カルデアの落ちなし意味なしのぐだぐだ短編集   作:御手洗団子

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マスターとニンジャ小太郎の事件簿。

(【ここまでのあらすじ】コタロウはかつて日本にいたアシガラ・マウンテンで暗躍していたフウマニンジャクランのヘッドである。 今の主であるヒューマン・コンテニューエション・セキュリティー・オーゲン・カルデアのマスターに出来の良いクナイ・ダートが倉庫から見つかったので一本護身用に献上しようと、マスターのマイルームを訪ねていた)

 

「マスター=サン? いらっしゃいますか?」

 

「用があるならノックをね」、「ノック重点」、「無断入室はスゴイシツレイ」、「フートンに忍び込むのはやめないか」などが書かれた張り紙をされているドアをノックする。 ドアは声紋認証は勿論マスターからのレイジュを通したマジックパワーを確認できなければ開かない仕組みになっている。 ダ・ヴィンチちゃん製スゴイカタイトビラシステムはかの騎士王のビームを三秒耐える。 実際スゴイ。

 

「マスター=サン? おかしいな、この時間はお部屋でお休みになられているはず……まさか!」

 

コタロウは焦った、懐からマイルームフリーパスを取り出す。 これはマスターがマイルームに入っても変な事をしないサーヴァントと判断した者のみが持つことが出来る非常時専用のカードキーである。

 

「ええドスエ」

 

カードを通すとオイラン(声:酒呑童子)の声と共にドアのロックが解除され扉が開いていく。 コタロウは部屋に音もなく突入するとすぐさま常人の三倍以上あるニンジャ視力で索敵! その身のこなしはヤバイ級サーヴァントでも捉えるのは難しい。

 

「マスターご無事でアイエッ!?」

 

マスターはベッドの上にいた。 だがマスターは何者かに押さえつけられており、陸に打ち上げられたマグロめいた動きをして抵抗をしている!

 

「これで私の中に旦那様(ますたぁ)の魔力が循環! 私の霊基もパワーアップし、私も満たされる! どうです? 実際ギブ&テイクでしょう? フィーヒヒヒ!ワタクシいま体温何度あるのでしょうかーッ!? 」

 

ブッダ! 皆さんの中に日本昔話に詳しい者がいるのなら此処で分かるだろう。 どう考えてもギブ&ギブな提案をしているのはヤバイ級マスター追跡者、キヨヒメである! マスターを押さえつけあからさまに無理矢理前後しようと迫っており、このままでは青少年の何かが危ない!

 

「おい、やめないか!」

 

「アイエ!? コタロウ=サン!? どうしてここが!」

 

「状況判断だ!」

 

唐突なアンブッシュに対応できないキヨヒメを鎖でがんじがらめにして捕縛する!

 

「イヤーッ!」

 

「ンアーッ!?」

 

マスターに興奮して、正常な思考が取れないサーヴァントを捕縛するなどコタロウにとってはベイビーサブミッションなのだ。 捕縛され天井からつられながらも火を噴いているキヨヒメはボンボリ・カザリダルマめいている。

 

「マスター=サン。 大丈夫でしたか」

 

マルノウチ製電動こけしめいた動きをしているマスターに手を差し伸べるコタロウ、そうしてまたコタロウはマスターの危機を救ったのである。

 

(デンジャラス・イン・ザ・マイルーム終わり ゲンジ・キンドネイピング・ザ・マスターに続く)

 

 

「しかしながらなぜ清姫さんがマイルームに?」

 

マイルームでマスターに入れてもらったココアを飲みながら、風魔小太郎は疑問を口にした。 あんなに頑丈で強固なロックを清姫はどうやって破ったのだろうか。 忍者である自分でさえ破るのには相当の苦労を要するであろうに。

 

「________」

 

「はい? カードキーを持ってた? ナンデ?」

 

