カルデアの落ちなし意味なしのぐだぐだ短編集   作:御手洗団子

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マスター、帰省する~わくわくざぶーん編~

 

流れるプールにきのこの大型ウォータースライダー、波が出るプールと様々なお客のニーズに合わせた遊び場に、プールサイドには白い人工砂によって美しい海の砂浜を再現し、まるで本場ヨーロッパのリゾートの海に泳ぎに来たように錯覚させるようなゆったりとした空間を実現させている。

ここは「わくわくざぶーん」という名前は少々あれだが冬木では人気のレジャースポットであり、体温に近い水温で保たれているプールはガラス張りの巨大ドームと合わさって一年通して楽しめる全天候型屋内ウォーターランドと化している。

今日も休みとあって、そんなわくわくざぶーんは老若男女問わず人でごった返していた。 小さな男の子から大きな水着美女まで様々な人が行き来するなか、ある四人の男たちは砂浜で走り回っていた。

 

「なんで貴様マシュちゃん連れてきてねーんだよ! 死ね!」

 

「何のために俺たちがお前誘ったと思ってんだばーか!」

 

「ぐだっち足早くなったぺなー!」

 

「_____!!」

 

否、その中一人を殺意を持って追いかけ回していた。 三人に_一人は競走のつもり_に追い掛け回されているのは、青い目がチャームポイント_匿名の姫からのお便り_のカルデアのマスターである。

 

「_____!?」

 

「なにぃ、サルが『久しぶりに四人で泳ぎ行くべー』っていったから男だけで行くと思ったぁ?」

 

「貴様サル! どういうつもりだ!」

 

「どうって、おみゃあらが『サル君、プール行きたいよねー。 ぐだの奴も誘ってさーひさしぶりにさー』って気持ち悪い顔して言ってきたから、オラてっきり昔みたいに男だけで遊びたいんべなって……」

 

「「お前が原因かー!!」」

 

「うっきー!?」

 

殺意が隣に居た猿っぽい少年に向けられ、マスター学友二人の息の合ったドロップキックによってプールの底へと沈んでいった。

そう、今日マスターは学友と共に泳ぎに来ていた。 若干一人溺れかけているが。

 

 

 

「____……」

 

「まだ泳いでないのになんでこんなに疲れているんだ俺たち……」

 

「流石に三十分全力疾走の走り込みはキツイな……」

 

「オラ、プールの水盛大に飲んじゃったべ……」

 

その後、なぜかマスターが皆にジュースを奢ることになり、同施設内にある飲食スポットにて一息つくことになっていた。 水着でも入店することができ、四人以外にも様々な人が休憩をしている。

 

「しかし、ぐだっち筋肉ついたっぺなー……」

 

「うむ、我等神聖隊の中でもぐだ男の筋肉ランキングは中堅だったはず……一体だれがこんな見事な鍛え方を」

 

「あっちのバイト先でトレーナーでもいたのか?」

 

「_____……」

 

「スパルタ? なんだべ厳しい先生でもあてられたのけ?」

 

ふと、学友たちがマスターの体を見て感嘆の声を漏らす。 四人は元は同じ体育が盛んな男子校ということもあり皆中々筋肉が付いた良い体をしていたのが、その中でもマスターの体は群を抜いていた。

引き締まった体には決して余分な筋肉の付き方をしておらず、全ての部分に一切の無駄なく隅々まで細かく計算されたダビデの彫刻像を想像させるような肉体美、しかし武道やその道を行く者が見るとそれは鍛錬だけではなく実戦の積み重ねによって出来た正に刀の様な肉体だと分かる。

まさに現代人が鍛えても再現できない古の鍛錬法によって鍛えられた肉体である。

学友がどうやって鍛えたのかマスターに尋ねるが、マスターはただ遠い目でスパルタ式豹撃退術や影の国式ブートキャンプや、マジカル八極拳と呟くだけで学友たちは理解できなかった。

 

「その無害そうな顔でその体つきはある意味武器だな……」

 

「その体でマシュちゃんを……」

 

「____……」

 

アホかとマスターは突っ込むが、学友の言葉はあながち間違いではなかった。 虫一匹殺せないような、のほほんとした顔とその体のギャップはカルデアのお姉さま方に好評だし、カルデアにいる時に着ていた黒のインナーは体のラインが浮き彫りになって妙にセクシーさを醸し出していて、それだけで過ごしているときは清姫たちの目が何だか妙な光を宿していた。

