は微笑む。

 

明日、私は彼にお別れを告げる。できれば月まで一緒に来て欲しいともいいたい。でもきっとそれは断られる。

それでも私は今までの罪悪感をさらけ出しお別れの言葉、さようなら。と言うだろう。そこまで決心していて心が未だにぶれてしまう。言うと決めているのに怖くなる。

 

もし、もし一つ我儘を言っていいならまた会おうねと言いたい。呪いではなく約束をしたい。

叶うならばまたいつか出会って月の話をして彼の話を聞いて今日のように酒を飲み明かし昔話を語り合いたい。でもそれは私の願望、現実はそんなに甘くない。

 

「月が綺麗ですね」

 

独り言のように呟いた。そう思えるくらい美しい月だったから。

彼女はお猪口に浮かんだ酒に口をつける。その酒に浮かんだ彼女は月に泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、無事に船は月へと漕ぎ出した。それを見届けて頬に伝う違和感を覚える。

月に泣く。彼は初めて悲しみを負った。

 

老婆が用意してくれた墓に入る。事前に確認した後でここがしっかり安全が確保された場所だと疑いはしなかった。だが、ここで彼にとっての不幸が訪れる。災害だ。唐突な地震によって目を白黒させる。その地震は大きく今にもこの場所は崩れるだろう。

 

不味い。ここは不味い。きっと埋もれて死ぬ。折れた木は体を貫き血を流しそのまま意識を失うだろう。これは予感じゃなく予知に等しい、

まだ間に合うかもしれない。月へと向かう船はまだ見える。核を落とす前にどこかへ避難できるかもしれない。そんな希望を抱いて外へ這い出す、だが現実は残酷だ。

 

 

そこに一筋の光が落とされた。花火というには禍々しく雷というには恐怖が足りない。

 

それは全てを飲み込み破壊しつくし無へと返す。虫の声も妖怪の声もなにもしない。完全な沈黙、無の時間が過ぎさる。神様とて無事でいられる訳がなく、それも未熟ときたものだ。

そこには焼けて白かも分からなくなった白蛇の姿がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、白蛇は死んだ。




第一部終了。確実に誤字脱字激しいです、地道に直していきます。

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