誰かから拝借したのであろうか。 しかしマイルームのカードキーは他人への貸し借りは禁止されているし、盗もうにも皆手練れなので清姫の戦闘力では難しい。 _それこそマスターの指示が有れば別であろうが_

だとすれば考えられるのは偽物を誰かが作っている可能性がある。 そうなれば由々しき事態である、誰もがマイルームに入れるようになってしまったら、マスターはレイシフト先で寝泊まりする方が安全だろう。

 

「清姫さん、カードキーをお持ちなんですよね?」

 

「ええ、嘘をつくのは嫌ですから正直に答えますと作ってもらいました」

 

「やはり……」

 

宙ぶらりんになっている清姫が笑顔で答える、笑顔の先が小太郎の後ろにいるマスターに向けられているのは明らかであり、捕縛されてもなおマスターに向かおうとしている。 鬼かこの人。

 

「作成者は誰です?」

 

「それは……嘘になりますから答えられません。 ってあれ? 偽物だったんですか、それ……」

 

「はい、マスターは取引されてません」

 

「おのれ、私に嘘をつきましたね……しゃああああ……ですが、商談は成立しています。 教えることは嘘になりますので諦めてください。」

 

「なるほど、それならば仕方がありません。 少々痛い目にあっていただきます……」

 

懐から何かを取り出そうとしている小太郎、拷問をする気だと感づいたマスターが止めに入ろうとする。

 

「ここに、以前に主殿と金時殿とで足柄山の温泉に男水入らずでレイシフトした時の写真があります……名を付けるとするならば、うっとりと美しい紅葉見ながら入浴する……」

 

「しゃああああああああ!!」

 

ぶんぶんと首を振る清姫、なるほど痛い目を見るというのはどちらかというとマスターであったか。 忍者怖い。 何時撮ったの。

 

「他には出回っていません、現品これ限りです。 此処で吐かぬならこの写真を……」

 

「破り捨てるとでも言うつもりですか!?」

 

「いえ、複製してばら撒きます」

 

「しゃあああああああ!!」

 

「________!?」

 

もし複製でもされて出回ったらそれは清姫だけの物ではなくなる。 一点ものだからこそ価値があるのだ。 それに清姫にとっては許しがたいことであった、自分の人生どころか魂が輪廻するときの伴侶の写真をどうして他の女子に見せられようか。 だが犯人を言ってしまえば嘘をついてしまう。 清姫はどうにかこうにか良い手立てを考え……

 

「______海賊たちを訪ねなさい」

 

嘘にならない程度にヒントを与えることで良しとした。

 

「ふむ、清姫さんでしたらこれが限界でしょう、ありがとうございます。 ならば約束通り……うっとりと美しい紅葉見ながら入浴するフォウ殿です……一言も主殿とは言っておりません故」

 

「しゃあああああ!! きいいいいい! 恨めしやぁぁぁぁぁ!」

 

怒りの炎を噴きながら、ぶらんぶらんと揺れる清姫を背中にマイルームを出るマスターと小太郎、流石ニンジャ汚い。 マスターは心の中で小太郎君は怒らせないようにしようと深く思った。

 

 

マイルームを出て向かったのは、アン&メアリーの部屋である。 清姫は海賊たちを訪ねろと言った、このカルデアには海賊のサーヴァントは何人かいるが、その中でもアン&メアリーはその海賊らしい無法さでマイルームにたびたび侵入していた前科がある。 マスターと小太郎はまずは前科者を調べることにした。

 

「______?」

 

「はい、ドレイクさんはあまり忍び込む、という人ではありませんし。 黒髭さんは男なので……」

 

なるほど。 と思いながらアン&メアリーの部屋についたマスターはドアをノックする。 数秒した後にパタパタとこちらに向かって歩いてくる足音が聞こえてくる。 ついでに何かに装填する音も。

「黒髭さーん、次来たら殺しますって言いましたわよね……」

 

