LiSAさん、藍井エイルさん、TRUEさん・・・個人的にこの三人のことを、三大歌姫として尊敬しています。
時が止まった・・・そう錯覚させるほど、その場の空気が凍った。
「・・・は?」
ようやく声を絞り出すことに成功した俺。
「零香姉と俺が・・・父さんと母さんの子供じゃない・・・?」
「えぇ、そうよ」
俺の言葉に頷く零香姉。
「私達の実の母親は・・・貴方よね?万理華さん?」
「ッ!?」
万理華さんが信じられないという表情で零香姉を見つめる。
「お前・・・どうしてそれを・・・!」
「それを貴方に教える義理は無いわね」
冷たく言い放つ零香姉。そんな・・・
「万理華さん・・・?」
震える声で万理華さんを呼ぶ。
「零香姉の言葉は・・・本当なのか・・・?」
俺の質問に、唇を噛んで俯く万理華さん。見ると、一織姉達も苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
ってことは・・・
「皆・・・知ってたのか・・・?」
「・・・知ってたわ」
力なく頷く一織姉。
「七瀬が万理華さんの子供だってことは知ってた。知らないのは、八重と九美と十萌だけ。ただ・・・」
万理華さんを見る一織姉。
「あの女も万理華さんの子だってことは、私達も今初めて聞いたわ・・・万理華さん、本当なの?」
「・・・あぁ」
うなだれる万理華さん。
「零香と七瀬を産んだのは百愛じゃない・・・私だ」
「そんなの関係ないよっ!」
四糸乃姉が叫ぶ。
「お母さんの子でも万理華さんの子でも関係ない!なーちゃんは私達の弟だもん!それに万理華さんは私達の伯母さんでしょ!?なら、私達だって血が繋がってるじゃない!」
「言ったはずよ、四糸乃」
零香姉が溜め息をつく。
「私と七瀬は、皆と血が繋がってないって。万理華さんはね、貴方達の伯母でも何でもない・・・本来、星野家とは全く無関係の人間なの」
「なっ・・・」
絶句する四糸乃姉。
万理華さんが・・・星野家と無関係の人間・・・?
「父さんの姉というのは嘘で、星野万理華という名前も偽名・・・その人はね、嘘で塗り固められた存在なのよ」
吐き捨てるように言う零香姉。万理華さんが俯き、わなわなと震えている。
「う、嘘ですよね・・・?」
恐る恐る万理華さんに尋ねる三咲姉。
「あの女の虚言ですよね・・・?そうなんですよね・・・?」
「・・・事実だ」
顔を上げた万理華さんは、力なく笑った。
「零香の言う通り、私は・・・お前達の伯母じゃない」
「そんな・・・」
その場に崩れ落ちる二葉姉。一方、零香姉は薄ら笑いを浮かべていた。
「ようやく認めたわね・・・気分はどう?万理華『お母様』?」
「止めろ」
零香姉を睨む万理華さん。
「私はとうの昔に、母を名乗る資格など捨てた身だ。今さらお前と七瀬の母親を名乗るつもりはない。それに・・・」
万理華さんの身体から、膨大な星辰力が溢れ出す。
「私の恩人を・・・千里と百愛を手にかけたお前だけは、絶対に許さん。お前を産んだ身として・・・私は責任をとらないといけない」
「責任?どうやって?」
「決まっているだろう・・・お前を私の手で始末することで、だッ!」
そう叫んだ瞬間、万理華さんの姿が消えた。
そして零香姉に急接近し、その顔に拳を叩き込もうとするが・・・
「やらせないぜ?」
二人の間に割って入った人物がいた。その人物が、万理華さんの拳を抑えている。
「・・・ッ!その気配・・・人間じゃないな?」
「まぁな」
銀髪の少女が、ニヤリと笑みを浮かべていた。
この気配って・・・
「まさか・・・純星煌式武装!?」
「正解よ。流石は七瀬ね」
微笑む零香姉。
「私の純星煌式武装が人型に具現化した姿・・・それがこの子よ」
「マスターは零奈って呼んでるぜ。よろしくな、マスターの弟」
笑って手を振ってくる零奈。
まさか七海以外に、人型に具現化できる純星煌式武装があったなんて・・・
「くっ・・・!」
一旦零奈と距離をとる万理華さん。だが・・・
「おっと、逃げんなよ。マスターの母上殿」
すぐさま距離を詰める零奈。そのまま拳を振るう。
「マスターを殺したいんだろ?それならアタシを倒さなきゃ無理だぜ?」
「身体を張って主人を守るとは、大したものだな・・・!」
忌々しそうな顔をしながら、攻撃を全て避ける万理華さん。
「それでも、お前に私は倒せん・・・!」
「倒す必要なんてないさ。何故なら・・・」
ドスッという音が響く。それと同時に、万理華さんの動きが止まった。
「アンタを倒すのは・・・マスターの仕事だからな」
万理華さんの背後には・・・いつの間にか、零香姉が立っていた。
手に持っている剣型の煌式武装の刀身が、万理華さんの身体に突き刺さっている。
