学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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京都弁って難しい・・・

今ちょうど冬香との会話を書いているのですが、上手くいきませんね・・・



介入

 《ユリス視点》

 

 

 

 「二葉お姉ちゃん、三咲お姉ちゃん、大丈夫?」

 

 「えぇ、何とかね」

 

 「ありがとうございます」

 

 四糸乃さんと私は、二葉さんと三咲さんを避難させていた。五和さんと六月さんは、七瀬の指示通り七海と共に戦っている。

 

 そして七瀬は・・・

 

 「はぁっ!」

 

 「フフッ、いい動きじゃない!」

 

 あの女・・・零香さんと戦っていた。七瀬の拳や蹴りを、零香さんが避けたりいなしたりしている。

 

 それにしても・・・

 

 「何なの、あの動きの早さ・・・」

 

 「えぇ、《鳳凰星武祭》の時とは段違いです」

 

 驚いている二葉さんと三咲さん。雷による身体強化をしている七瀬の動きは、私では目で追えないほどだった。

 

 封印解除状態の綾斗より早いんじゃないか・・・?

 

 「・・・でも、防がれてる」

 

 四糸乃さんが呟く。

 

 「身体強化しているなーちゃんと互角にやりあうなんて・・・」

 

 「・・・えぇ。悔しいけど、あの女は強いわ」

 

 唇を噛む二葉さん。その時・・・

 

 「《雷帝の閃槍》ッ!」

 

 巨大な雷の槍が出現し、七瀬が零香さんを目掛けて放った。

 

 「ッ!」

 

 咄嗟に避けた零香さんだったが・・・そこには七瀬がいた。

 

 「なっ!?」

 

 「《雷華崩拳》ッ!」

 

 濃密な雷を纏った七瀬の拳が、零香さんの腹部にめり込んだ。

 

 「かはっ!?」

 

 凄まじい勢いで吹き飛ぶ零香さん。す、凄い・・・

 

 「あの七瀬がここまで・・・」

 

 三咲さんが呆然としている。と・・・

 

 「フフッ・・・フフフッ・・・!」

 

 零香さんが笑いながら立ち上がる。

 

 「素晴らしいわ!ちゃんと自分の力を使いこなせているじゃない!まさか七瀬から一撃もらうなんて思わなかったわ!」

 

 「・・・そりゃどうも」

 

 一方、七瀬は零香さんを睨んでいた。

 

 「《魔女》の力も使わないなんて・・・ずいぶん手加減してくれるんだな」

 

 「フフッ、ちょっとした小手調べよ」

 

 楽しげに笑う零香さん。

 

 「さぁ、ここからが本番・・・」

 

 「待て」

 

 聞き覚えのない声がした。

 

 突如、零香さんの隣に一人の女性が現れる。黒いローブを身にまとっており、得体の知れない雰囲気を醸し出していた。

 

 その雰囲気に、私は警戒を強める。

 

 「ヴァルダ・・・何故ここに?」

 

 「お前を連れて帰るよう言われたのでな」

 

 勝負の邪魔をされて不満げな零香さんに、淡々と答える女性。

 

 「オーフェリアといいお前といい、少々油を売りすぎだ。さっさと帰るぞ」

 

 「ハァ・・・分かったわよ。零奈!」

 

 「あいよっ!」

 

 七海達と戦っていた零奈が、勢いよくジャンプして零香さんの下へ戻る。零香さんは溜め息をつくと、七瀬の方を見た。

 

 「ゴメンなさい七瀬。勝負はお預けみたい」

 

 「・・・お仲間か?」

 

 女性の方を見る七瀬。その表情は険しかった。

 

 「純星煌式武装の力が強い・・・まさか、その人の身体を乗っ取ってるのか・・・?」

 

 「ほう・・・よく分かるな」

 

 女性が感心している。純星煌式武装が、人の身体を乗っ取るだと・・・?

 

 「バカな・・・有り得ない・・・」

 

 「そうでもないさ」

 

 私の呟きに七瀬が答える。

 

 「現にイレーネだって、《覇潰の血鎌》に身体を乗っ取られてただろ」

 

 「・・・ッ!」

 

 そうだ・・・確かに《鳳凰星武祭》で戦った時、アイツは乗っ取られていた。

 

 だがコイツには・・・

 

 「まぁ、自我があって喋ってるっていうのは驚きだけどな・・・しかも七海や零奈みたいに人型に具現化したわけではなく、人の身体を乗っ取って喋るとは・・・」

 

 「・・・ウルスラ?」

 

 またしても声がする。ただ今回は、聞き覚えのある声だった。

 

 「ッ!?シルヴィ!?」

 

 七瀬が驚いている。息を切らしたシルヴィア・リューネハイムが、女性を見て驚愕の表情を浮かべていた。

 

 「ウルスラ・・・ウルスラだよね!?」

 

 「・・・この身体の関係者か」

 

 女性がシルヴィアの方を見る。

 

 「警告しておくが、この身体はもう我のものだ。二度と関わるでない」

 

 「ッ!?ウルスラじゃない・・・貴方は誰!?ウルスラに何をしたの!?」

 

 「答える義理はない」

 

 女性がそう言った途端、ローブの下から黒い光が膨れ上がる。

 

 瞬く間に辺り一体が真っ暗になり、視界が奪われるどころか気配さえ感じ取れなくなった。

 