そしてドアから出てきたのはアンでもメアリーでもなく銃口であった、ピタッとマスターのおでこに当てられる。 慌てて小太郎がマスターを庇おうと前に出る。 いったい日頃黒髭はどんな扱いを受けているのか。

 

「え? あら? バーソロミューが好きそうな子と……マスター!? し、失礼しました、てっきりあの髭かと。 メアリー! マスターが来ましたわよー!!」

 

どっかの髭じゃない事を確認したアンが大きな声でメアリーを呼ぶ、するともう一つドタドタと走ってくる足音が聞こえてアンの隣からひょっこり顔を出した。

 

「……一人じゃないんだ。 まぁ立ち話もなんだし入りなよ、そこのバーソロミューが好きそうな子も。 ちょっと散らかってるけどね」

 

そしてなぜか拗ねてまた部屋の中へと消えた。 アンもあらあらと笑いながら手招きしている。 小太郎はバーソロミューが誰だか気になったが、マスターは深く考えない事をお勧めした。 世の中には知らないことが良いこともあるのだ。

 

「これは……」

 

「_____」

 

そしてアン&メアリーの部屋に入った二人だが、入って最初に驚いたのはその部屋の汚さだった。 ピザの空き箱が無造作に積まれており、空の酒瓶も何本も床に転がっている。 ベットにはアンとメアリーの武器だろうか銃とカトラスが無造作に置かれていてまさに座る場所が無い。 というか部屋が酒臭い。 カルデアのおかん(エミヤ)がこの惨状を見たら、説教と共に速やかに清掃に移らせるであろうことは間違いない。

 

「だから言ったじゃないかちょっと散らかってるって」

 

「まぁ、マスターたちが座るところはスペースを空けましたから。 コタローさんでしたか、貴方もそこにどうぞ」

 

周りの酒瓶を無理矢理押しやって出来たスペースにクッションが二つ置かれ、二人はそこに座るしかなかった。 流石海賊、船以外の所は大雑把すぎる。 仕方なくマスターと小太郎が座ると、マスターの膝の上にメアリーが乗ってくる。 メアリーの髪がふわりとマスターの鼻に触れ、こんな汚部屋に住んでいるのにふわりといい匂いがした。

 

「……何か文句ある?」

 

「_____……」

 

「よろしい」

 

仕方なく膝にメアリーを乗せたまま話をすることにする。 小太郎は妙な光景に目を丸くしているが、とりあえず気にしないようにして、アンたちに事情聴取を開始する。

 

「うーん……確かにきよひーさんとは何回か共謀をしたことがありますけど、あの人妙な所でお堅いところがございますから。 根本的な所で話が拗れちゃうんですわよね」

 

「き、共謀を企てたことはともかく、マイルームのカードキーの偽造事件には関係ないと? 」

 

「ねぇ、マスター今度アンと一緒に海に出ようよ。 バニー着てきてあげるよバニー。 好きでしょ? 着てくるとチラチラ見てくるの知ってるよ?」

 

「______……?」

 

バレていたのかと、マスターが顔を赤くしている間にも小太郎の事情聴取は進んでいく。 話を聞く限り、今回の事件にアンとメアリーは関わってはいないようである。 しかしそれだと残りの海賊は黒髭とドレイク卿_卿を付けるとくすぐったいからやめておくれと恥ずかしがる_だけである。 人柄的にドレイクはあり得ないし、黒髭はマイルームに不法侵入する根拠がない。 しかし清姫が嘘をつくことはありえない、完全に捜査は手詰まりだった。

 

「あぁ、でも昨日きよひーさんと会いましたわよ、ピザを買う帰りに。 たしかあそこは______」

 

「_____?」

 

「はい?」

 

 

「まさか、首謀者では無くて目撃者の事を言っていたなんて……」

 

「______」

 

「はい、僕たちには『海賊に会え』としか言ってませんし、嘘ではありませんね」

 

