ギルモア・レポート 黒い幽霊団の実態   作:ヤン・ヒューリック

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第十章 00ナンバーサイボーグ 前編

世界が滅んでしまっても、それでも自分たちだけは文明やテクノロジーを維持し、その上で世界を征服する。それが前回ブラックゴーストが定めた「未来戦計画」についてのあらましであるが、その目的の為に作られた、00ナンバーサイボーグについて改めて語っていきたいと思う。

 

まずはメンバーたちについての概要を述べる。

 

・001 イワン・ウイスキー

スーパーコンピューター並みの頭脳。

サイコキネシス、テレパシーを使えるエスパー

 

・002 ジェット・リンク

一段式加速装置搭載。

両足にラムジェットエンジン搭載。マッハ5で飛行可能。

 

・003 フランソワーズ・アルヌール

超視聴覚

透視機能ならびにハッキング機能搭載。

 

・004 アルベルト・ハインリヒ

右腕にマシンガンアーム、左腕にレーザーメスならびにダーツ搭載。

両膝にマイクロミサイル搭載。

体内に核爆弾搭載。

 

・005 ジェロニモ・ジュニア

超硬化装甲皮膚ならびに高出力エンジン搭載。

 

・006 張々湖

超高熱火炎放射器搭載

高感知冷熱センサー搭載

 

・007 グレート・ブリテン

細胞並列変化装置搭載。自由自在に様々な有機物、無機物に変身可能。

 

・008 ピュンマ

対水圧装甲皮膚、人工えら搭載

両足部に水中ジェットエンジン搭載

 

・009 島村ジョー

002~008までの試験体を参考に開発された最終試験体

多段式加速装置搭載。

 

以上が00ナンバーサイボーグについての情報であるが、注目するべきは各種能力を一つの個体に複数搭載するのではなく、世界各国より拉致した優秀な人材をベースに、一個体の性能よりも001から009までのメンバーを一つのチームにすることで、あらゆる環境に対応出来るようにしたところにある。

 

「ミュータント計画の失敗を反省にし、我々はあくまで一個体の高性能化ではなく、一個体それぞれを複合的に運用することであらゆる局面に対応できることを前提にしたサイボーグ戦士を作り出すことを目的にした」

 

ロベルト・ブラウンの後継としてサイボーグ部門の責任者となっったアイザック・ギルモア博士はそう答えた。

 

ブラウンはあくまで単体でのサイボーグ戦士製造にこだわっていたが、それでは失敗したミュータント計画と同じ結果になりかねない。故にあくまで一個体に対する完璧さよりも、複数のチームによって構成されたサイボーグ戦士達を産み出すことを計画されたという。

 

航空兵力としての002が上空にて戦い、004がと006が火力支援を行い、水中は008がカバーし、007が変幻自在の肉体を活用した撹乱を行い、003が彼らのサポートを行いつつ、加速装置を搭載した009が前衛、あるいは予備兵力として存在することでとどめを差し、005がその巨体を生かして防御とサポート、あるいは工兵として活躍、001が彼らの司令塔とした上で最後の切り札として控えるなど、単体としてではなく、一つのチームとしては互いのフォローを入れつつ最善の行動がとれるように万能銃であるスーパーガンを装備し、その上で脳波通信機を標準装備していることで相互に連絡が取り合える環境まで整っており、サイボーグ戦士としては非常に高いクオリティを保ったのは、開発陣の優秀さが垣間見られる。

 

 

 

 

実際のところ、一個体に対する改造や後天的能力の付与には限界がある。キャパシティを越えた結果、リジェクション、拒絶反応や精神に支障を来して兵士としては機能しない個体も存在していた。自らミュータント計画の欠陥を指摘したブラウンではあったが、同時にこの欠陥を改善できなかったことから最終的には失脚することになったという。

 

そして、その後任としてギルモア博士が選任された。だが、このときギルモア博士はある決断を下していた。

 

それは、ブラックゴーストへの反逆であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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