カルデアの落ちなし意味なしのぐだぐだ短編集   作:御手洗団子

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吾輩はキャッツである、いや犬かも。

吾輩は猫である、いや犬か、それとも狐……? まぁいいニンジンを所望するぞ。 あ、タマモキャットであった、失念失念。 所で猫缶はまだか?

今回アタシは素材集めに親愛なるご主人と東奔西走の時間なのである、これが終わったら報酬の金のキャッツを貰いながらご主人と昼寝の時間なのである。 うーんグッモーニン。

 

「ちょっと、まだ終わらないわけ?」

 

「エリちゃんさん、疲れたのならばメジェド様に乗せていって貰ったらどうです? ちょっと乗り心地というか、なんか変な感触しますが」

 

「いやよ!? というか変な感触って何!?」

 

「ちょっと待て! このメンバーになんで吾が入っている!? 鬼だぞ!? 吾ぽんこつじゃないぞ!?」

 

が、そうは魚屋さんが卸さない。 今回のメンバーはご主人が血に迷い迷った結果、一人の時は真面目なのに複数人いるとポンコツになる三人組が集まってしまった。 エリザベート(トカゲ)ニトクリス(ざざーん女王)茨木童子(とらふん)。 何をどう考えたらこんなキャットでも面倒臭いことになると分かる三人組を集めてしまったのか、ご主人バーサーカー説を強く推すのだな、だがそれがいい。

 

「_______!」

 

「次で最後? ホントそれ? もうこれ以上お洋服汚すのはいやなんだけど……」

 

「私の衣装貸しましょうか? これもなかなか良い素材で……」

 

「いやよ! アンタの衣装全体的に薄いじゃない! てかそれ胸隠していることになるの!? 」

 

「吾は鬼ぞ……なぜこやつらと一緒なのだ……ちょこけーき食べたい……」

 

うーん、本当にうっさいなこの三人。 オリジナルをはるかに超えるおしゃべり野郎なのだな、どっかのサンマさんか? サンマさんで思い出したがサンマさんって言いにくいな、さん抜かしてマでいいじゃなかろうか、マ。 あ、ご主人ニンジンをしょもう……おろ?

 

「あれ? 子イヌは?」

 

「本当ですね、同盟者の姿が見えません。 もしかしてはぐれたのでは?」

 

「おい、あれじゃないのか。 あれ」

 

とらふんが空に指をさすと、なんとご主人様に翼が生えて飛んでいるではないか、ご主人インザスカイ。 うむ、アタシもいつか空を飛んでみたいものだな。 いや見事。

 

「違うわよ! アレワイバーンに攫われてんのよ! 子イヌー!?」

 

「いけません、急ぎますよ! でませい!」

 

「まったく世話の焼ける……」

 

鬼が走って先導するのを後ろから、なんか布被ったおっさんの群れの上に乗りながら移動するアタシ達、なんか変な感触するな。 布引っ掻いて良いカ?

 

「駄目です!」

 

「どうしよう! このままじゃ子イヌ食べられちゃうわよ!?」

 

うむ、それは不味い。 いやご主人は美味しそうなのだが、食べられるのは不味いのだ、悲しくなる。 ん? なんで不味いとわかるのだ? 今度少しかじってみるか。 あの蛇もご主人を食べたのだし、いや、あれはご主人が食べたのか? まぁ良いやご主人が幸せなのが一番、一番。 今一生を終えそうであるが。

 

「なーに一人でお話してんの! ちょっと、もっとスピード上げられないの?」

 

「これが最高速度です! あぁもう、こんな時にオジマンディアス様のスフィンクスを借りれれば……一体三スカラベは高いですが……」

 

「あの王様今いないでしょ! こうなったら私の唄でメロメロに……!」

 

「いけません! 先にマスターが冥界に召されます!」

 

「なんでよ!!」

 

「いいから、追いかけるぞ! 巣に帰るのであれば、まだあやつは大丈夫であろう!」

 

追いかけるときでもうるさいなこの三人。 三枚におろして良いか? ご主人なでなでを所望する。 ご主人? あ、空の上だった。 うーむ、ご主人と離れると寂しい気持ちなのだな。

 

 

「ここいらで降りたはずです……」

 