というわけでアン&メアリーの部屋から出て、やってきたのはダ・ヴィンチちゃん工房である。 因みに今度一緒に海に出る約束をしないとメアリーがマスターの膝から下りなかったので仕方なくマスターは次の機会に一緒に行こうと約束を交わすことになった。 その時に小さくメアリーが「バニー、楽しみにね」 とマスターに言っていたのを小太郎は聞き逃さなかった。 許してやってほしい彼も(おのこ) なのだ。

 

「ん? おぉ、珍しい組み合わせだね。 蒼眼の好青年と赤髪の目隠れ属性持ち美少年、いいねー色のコントラストが実に良い! ベネ!」

 

とマスターと小太郎が工房に入ってくるなかまた変な事言ってる世紀の大天才。 思えばカードキーやあの強力なマイルームのドアを作ったのはこの天才である。 モナ・リザなどの贋作はいくつもあるが、セキュリティに関しては贋作などは作れるはずがなかった。 つまり、元々カードキーを作れるのは一人しかいなかった。

 

「御用改めです。 貴方には第一級カルデア法違反の容疑がかかっています、速やかに自首をするのなら温情を考えましょう」

 

「はい? この私にかい? というかそのカルデア法は私が作ったのに?」

 

第一級カルデア法違反は、数あるカルデア禁止事項の中でも一番重い罪を表す言葉である、その法を犯した者は三人以上のルーラーのサーヴァント達による大体十五分程のスピード裁判にかけられ、大体酷い目に合う。 この頃行われたのは、罪人黒髭のリアル黒髭危機一髪と、罪人茨木童子のリアルカラドボルグによる虫歯除去である。

 

「_______?」

 

「はい? 清姫ちゃんにあの扉のカードキーを作った? 妙だね、君が作っても良いって言い出したんじゃないのかい?」

 

「______!?」

 

「ど、どういうことです?」

 

「だって書類が、はいこれ」

 

そうやってダ・ウィンチちゃんが見せてきたのは、カードキーの承諾書だった。 ちゃんと書類にマスターの署名とマスターの専用判子も押してあり、それがちゃんとした正式の書類だということは確かだった。

 

「た、確かに主殿の判子、この判子ではないと許可が下りないのはカードキーを持っている僕が一番良く知っている……」

 

「だろう? ついに君も清姫ちゃんを娶ることにしたのかとびっくらこいたんだけどね。 違ったかー」

 

「______……」

 

「そんな恥ずかしがることないじゃないか、だって君実際清姫ちゃんと」

 

「______!?!?」

 

慌ててマスターがダ・ヴィンチちゃんの口を手で塞ぐ。 あの日の事はあの夜だけの二人だけの秘密なのになぜ知っているのだろうか、もしかしたらドクターも知っているのではないだろうか、なんだかマスターは親にバレた中学生の様な気持ちになっていた。

 

「ま、とにかく清姫ちゃんが持ってきたこれは偽造書類だったんだね、私の目を欺くとは中々の天才じゃないか。 だ、け、ど、スンスンっと……」

 

清姫の偽造書類を犬のように嗅ぎ出すダ・ウィンチちゃん。 少し考えるそぶりを見せて、何か合点のいった様子を見せると不敵な笑みを見せた。

 

「ふふん、やっぱりインクまでは偽造できないか。 だれも私がインクまで自作してるとは思わないみたいだね! やはり私は誰にも予見できない天才だ!」

 

「い、インクのにおいで分かるのですか!?」

 

「勿論! 私を誰だと思っている? そしてこの偽造書類の出所も分かった! 」

 

「_______!?」

 

「フフーフ、天才かだと? 無論天才だとも! この地球の文明が三回滅んでも私の様な天才は現れないと自負しているよ!」

 

ダ・ウィンチちゃんは胸を張る。 さすが自分の体を作り変えた天才(へんたい) は格が違った。 これで犯人が分かる。

 

 

 

「ふん、来やがったか。 流石マスターと言ってやるぜ……そこの小僧もな」

 

「まさか、貴方だったとは……清姫さんは最初から犯人の事を言っていたんだ……」

 