 

「これは、今度の体育が楽しみだな……」

 

「あぁ……体が震えて……あれ? サルは?」

 

ふと学友たちが周りを見るとサルの様な学友がいない。 マスター達が探して見ると向こうからひょっこりと歩いてきた、どうもジュースの缶を捨てに行っていたらしい。

 

「なんだ、えらく時間かかったんだな」

 

「小っちゃい子が迷子になってたから親御さん探してあげてたんだべ。 可愛い外国の子だっただがや」

 

「ほぅ、流石神聖隊の一員、子供には優しいな。 それにしても冬木も外国人を良く見るな、マシュちゃんとか……」

 

「____……」

 

まだいうかと苦笑しながら、窓ガラス越しにプールを見るマスター。 確かに日本人以外にもいろんな人種の人たちがプールで遊んでいた。 マシュも一緒だったらと頭の片隅で想像してしまって赤くなりながら頭を振るマスター。 無人島でのマシュの水着姿が頭よぎってしまったのだ、あれはいろんな意味でマスターにはデンジャラスだった。

 

「____……?」

 

「おぅ、すごい人だかり。 なんだアイドルでもきてんのか?」

 

頭を冷やすためにジュースを飲んでいるとふと、プールに人だかりが出来ているのをマスターは発見した。 学友の言うとおりアイドルでも来ているのかと目を凝らして見てみるが、

 

「_____!?」

 

「ぬぉぉ!? ジュースを噴きだすんじゃない! 何やってるんだ貴様!?」

 

その人だかりの中心にいる人物たちを見た瞬間、マスターはジュースを噴き出す。 完全に身に覚えのある顔だったからだ。

一人は赤い髪で糸目の優男、一人は金髪蒼眼で骨格の良い優男、一人は義手を付けた如何にもな優男。 三人全員がすれ違った女性すべてが振り向く様な一級品の男たち。

__だがマスターには見覚えがあった……

 

「_____!!」

 

「おろ? どうしたぐだっちサイン貰いにいくんだべ?」

 

堪らず、飛び出して人ごみの中心へと向かうマスター、遅れて学友たちも何事かと後をついていく。

 

「行きますよ! ボールを弾け、銀色の腕(ナイスアタック、アガートラム)!」

 

「ぐっ……! さすが恐るべき膂力のベディ(ベドウィル・ベドリバント)と呼ばれた男……だが私はビーチバレーにおいても今の時間は三倍! 例え二対一でもそのボール全てを受け切って見せましょう!」

 

「私は悲しい……バレーボールとは二対一では成り立たないゲームなのではなかったのでしょうか……」

 

そこには水着姿でビーチバレーをしてはしゃいでいる、キャメロットの誇り高き騎士達がいた。 何で二対一人でビーチバレーが出来ているのか不思議でたまらないがその疑問は置いておいてマスターは人ごみを押しのけバレーコートの中へと乱入していく。

 

「_____!!」

 

「なっマスター……!?」

 

「おお……私は驚ぐふぅ」

 

マスターが乱入したことでよそ見をしてしまったトリスタンにガウェインが放ったボールがダイレクトにぶつかり、その衝撃でトリスタンは近くのプールに落下する。

 

「しまった! 力が入り過ぎたか! トリスタン卿無事です……マスター!? なぜここに!?」

 

「____……」

 

それはこっちのセリフだと言い返すマスター。 呆気にとられているガウェインとベディヴィエールが少し顔を青くしている中、トリスタンは静かに流れるプールに身を任せていた。

 

「おぉ……私は流れる……」

 

 

「____?」

 

「はい、それでこちらに密入国したサーヴァントを連れ戻すべくこちらの調査に呼ばれた我が王と共に……」

 

「____?」

 

「いえ、その捕獲には成功したのですが……その、モードレッド卿がそのまま遊びだしましたあげく行方不明になってしまいまして……そのなんといいましょうか……」

 

「私は悲しい……此処にディナダン卿がいればマスターにも上手く言い訳ができるのでしょうが……」

 

「彼のユーモアあふれるジョークはかのアグラヴェイン卿でさえも表情を崩しましたからね。 まぁ、その口の上手さゆえにモードレッド卿からは嫌われていましたが」

 