「見てなさいよ、パパッっと蹴散らして子イヌに喜んでもらうんだから……」

 

「巣が見えたぞ……まったく鬼にここまでさせたのだ、旨い酒と洋菓子をマスターには払ってもらうぞ」

 

というわけで、どっかの友人身代わりにして逃げたマラソンランナー並に走りに走った結果山の中腹に巣を発見、焼いたら大きな目玉焼きになりそうな卵もある、ご主人に作ってやろう、きっと喜ぶ。

ご主人は気を失ったらしく、巣に投げ入れらたままぴくりともしない。 どれアタシも一緒にお昼寝と行くか。 もちろん有象無象を蹴散らしてからである。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい! 見なさいアレ!」

 

するとトカゲが邪魔してきた、指をさした先には只のドラゴンが徘徊しているだけである。 なにか問題でもあるのか?

 

「あるに決まってるでしょ! あんなでっかいのと戦ってたら他のワイバーンも来ちゃうでしょうが!」

 

じゃあどうする、ここでみんなで焼き肉パーティーでもするか? ならキャットはマグロのあぶり焼きを所望する。 その代りご主人は頂かれる、それはいけない食うならキャットを食えい。 まぁどうしようもないときは、誰かがあのドラゴンの前で踊ればいいのだ。 実際オリジナルもそれで引きこもりから脱却した。

 

「つまり、誰かが囮になっている間にあの巣からマスターを救出するということですか……」

 

「それで、誰が行くのだ」

 

「……」

 

一気に静かになる三人。 うむ、古池や、フロッグダイブ、スプラッシュ。 この場全ての人間が誰かの立候補を待っている状態である。 まぁ小学校で先生に怒られたとき誰が最初に謝りに行くかという問題と同じである。

 

「……ニトクリス行きなさいよ、ざざーん使えるでしょ?」

 

「嫌ですよ、あのドラゴン絶対ライダーですよ。 ざざーんしても即死入らずにびたーん、びたーん、されて消える運命です」

 

「じゃあ、イバラギン……あんたバーサーカーだし、変化持ってるから行けるでしょ」

 

「いや無理だ。 見ろあの龍絶対HP十万以上あるぞ、バスター+の羅生門しても吾のレベルじゃびたーんされて終わりである。 というか(なれ)が行かぬか、お主の超音痴攻撃なら長距離から行けるのではないか?」

 

「超音波ね!? 超音波! ソニックブームだからね!?」

 

ふむ、全く見てられぬ。 家に帰るんだな、お前にも家族がいるだろう。 ここはキャッツがなんとかしなければならぬ、手を上げるアタシに皆が注目、もしかしてアタシ今輝いてる?

 

「まさか、キャッツ……アンタが行くつもりなの……?」

 

「変化のスキルを持っていてもそれは自殺行為ですよ! 」

 

「いや吾も持っておるのだが……」

 

任せろ、アタシはご主人の為ならこの命、いくらでも拾う覚悟である。 ご主人の笑顔の為なら、このくらい笑ってやってやるのだ。

 

「アンタ……子イヌのためにそこまで……」

 

なので……もちろん囮は我以外の奴が行く。

 

「……へ?」

 

「……はい?」

 

「……うむ?」

 

ダスヴィダーニャ、うむ猫っぽくて言葉は好きなのだな。 アタシはこの言葉を三人にかけると同時に、蹴飛ばした。 うむ、すっきり。

 

「ちょおおおおおおおお!! アンタ覚えてなさいよぉぉぉぉぉぉ……!!」

 

三人まとめて転げ落ちていく、多分止まる頃にはあのでっかいのの目の前であろう。 すまぬ、これもすべてご主人のため、タマモは皆忠犬であるゆえ。

 

 

龍の咆哮を背中で聞きながら、アタシは走った。ワイバーン共が気づいてこちらに飛んでくる。 食材が六匹! 父さん今日はステーキだ! 巣までの直線距離で推定十三秒、途中のワイバーン足す、受けるダメージ足す、引くの宝具開帳。 推定到達時間二十三秒!

 

「真の酒池肉林をお見せしよう……」

 

地を踏み、爪を尖らせ、全身に力を伝える。 されど動きはしなやかに、まるで森を走る虎のように。 肉を求め虎は行く。 誰が為? もちろんご主人まっしぐら! 見るがいい、微睡の日差し、良妻賢母の心意気! 有象無象すべて皆殺しだワン!