マスターと小太郎がその犯人の部屋に着いたとき、犯人は暗い部屋の中に一人椅子に座っていた。 まるで二人が来ることを見越していたようだ。

 

「______?」

 

「何故だって? 決まってんだろ(QP)だよ。 世の中それが無きゃやっていけねぇんだ、それ以外の理由に何があるってんだ。 あの嬢ちゃんはたっぷりと支払ってくれたぜ?」

 

「それでも主殿に忠誠を誓うサーヴァントですか!」

 

「あん? 俺たちを誰だと思ってやがる、泣く子も黙る海賊様だぞ? そんなごっこ遊びはよそでやりな」

 

「貴様……!」

 

「_____」

 

前に出る小太郎を制止するマスター、その眼は悲しくも真直ぐに目の前の犯人を見据える。 そして一言犯人に対してこういった。

 

「_____進捗どうですか?」

 

「フン…………ぜーんぜん駄目でごじゃるよーーーー!!! エウリュアレたんモノ出そうと思ったけどあの子全然モデルになってくれないし! 仕方なく同じかわうぃさを持つステンノたんに頼んだらお金だけ持ってどっか消えちゃうし! しかたないからなんとなく作ってた偽造書類使って清姫ちゃんにカードキー業者として商談するけど、あの子怖くて結局元から八割引きの値段にされるし! 頼光さんからはもはや十割引きでごじゃる! おねがいマスター手伝ってくだちいーーー! ほらパイケット連れてって上げるから! 欲しいでしょ? 禁断の頁欲しいでごじゃろう!?」

 

犯人……黒髭の手に手錠がかけられる。 結局清姫の海賊を訪ねろと言った通り、海賊が犯人であった。 ダ・ヴィンチちゃんの目を欺くほどの器用さを持っていながら、結局金に困った挙句の犯行である。 もはやなんというか憐みの前に嫌悪感しか湧いてこない号泣の仕方で連行される黒髭、ジャンヌに「パイケットのモデルになってみませぬか? そのパイの大きさならぴったしで……」といって、マルタさんから鉄拳を見舞った黒髭にはもはやルーラー裁判で一切の慈悲は貰えないだろう。 可哀想に次は極刑があり得る。 というか清姫をだまくらかしたのである。 極刑は免れない。

 

「結局、黒髭さんが犯人でしたね。 最初から僕が黒髭さんの所に行っていればこんな手間は……」

 

「_____!」

 

「はい? 僕がいなかったら最初から解決できなかった……? いえ、でもそんな……」

 

「______!」

 

「信頼してる……ですか。 いえ、僕にはもったいないお言葉です。 ……でも嬉しいです。 ありがとう_____君」

 

笑い合うマスターと小太郎。 彼らの間に_黒髭という犠牲があったものの_また一つ固い絆が結ばれた。

 

_____彼らの明日には祝福があるだろう。

 

 

 

(【ここまでのあらすじ】マスターはコタロウと共にクロヒゲの野望を打ち破り、部屋へと帰ってきていた。 明日もまた早いブッダよ彼にしばしの休息を……)

 

「______」

 

濃密な一日を過ごしたマスターは、生き締めされたマグロのようにフートンに倒れ込んだ。 実際疲れた、今日はこのまま寝よう。 そう思いながら目を閉じるマスターは今日の疲れからか自らのウカツに気付かなかった。 注意は一秒、後遺症が死ぬまで。 平安時代の哲学剣士、ミヤモトマサシがこの状況を見たらこのハイクを詠むであろう。

 

旦那様(ますたぁ)……」

 

おぉ、ブッダ! 読者の皆様の中にサーヴァント視力と聴力をお持ちの方はいるのだろうか。 もし持っていたのだとしたらこのヘビめいてマスターの体をフートンの中から這いずりよってくるキヨヒメを確認することが出来るだろう! あからさまにヘビなのだ! コタロウの捕縛から逃れた彼女はそのままこの時までマスターのフートンに忍び込んでいたのである! コワイ!