青筋を立てているマスターの前で必死に弁明をしている中、ゆったりとジュースを飲んでいるガウェインとトリスタン。 因みにジュースは彼ら曰く「気の良いご婦人」から頂いたらしい。

 

「それで、トリスタン卿が『モードレッド卿は賑わいごとが好きだから自分たちが勝負事をしていれば混ざってくる』と提案しまして、あそこでビーチバレーを……」

 

「_____?」

 

「おお、私は無実(のっとぎるてぃ)……確かに提案したのは事実ですが……」

 

「しかしながら三人とも楽しんでいたのは事実、罰を受けるならどうかこの身にも」

 

「____……」

 

水着姿でジュース片手に言われてもとマスターはため息をつくが、来てしまったのは仕様がない、家に突撃して居座り続けているどこかのサーヴァント達と比べるとは動機はずいぶんと真面だし、停泊しているカルデアの船の方で過ごしているのでもう満杯であるマスターの家にさらに人が住みつくことはない。 _何処かの彼女らのおかげでマスターは屋根裏部屋に金時たちと共に押し込まれているのだ。_

 

「____……」

 

「寛大なご処置、感謝いたしますマスター。 このガウェイン、しかとこの命にかけて誓いましょう」

 

「なぁなぁ、ぐだっちってどっかの王子様なのけ?」

 

「お、俺に聞くなよ……」

 

ちゃんとモードレッド卿も連れて帰ること、次回からは自分にも許可をとることを約束させ、今回だけは不問にすることにしたマスター。 その処置に感謝して三人の騎士が膝を折るが、此処は城でもカルデアでもなくプールサイド、学友含め周りからの不審な目に晒されマスターは急いで三人の騎士を立たせる。 このままでは要らない誤解を招きかねない。

 

「で、でっけぇ……この人たちもぐだ男の友達なのか……?」

 

「あぁ、マスターのご友人ですか。 これはご挨拶が遅れてしまい……」

 

「マスター? ご主人様?」

 

「_____!!」

 

「へっ? 増田さん? でもこの赤毛の人どう見ても日本人じゃ……」

 

「____? _____!」

 

「はい……私は増田トリスタン……この頃帰化したのです。 得意な楽器は琴です」

 

「「なるほどなー」」

 

とりあえず、バイト先で知り合った貴族の人たちがお忍びで遊びに来ていたということにして何とか学友たちを誤魔化していくマスター。 _若干一人変な名前になっているが_

 

「_____?」

 

「そうですね、とりあえずモードレッド卿を探さなければ……」

 

「なんだべ、増田さん達って人と待ち合わせしたんだべか?」

 

「私は悲しい……トリスタンでよろしいのですが……」

 

「まぁ待ち合わせと言えば待ち合わせですが……仲間とはぐれてしまいまして……」

 

「広いからなーわくわくざぶーん。 すれ違ったらまた面倒だし」

 

ウォーターランドにしてはかなり広い部類に入るわくわくざぶーんは確かに散らばってしまっては見つけるのは難しいだろう、此処の他にもプールはまだまだあるし、人も多い。 散らばって一人で探すのもいいが、そうなると自分たちが迷う危険性がある。

どうするかとガウェイン達が悩んでいると、学友の一人が手を挙げた。

 

「じゃあ、散らばって探すのはどうだ? 自分たちが一人ずつ増田さんたちに着けば迷うこともないだろうし」

 

「トリスタンでよろ」

 

「いいのですか? 貴方たちはここへ遊びに来たのでしょう? 私達に付き合うことは……」

 

「いいっぺよ、ぐだっちの友達が困ってるのにほっとくなんて出来ないべ!」

 

「なんと……さすがはマス……こほん、__殿のご友人、__殿は良き友をお持ちですね……」

 

「____……」

 

感動しているベディには申し訳ないがマスターにはサル君を除く学友の頭の中には邪な思惑が渦巻いていることを長年の友人の勘から察していた。

おそらく、何もしなくてもあちらから女性がやってくるガウェイン達の美貌に乗っかって出会いでも探す気なのだろう。 マスターは半ばあきれた表情で、握手を交わしている学友たちを見る。

 

「それじゃあぐだ男はここでお留守番だな 」

 

「___!?」

 