 「フフッ、またね七瀬。勧誘の件、考えておいてちょうだい」

 

 零香さんの声が聞こえる。やがて少しずつ視界が晴れてくるが、零香さん達の姿は何処にも見当たらなかった。

 

 「ウルスラ・・・」

 

 その場に崩れ落ちるシルヴィア。七瀬がこちらを振り向いた。

 

 「一織姉、万理華さんは?」

 

 「傷口は塞がったわ。これで大丈夫なはずよ」

 

 「サンキュ。とにかく家に戻ろう。八重達も心配してるだろうし」

 

 七瀬はシルヴィアの側へ行き、頭を優しく撫でた。

 

 「さて・・・どうしたもんかな・・・」

 

 そう呟く七瀬の表情は、苦渋に満ちていたのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「ハァ・・・」

 

 父さんと母さんの墓の前に座りこみ、俺は溜め息をついていた。

 

 昨日の戦いの後・・・ボロボロになって帰宅した俺達を見て、八重達は驚いていた。血の気を失った万理華さんを見た時なんて、あの十萌が泣き叫んだくらいだ。万理華さんは、未だに意識が戻っていない。

 

 二葉姉達の怪我も一織姉が治してくれたが、問題は心の方だった。突如として現れた零香姉が、今度は万理華さんを手にかけようとした・・・その事実は、俺達の心に重くのしかかっていた。

 

 八重達にいたっては、零香姉と俺が万理華さんの子であるという事実も知ってしまったわけだし・・・よりショックが大きいだろう。

 

 まぁ、誰よりもショックを受けているのは・・・

 

 「俺、なんだろうな・・・」

 

 小さく呟く。俺は父さんと母さんの子供ではなかった。

 

 つまりあの二人は、本当の子供でもない俺に散々迷惑をかけられた挙句、本当の子供でもない零香姉に殺されたということになる。

 

 そんなの・・・

 

 「あんまりだろ・・・ッ」

 

 拳を強く握りしめる。と・・・

 

 「やっぱりここにいたんだね」

 

 背後から声がする。振り向かなくても、俺には誰だか分かった。

 

 「大丈夫なのか・・・シルヴィ」

 

 「うん、もう大丈夫。心配かけてゴメンね」

 

 笑いながら俺の隣に座るシルヴィ。

 

 あの後、シルヴィは部屋でずっと塞ぎこんでいたのだ。九美によると、昨日は帰りが遅い俺達を心配して様子を見るために家を出たらしい。

 

 結果としてシルヴィは、知り合いが身体を乗っ取られているという残酷な現実を知ってしまったのだ。

 

 「ななくんこそ・・・大丈夫?」

 

 「・・・とは言えないな」

 

 「・・・だよね」

 

 重い雰囲気に包まれる。と、シルヴィが口を開いた。

 

 「・・・ウルスラはね、私の先生なんだ」

 

 「先生・・・?」

 

 「うん。私に歌や格闘技を教えてくれた先生・・・それがウルスラなの」

 

 空を見上げるシルヴィ。

 

 「そのウルスラが行方不明になって・・・私の能力で探したら、アスタリスクにいるってことが分かったの。でも、そこから先は絞り込めなかった」

 

 「じゃあもしかして、《歓楽街》に来ることが多いって言ってたのは・・・」

 

 「うん、ウルスラを探すのにちょっとね。時間がある時に変装して、色々と探して回ってるんだ。まぁ、ここで会えるとは思わなかったけど」

 

 シルヴィが苦笑する。

 

 「でもまさか、純星煌式武装に身体を乗っ取られてるなんて・・・何があったのか知らないけど、ずいぶん危ない話になってきちゃったなぁ・・・」

 

 「・・・でも、諦める気はないんだろ?」

 

 「当たり前じゃない」

 

 笑顔で即答するシルヴィ。まぁ、そうだろうと思ったよ・・・

 

 「今さら焦ることもないしね。何があったかじっくり突き止めようと思ってるよ」

 

 「・・・そういうことなら、俺も協力するからな。動く時はちゃんと言えよ」

 

 「うん。ありがとね」

 

 シルヴィは微笑むと、俺の肩に寄りかかってきた。

 

 「・・・ななくんは、ななくんだからね」

 

 「え・・・?」

 

 「誰の子供だとか、誰と血が繋がってないとか・・・そんなの関係ない。私も皆も、ななくんのことが大好きなんだよ。それを忘れないでね」

 

 「シルヴィ・・・」

 

 ホントにもう・・・敵わないわマジで。

 

 「・・・ありがとな」

 

 「うんっ」

 

 「七瀬っ!」

 

 声がしたので振り向くと、ユリスが走ってくるところだった。

 

 「万理華さんが目覚めたぞ!」

 

 「「ッ!」」

 

 俺とシルヴィは顔を見合わせ、急いで立ち上がるのだった。

 




どうも~、ムッティです。

シャノン「零香さんとの勝負はお預けになったね」

いずれ二人がぶつかる時が来るよ・・・多分。

シャノン「断言しないんだ・・・」

それより、早いところ《獅鷲星武祭》編の執筆を進めないと・・・

シャノン「今は学園祭の場面を書いてるんだっけ?」

そうそう。他学園の生徒達と絡ませてるところ。

あと、もっとシルヴィとイチャイチャさせないと・・・

シャノン「何その使命感・・・」

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノン「またね~!」



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