 

「______」

 

だがマスターはもはや夢の中へと入りこんでおり、キヨヒメに気付かない! ナムアミダブツ!!

 

「さぁ、私とネンゴロしましょう……」

 

その時、ドアから「ええドスエ」というオイランの声と共にマイルームのスゴイカタイトビラシステムが開錠された。 おぉまだブッダは寝ていられなかった! マスターの信頼足るサーヴァントがエントリーしてきたのである! だがキヨヒメも二度もウカツではない、ドアが開いた瞬間からアンブッシュ体勢に入る!

 

「イヤーッ!」

 

キヨヒメが入ってきた人物に向かって炎を吐く、ドラゴン=ジツである!

 

「イヤーッ!」

 

「ワッザッ!?」

 

しかし入ってきた人物はそんな炎を手を払うだけで消して見せた! ワザマエ! キヨヒメのドラゴン=ジツの炎をそんな簡単に消せるのはヤバイ級サーヴァントしかいない。

キヨヒメは謎の人物に向かってオジギをした。 挨拶は戦い前の礼儀である。 やらないとスゴイシツレイにあたるのだ。

 

「ドーモ、キヨヒメです。 あなたは?」

 

しかしキヨヒメ自身が放った炎の残り火によってその人物は誰かすぐに分かった。

 

「ドーモ、キヨヒメ=サン。 ライコウです。 我が愛する子を貰いに来た!」

 

おお! ブッダよ寝ていられるのですか! キヨヒメからマスターを救うために現れたのはキヨヒメより性質の悪いヘイアン・ゲンジクランのヘッド、ライコウであった! ライコウの胸は豊満である。

 

「アイエエエエ!? ゲンジ!? ゲンジナンデ!?」

 

さすがの騒動に目が覚めたマスターは目の前のゲンジにGRS(ゲンジリアリティショック)によってマルノウチ製電動こけしめいた震えを始めている。

 

「あぁ、私のカワイイアカチャン。 いま安心させてあげますからね、アーイイ遥かに良い。 泣きじゃくる我が子が笑う姿に変わる光景が見えます……」

 

ライコウから母性的アトモスフィアから香る狂気! ドラッグを使わずともこの状態である! マスターを見て舌なめずりをするさまは、獲物を前にしたライオンめいている! コワイ!

 

「さぁ、ワタシの胸にダイブしてくるのです……アーイイ……遥かに良い……」

 

「近づくなオバケめ! 旦那様(ますたぁ)は渡さない!」

 

手を広げながら近づいてくるライコウを阻止するために手を広げるキヨヒメ。 戦いが始まろうとしていた。

 

_____まさに前門のタイガー、後門のバッファローである。 マスターの明日はどっちだ。

 

 

(ゲンジ・キンドネイピング・ザ・マスター#1終わり #2に続く)

 

 

 

 

 




今回前回の話でリアルに忘れていた小太郎君をメインにするべく話を考えていましたが、ネタが浮かばずふて腐れてフートンで寝た所。 自分のニューロンが発熱し、このような事態になりました。 ヘッズの中ではニュービーでありますので文章が可笑しい所もありますがユルシテ。

誤字の訂正をたくさんもらって申し訳ないです。 しかしありがたや……これからも勉強してなるべく誤字をなくしていきたいと思います。

ネタ切れに悩む日々。 ネタを……だれかネタを……フィーヒヒ!マグロおいしいヤッター!!

追記 感想にて賜りました……そうだよ!清姫が嘘嫌いなのに偽造書類とか作るわけないじゃーん!!
というわけで、少しいじりまして、黒髭が正式な書類を持ってると嘘言って清姫にQPで譲渡したことにしました。 うむ、黒髭の罪状に清姫に嘘ついたが追加されるが、すまぬ、物語の整合性を付けるためなのじゃ……燃やされてくれい……

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