「・・・終わりよ」
そのまま斬り払う零香姉。万理華さんの身体から、大量の鮮血が迸った。
呆然としている俺達の目の前で、その場に倒れこむ万理華さんなのだった。
*****
俺達は呆然と立ち尽くしていた。
一織姉も、二葉姉も、三咲姉も、四糸乃姉も、五和姉も、六月姉も・・・目の前の光景が信じられなかった。
これじゃ、あの時と同じ・・・
「咲き誇れ!赤円の灼斬花!」
ユリスの叫び声が聞こえた。炎の刃を回転させながら、いくつもの戦輪が零香姉と零奈に襲いかかる。
「あらあら」
「おっと」
それを避け、距離をとる二人。そこでようやく俺もハッとなった。
「一織姉ッ!万理華さんの治療を頼むッ!」
「ッ!了解!」
一織姉が急いで万理華さんの下へと駆け寄っていく。
「させると思っているのかしら?」
「ッ!?」
一織姉に接近する零香姉。だが・・・
「はぁっ!」
三咲姉が《聖王剣》をふるい、零香姉をけん制する。それを避ける零香姉だったが、今度は背後から二葉姉が攻撃をしかける。
「やぁっ!」
「チッ・・・零奈!」
「はいよっ!」
零香姉の指示で、零奈が一織姉を邪魔しようとする。
「させるかッ!七海ッ!」
「はい、マスター!」
名前を呼ぶと《神の拳》が出現し、光に包まれながら人型に具現化した。
「零奈の足止めを頼むッ!」
「了解!」
零奈に突っ込んでいく七海。
「おぉっ、アタシと同じヤツがいるとは!燃えるねぇ!」
嬉々として七海を迎え撃つ零奈。その隙に、俺は一織姉の下へ向かった。
「一織姉!万理華さんは!?」
「大丈夫!治してみせる!」
一織姉の手から光が溢れ、万理華さんの傷口を塞いでいく。
相変わらず凄いな・・・これが治癒能力か・・・
「ぐあっ!?」
「がはっ!?」
苦悶の声が響いた。慌てて振り返ると、二葉姉と三咲姉が零香姉に倒されていた。
二人がボロボロなのに対して、零香姉には傷一つ付いていない。
「くそっ!アイツッ!」
「許せませんッ!」
五和姉と六月姉が飛び出そうとするが・・・
「ストップ」
再び手で制する俺。五和姉が怒りの形相でこちらを見る。
「何でよ七瀬!?敵わないとか言ってる場合じゃ・・・!」
「分かってるよ。だから零香姉は俺が止める。五和姉と六月姉は七海を、四糸乃姉とユリスは万理華さんと一織姉を頼む」
「抗議!七瀬一人であの女を止めるなど・・・!」
「・・・いいから下がってろ」
「・・・ッ!」
俺の身体から溢れる殺気に、六月姉が息を呑む。俺はそのまま歩みを進めた。
「な、七瀬・・・」
「二葉姉、三咲姉・・・ありがとう。後は任せろ」
立ち上がろうとする二葉姉と三咲姉の前に立ち、零香姉と対峙する俺。
「あら、嬉しいわ」
ニッコリ微笑む零香姉。
「七瀬が相手してくれるなんて・・・わざわざ帰ってきた甲斐があったわね」
「そりゃどうも」
目を閉じ、深く息を吸う。そして・・・
「だったら・・・死ぬほど後悔させてやるよ」
俺の全身から、眩い雷が迸るのだった。
二話連続投稿となります。
Aqua Timez、今年で解散するってよ・・・
シャノン「前書きのテンションは何処へやら・・・」
中学の時から聴いてたからさぁ・・・青春時代を思い出すよね。
シャノン「一番好きな曲は?」
んー、悩むけど・・・『千の夜をこえて』かな。
シャノン「あー、劇場版BLE●CHの主題歌だった曲だよね?」
そうそう。この曲には思い出があってさぁ・・・
シャノン「というと?」
中学の時、好きな女の子に告白すべきかどうか迷ってたことがあってさ。
告白して振られたら、それまでの友達関係が崩れると思って・・・
シャノン「怖かったんだね」
メッチャ怖かった。でもそんな時、『千の夜をこえて』を聴いてさ。
歌詞に凄く励まされたんだよね。
シャノン「好きな人に好きっていう気持ちを伝えるんだ、みたいな歌詞だもんね」
そうなんだよ。
それを聴いて『結果がどうなっても、ちゃんと気持ちを伝えたいな』って思って。
勇気を出してその子に告白したわけ。
シャノン「マジか!で、結果は!?」
はい、振られました。
シャノン「oh・・・」
まぁ後悔はしてないけどね。
その子が凄く申し訳なさそうにしてて、逆にこっちが申し訳なくなったくらいで・・・
でもその子も、『気持ちは凄く嬉しかった』って言ってくれたし。
伝えられて良かったなって思ったよね。
『千の夜をこえて』を聴くと、今でも当時のことを思い出すよ。
シャノン「青春の思い出だねぇ・・・」
そうなんだよねー。だから解散は凄く寂しいけど・・・
これも時代の流れというやつなんだろうか・・・
という、物語とまるで関係ない話を長々としてしまいましたが(笑)
それではまた次回!以上、ムッティでした!
シャノン「またね~!」