 

燦々日光午睡宮酒池肉林(さんさんにっこうひるやすみしゅちにくりん)!!」

 

通った後には十七分割されたワイバーンしか残らない……まさに瞬殺。 そのまま走って、巣に到達。 うーんラップみたいなのだな。 ご主人の元へ計測通りに十八秒で到達すると、そのまま隣に倒れ込む、これ使うと眠くなるのだな……うーんグッモーニン。

 

 

目を覚ますと、なんだか安眠枕に頭を乗せた状態だった。 うーむ、中々の一品……送料込でおいくら?

 

「______??」

 

と思ったらご主人の膝だった、なるほどアタシが好きな匂いがするはずである。 ついで頭を撫でてもらっている。 うむ、端的言うと幸せ。 だけど少し悲しい顔をしている、なぜだ? ご主人が悲しいと自分も悲しい。 なにせ忠犬ゆえ。

 

「______」

 

なるほど、怪我をしていたのか。 確かに無理矢理に突っ込み過ぎた、身長百九十五、体重百キロ近い紳士だったらモーマンタイだっただろうが、生憎今のアタシは身長百六十の体重■■なのだ。 どうやら胸のあたりが真っ赤に染まっていたのでご主人も驚いたらしい、昼寝して八割方治っているから心配はナッシングなのだが。

 

「_______」

 

キャットが怪我をするとご主人が悲しい? うむ、ご主人が悲しむのであればキャッツは自重しよう。 ご主人が泣いたら私も泣く。 なにせ忠猫ゆえ。

ところで傷が胸の所にあるので躊躇しているようだが、がっしり掴んでいいゾ? 勿論その他もろもろの料金はプラスされるが。

 

「_______」

 

うむ、茹蛸のように真っ赤になるご主人。 なるほど蛇もこうやったのか? ご主人の食べ方がなんとなくわかったキャッツであった。

 

「________」

 

うむ、有り難うとな? そんな言葉は要らない。 なにせ忠狐ゆえ、ご主人が笑えばそれでよいのだ。 アタシはそれが一番。

 

「_______」

 

それでも有り難う? うむ、そんな情熱のこもった青い目で見られたら顔が赤くなるぞ。 キャッツ誑しめ。

 

「_______?」

 

そして向こうを指さすご主人。 どれどれ、夕日に向かってダッシュとかの展開ではなさそうである。

 

「いやぁぁぁぁぁ! 子イヌ、助けてぇぇぇぇぇ!!!」

 

「ちょっと! もうちょっと早く走れないのですか!?」

 

「なぜ吾が(なれ)達を負ぶって走らねばいけないのだ!! オイ人間どうにしろぉぉぉ!!」

 

うーん走ってくるのはずっこけ三人組とドラゴンにワイバーンの群れ。 どう見ても地獄絵図なのだな。

 

「_______」

 

うむ、ご主人が言うのならしょうがない。 このキャットもう一働きである。 傷も治って気分リフレッシュ。 ご主人も近くにいるし、今日の夕飯もあっちから来ている。

全て、全てgood(キャッツ)な方向に向かっている。 だが褒美が欲しい、なので何時もの通りこういうことにする。

 

「ご主人、報酬に人参を頂こう!!」

 

______ご主人とアタシの明日はどっちだ。

 

 




感想からエリチャンズとキャッツのネタを頂いたので、丁度前々回の日本鯖集合にいれるのを忘れていたこともあり。
キャッツの一人称で挑戦。 だが本家のカオスな言い回しを真似できず、今回は短めです。ごめんなさニャッツ。


いろんなネタを感想に書いていただいてありがとうございます! これで私はまだ戦える……というか皆さんの感想が嬉しすぎて、涙腺がぶっちぎっています。

因みに外伝は一応パラレルですが、本編でも少し差異がありますが、あったこととして書いています。 だが、これはギャルゲーに例えると、まだ個別のイベントが起こったばっかりで、ヒロイン選択の場面にも到達していない状態です……つまりまぁそういうことです。 次誰の外伝が見たいですか……?

誤字脱字の報告ありがとうございます。 なるべく少なくするようがんばっていきますので……

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