「だって、俺たちが居なくなった後すれ違いになったら大変じゃないかぁ。 お前なら知り合いが来ても分かるだろぅ?」

 

「あ、あの残るなら私が……」

 

「ぐだっちなら大丈夫だべ! てかベディさんも優しい顔してるのに筋肉すごいっぺな! もしかしてぐだっち鍛えたのベディさけ?」

 

「ああひっぱらないでください……! __殿また後程にー……!」

 

「____!!」

 

そのまま学友たちはニヤニヤと笑いながらガウェイン達を引っ張っていってしまう。 完全にマスターの予想通り騎士達に便乗して自分たちにも春をこさせようとしていたが、自分を除外させようとするのはマスターには想定外であった。 まさか奇数状態で二人組を作るとは、完全に外道の所業である。

自分が謀られたことに気が付き抗議するが、ベディ以外そのままマスターがいるなら安心だと思ってそのまま行ってしまう。 _信頼されすぎるのも問題であった。_

__もしかしたらトリスタンもナンパするんじゃないのだろうか。

意外と女性経験豊富な円卓の騎士たちに少しの不安を抱えながらマスターは何処にもいくことが出来ず一人、人ごみの中ポツンと立っていることしかできなかった。

 

 

 

 

「_____……」

 

それから三十分程度が立ったが、モードレッドはおろか学友たちとガウェイン達さえも帰ってこない。 マスターは人工砂に文字を書きながら一人体操座りで膝を抱え寂しく皆の帰りを待っていた。

 

「_____」

 

こんな事だったら本当にマシュを誘えば良かったと一人思いながら、賑やかに泳いでいる人々を見つめるマスター。 その寂しげな姿は、昼下がり燦々と煌く太陽の日差しがプールに反射して人々を照らす中、一人頭の上に曇天が出来て、影が落ちているかのようであり、通りがかる人は皆怪訝な目をしてマスターを見ていく。

 

「おい、見ろよあれ。 すっげぇな……」

 

「うわ、どこかのセレブ? スタイル良すぎでしょ……」

 

「隣にいる小っちゃい子も可愛いわね……顔に傷があるのは何でかしら……」

 

そんな時マスターの近くでまたざわざわと喧騒が巻き起こる、また誰かしら円卓の騎士かと思うがマスターはその場からは動かない。 スタイルは良いならモードレッドじゃないだろうし_口に出すと真っ二つだが_、集合場所から離れるわけにもいかないのでマスターそのまま体育座りでプールを眺めていることにした。

 

「はーい、そこのお兄さん。 お一人かしら?」

 

「一人なら僕たちと遊ばない?」

 

「_____?」

 

と、そんな半ばいじけているマスターに声をかける影が二つ。 内容からして遊びのお誘い、加えて女性からである。 所謂女性からの遊びのお誘いと書いて、逆ナンと呼ぶ日本ではおそらく珍しい行為であろうことは誰がどう見ても間違いはなかった。

人探しにかこつけてナンパしに行った学友よりも一人残されたマスターが逆ナンされるという何とも皮肉な状況であったが、当のマスターは特に動揺せずに丁重にお断りしながら振り返る。

マスターの学友たちならこの時点で飛び上るぐらいに喜ぶだろうが、マスターは逆ナンどころか不特定少数のサーヴァントから日常的に逆夜這いを受けているため女性に声をかけられたぐらいでは_それこそマシュの様に神秘的な少女かマタハリの様な妖絶な美女でもない限り_動じなくなっていた。

それは女性に慣れてきたという点では良いことなのには違いないのだが、女性の扱いに慣れてきたという点では良いことなのかマスターは首を傾げるしか他がない。

何にせよ、若くして枯れてきている自分が物悲しくなってくるマスターであった。

 

「あら、メアリーお断りされてしまいましたわ」

 

「ざんねーん、折角寂しそうにしているマスターを癒しに来てあげたのにねー」

 

が、マスターは振り向いた瞬間凍りつく。

一人は輝かんばかりのスタイルと美貌を持った、歩くだけでどこかのセレブと勘違いするほどの品の良い長身の美人。

もう一人は隣の美女とは正反対のスタイルだが、道行く人たちの目を引くという点では顔についている大きな傷と、それを気にしなくなるぐらいの可憐さを持っている少女。

が、実際は通りゆく人々のイメージとは逆に自由をこよなく愛し、束縛を嫌う職業海賊のアウトローコンビ。

その名もアン・ボニーとメアリー・リードである。 因みに背の小さい方の少女であるメアリーの方がアンより年上である。 少女、少女ってなんだ。

 

「_____!?」

 

「なんでって……私達海賊ですし? 海あるところに海賊ありですわ」

 

「そうそう、陸いる海賊なんて聞いたことないしね。 それ山賊だし」

 

とぼける海賊二人に、そういう事言ってるんじゃないと頭を抱えるマスター。 そもそもここは海じゃなくてプールである、というか陸である。立派に山賊である。

 

「_____?」

 

「へ? 不法入国? 失礼だなーちゃんとあの博士から許可取ってるよ。 今はやとわれ海賊、ドレイク船長やホーニゴールドの奴みたいなものさ」

 

「ホーニゴールドの裏切者とはちょっと違いますけどね、それに元々と言えばマスターに雇われている様な者ですし、うふふっ」

 

そういって不法入国の事を否定する二人。 と、するとここに来ていた不法入国者とは誰の事だったのか、ガウェイン達に聞くのを忘れていたマスターは首をかしげるが、アン&メアリーはそんな隙だらけなマスターをサンドイッチにするように抱きしめはじめる。 ハムという名のマスターを焼きたてのパンよりも柔らかい二つの柔肌が包み、マスターはトーストされたように顔を赤くなっていく。

 

「そんなわけで、遊びましょう? ま・す・た・ぁ……」

 

「日焼け止めは塗った? 外は冬でも日焼けしちゃうよ? まだなら……塗ってあげようか、す・み・ず・み……」

 

アンがマスターの耳に息を吹きかけ、メアリーがマスターの体をその細い指先でゆっくりとなぞっていく。 多方向からの刺激にマスターは顔を赤くする一方だが、さらに周りの人々の殺気やら嫉妬やら軽蔑やらの視線で赤くなってばかりもいられない。

とりあえず離してもらおうと身をよじらせながら、行方不明中のモードレッドの話題を出してみる。

 

「_____?」

 

「モードレッド? あぁあの水着でいると良く睨んでくる子ですね……確か先ほど見た様な……」

 

「あー、なんだっけ。 さっきマスターの所に行くときに見たよね。 何かの大会に参加するとかなんとか……なんだっけ、ブリット? ブリッジ?」

 

「_____?」

 

「そうそう、ウォーターブリッツ。 優勝賞品も中々良くてアンと出ようかと思ったんだけど、三人一組だったから出れなかったんだよねー」

 

「そうでしたわねー。 あのペンギンカップとスイートルームの宿泊券は惜しかったですね……あともう一人、信頼できる人が居たらよかったんですけど……」

 

そういいながら二人は自分たちが抱きしめているマスターに気付くと、目を合わせた。 比翼にして連理、考えていることはどうやら両人とも同じだったらしく、ニヤニヤと笑いながらサンドしているマスターを抱き締めている力を強めていく。

 

「ねぇ、マスター」

 

「ご提案があるのですけど」

 

「_____?」

 

そんな二人の笑い方に不安を覚えたマスターは素直に笑い返せず、ぎこちない笑い方をしながらアン&メアリーに聞き返す。 増々笑みを深くしていく海賊二人、それは宝を追い求める海賊特有の目差しそのものであり……

 

「____?」

 

「そんなの決まってます」

 

「そんなの決まってる」

 

「「楽しいこと!」」

 

 

______妹編に続く。




ゴーン、ゴーン、ゴーン(財布が晩鐘に示される音)

どうも、今回は短編にあるまじき続き物でございます。
どれもこれも、妹とマシュの仲を深めるため……
因みにアン&メアリーはカルデアの輸送船を指揮するためにダ・ヴィンチちゃんから許可されております。 黒髭は言わずもなが、ドレイク船長はそのまま世界一周に繰り出そうとする危険性があるということで報酬を出せば報酬分は仕事をするアン&メアリーが選ばれました。 因みに報酬はマスターから頂くとのこと。

感想、誤字報告ありがとうございます、お礼にアンリマユ狙いで出てきた瞑想礼装を十個セットで送りますね。

それでは、次回妹編を楽しみにしながら見ていただけると嬉しいです。

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